災厄の悪魔は正義を嗤う   作:ひよこ饅頭

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どんだけ時間がかかっているんだ、私……(汗)


第17話 正義

 晴れやかな青空に、涼やかな風。未だ戦闘の傷跡が深く残る小都市ロイツは、しかし今では多くの活気に満ち溢れていた。

 人々は壊れた道や建物を直し、未だ怪我で臥せっている仲間を看病し、これからの戦いに備えて鍛錬や道具の準備に励んでいる。

 嘗てないほどに希望に満ち溢れ、笑い声さえ零れる日々。

 しかしそんな中、一人の少女が壁に寄りかかるようにして地面に座り込み、深々と大きなため息を吐き出していた。

 ここは都市の中心部にある鍛錬用の開けた区画。

 多くの聖騎士や民兵たちが大きな掛け声と共に鍛錬を行っている中、少女……ネイア・バラハは一人広場の隅の影に隠れるようにして座り込んでいた。鋭い双眸でぼんやりと目の前の鍛錬の様子を見つめ、次には再び大きなため息を零す。両手に握り締めている“イカロスの翼”に目を移すと、ネイアはもう一度ため息をつきながら項垂れるように顔を俯かせた。

 

 

「――……これはまた大きなため息だな…」

 

 不意に頭上から聞こえてきた聞き慣れた声。

 驚愕と共にバッと勢いよく顔を上げると、そこには不思議そうでいてどこか呆れたような表情を浮かべたオスカーが目の前に立ってこちらを見下ろしていた。

 突然のオスカーの登場に、思わず驚愕の表情を浮かべて勢いよく立ち上がる。

 ネイアは咄嗟に尻に着いた土や汚れをパタパタと叩き落とすと、次には誤魔化すように一つ小さな咳払いを零した。

 

「お、お帰りなさい、ウィーグランさん。今回も無事に戻られたようで何よりです」

「ああ、何とかな。今回も犠牲を出さずに終わらせられた。……そういえば、閣下も先ほどご無事に戻られたようだぞ」

「閣下もですか!? それは良かったです!!」

 

 共にウルベルトの従者となってそれなりに時が経つため大分心の距離が縮まったのか、最近ではネイアに対してだけはオスカーは少々砕けた口調で話しかけてくれる。そんな彼からもたらされた何よりの朗報に、ネイアは途端に声を弾ませて顔を輝かせた。

 というのもこの二週間、ネイアは従者としてウルベルトと共に行動する機会が極端に少なくなっていたのだ。

 今から二週間ほど前、解放軍は未だ残っている捕虜収容所を解放するべく度重なる進軍を再開させていた。ウルベルトも別動隊としてそれに加わり、配下にした亜人たちやメイド悪魔やオスカーを引き連れて一つの捕虜収容所を解放しては一度ロイツに戻り、暫くすればまた出撃するというのを繰り返していた。

 尤も、ウルベルトが現在率いている隊の人員は最初の捕虜収容所解放の時とは打って変わって大分様変わりしている。

 その最もたる部分は、隊の数が一つではなく二つになっていることだった。

 一つはウルベルト自身が率いており、もう一つはウルベルトの正式な従者となったオスカーがウルベルトの名代として率いている。そしてウルベルトとオスカーの下には、先日ウルベルトが配下にした亜人の三体が日替わりローテーションで付き従っていた。更にはウルベルトが召喚した悪魔たちや一部の聖騎士、そして捕虜収容所を解放する度に配下に加えているハリシャやナスレネの部族のモノたちもその下に組み入れられていた。

 『災華皇(さいかこう)が捕虜収容所解放作戦に参加しているのは、その捕虜収容所を守っているハリシャやナスレネの部族のモノたちを手中に収めて庇護下に置くためだろう。解放軍側が一部とはいえ聖騎士たちを災華皇側に同行させているのは、捕虜収容所に囚われている民たちに対して“あくまでもこの行動は解放軍との共同作戦である”というアピールをするためだろうな』とはアルバの言である。

 では何故一時的とはいえウルベルトの従者であるネイアがウルベルトと行動を共にしていないのかというと、それは解放軍側が命じてウルベルトがそれを承諾したためだった。

 ウルベルト側の二つの部隊と解放軍側の部隊によって、小都市ロイツに集まっている民たちは日に日にその数を増やしている。そのため彼らを統率する軍属の人員が不足しており、そこでネイアも駆り出されることになったのだ。

 ネイアが率いるのは、主に弓矢が得意な民兵たち。彼らを鍛え、訓練し、有事の際は先頭に立って率いるのが今のネイアの第一の務めとなっていた。

 普通であれば、聖騎士見習いの身で一部隊を率いる任を与えられることは大変名誉なことだろう。少し前のネイアであれば大喜びして奮起したはずだ。しかし今となっては、ウルベルトに付き従う時間が極端に少なくなってしまったことに落胆するだけだった。加えて最近では前々から思い悩んでいた悩みが急激に大きくなってしまい、ネイアは憂鬱になる心を律することもできず、どうしようもなく持て余していた。

