◆忘れられた日記(1)
4月8日
俺は高校に入学した。といっても進学校といったところではない。自称進学校と言ったこの学校は、文武両道という言葉をモットーに掲げるようなテンプレ的な学校だった。
……まぁ、進学するやつは多数存在する。東大を10人出しましたとは言わなくても、1人ぐらいのやる気ある生徒が出ていくような学校。だがそれと同時に不良を生み出してしまっているのが、この学校の現状だ。
学校としてのクラスは普通科と特進科に分かれている。それも今の現状に拍車をかけていることは間違いない。だからといって普通科が馬鹿ばっかりとは言わない。頭は良いヤツは良く、悪いヤツは悪い。普通科やらで境界を二分化出来るわけがない。頭の良いヤツは上位の大学、悪いヤツはヤクザになる。それは普通科だろうが、特進化だろうが、変わらない。それが事実だった。
……まぁ俺はそこまで頭が良くなかったから、普通科に行っていたけど。
だからといってヤクザのような生活を送ろうとも思わない。ただ川に流されるように過ごしていく高校生活。あとは大きなハプニングさえ起らないように気を付けていればいい。
俺はそう考えながら、この入学式を憂鬱な気持ちのもと考えていた。
ってか校長先生は一体どうしてあんな長い台詞を考えるのだろうか。あの時間を一から十真面目に聞いている人なんておよそ一割にも満たないだろうに……。
俺もそういう意味では、大多数の方の人間だった。
……この言い方も慣れない。疲れたし、もう寝よう。
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◆忘れられた日記(2)
4月9日
今日から学校。新しい服装を身に纏い、多少は晴れた気持ちを持ちながら、今日は登校していた。
登校中も真新しい感覚が自分を迎え入れる。これからやってくるであろうウキウキわくわくな展開にもう何も言えない自分がいたことは確かだった。……途中で黒猫とじゃれて学校に遅れてしまったなんて他の誰にも言えない。
そしてクラスでは先生と生徒の交流会があった。コミュニケーションから打ち解けるためのアイスブレイク、というやつらしい。先生が言っていた内容そのままだけど。
だが今日のは失敗だったと言えるだろう。みんなははじめの人が多いからか、話がいまいち盛りあがらない。こういった場になると明るいやつと、暗いやつがはっきりと生まれるものだ。
ちなみに俺は暗い方だ。だって遅刻したし目立たないようにしたかったのは事実だ。
明るいやつはバンバン友達作りを可能にしていたのに対して、細々としゃべりかけた俺は二、三人と趣味で仲良くなっただけだ。読書というありきたりなジャンル万歳である。
そういえば1人。面白い人がいた。
みんなの場を盛り上げていたのは、寛司(カンジ)とか言う人だった。人形みたいな雰囲気を漂わせる不思議な感じの子だった。寛司だけに……というジョークは後で読み返すと恥ずかしいのでもうやめよう。
そうそう寛司という人は遠くから来たといっていた。わざわざこの高校まで来る理由は分からないけど、まぁ、そういう奴だっているか。
温厚な性格に、誰とでも気さくに話そうとする性格。そんな性格を相まってみんなといち早く馴染んでいた。
俺も声をかけられたけど、生返事だけで済ませてしまったのが惜しいと思えるわ。
また今度、会えるだろうか?