どうも。
レベル13差の怪物、フィールドボス:ハンプティダンプティの討伐に成功したアリスです。
いやぁ、長い戦いでしたぁ……!
だって前半はもうね、俺死んじゃうかもって思ったんだよ?
最強の魔法だって魔力障壁の一つで無力化されるし、自慢の召喚獣は一瞬で細切れにされるし、滅茶早いはずの魔法だって、素手で掴まれて防がれちゃう。
ほんと、チート級の敵でした。
神社の本殿も倒壊しちゃったしね。
手水舎だって木っ端微塵になった。
けれどさすがは俺!
たとえレベルが13も差があったとしても勝っちゃったんだからね。
……う〜ん、でもまあ、今回の勝利は、相手が油断してくれてたってことも結構大きいと思うんだよね。
特にあの破壊光線とか。
凶悪だったわ〜。
いや、ほんと。
地面が蒸発しちゃうレベルだったんだからね!?
でも、後半からは楽勝だった。
なぜかって?
それは俺が体術系のスキルやMod、奇跡的に見つけた発勁のスキルModのおかげだよね。
いやぁ、発勁スキル。
あれがなかったら俺、今頃もっと苦戦してたね、うん。
てなわけで、討伐したフィールドボス、ハンプティダンプティを、俺は素材変換スキルに掛けた。
⚪⚫○●⚪⚫○●
討伐報酬
EXP 987206575
ドロップ
般若の仮面 ×1
神官のローブ ×1
瘴気の宝玉 ×2
狂気の宝玉 ×1
⚪⚫○●⚪⚫○●
「うおっ、経験値多っ!?」
これ、一体どれだけあるんだ……?
えーっと……一、十、百、千、万、十万、百万、千万、一億……。
「きゅ、九億八千万……!?」
な、なんだよこれ……!?
億って……!億って……!?
俺はあまりの数字の大きさに戦慄を覚えながら、そのウィンドウを消し去った。
「こんな経験値、初めて見た……」
ゲーム時代だと、一度に取得できる経験値には上限があって、たしか99999が限界だったはずだ……。
それが、その規制がなくなった瞬間、まさか億の単位まで増えているとは……。
「これ、絶対いくつかレベル上がってるよね……?」
俺はそう呟くと、恐る恐るステータス画面を開いた。
⚪⚫○●⚪⚫○●
アリス
称号:神殺し
自然に生きる者
苦行を乗り越えた勇者
追放された者
人類の末裔
賢者
レベル 97/100
HP9700 MP280000
JOB 仙術師
レベル 382/100
STR 850 AGI 2250 VIT 6520 INT 9000
スキル
経験値向上 10/10 受動進化 1/15 命中補正 5/5 威圧 5/5 身体能力強化 1/10 限界突破 1/10 魔眼 1/10 索敵 10/10 豪腕 10/10 鉄拳 10/10 俊足 10/10 縮地 10/10 自動回復 10/10 自動防壁 1/5 魔力向上 30/35 火魔法 10/10 上位火魔法 5/5 究極火魔法 5/5 水魔法 10/10 上位水魔法 5/5 究極水魔法 5/5 風魔法 10/10 上位風魔法 5/5 究極風魔法 5/5 土魔法 10/10 上位土魔法 5/5 究極土魔法 5/5 光魔法 10/10 上位光魔法 5/5 究極光魔法1/5 闇魔法 10/10 上位闇魔法 5/5 空間魔法 10/10 治癒魔法 10/10 祓魔術 10/10 結界術 10/10 死霊術 10/10 召喚魔法 10/10 武器作成 10/10 防具作成 6/10 裁縫 10/10 薬品作成 10/10 魔力操作 10/10 魔力感知 10/10 家具作成 5/10 素材変換 10/10 鑑定 10/10 心眼 1/5
⚪⚫○●⚪⚫○●
うわぁ、レベル滅茶上がってるぅ……。
……。
「……いやいやいや、おかしいでしょ!?
なんでこんなに異常なまでにレベルアップしてるの!?
確か俺、さっきまでレベル87だったよね!?
てことはレベル10も上がってるってこと!?」
たかが、たかがレベル13差でこんな事ってある?