 

「……何か思い悩んでいるようだが、どうかしたのか?」

 

 今もなおどこか翳った表情を浮かべているネイアに、オスカーが不思議そうに問いかけてくる。

 深い海のような蒼色の瞳には気遣わし気な色が浮かんでおり、ネイアは少し躊躇しながらも彼に相談してみることにした。

 

「その……、実は、ずっと考えていたんです……。“正義”とは一体何なんだろうって……」

「……!!」

 

 まさかそんな言葉が出てくるとは思ってもいなかったのだろう、オスカーが驚いたように目を見開いてくる。

 しかしネイアからすればずっと思い悩んでいたことだった。

 

「……ヤルダバオトが聖王国に現れてから、私はずっと“正義”について考えていました。“正義”とは一体何なのか。“正義”を行うためには何をするべきなのか……。今の聖騎士や聖王国の在り方ややり方を見る度に、そして災華皇閣下に付き従う度に、それが分からなくなってしまっているんです……」

「……………………」

 

 まるで自身の胸の中に蠢く膿を吐き出すかのように、気が付けば思っていることを全てぶちまけていた。

 もしかしたら、自分では気が付かなかっただけでとても苦しかったのかもしれない。誰かに相談して、少しでも自分の苦悩を分かってもらいたかったのかもしれない。

 悲痛に顔を歪めながら話し続けるネイアに、オスカーは暫く静かに見つめた後、ネイアが口を閉じたのを確認して漸く口を開いてきた。

 

「そうだな……。私にとって“正義”とは……“力”だな」

「……“力”……?」

 

 オスカーからの意外な言葉に、ネイアは思わず小さく首を傾げさせる。

 訝しげに顔を顰めるネイアに何を思ったのか、オスカーはフッと小さな笑みを浮かべてきた。

 

「何かを守り、何かを成すためには力が必要だ。聖王国は……力がなかったからヤルダバオトに蹂躙された。力があれば、こんな事にはならなかっただろう。……それに閣下も、ひたすらに力を求めていらっしゃるようだったしな」

「それは、確かにそうですが……」

 

 更なる力を得るためにメイド悪魔や亜人たちを支配下に置こうとしていたウルベルトの姿を思い出し、ネイアは思わず小さく頷く。しかしその一方で、何かが違うという思いが胸の中で渦を巻いていた。

 確かにオスカーの言うことも一理ある。力がなければ大切なものを守ることもできず、蹂躙されて終わってしまうだろう。

 しかし、ひたすらに力だけを求めるのは如何なものだろうか。

 力を持った者が正義なのであれば、それではまるで……――

 

 

「――……それでは、強大な力を持つヤルダバオトもまた“正義”となってしまうぞ、オスカー」

「「っ!!?」」

 

 突然聞こえてきた声に、ネイアとオスカーはほぼ同時にビクッと肩を跳ねさせた。慌てて声の方を振り返れば、そこには山羊頭の悪魔が面白そうな笑みを浮かべて佇んでいた。

 話し込んでいて全く気が付かなかったが、突然のウルベルトの登場に周りの聖騎士や民兵たちがざわざわと騒いで色めき立っている。

 ネイアはウルベルトの姿を視界に納めた瞬間、思わず大きな笑みを浮かべてウルベルトの前へと駆け寄っていた。

 最後に話した日からそれほど経っていないというのに、どこかひどく懐かしく感じられる。

 

「お帰りなさいませ、災華皇閣下! ご無事にお戻りになったようで良かったです!」

「ただいま、バラハ嬢。君も元気そうで嬉しいよ」

 

 金色の瞳が柔らかく細められ、それだけで何とも言えない喜びが胸に溢れてくる。

 自身の凶悪な顔を自覚していながらもにやける表情を抑えられないネイアの傍らで、オスカーもウルベルトに歩み寄って一礼しながらも少し訝しげな表情を浮かべていた。

 

「お帰りなさいませ、災華皇閣下」

「ああ、君も無事なようで何よりだ。報告はまた後で聞くから、後ほど私の部屋に来てくれたまえ」

「畏まりました。……ところで、閣下。先ほどの言葉は一体どういう意味なのでしょうか?」

 

 心底分からないといった表情を浮かべるオスカーに、ウルベルトは小さく首を傾げてくる。マジマジとオスカーを見つめ、次には苦笑のような笑みを山羊の顔に浮かばせた。

 

