おはよう、アリスだよ!
……うん、自分で言っておいて何だが、すごく気持ち悪い。
いつもどおり普通に話そう……。
というわけで、どうもアリスです。
お腹が空いたので朝食の材料を採りに行きたいと思います。
またステーキにしようかって思ったけど、ステーキは昨日食べたし、何よりご飯が欲しくなるので、今日はスープを作ろうと思います。
出汁は鳥を撃ち落として鶏ガラスープでも自作しようかなって考えてるけど……。
正直なところ、ちゃんとできるかわからない。
できたらいいな……とは思ってるけど。
あと山菜。
何が食べられて何が駄目なのかなんて俺はよく知らないので、そこは鑑定スキルに頼むとしよう。
てなわけで、俺は現在見つけた植物を片っ端から鑑定にかけている。
見つかった食べられる植物は、キノコが3種類、植物が7種類。
中にはゼンマイみたいなものとか、あとなんかこれほんとに食べられるの?って感じの毒々しいビジュアルの花とかがあった。
「よし、食材も揃ったところだし、どこかキャンプ場になるところ探さないとな……」
俺はマップを開くと、未探索の領域へ向けて足を運んでいった。
しばらく進んでいると、山の斜面から谷底が見える位置まで辿り着くことができた。
「お、なんか村が見えるぞ……!」
俺は斜面から谷底に見える村を見つけると、歓喜の声を上げた。
ここから見える村は、茅葺屋根の家がぽうぽつと畑……いや、水田かなにかと共に点在している、結構広い村だった。
そうだな、一言で言えば、ちょっと手入れを怠った農村みたいな風貌だ。
「もしかしたら人がいるかも!」
俺はそう考えると、空腹も忘れて一目散に農村へと駆け出していった。
山を下ってくると、なんか村の様子がおかしいことに気がついた。
荒れ放題の畑……もとい田んぼは、稲が枯れている上に雑草が生い茂り、害虫の宝庫になっている。
茅葺屋根の大きな家は朽ち果て、中には屋根に穴が空いていたり、大きな岩に押し潰されていたりしている。
路上には古い血痕なんかもところどころに見受けられた。
「ちょっと手入れを怠ったどころか、完全になにかバケモノに襲われて朽ち果てた廃村じゃねぇか……」
人がいるかも、なんて思ったけど、これは期待しないほうが良さそうだな……。
「《気配探知》」
しかし、それでも全くいないとは限らないだろう。
ゲームやラノベだったら、大概こういうところだとイベントが発生する。
例えば、村人の生き残りがいて、怪物を倒してほしいとか。
はたまたフィールドボス再臨、とかね。
俺は額に意識を集中させることで、同時に魔力感知スキルを使う。
魔力感知スキルの発動方法は、額に目があることを仮定して、その目で空間を見るイメージをすることだ。
一時間くらい前に何回も使って遊んだから、もう発動には慣れた。
それと、遊んでいるときに気がついたことだが、魔力感知と気配探知を同時に使うと、気配探知で確認した魔物や動物の持っている魔力量も検知することができるらしい。
これで、ある程度魔物の強さを測ることができる。
「……」
気配探知の範囲を、ズンズンと広げていく。
「家屋の中は……虫くらいしかいないな。
水田もそうだ。
外は……んん?何かデカイ奴がいるな……。
魔力も相当持ってるぞ……」
気配探知と魔力感知に引っかかったのは、巨大なトカゲのような魔物だ。
全長はだいたい6、7メートルくらいか?
魔力量を示す色は赤紫。
俺より魔力量は少ないものの、それでもけっこう手強そうなモンスターだ。
戦って勝てるかわかんないな……。
俺は更に鑑定スキルを重ね掛けする。
どうやら問題なくスキルは反応したようだ。
⚪⚫○●⚪⚫○●
ギガース・ウルドラゴニル
レベル 72
⚪⚫○●⚪⚫○●
結構手強そうだな……。
俺の今のレベルは85。
レベル差が10以上も離れているとはいえ、油断はできない。
終末世界オンラインでは、安全マージンを取るならレベル差は25以上は必要だった。
それ以上差が縮まると、難易度が激変する。
「ウルボアとかがいたエリアは、平均30レベル程度だった。
ここに来る途中で倒してきた魔物のレベル平均は50。
……明らかに、フィールドボスだろうな」
一旦引き返すか?
そうだよな。
まだ朝ごはん食べてないし、このままだと空腹のせいで負ける危険性が大きくなる。
俺はそう決めると、気配探知を切ろうとして、ふと、そのフィールドボスの近くに小さな魔力反応があるのを見つけた。
「……?」
フィールドボスの子供か……それとも取り巻きか……?
いや、それにしては魔力量が小さすぎる。
そう。
そいつの近くにいたのは、青い魔力反応を示す個体だった。
魔力感知で理解できる魔力は、青黒くなればなるほど魔力量が小さく、大きければ大きいほど赤くなる。
フィールドボスが赤紫色ということは、その取り巻きも近い魔力量のはずなのだが、それにしてはその反応はあまりにも弱々しい。
気になった俺は、その個体に鑑定スキルを行使するなり、先程までの考えを全部捨てた。
⚪⚫○●⚪⚫○●
イルマ
レベル 42
⚪⚫○●⚪⚫○●
その鑑定結果には、そう書かれていた。
しかも、その文字はNPCを示す青色で表示されていたのだ!
「!!」
ここに来て、初めての話し相手。
人間か、そうでなくても魔物ではない、この世界の原住民。
それが今、手の届くところにいて、更に力量差がかなり開いたボスモンスターの真近くにいるのだ。
放っておけるわけがない……!
俺は走りながらスキル《俊足》を発動しつつ、装備メニューを操作して《アンスール・ロッド》を引き抜いた。
走りながらステータス画面を確認して、残りの魔力残量を確かめる。
(大丈夫、まだ余裕がある……!)
俺は確認を終えるなり、余っているスキルポイントを使って俊足をレベル10にまで引き上げ、更にスキルを進化させて《縮地》を獲得し、残りすべてのスキルポイントを割り振った。
「間に合え……!」
俺は懇願の意思を漏らしながら、フィールドボスの