ひぐらしのなく頃に 決 【訳探し編】   作:二流侍

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前回一日更新と言っていたな? あれは嘘だ。


■訳探し編【Ⅰ-Ⅳ】

「う……」

 

 もう朝なのか、まぶたの裏から光を感じて僕は目を覚ました。

 今日から別の学校に行かないといけない。朝ごはんを食べに行かないと。

 やるべきことを思い返したときにようやく気づいた。

 視界に広がるのは暗い夜空。そもそも天井が存在していないことに。

 

 ……え? 自分は夢遊病にかかったのかな?

 

 起き上がって周りを見渡すと、そこには驚くべき世界が広がっていた。

 まず目の前に大地が存在していない。周りにあるのは何もなく、空のその先に存在した淡い光のピース。それらが星々のように煌めき、この漆黒の世界を照らしていた。

 まるで亜空間。ここが地獄ですと言われれば納得してしまいそう。

 ただ自分は死んでいない。カレーを食べて寝ただけだ。

 

「……」

 

 もう1つの可能性を信じてみる。

 僕は、自分の頬を思いっ切りつねった。

 

「いった!」

 

 思いっきりつねりすぎた。

 ジンジンして涙が出てきそうだ。簡単に言えば、痛覚がちゃんと存在している。

 この対処法が上手く出来ないということは、ここは夢の世界ではないという事なのだろうか。

 だが夢で片付けなければなんなのだろう。

 そう思っていた時だった。

 

『――――なたは選ばれ…のよ』

 

 言葉が流れ込んできた、という表現が正しいのか。

 直接頭の中で語りかけられたような、変な感覚が自分の身体をびくつかせていた。

 今までにない感覚に薄気味悪さを感じてしまう。

 

「一体、どこから……?」

 

 発信源は一体どこなのか。

 首を振って辺りを見回すと、右側に2人の姿を視認した。

 2人は向き合うように立っている。世間話……みたいな和やかな雰囲気には見えない。

 目を凝らしてみるが、かなりの距離があるため、顔がはっきりと見れない。

 声だけは相変わらず、自分の中に語りかけてくるのだった。

 

『よ……。な……おれ…………だ?』

『べ……。この…………だけ……』

「あのぉ!」

 

 向こうの話が聞こえるのだからこっちからも何かしらのアクションが……。

 仄かな希望を掛けて声を出してみたけど相手は気づいた様子はない。

 やはり場所が遠いからか。

 なら近づこう。そう思って足を動かそうとした…………が金縛りにあったように足だけが全く動かない。それ以前に踏むべき場所も存在しないのだ。

 自分は今浮遊状態。そもそも前進する術を知らない。

 ここから諦観しているしかないようだ。

 

『ふ…………。で…………………お……いく……』

『あな…………ひな……に………よ』

 

 やはりノイズが入ったように途切れ途切れでしか聞き取れない。

 軽く歯噛みをしていた時、2人の会話が終わったのか1人に動きが見られた。

 こちらに背を向けて、何かを開けるような仕草をする。

 だが、その開けるモノが見えない。

 一体何を開けているのか。

 

『はは…。ど……。……い…………。…………よ』

『ふふ……せいぜ……が…………い』

 

 瞬間、爆発が起きた。

 周りの景色が2人を消さんと白く光る。

 一瞬で拡散するその光景はビッグバンを彷彿とさせる。

 

「な、なに!?」

 

 そして光の影響はこちらまでやってきた。その時間、コンマ数秒の世界でしかない。

 ついていかない頭に身体。容赦ない光は一瞬にして眩い世界に変えた。

 あまりの現象に腕で顔を隠す。

 それでも光は腕と顔の隙間を狙って入りこむ。

 分からない。この状況までなっても何1つ理解が出来ないまま。むしろ疑問は増えるばかりだ。

 自分は何でこんなのを見ないといけない……!

 それが、自分の中で真っ先に生まれた疑問だった。

 

『あなたは選ばれた。さぁ、新たな駒としてこの惨劇に挑みなさい――――篠原孝介』

「えっ……」

 

 篠原孝介――――それは僕の名前。

 聞き間違えか。いや、先ほどのノイズと違ってはっきりとした声。

 

 間違える訳がない。そう、間違えでは……ない?

 

 気になった僕は腕を帽子のつばのようにして、無理やり光の先を見た。

 1人の人が見える。その人は光を浴びているにも関わらず、たじろぐ事もなく、毅然としていた。

 きっと先ほどの人だ。じゃあ先ほど呼びかけたのも……。

 確認したい。しかし後ろに輝く白い太陽はその人を黒く染める。

 影のシルエットになったその人はくるりと身を翻した。

 そこで髪の毛が腰の高さまであることが分かる。その情報だけ、僕の頭の中に焼き付けられた。

 更に輝きが増した。もはや、自分の中の白はなくなり、目が焼き付けられそうになる。

 ギュッと目を閉じれば先程の人が黒い視界の中に赤い残像となって浮かび上がっていた。

 薄れる意識の中、最後にもう一度だけ聞こえた言葉があった。

 

『鬼は誰? 幸せで、不幸な迷子さん』

「どう……いう…………事……?」

 

 意識が遠くなる前に言えた疑問。

 だけど、その答えは頭に響く事は無かった。

 




冒頭でのこいつ自身のプロローグはOKですかね。
これから、どんどんひぐらしの世界に入れていきたいと思います。
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