「ふむ、どういう意味と言われても言葉通りの意味なのだけれどねぇ……。君は“力こそが正義”だと思っているのだろう? ならば、その定義で言えば、絶対的な力を持つヤルダバオトもまた“正義”になってしまうのではないかと思ったまでさ」

「っ!!」

 

 面白そうにクツクツと笑いながら言ってくるウルベルトに、途端にオスカーが驚愕の表情と共に息を呑んだ。慌てて頭を振るオスカーに、ウルベルトは耐え切れなくなったようにクハハッと声を上げて笑い出す。いつにない楽しそうな様子に、ネイアは少々不思議に思って小首を傾げた。

 しかし笑われている本人であるオスカーは非常に面白くないのだろう、少し顔を顰めさせながらジト目でウルベルトを見つめていた。

 

「………ならば、閣下は“正義”とは何であるとお考えなのですか?」

 

 オスカーからすれば何気なく口に出した問いかけだったのかもしれない。しかしそれを聞いた瞬間、ネイアはドキッと心臓を跳ねさせた。もしかしたら得られるかもしれない答えに、知らず心臓の鼓動が早くなる。

 ネイアが固唾を呑んで見守る中、ウルベルトは笑うのを止めて少々意外そうな表情を浮かべてきた。

 

「うん? 私か? ふむ……、そうだねぇ……」

 

 一度言葉を切り、長く豊かな顎鬚を細長い指でクルクルと弄ぶ。

 少々考え込むような素振りを見せた後、次には改めてこちらに顔を向けてニヤリとした仄暗い笑みを浮かべてきた。

 それは、ネイアたちが今まで一度も見たことがない、ウルベルト・アレイン・オードルの悪魔としての笑みだった。

 

「私は“正義が何か”という以前に、“これが正義である”という確立した定義自体が存在しないと考えているのだよ。“正義”とは、それを考える者や立場や立ち位置や考え方などによって幾通りにも変化する、ひどく曖昧なものだ。ならば言い換えれば、“正義”というもの自体が存在しないとも言えるのではないかな?」

「「……えっ……!?」」

 

 ウルベルトからの思わぬ言葉に、ネイアとオスカーは同時に驚愕の声を上げる。

 しかしウルベルト自身は全く意に介した様子もなく、ただ少々不気味な笑みを浮かべたままひょいっと軽く肩を竦ませるだけだった。

 

「そんなに驚くようなことではないと思うがねぇ……。例えば、最初の捕虜収容所を解放した時だってそうだ。オスカー、君は被害の拡大を防ぐために敢えて人質となっていた子供を殺した。君がその決断をして行動を起こさなければ、今以上の被害が出てもはや解放軍は壊滅していたかもしれない。正に君の行動は英断であり、称賛に値するものだと言えるだろう。しかし実際に君に待ち受けていたものは何だったかな? また、君の判断によって殺された子供からすればどうだろう。その子供の親から見たら、彼らは君を正義だと判断すると思うかね?」

「……………………」

 

 ウルベルトの淡々とした言葉に、オスカーが顔を歪めて黙り込み、そのまま顔を俯かせる。彼の顔は苦渋に満ち、ネイアの目には深い後悔の念が浮かんでいるように見えた。

 

「他のことについてもそうだ。君たちは、今まで聖王国が亜人たちに行ってきた行為を知ってどう思ったかね? あれだって、聖王国を守るためには必要な対策の一つであるとも言えるだろう。しかし亜人たちからしてみればただの侵略であり虐殺だ。そしてそう考えればヤルダバオトの存在だって見方が変わってくる。聖王国側から見れば絶望を世界に撒き散らす悪の化身だとしても、亜人たちにとっては自分たちを苦しめてきた人間たちを蹂躙する救世主だとも言えるだろう」

「………それ、は……」

「“正義”とは、言わば自分自身に都合が良いように解釈できるものであり、自身の行動を正当化するための免罪符の言葉に過ぎない。例え自身の行いが過酷で残酷なものであったとしても、それが“正義”なのだと信じることが出来れば楽になれるだろう?」

 

 言外に『“正義”など存在しない』と繰り返し言い切るウルベルトに、ネイアは心がひどく落ち込んでいくのを感じた。

 ウルベルトの言葉はどれもが正しい。それに反対するだけの言葉をネイアは持ってはいない。

 しかし、それではあまりに悲しいのではないかと思わずにはいられなかった。

 ネイアは今までずっと“正義”とは何事にも揺るがない正しいものだと思っていた。だからこそどんなに辛くても、どんなに思い悩んだとしても、答えを見つけるために頑張ってこられた。しかし今現在ネイアが最も信頼を寄せるウルベルトがそれを否定してしまったら、その瞬間、足元がガラガラと崩れて二度と立ち上がれないような気がした。

 顔を俯かせて無言で思い詰めていくネイアに、まるでそれに気が付いたかのようにウルベルトが再び口を開いてきた。

 

