「ふぅわぁぁぁ……。 ここは?」
目を擦りながら見慣れない世界を見渡す。
……て言うか転生してきたんだ。
昨日の事を思い出し何があったのか理解した。 俺って本当にこの異世界で生活をするんだよなぁ……。
思い直すと知りもしない異世界に来たのだと。 寂しくも感じるが、大丈夫……俺にはファフニールが居る。
何を悩む必要がある。 それに幸せにすると決めたじゃないか。
そう思い、ファフニールの方へ顔を向ける。
「うんんんんんんん!? うぅぅんんんん???」
あれあれ? まだ、夢の中にいるのかな?
今の状況を分かる限り説明すると。
昨日までファフニールが居た場所に、小柄で艶色の幼女が気持ち良さそうに眠っていた。
それも、裸体で……。
あぁ、寝ている間に誘拐でもしたのかな?
半分以上諦めモードで明日の空を眺める。 俺の異世界物語はファフニールとの出逢いで終わってしまうのか。
そんな事をしみじみと思い馳せていた時だった。
「……おはようございます?」
疑問形で尋ねられて「はう!」と変な声が出てしまったが、どうしよう……起こしてしまったようだ。
さっきの俺と同じく眠たそうに目を擦りながら、たじろいでいる俺を見て不思議そうに首を傾げている。
……お願い! 顔を確認しようとしないで!!
顔バレしない様に両手で顔を隠し、ちょこちょこと幼女から距離を取ろうと行動しているだが。
「何処に行こうとしているの?」
ぎゅっと袖を握られ逃げられないようにされている。 それに、この子なんと桁外れの握力を持っているのだ!? 子供に力で負けているなんて。
「違う! これは誤解なのだ!! 決して俺は誘拐などは……」
「誘拐? 何を言っているんですか?」
「何をって……これ誰が見ても誘拐だよ!?」
「ゆうかい……。 あっ、違いますよ!? これはですね、ご主人様」
そこまで言うと少し恥ずかしそうに幼女も顔を隠す。
顔を隠すより身体の方を隠して欲しいが……。
……あれ? ご主人様?
何処かで聞いたような言葉だなぁ……。
その記憶残りの言葉を思い出そうと考え始めたが、答えが出るよりも先に幼女が口を開く。
「ファフニールって言ったら分かりますか?」
「ごめん、全く分からん」
「えぇ!?」と幼女は叫び、分かってもらえなくて寂しいのかその場に伏した。
悲しそうにしているが俺が知っているファフニールは、厳つそうな顔や強大な角、それになんと言っても計り知れない程の巨体。
一個も当てはまらない……。
「大丈夫だよ。 お兄さんはここから街に行って君の保護とお務めを果たしに行きたいけど、道分かる?」
「お務め!? 何でご主人様が!?」
「仕方がないよ……。 あぁ、もっとファフニールと居たかったな」
幼女はアワアワと慌て始めた。
無理に連れてきたから道が分からないのだろうか?
「どうしましょ、どうしましょ! ご主人様が!」
さっきも言っていたがこの子は何で俺の事をご主人様と? ファフニールもそうだったけどこの異世界は相手の事をご主人様と言わないといけない法律でもあるのだろうか。
そして、一つ一つ思い出すと次々と疑問が。
この子をよく見たら頭に角?見たいのが生えている……って尻尾まで!?
そこまで考え昨日のファフニールと比較してみる。
角は確か二本だったな。 この子もか……。
目の色は……青。 同じか。
髪は比べようがない。
そして最後に尻尾か、模様も色も同じと……。
ん? 流石に似過ぎではないか?
