この幻想郷には、妖怪退治を専門とする巫女さんがいるそうだ。名前は博麗霊夢《はくれい れいむ》。何か困った事があったらとりあえず行ってみるといいらしい。別段困ったことがあるわけではないが、行く当てもないので行ってみることにする。
「さて、この階段を上りきれば・・・」
鳥居の向こうには、少女がいた。
赤と白を基調とした巫女服に頭につけている大きなリボンが目を引く。そしてなにより美人だった。整った顔立ちに白い肌、少し眠たげに細められた目も、目の前の少女にとっては、美しさを引き立てる為の要因でしかなかった。
「さっきからジロジロ何かしら?」
箒をはく手を止めて、疑うような視線をこちらに向ける。
「いやなに、えらく美人な巫女さんもいるもんだな~ってね」
「あらありがと、お帰りは今来た道よ」
「生憎と帰る場所がないんでね」
「あらそう、私には関係ないわね」
意外とドライな反応に心が折れそうだが、めげずに話を続ける。
「八雲紫《やくも ゆかり》って知ってるか?」
「・・・・・・」
「肯定と受け取るぞ、そんじゃ説明させてもらう
一.俺は幻想郷の人間ではない
二.初めて来た場所だし、どこに何があるかも分からない
三.以上より博麗神社に居候させてほしい、OK?」
「お断りよ」
即答かよ。泣くぞ。
「自分で幻想郷の人間じゃないって言ってるし、そもそも得体の知れないやつを家に入れる気になる?」
なりませんね。ごめんなさい。
「分かったら今すぐ消えなさい。そもそも何でここに来たのよ」
「・・・が」
「え?」
「紫が、あんたにはもう言ってあるから、遠慮せず居候しなさいって言ってたんだけど、聞いてない?」
「はぁ?そんなこと私聞いてな・・・い・・・」
彼女は急に押し黙ると、
「ちょっと、ちょっと待ってなさい」
と言い、神社に入っていった。
5分ほどして
「あンのスキマ妖怪・・・」
こめかみをおさえながら、彼女は戻ってきた。
「はぁ・・・あんた、何ができる?」
「へ?」
「居候させるにあたって、こっちにメリットがないと屋根の下に入れる気は無いわ」
なるほど。確かにメリットがないのに居候させる気にはならないわな。
「そうだな~、掃除以外の家事は任せろ。マジ目玉焼きとか超一流料理人並だから」
「掃除はできないのね・・・」
「ま、しゃーないな。あぁそれと」
「何?」
「意外と腕っ節は強いぞ?」
上腕のあたりを手で触りアピールをしてみる。
「“前の”場所での話でしょう?」
やれやれと言わんばかりにため息をつきながら言う彼女に、若干イラッときてしまった。ゆえに、言ってしまった。
「なんなら、確かめてみるか?」
彼女の目が鋭くなる。
「博麗の巫女に勝てるとでも?」
「やってみなきゃ分かんないだろ?」
少しの沈黙ののち、さきに口を開いたのは霊夢だった。
「いいわ、居候させてあげる」
「あれ、今の流れ完全無視?」
「せっかく掃除したのを汚したくないし、移動するのも面倒くさいのよ。それに、もうすぐ昼寝しようとしてたところだし」
「そうか、まぁ居候させてくれんなら別にいいか」
少々もったいない気がしたが、まぁ仕方ない。居候させてもらう身分なので、これ以上は黙っておこう。
「ようこそ、幻想郷へ」
そう言って、彼女は微笑んだ。
いかがだったでしょうか。自分は、原作をやったことがないようないわゆるにわかですが、それでもよろしければ、これからもお付き合いいただけると嬉しいです。