「………しかし、それでももし、何かを上げるとするなら……」

 

 ウルベルトの声が、まるで暗闇に差す一筋の光のようにネイアの耳に響いてくる。

 反射的に顔を上げるネイアとオスカーに、ウルベルトは美しい金色の瞳を細めさせて優しく顔を綻ばせた。

 

「……何かを守ろうとする意志は、とても美しく思えるね……」

 

 穏やかに響くウルベルトの言葉に、瞬間、ネイアの脳裏にあらゆる記憶が蘇ってきた。

 聖王国を守るために、聖騎士でありながらも悪魔のウルベルトに頭を下げて助言を乞うたグスターボ。

 大切な子供を助けるために、恐怖を押し殺してウルベルトに縋った一人の母親。

 自分たちの大切なものを守るために、必死に亜人たちに立ち向かった多くの民兵たち。

 そして、命を賭して自分たちを守って死んでしまったスクード。

 次々と浮かんでくる記憶の光景に呆然となる中、ウルベルトはまるで歌うように言の葉を紡ぎ続けた。

 

「或いは何者をも受け入れる寛容さか……、はたまたあらゆる意思を捨てて流れに身を委ねるか……」

 

 生きとし生けるモノ全てが他者を受け入れる寛容さを持っていれば、或いは全員が意思というものを持っていなければ、争いも憎しみも生まれないのかもしれない。

 そうすれば必然的に“正義”だけが残るのかもしれない。

 

「この世界は正に混沌だ。だからこそ……とても美しいのかもしれないねぇ」

 

 悪魔だからか、それともウルベルトの性質故か、彼の言葉はどこまでも曖昧で謎かけのようである。

 しかしそれも、続いてかけられた言葉によってネイアは彼の真意に気付かされた。

 

「まぁ、答えは人それぞれだ。君たち自身の答えが見つかることを祈っているよ」

 

 ニッコリとした笑みを浮かべて言ってのけるウルベルトに、ネイアは思わず大きなため息を吐き出しそうになった。

 恐らくウルベルトが曖昧なことしか言わなかったのは、最終的にはネイアたちが自分たち自身で考えて答えを見つけるべきだと判断したからだろう。思い返してみれば、ウルベルトはこれまでも時折今と同じようにわざと曖昧に言葉を濁して、まるで言葉遊びをするかのように自身の考えなどを口にしていた。

 どれも自分たちのことを思っての行動であろうことは分かってはいるが、それでも今回ばかりは少し恨めしかった。

 

「――……災華皇閣下、亜人たちの件で殿下がお呼びです。ご同行頂けますでしょうか?」

 

 ネイアがウルベルトへと口を開きかけ、しかしその前に他の聖騎士がこちらに歩み寄ってきてウルベルトへと声をかけてくる。恐らく重要な案件なのだろう、ウルベルトは聖騎士を振り返ると当然のように一つ頷いて返した。再びこちらへと視線を向け、朗らかな笑みを向けてくる。

 

「それでは私は少し行ってくる。オスカーは少ししたら私の部屋に来るように。今回の捕虜収容所解放の報告を聞こう」

「はっ、畏まりました」

「バラハ嬢もくれぐれも頑張り過ぎないようにね。もし時間が空いて気が向いたなら、オスカーと共に私の部屋に来ると良い」

「っ!! は、はい! ありがとうございます、災華皇閣下!!」

 

 ウルベルトからの言葉に、途端に心が弾んで浮足立ち始める。

 軽く片手を挙げて呼びにきた聖騎士と共に去っていく漆黒の背を見送りながら、ネイアは身の内の興奮を逃がすようにふぅぅっと深く大きく息を吐き出した。

 久しぶりにウルベルトの近くに控えることが出来ると思うだけで嬉しくて仕方がなくなる。しかしそう思う一方で、先ほどまでの会話を思い出して、ネイアは途端に顔を引き締めさせた。一度パンッパンッと両手で両頬を叩き、気持ちも引き締めさせる。隣では突然のネイアの行動にオスカーが驚いたような表情を浮かべていたが、ネイアはそれに構うことはなかった。

 折角ウルベルトの側近くに侍ることが出来るのなら、それを機会に自分なりの考えの答えをウルベルトに伝えたい。

 “正義”とは何であるかの答えを見出し、ウルベルトに伝えて認めてもらいたかった。

 ネイアはじんじんと痛みを訴え始める両頬の熱を感じながら、自分なりの答えを導き出すべく思考を巡らせ始めた。

 これまで自分が感じてきたことや、オスカーやウルベルトの意見を一つ一つ思い出し、頭の中で整理していく。それはまるで答えのない問題を解いているかのような不安定さがあったが、しかしその一方で、まるでピースを一つ一つ嵌めて一つの絵を完成させていっているような感覚にも感じられた。