全て出した結果で再びこの子とファフニールを照らし合わせる。
「もしかして……ファフニールなのか?」
ポツリと呟く声を聞き逃さなかった幼女が、二パァと物凄い嬉しそうに笑顔を振りまき。
「やっと、気付いてくれたのですか……」
とポツポツと涙を零していく。 やばい、泣かせてしまった。
「だっ、大丈夫? ごめんな、気付いてやれなくて。 御主人失格だな」
「もう、いいじゃないですか。 こうやって逢えて分かり合えたなら」
そう言い、涙を拭き取り笑顔のまま俺に飛びついて来た。
絵面的にはアウトだが他には誰も居ないしこんな日もあってもいいだろう。
でも、裸体で居させるのは自己的にもアウトの上限を超え過ぎているので自分が着ていた服の一枚を着せる事した。
こうやって、こうして。
うん! 着せてみたが、上も下も隠せていて、見えてはいけない所も上手く隠せているのがポイントだな。
「ご主人様の香ばしい匂いがします」
俺の服をクンクンと匂い感想を述べてくれるのはいいが……。
何時から着ていたかもしれない服で昨日汗もかいてしまっているので恥ずかしいからあんまり匂わないで欲しいが……。
まぁ、いいか。
嬉しそうなファフニールを見ながら幸せを噛み締める。 異世界に来て一日ちょっとでこんなにも壮大な物語が待っているとは。
だが、最大の謎が一つ残っているのである。
『何故、ファフニールは擬人化したのか』
「やっぱり、気になりますかこの身体?」
おっと、見つめ過ぎたようだ。
「まぁ、昨日までドラゴンだったのに朝起きたら幼女が寝ているんだから気にもなるよ」
「もしかして、幼女はお嫌いですか?」
「えっ? どうして?」
ファフニールは困った様に。
「ご主人様の好みに合わせて頼んだのですか……お気に召さなかったのでしょうか……」
「もしかして、頼んだのはあの時話した転生の女神にか?」
「はい! ご主人様をずっと外に居させるのも悪いですし、なので頼んでみたら笑顔で「ok」と言ってくれました!」
女神様がそんな軽く許可していいのかよ……。
しかし、転生してくれたお陰でより一緒に過ごせる様になったな。 礼ぐらいは言わせて欲しい。
「……それで、先程の話ですけど。 幼女はお嫌いですか?」
「ねぇ、ファフニール? 答えないといけない?」
「……はい。 答えてください」
えぇ、急に怖声になったけど……。 そんなに重要なのか!?
「好きと言われたら好きな部類に入るかな……」
「答えが曖昧ですねぇ。 何で?」
怖い怖い怖い怖い! ドラゴンでもそういう属性があるのか!? さっきからファフニールが真顔でジリジリと詰め寄って来ているのだがどうしよう……。
「もう、分かったから! 詰め寄らないで! 好きだよ、好きですよ!」
「そうですよね! 思っていた通りで安心しました」
本当に一体どうしたんだよ、ガチの恐怖を味わったぞ。
「ふぅ」と胸を撫で下ろす。 今後はこの話題は避けた方がいいな。
「じゃぁ、これで二度目になるけどこれから宜しくな」
「私からも宜しくお願いします!」
俺もファフニールもニコニコになり、初めの頃の初々しさが戻ってきたかの様に感じた。
そして、始まるんだ俺達の異世界物語が。
「でも、これからどうすればいいんだろう?」
「それなら、あの山を越えた先に『アクセル』という名の街がありますので行ってみますか?」
アクセルかぁ……。 そうだな、まずは暮らしの拠点となる所を探した方がいいかもな。
「今から行くとしたら何時頃に着くのだ? それと、今の所は見渡してもモンスターを見付けられないが出てきた時に大丈夫なのか?」
「今からなら……一日程度です。 モンスターは多分大丈夫だと思います」
多分でも此処にずっと居るよりかマシだろう。
よし、それでは行こうか『アクセル』へ!
スゥゥゥゥ、書き終えました!
次は、アクセルでの物語になります。
あのはじめの街なので出逢いありの事件ありでわっちゃわっちゃします……。
それでは、また次回
……あっ、名前。 そこも、お楽しみに!