カルデアの人間不信さん 作:らいす
僕はもう誰も信用しない
きっと人は裏切るし、悪意が無くとも人を傷つける
僕はもう何も求めない
今日も、明日も、これからも、ここからも
僕はもう興味を持たない
だってそれは何も意味が無いことだから
僕は僕だけを信じて、自分の為だけに世界を救う
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目の前で名前は聞いてなかったがここの所長だという少女が演説をしている
世界を救う云々なんたらかんたら
そして、僕の隣では立ちながら眠るという荒業をやってのける少年
どうでもいいけれど
あの後グダグダと話し続ける少女をシルクハットを被った男が連れていき、解散となった
これから僕は文明消失を防ぐためレイシフトとか言うのを使い時代の特異点へ行くらしい
そこで文明が消失する原因を探り、排除する
それが僕に課せられた命令だった
所長は僕の前に立ち、両肩に手を置く「貴方に期待しています。貴方ならできるはずです」的なことを言い、去っていった
確かに僕は魔術の才能があるかも知れない。サーヴァントのマスターになれるのかもしれない
だけどそれだけだ
むしろこんなものしかない
この才能のせいで僕は僕を見てもらえない
あの時も、あの時も、あの時も、あの時もあの時もあの時もあの時も!
僕と仲良くしてくれたやつはいる
だが僕の才能に気づくと手のひらを返して媚へつらう者、身勝手に僕にあたる者、僕を利用しようとする者etc…
みんな僕のことを見ず、僕の才能だけを見る
だから僕は誰かに何かを求めるのをやめた
僕はその何かはわからない。だけどとても大切なものだということは分かる
でも、もうどうでもいいや
何かを求めるのは疲れた
悲しむことも無意味だ
信用して傷つくくらいなら最初から信用しない
気がついたら僕は炎に包まれていた
体が何かに重たいものに…恐らく柱かなにかだろう…潰されていた
霞む視界の中、僕は見た
それは幻覚かもしれないけど、確かに見た
静かに泣く白い髪の少女の姿を
まぁ、どうせ死ぬんだからどうでもいい
誰かの足音が聞こえる
こんな場所に来るなんて…
よっぽどの…ばか…なんだろう…
『レイシフト開始まであと3…2…1』
なにか聞こえる。でもどうでもいい
私は彼の目を見て言う
「貴方ならきっとどんな困難も乗り越えるでしょう
貴方を見てきたから分かります
貴方はその才能のせいで困難な生活を強いられてきたのでしょう
それを分かった上で、失礼を承知の上でお願いします
────どうかその力をこの世界のためにお貸しください」
彼はきっと私と同類だろう
彼ほどではないが私にも魔術の才能があった
いくら凄いことをしてもみんな当然のことだと私をほめることはなかった
出来て当たり前
それが周りの大人達の私に対する評価だった
きっと私以上の才能を持つ彼は、私なんかよりも過酷な人生を送ってきたのだろう
だけど、私にはこの世界を…、そして何よりお父様の残したこの場所を捨てることなんてできない
いくら蔑まれてでもいい
私はこの場所を守る
そのために彼を使う
ごめんなさい…。貴方にこんな枷をはめることになってしまい、本当にごめんなさい
許してとは言いわない。だけど私は貴方の力を借りる…いえ、使う
私は全てを犠牲にしてでも守りたいものがあるから……