 ネイアの感覚では、オスカーの意見もウルベルトの言った言葉も、全て正しく思える。

 しかし、もしそれを一括りに考えた場合、一体何が最終的に残って“正義”と成り得るのか……――

 地面に転がる砂粒を何とはなしに見つめながら、どれが重要で何が重要ではないのか思考の渦に潜っていく。

 そして最終的に頭に浮かんだ考えに、ネイアはハッと小さく息を呑んで目を見開かせた。呆然とした表情で何回か目を瞬かせ、それでいて徐に横に立つオスカーを見上げる。

 ずっと飽きることなくこちらの様子を窺っていたオスカーは、無言のまま静かにこちらを見下ろしていた。

 

「……どうした……?」

 

 かけられた声はどこまでも柔らかく優しい。

 まるで父や兄がするかのように見守るように問いかけられ、ネイアは少し気恥ずかしく感じながらも心を弾ませた。頭に浮かんだ考えとも相まって、胸の奥底から言いようのない興奮が湧き上がってくる。

 ネイアは支離滅裂になりそうな言葉たちを必死に頭の中で整理しながら、それでいて抑えきれない衝動のままに大きな笑みを顔に浮かばせた。

 

「……私、分かったんです……。私にとって、何が“正義”であるのか……!」

 

 恐らく他人から見ればひどく恐ろしい顔をしているであろうに、オスカーは少しも怯んだ様子もなく無言のまま先を促してくる。

 ネイアは拳を強く握り締めると、鋭い双眸に強い光を宿らせた。

 

「“正義”とは、災華皇閣下のことです。災華皇閣下の全てが、“正義”なんです!!」

 

 自信満々に堂々と言ってのけるネイアに、ウルベルトが去って再び鍛錬を始めていた聖騎士や民兵たちがネイアを振り返ってくる。

 オスカーも困惑した表情を浮かべており、しかしネイアはそれには構わず更に拳を握りしめた。

 

「私にはウィーグランさんの考えも、災華皇閣下の言葉も、どちらも正しいと思います。そして、それら全てを体現しているのが災華皇閣下ご本人なんです!」

 

 嬉々として言ってのけるネイアの姿はどこまでも真摯で、それでいてどこか狂気的でもある。

 しかしネイア自身はそんな事には気が付くことなく、まるでこの場にいる全ての者たちに演説するかのように声を張り上げた。

 

「まずはウィーグランさんが仰る力についてですが、災華皇閣下が類稀なる強大な力を持っていることは周知の事実です」

 

 ネイアの言葉に、この場にいる誰もが少なからず頷いて肯定を示す。ウルベルトの力が本物であることはこの場にいる誰もが知っていることであり、特に彼の力によって実際に救われた者たちにとってはウルベルトの力の強大さは誰よりも実感していた。

 

「そして閣下は、ヤルダバオトと違ってその強大な力を破壊や侵略のためではなく、私たちを守ることに使って下さっています。メイド悪魔や亜人たちを配下に加えているのも、魔導国の力を増幅させて魔導国の民を守るため……。つまり、閣下は常に何かを守るために行動して下さっているのです!」

 

 胸を張り、この場にいる全ての者に言い聞かせるように声高に言い放つ。

 誰もが賛同するように何度も頷く中、しかしオスカーだけは疑問に小さく顔を顰めさせて首を微かに傾げてきた。

 

「……しかし、それでは先ほどの閣下の言葉には当て嵌まらないのではないか? 例え閣下が俺たちを守るために力を振るって下さっているのだとしても、それはヤルダバオトとて同じだ。勿論奴の行いを肯定するつもりは毛頭ないが……、ヤルダバオトもまた亜人たちを守るために力を振るっているのかもしれないのだろう?」

 

 オスカー自身、こんな事を言いたくはないのだろう。少し不機嫌そうな表情を浮かべながらもヤルダバオトへの意見を述べてくる。

 苦々しい表情を浮かべるオスカーに、ネイアも同意するように一つ頷いた。

 オスカーの言う通り、亜人たちのために聖王国を攻撃しているヤルダバオトと、聖王国のために亜人たちに攻撃しているウルベルトでは、どちらも全く同じことをしているように見えるだろう。

 しかしウルベルトの場合は決してそれだけではないことをネイアは気が付いていた。

 

「確かにウィーグランさんの仰ることも一理あります。ですが、思い出してほしいのです。閣下がその力を振るう前に必ずしていたことを」

「閣下が必ずしていたこと……?」

 

 ネイアの言葉に、オスカーは疑問に首を傾げる。これまでの戦闘を思い返して考えてみるものの、しかしネイアが言うような特別な行動を起こしているウルベルトの姿は全く思い出すことが出来なかった。

 