(……いやいや、待てよ俺。
そういえばフィールドボスって、他のモンスターよりも結構多めに経験値設定されてたよね?
それに、俺の経験値向上スキルが組み合わさるとどうなるのか……)
俺はう〜んと唸りながら、その場にしゃがみこんだ。
「……まぁ、分かんないことをいつまで考えてても意味ないしな、うん」
俺はサラッと思考放棄を決め込むと、そういえばイルマちゃんたちをキャンプ場まで転移で飛ばしていた事を思い出した。
「……それに、いつまで待たせておいても、イルマちゃんたちの不安を煽るだけだし、さっさと帰って、安心させてあげよっか」
現実逃避とも言える思考結果を叩き出した俺は、しきりに頷きながら自分に言い聞かせるように言葉を放った。
⚪⚫○●⚪⚫○●
「お嬢様!!」
空間魔法でキャンプ場に戻ってくると、俺の気配を感じたのか、小屋の扉を乱暴に開け放ってイルマちゃんが飛び出してきた。
「お嬢様!!
ご無事でいらしたんですね……っ!」
俺は涙を引きながら駆け寄ってくるイルマちゃんを抱きとめると、彼女の頭を撫でた。
「うん、ちょっと危なかったけどね」
俺はそう言うと、そういえば何か血まみれになっていた女の子がいたことを思い出して、気配探知を使って小屋の中を確認した。
すると、そこには布団の上で眠っている人影があった。
「それで、あの子の容態は?」
俺は小屋の中に視線を向けながらイルマちゃんに尋ねた。
「一応、《影移し》で応急処置はしておきましたが……。
それ以上は、私の手では難しく……」
《影移し》とは、状態異常によるバッドステータスの影響を、一時的に抑える魔法だ。
これは、例えば状態異常系のスキルを使ってくるモンスターやエリアで、バッドステータスによる影響を低減させるために使ったりする。
「分かった。
俺がなんとかするよ」
俺はイルマちゃんの頭をぽんと叩くと、小屋の中へと入っていった。
小屋の中に入ると、子供の気配のするリビングへと一直線に向かった。
すると、そこには目から血涙を流し、口もとが血に濡れて、顔面の穴という穴から体液が噴き出している少女の姿があった。
(こんな状態異常、聞いたことないけど……)
鑑定スキルを使って確認してみると、どうやらバッドステータスにかかっているのは確かなようだ。
それに、かなりHPも削られている。
(だったら、あれしかないな)
俺は《アンスール・ロッド》を少女へ向けると、治癒魔法を発動した。
「《オラクルヒール》」
すると、淡い黃緑色の燐光が少女に降り注ぎ、たちまちにその肉体を回復させていった。
ウィンドウに視線を移してみれば、バッドステータスも完治しているようだ。
苦しそうに呻いていた少女は、その光が収まると、スッと眠るように意識を手放した。
どうやら、相当疲れていたらしい。
「ふぅ……。
念の為に、イルマと俺にも治癒魔法を掛けておくか」
俺はそう決断すると、再度《オラクルヒール》の魔法名を唱えて、俺とイルマにも治療を施した。
《オラクルヒール》は、治癒魔法の中でも最強の回復魔法と言えるだろう。
なぜならその効果は、全バッドステータスの回復とHPの完全回復だからだ。
まさに《
……え?
どうしてそんな魔法を俺とイルマにもかけたかって?
その理由は、皆さんのご推察の通り、彼女が受けていたバッドステータスの名前が原因だった。
その状態異常の名前は、『流行り病』。
なんとも不吉なフレーズである。
俺は、イルマに彼女の世話を頼むと、俺は少女の汚れた服を交換するために、部屋で裁縫に取り掛かるのだった。
……ちなみにこの少女もお察しのとおり人間ではなかった。
なぜならその額の上には、小さいながらも二本の角が生えていたからだ。
――つまるところ、その幼女は鬼っ娘だったのだよ。
(やっぱり、鬼と来たら衣装は和服だよね!)
俺はそんなことを考えながらアイテムストレージを開いて、そして残念なことに材料が足りなかったことに愕然とするのだった。