◆忘れられた日記(3)
4月21日
ここまで日数がたつとグループが自然と出来てきた。スポーツで固まる集団、勉強で集まる集団、テレビの内容で盛り上がる集団など。
どんなジャンルかは知らないが、とりあえず息の合う奴らと中心にそういったグループはできていた。その小さな輪はやがて大きな輪となり、グループとなる。
それが高校生活を共にするパートナーと言ってもいいだろう。
俺だって例外ではない。いつからこうなったのかも分からないけど、自然と2人と一緒に昼休みを過ごすことが多くなっていた。友達、その言葉に相応しいだろう。
小門 有と角谷 亮人だ。小門は少し小太りだけど、温厚で大人しい人だ。角谷は眼鏡をかけてインテリそうな雰囲気を漂わせているけど、いつもジョークを言ったりする人見知りパートナーだ。
この2人は俺と同じようにスタートを見誤って取り残されたらしい。
つまりは残り物フレンズ、と言っていいだろう。
……。
まぁ、多すぎよりは少ない方が性に合っている。
ありがたいことだ。
ちなみに一番大きなグループは最初の印象が強かった寛司を中心としたものだ。
みんなが寛司、寛司というから上の姓名は知らない。とにかく雰囲気がよく、男性と女性共にこの寛司とやらに集まっている。印象的やら、成績優秀やら、いろいろ言われているらしく、寛司さんは学校での人気者となっている。
うらやま……いや、知った事はないが。
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◆忘れられた日記(4)
5月8日
今日はゴールデンウィーク終わりのテストの日だ。
鬱になりそうな話だが、仕方ない。嵐でも起きろとテルテル坊主をロープで締め上げ、ろうそくの火であぶったのだが無駄だった。
テストの内容は数学、国語。何、古典とかニュアンスで理解するしかないのかな。
担当の先生、2人とも課題から問題を出すとか言ったので徹夜(儀式のせいで実質3時間)で覚えてきた。
俺ができる精一杯だったかな。
ま、結果はどうせ平均以下だろうしどうでもよかった。
……でだ。何でこんなどうでもよいことを日記に書いたか。それには大きな理由がある。大変な事があったのだ。
それはテスト中の時である。俺が睡眠不足でうつらうつらしていると、あることに気づいた。
寛司はテストの席順のとき、俺の前にいる。あいうえお順と考えると、「こ」か「さ」だったかな?
そんなことはどうでもよい。
問題はその寛司がカンニングをしていた、ということだ。
たまたまとは怖い、いやマジで。
国語と数学の間の休憩中に寛司が立ち上がった時に落としたものを見てしまったのだ。
公式やら、課題の答え。
さんざん頭いいとか言っていたのに、カンニングとは、ひどく驚いたもんだ。
気づいた寛司は真っ青で、この事を黙ってくれといった。勿論テストが終わったあとの教室。放課後で2人きりの時だ。本当に土下座しそうな勢いな低姿勢。うーん、別に何も恐れる事はないだろうとその時は思っていた。俺には関係ないし、うん。
何も言わず、黙ってうなずいてやった。
そしたら両手を握ってくるし……本当に、あいつもかなり喜んでいたなぁ。
とまぁ、そんな初めて交流がおかしいという話だ。
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◆ある刑事たちの会話
「この日記、一応鑑識にまわしといて」
「何か情報になるものが書かれていましたか?」
「いいや、まだ少ししか読んでいないが、特には何も書いていない。ただの日記だった」
「そうですか」
「サトちゃん。こいつは結構面倒くさい事件になりそうだな」
「そうですね。犯人の手掛かりがない以上、特定するのは大変になりそうです」
「…………」
「どうしたんですか?二階堂さん」
「いや、もう少し経験を積まないとなと思ってさ」
「は?」
「いや、なんでもない」
「二階堂警部!」
「どうした。なんか手掛かりがあったか?」
「いえ、それが……えっと」
「なんだ。はっきり言え」
「はい。すいません」
「実はこの近くの河川敷なんですが……」
「あぁ、あそこか。あそこでなんかあったのか?」
「遺体が発見されました」