「閣下はその力を振るう前に、必ず亜人たちに降伏を促しているんです!」

 

 まるで大発見をしたかのように更に声を上げるネイアに、オスカーも彼女の言葉に思い至って小さく一つ頷いた。

 思い返してみれば、確かに彼女の言う通り、ウルベルトは戦闘を行う度にまずは亜人たちに降伏するように呼びかけを行っていた。呼びかける度に、何故わざわざ敵を助ける様な事を言うのか……と少なくない苛立ちや怒気や殺気を人々から向けられながらも、それでもウルベルトは決してそれを止めることはなかった。

 

「それこそが、先ほど閣下が仰られていた“寛容”だったんです! 例え敵であろうとも機会を与えて手を差し伸べ、手を取った者には許しを与えて受け入れる……。ヤルダバオトは破壊するだけですが、閣下はそうではありません。手を取り合い、共に歩んでいける道筋を示して下さっているのです。それこそが、最も必要なことだと思うのです!」

 

 ネイアはここで一度言葉を切ると、自身を落ち着かせるために一つ大きな息を吐き出した。それでも興奮は冷めることなく、身体の中でとぐろを巻いてマグマのように噴き出ようとしている。

 ネイアはもう一度だけ深呼吸すると、両掌を握りしめて目の前に立つオスカーを力強く見上げた。

 

「強大な力を何かを守るために使い、何をも受け入れる寛容さを持つ閣下だからこそ“正義”なのだと、私は思います。……閣下の行いこそが……いえ、閣下という存在こそが正義そのものなのです!!」

 

 ネイアの声が高々と広場中に響き渡る。

 それは激しい熱量を持って、一気にこの場にいる全ての者たちを包み込んだ。

 ある者は呆然とネイアを見つめ、ある者は戸惑ったような表情を浮かべ、そしてある者は同意を示すように顔を輝かせて何度も頷いている。

 賛同するにしろ否定するにしろ、この時、ネイアの言葉が聖王国の多くの人間たちの胸に深く刻まれたことは確かだった。

 

 

 

 

 

 が、しかし……――

 

 

 

 

 

「――………却下だ…」

 

 オスカーと共にウルベルトの部屋を訪れ、自身の導き出した答えを報告したネイアに向けられたのは、そんな端的な否定の言葉だった。

 言葉を発したのは寝椅子(カウチ)に腰を下ろしたウルベルト。

 思わず愕然とするネイアに向けられた山羊の顔は苦々しげに歪んでおり、向けられている金色の瞳には呆れにも似た色がありありと浮かんでいた。

 

「……な、何故ですか、閣下……!? ……どうして……!!」

「どうしても何も……、そもそも私は悪魔なのだよ? 悪魔が正義とかありえないだろう」

 

 当然のように否定するウルベルトに、しかしネイアからすれば全く納得がいかない。幾ら悪魔だからだと言われても、ネイアには理解することが出来なかった。

 

「確かに閣下は悪魔でいらっしゃいますが、そんなことは関係ありません! 閣下ご自身も、悪魔も色々いるのだと最初の頃に私に仰られたではありませんか!」

 

 彼女にしては珍しく、声を荒げてウルベルトへと詰め寄る。

 しかしウルベルトの態度は少しも変わることはなかった。一つ小さな息をつき、やれやれとばかりに首を横に振る。

 

「……先ほども言ったように、私は“正義”というもの自体を信じていない。“正義”という考え自体嫌っているし、逆に“悪”というものをこよなく愛してさえいるのだよ」

「………それは……」

「悪魔とは“悪”の代名詞ともいえる存在。悪魔の支配者(オルクス)であるこの私が、“正義”であるはずがないだろう?」

「……………………」

 

 ウルベルトの言葉に、ネイアは思わず黙り込んだ。

 決してそんなはずはないのに、否定の言葉が出てこない。

 思わず顔を歪めて俯くのに、不意に頭に柔らかなぬくもりを感じ取って反射的に顔を上げた。いつの間に近づいていたのか、すぐ目の前に柔らかな笑みを浮かべた山羊の顔があり、思わず大きく息を呑む。

 

「………バラハ嬢、尊敬や崇拝といった他者に向ける感情と信念を混合させてはいけないよ」

「……え……?」

 

 言葉の意味が分からず、無意識に疑問の声を零す。

 ウルベルトは少しだけネイアから顔を離すと、頭に乗せたままの手をゆっくりと動かして髪を梳くように頭を撫で始めた。

 

「尊敬や崇拝といった他者に向ける感情と信念は似て非なるものだ。確かに、何かに対して信じるという行為自体は同じだろう。しかし、他者に向ける感情は外に対する感情であり、信念とは己の中に対する感情だ。君が先ほど述べたのは外に対する感情……つまり、私に対する感情であり、正義ではない。正義となり得るのは、身の内からの感情である信念の方だ。もっとよく考えてみると良い。……君の中にある信じる正義とやらをね」

