ひぐらしのなく頃に 決 【訳探し編】   作:二流侍

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■訳探し編【Ⅴ-Ⅻ】

 ……それからは長い夜となった。夜の月はどれくらい上がり、過ごしやすい夜になっているか。カーテンで閉め切られた車の中ではそんな些細な情報さえ分からない。カーテンから漏れる光よりも、ランタンが灯す光がこの車の中を頼りなさげに照らし続ける。物静かな環境音はランタンが消えないように燃え続ける音だけだった。

 静かに閉じ込められた小さな世界、重く圧し掛かる空気に合わせるかのように、言葉には重みが加えられていた。

 富竹さんの件、雑誌の件、前原君との会話、大石さんとの話、そして――――自分の中に生まれていた疑問。ありのまま、それら全てを語っていた。

 言葉では簡単なのだが、そこにどうしても自分の想いが乗せられてしまう。たった一言で済むような内容も、気づけば二言、三言と増えていた。

 全て伝えるには少し、長すぎたような気がした。学校の授業時間ならとっくに2限分を消費したような気がする。伝え方が下手だということもあるのかもしれないのだけれど。

 それでもみんなはじっと聞くだけの役回りに徹してくれていた。授業ならとっくに飽きてもおかしくないのに、こうやって真剣に聞いてくれている。それに大石さんの園崎さんの裏がある説を話したというのに、園崎さんは顔色1つ変えない。

 たぶんある程度の予想はしていたのだろうか。でも、それは逆に自分にとっては安心感を与えてくれていた。

 ランタンの火が小さくなった頃だろうか。ようやく終わって僕は一息を入れたのち、まとめとしてこう言った。

 

「――――ということが僕の起こったことの全てだよ」

 

 終わりを告げたと同時に聞きに回っていたみんなが話し始める。

 

「まさかそんな事になるなんて……驚きですわ」

「圭ちゃんはそれであたし達をあんな目で見ていたんだね」

 

 園崎さんはどんな気持ちでその言葉を言ったのだろうか。自分が一番疑われているこの状況に対して、どんな対策を取ろうとしているのか。それが気になっていた。

 でも、聞けない。流石に今この場で聞くのは彼女にとって無礼でしかないから。

 そんな中、竜宮さんは違う疑問を持っていた。

 

「大石さんからの話は分かったよ。……でもなんで孝介君は私達を信用してくれたのかな、かな?」

「そうですわね。今のままでは孝介さんは私たちを信用してくれないと思えますわ」

「そうだよね……こうやって振り返ってもそう思ってしまう自分がいるよ」

「……篠原は仮面をかぶっているのですよ」

「そうなの!? 孝ちゃん」

「誤解を呼ぶようなこと言わないでよ……」

 

 古手さんはニコニコしているだけで反省してくれているように見えない。

 

「……僕は親に相談したんだ。それでみんなに想いをぶつけていないから的な話をされて……」

「だからあの時?」

「あぁ、まぁ……うん。ちょっと過剰になっちゃったけど」

 

 竜宮さんに強く当たったことで取り除かれた疑心。それでも、やってしまったことで竜宮さんの心に傷つけていたことには間違いない。

 竜宮さんがこちらに近づいてくる。まさか、あの時について言いたいことでもあるのだろうか。

 

「それで孝介君は信じられたの?」

「え? うん、まぁ……」

 

 もしかしたら簡単に変わってしまう流されやすい奴だと解釈されたのかもしれない。

 それはそうかもしれない。あんなに恐い話を聞いても親の発言で直ぐに心変わりしたというのだから。

 

「ありがとうね」

「あ、ありがとう?」

 

 僕には何故感謝されるのか理解が出来なかった。

 

「信じてくれて嬉しいかな、かな」

「いや、それは当然のことだし、それよりも自分は何も考えずに友達を疑っていたし……」

「あー! それ、孝ちゃんの悪い癖!」

 

 園崎さんから注意を受けた。生徒を叱るような先生になりながら、彼女は僕に言ってくる。

 

「何でもかんでも自分に非があるような言い方をしない!」

「それは、そうかもしれないけど……」

「孝介くんは確かに私を疑って強く当たったのかもしれない。それは真実だよ。でも、そういうのがあったから孝介くんが信じてくれたのもまた事実」

「……」

「そうですわ。私たちも孝介さんを信じきれなかったからという非がありますもの」

「だからお互いさま。こうやって信じてくれている。今はそれだけで十分だよ」

 

 園崎さんの言葉にみんなの首が縦に動く。みんなの気持ちは同じのようだ。

 それでも、自分はどうしても許すことの出来ない自分がいる。それが何かを具体的に伝える事は出来ないけど、信じてくれているからこその悲しみだとそれだけは分かった。

 だから……言えない。これを言えば更にみんなを困らせるだけだから。

 そんな中、古手さんが「みぃ」と癖の言葉を吐いた後、僕の説明を受けてのまとめを口にする。

 

「……結局圭一の原因は疑心暗鬼からの行動なのです。魅ぃやボクたちを信じきれずに恐れているのですよ」

「そうですわね。圭一さんの行動はそれが原因と考えてよさそうだね」

「大石さんめ! あたし達の関係を崩すような事して。本当に嫌になるよ!」

「でもどうしたらいいだろう。前原君がこのままだと、僕よりもみんなを疑ってしまうかもしれない」

「…………そうなると……もう取り返しがつかなくなるのです」

 

 前原君のその疑惑をどう取り除けばいいのか、僕達は悩んでいた。

 みんな思考の為か、自然と無口になる。解決策を見いだすことは出来ない。まるで霧の中から答えを探し出せと言われているようなもので。何も見えず、何かが分からない以上、手を伸ばす恐怖も存在する。

 不可能ではないかという絶望が空気を占めだしたとき、竜宮さんが呟いた。

 

「孝介君がいいと思う」

「……孝介さんって、何がですの?」

「今の状況を考える限り、圭一君が私たちに心を開いていくとは思えない。それは雛見沢に住んでいるみんなも同じ。多分耳を貸してくれない」

 

 でも、と竜宮さんは僕の顔を見た。

 

「孝介君は違う。雛見沢にきてまだ半月も経ってないし、なにより大石さんの話を聞いた」

「つまり圭ちゃんは孝ちゃんとなら、話を聞いてくれるかもしれないってこと?」

 

 竜宮さんは黙って頷いた。それはすごく躊躇いがちで、彼女自身、明確な答えのもと判断しているとは思っていないようだった。

 

「圭一さんは孝介さんにだけ心を開く……。そうですわね、確かに私たちでは力不足なのは認めますわ」

「……責任重大なのですよ、篠原」

 

 古手さんの一言は、僕自身に対してこの義務の重要性を理解させただけではなく、みんなの期待が一気に僕に向けられる一言だった。その期待にはこたえたい。

 不安はあるし、責任は重大だ。

 上手くいかなかったら前原君は一体どうなるのかそれを考えると……いや、暗くなるような考えはまず置いておくべきだ。

 とりあえず考えるべきことは1つしかない。

 

「じゃあ、どうすれば上手くいくかな?」

 

 ランタンの火は、少しだけ強くなったような気がした。

 




―――――――――
久しぶりにスポッチャに行くと、色々出来るんだなーと驚かされた。
特に釣堀なんて出来るの。って感じ。みんなでやったけど、あれってスポーツに分類されるのだろうかw
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