異世界に来たけど人類滅亡してました。   作:記角麒麟

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十五話 衝撃的な事実を知りました。

 どうもアリスです。

 新しく仲間に加わることになったイルマちゃんを連れて、現在新しいキャンプ場の設営中です。

 といっても、設営するのは俺じゃなくてリビング・メイルたちなんだけどね。

 

(そろそろ敵のレベルも高くなってきたし、先に進むのはもうちょっとレベル上げてからにしようかな……)

 

 現在の進行率は約2%だ。

 マップを見る限り結構な範囲を探索してきたと思ったのだが、どうやらこの《最果ての森》というマップはとてつもなく広大らしい。

 

(2日かけて2%って……。

 どれだけ広いんだよ、ここ……)

 

 俺は苦笑いを浮かべると、マップを閉じてイルマちゃんの様子を、索敵スキルModの気配探知で探ってみる。

 

 彼女は現在、焚き火に使う薪を集めているところだ。

 護衛のために召喚獣として《アチャラ・ナータ》をつけているので、フィールドボスクラスの魔物にさえ遭遇しなければ大丈夫だろう。

 

「うん、ちゃんと護衛できてる」

 

 俺は気配探知で、アチャラ・ナータがちゃんとイルマちゃんを守っているのを確認すると、ニヤリと口元を歪めた。

 

 中には索敵スキルを掻い潜ってやってくる魔物もいるのだが、どうやら問題ないようだな。

 さすが、召喚魔法スキルレベル10で獲得できる召喚獣なだけあって心強い。

 

「んじゃ、今のうちにMP回復ポーションでも作っておくか」

 

 俺はそう言うと、《クラフト》で作った鉄のイスに、裁縫スキルでパパッと作ったクッションを敷いて座り、ポーションの作成に取り掛かった。

 

「お嬢様、ただ今戻りました」

 

「うん、おかえり」

 

 一通りポーションの作成が終わった頃、両腕に大量の枝を抱えたイルマちゃんが帰ってきた。

 背後にはアチャラ・ナータが控えている。

 

 俺はアチャラ・ナータに、召喚魔法の《帰還命令》を発動する。

 

「アチャラ・ナータ、さがれ」

 

 スッ、と青い燐光が渦のように巻いて、またたく間に視界から消え去っていく。

 

 イルマは、そんな俺の様子にポカンと口を開けて見ていた。

 

 この魔法は元々このゲームに設定されてなかったものだからな。

 

(ふふっ。

 驚いてる驚いてる)

 

 俺はそんな笑みを浮かべると、彼女の腕から薪を預かった。

 

⚪⚫○●⚪⚫○●

 

「お嬢様は、一体何者なんですか?

 あんな、まだ子供だったとはいえドラゴンを一人で倒してしまいましたし……。

 そんな種族、聞いたこともありません」

 

 夕食の準備をしている頃。

 ふと、手持ち無沙汰になっていたイルマが、俺の用意したソファに腰を落ち着かせながら尋ねてきた。

 

 種族……。

 種族かぁ……。

 

 そういえば、ステータス画面の称号のところに、人類の末裔って書いてあったなぁ。

 あのときは何かの冗談かなって思ってたけど。

 

(……これは、詳しく聞く必要があるかな)

 

 もしかしたら、この世界には人間がいないのかもしれない。

 イルマちゃんだって、ダンタリオン族って言ってたし。

 

「ただの人間だよ。

 君はダンタリオン族とかって言ってたけど、その種族ってのは何なの?」

 

 最初は部族の名前かなんかって思ってたけど……。

 彼女の口から種族という言葉が出てきたってことは、ダンタリオン族ってのはつまり、部族の名前ではなく、人間とかエルフとか、そういった類を意味する“種族”の名前なんだろう。

 

(……ということは、もしかしたらイルマちゃんは人間じゃないのかな?)

 

 いや、確かにちょっと耳が尖ってるけど……。

 長くはないから、エルフってことはないよね。ダンタリオンって言ってたし。

 

「に、人間……!?

 人間って、大昔の戦争で絶滅したって聞いてましたけど……」

 

「……は?」

 

 え、今なんて言ったのこの娘?

 全滅?

 人類が?人間が、全滅した?

 それも大昔に……?

 

「それって、本当?」

 

 俺は、震えそうな声で恐る恐る尋ねた。

 

 いや、だって……。ねえ?

 

 人間がこの世にいないなんて、そんな異世界モノ見たことないし……。

 だって、たいてい人類って魔族との戦争で勝利するじゃん?

 勇者現れて、魔王討伐するのがセオリー(?)じゃん?

 

 なのに、人類が全滅?

 

 もしかして勇者負けたの?

 

「はい。たしかそう聞きました」

 

 その言葉を聞いて、俺はとあることを思い出した。

 

 終末世界オンラインは、いわゆる王道ファンタジー物のRPGだ。

 主人公は勇者となって、魔王を倒しに行くのが、このゲームのプロットだ。

 

 ……だが、この世界には人類はいない。

 つまり、これは魔族との戦争に負けた場合の未来というわけだ。

 

 魔族との戦争に負けたということはつまり、勇者が魔王に殺されたというわけで……。

 

(もしかして、俺がサブキャラの姿だったのは、メインキャラが魔王に負けて死んだからか!?)

 

「おおぅ……。

 何ということだよ……ほんと……」

 

 人類の末裔ってあの称号は、そういうことだったのか……。

 

 俺はがっくりと肩を落とすと、グツグツと煮えたぎる鍋に現実逃避するのだった。

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