 

 まるで幼い子供をあやすように言われ、ネイアは口を閉じたまま小さく唇を噛み締めた。

 ウルベルトの言葉に納得する自分と、納得できない自分とが心の中で激しくせめぎ合っている。

 確かに自分はウルベルトを尊敬している。彼に対して崇拝にも似た感情も抱いているし、ウルベルトという存在に魅入られているという自覚も持っている。しかし、ウルベルトを“正義”だと確信した理由はそれだけではないのだと心が悲鳴にも似た声を張り上げていた。

 そもそもネイアがウルベルトに魅入られたのは、ウルベルトの行動に“正しさ”を感じたからだ。崇拝にも似た感情を抱いたのは、ウルベルトの存在そのものにそれだけの尊さや偉大さを感じたからなのだ。

 尊敬し、崇拝する存在には正しくあってほしいと願いうのは、そんなにいけないことだろうか。

 自分が信じている存在が正しいのだと考えるのは、愚かなことなのだろうか。

 その存在に自身が求めるものを重ねることは、そんなにも間違ったことなのだろうか……。

 無言のまま苦悩の表情を浮かべて悩みだすネイアに、どうやらウルベルトがため息をついたようだった。大きなため息の音が聞こえてきたとほぼ同時に、未だ頭の上に乗っていたぬくもりが不意に離れていく。

 反射的に離れていく手を視線で追うネイアに、手を戻しながらウルベルトが山羊の顔に苦笑を浮かべているのが視界に飛び込んできた。

 

「……そんなに難しく考える必要はないと思うがねぇ……。ただ自分が正しいと思うことだけを考えればいい。それがどんなものであるにせよ、自分自身が正しいと思えるのなら、それは既に君自身の“正義”なのだから」

「で、ですが、そんな……」

「言っただろう。“正義”とは立場や考え方などで簡単に変わるものだと。ならば自分が信じるものを“正義”と定めることが一番合理的だ」

 

 ならばウルベルトを正義だと思うことも良いのではないだろうか……と思わないでもなかったが、恐らくそれは許してもらえないのだろう。

 理不尽だと思わないでもなかったが、改めて自分が正しいと思うことは何であるかを考えてみた。

 今の気持ちだけではない、過去の自分はどうだったかも含めて思考を巡らせる。

 そこでふとレメディオスが口にしていた言葉を思い出し、ネイアは無意識にゆっくりと口を開いた。

 

「………そういえば、私たちが仕える聖王女様は仰っていたそうです。『弱き民に幸せを、誰も泣かない国を』と……」

「……ああ、確かそんな話を聞いたことがあったね……」

「聖王女様の志は素晴らしいものだと思います。例え夢見がちな絵空事のような言葉だったとしても、もしそれを実現することが出来れば、それは“正義”と成り得ると思います」

「……………………」

 

 淡々と言の葉を紡ぐネイアに、ウルベルトのどこか冷めたような金色の瞳が向けられる。まるで観察されているかのような冷たい視線が突き刺さり、ネイアは無意識に乾いた喉を唾液を飲むことで湿らせた。

 

「……ですが、恐らく聖王女様が仰られていたのは聖王国の民たちに対してだけ。言い換えれば、聖王国の者が平和であればそれで良いという意味にも捉えられます。私は……、それが“正義”だとは思えません。だから……」

 

 ネイアは一度言葉を切ると、強く両手を握りしめた。大きな緊張と小さな不安で拳が震えそうになる。

 しかしネイアは勇気を振り絞ると、意を決して強くウルベルトを見つめた。

 

「私は、今でも閣下こそが“正義”であると思っています。だからこそ、『全てのモノ(・・・・・)に幸せを、誰も泣かない国を』目指そうと思います……!」

 

 声高に言い放たれた言葉に、ウルベルトが驚いたように金色の瞳を大きく見開かせた。呆然とした表情でマジマジとネイアを見つめ、次には耐え切れなくなったように大きくふき出す。

 

「……くっ……ふふふっ、……はははっ、これはまた大きく出たな……!」

 

 心底面白そうに笑い声を上げるウルベルトに、しかしネイアは怒ることも焦ることもなく、ただ安堵の息をついた。

 自分の言いたいことがきちんと伝わったことや、彼に認めてもらえたことがとても嬉しかった。

 ネイアの言った“全てのモノ”や“誰も”とは、聖王国の民たちだけのことではない。聖王国以外の……人間以外の種族も含めて、本当にすべての存在が幸せに、誰も泣かない世界を創りたいと思ったのだ。

 確かにウルベルトの言う通り『大きく出た』のかもしれない。それこそ、身の程を弁えぬほどの絵空事のような願いかもしれない。しかしそれでも、少なくともネイアには目の前に手本となる存在がおり、世界にも手本となる国が存在する。彼や彼の国を手本に多くの人々が手を取りあえば、『全てのモノに幸せを、誰も泣かない国を』という“正義”も十分成り立つようにネイアには思えた。

 

「自分の大切なものを守れるための力を……。そして全てを許し、手を取り合えるだけの寛容さを……。それを私の“正義”のための行動方針にしようと思います!」

 

 胸を張って堂々と言ってのけるネイアに、ウルベルトの金色の瞳が柔らかく笑みの形に細められる。

 ウルベルトは再び小さくクツクツと喉を鳴らすと、次には大きな息を吐きながら寝椅子の元へと戻って深くそれに腰を下ろした。

 

「何とも甘い“正義”だとは思うが……、まぁ、それもいいさ。後悔のないように頑張りたまえ」

「はいっ!」

 

 ウルベルトの言葉に、ネイアは顔を輝かせて大きく頷く。認められたことや明確になった“正義”の形に、一気に大きな興奮が湧き上がってきた。

 “正義”に向けての今後の自身の行動について思考を巡らすネイアは、ついぞ自身に向けられているウルベルトの観察するような冷たい瞳に気が付くことはなかった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 夜も更けた闇の中。

 災華皇の支配下に下った亜人たちを収容する一つの建物にて、一つの細い影が多くの亜人たちと対峙していた。

 

「………このような夜更けに、どのようなご用件でしょうか……?」

 

 影に声をかけたのは一体の獣身四足獣(ゾーオスティア)

 彼の背後には幾体もの獣身四足獣(同族)半人半獣(オルトロウス)が控えるように跪いており、緊張した面持ちで目の前の影を真っ直ぐに見つめている。

 

「……そんなに緊張せずとも大丈夫だよ。なに、一つ頼みたいことがあってねぇ……」

 

 影から発せられたのはひどく優しい甘やかな声音。

 影は一歩亜人たちへと歩み寄ると、声をかけた一体の獣身四足獣(ゾーオスティア)と一体の半人半獣(オルトロウス)へと指先を向けた。

 

「十傑のムゥアー・プラクシャーとヘクトワイゼス・ア・ラーガラー。同族の配下を率いて聖王国の南側へ偵察に向かえ。亜人連合軍だけでなく聖王国側の動きも探り、私に報告したまえ」

 

 命じられたのは偵察任務。配下にしたばかりの……それも裏切る可能性がまだ十分にあるモノたちに命じるには、あまりにもリスクが高すぎる内容の命令である。小都市ロイツでの激戦で影の悪魔(シャドウデーモン)たちに囚われ、ウルベルトの配下に下った彼らからしてみれば信じられないものだった。

 

「………一つ、お伺いしてもよろしいでしょうか……?」

「うん? なんだ?」

「偵察ならば、閣下の配下の悪魔の方が十分に役立つはず。何故、我々に……」

 

 途中で言葉を濁して黙り込むのは、先ほど名指しをされた半人半獣(オルトロウス)のヘクトワイゼス・ア・ラーガラー。

 その目に不安と恐怖の色を見てとり、影は肩を竦めるような動きを見せた。

 

「私の配下の悪魔たちには(こちら)側の亜人連合軍の動きを探らせている。危険度を考えれば、まだ南側の方がお前たちの手に負えるだろうと判断したまでだ」

「……………………」

 

 淡々と事務的に返された言葉に、ヘクトワイゼスはこれ以上何も言わずに口を噤んだ。

 未だ納得できない部分は多くあるものの、まさか『裏切るとは思わないのか?』と聞けるはずもない。

 無言で頭を下げる亜人たちに、影は満足したように笑みを浮かばせた。

 

「期限は……そうだな、一か月後にまた戻ってきたまえ。その間の報告はこれを使え」

 

 言葉と共に投げ渡されたのは、幾束もの巻物(スクロール)が詰め込まれた一つの革袋。巻物(スクロール)の全てが〈伝言(メッセージ)〉の魔法が宿った物であることを聞かされた瞬間、亜人たちは顔を真っ青にして慌てて革袋を大切そうに抱きかかえた。

 

「……それでは期待しているよ。無事に任務を果たして戻ってきたまえ」

 

 再び深々と頭を下げる亜人たちを見下ろしながら、影……ウルベルト・アレイン・オードルは不気味な笑みを闇の中で浮かべる。

 深い深い闇の中、幾つもの思惑が息をひそめ、動き出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ここにももう一つ……――

 

 

「――………あなたがローブル聖王国聖騎士団団長、“白色”のレメディオス・カストディオ殿ですね……」

「……誰だ、貴様は……」

 

 見慣れぬ影が新たな手を伸ばそうとしていた。

 

 

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