カルデアの人間不信さん 作:らいす
動物は嫌いじゃない
言葉が通じないからだ。動物は陰口を言わない
いや、心の中ではどう思ってるかは知らないけど
でも人と集まって陰口を言うよりはマシだと思う
僕は熱となにかに舐められた感覚で目を覚ました
「フォーウフォーウ」
目の前には白い毛玉
「キャウ」
裾を噛んで僕を引っ張る。着いてこいというのか
何があるかわからないがとりあえず着いて行こうと思う
そう言えばこの毛玉よくカルデアで見たな
そんなことを思っていると前を行く毛玉が毛玉じゃないというかのように「キャウ!」と鳴いた
心が読めるのだろうか
しばらく歩くと建物の残骸に着いた
周りの景色と同じように建物も燃えていた
すると耳に誰かの泣く声が聞こえる。…否、泣き声と言うより悲痛の叫びのようだ。自分には何も出来ないとでも言うような
「先輩!目を開けてください!」
彼女は…確かカルデアで造られた少女…
彼女の見る先には腹部から大量に出血し、右腕のほとんどが火傷…いや、もはや炭化していると言ってもいいだろう。その指先は崩れている
その彼は、朝の集会時に隣で寝ていた青年だった
「フォーウ」
毛玉が僕のズボンを引っ張る。助けてくれとでも言わんばかりに
「助けて、欲しいのか?」
僕の問いに
…いいだろう。動物は嫌いじゃない
別に
僕は一歩少女達の方向へ歩む
そして少年を揺さぶり泣く少女を見てふと思う
僕にも自分のために泣いてくれる人はいるのかな…
いるわけないよな
いなくていい
別にいらない
どうせ裏切るから
私は
目を閉じて目を開けない彼を
なんで…なんで来ちゃったんですか、先輩
あの時、先輩が来なければ巻き込まれることなんてなかったのに!
その時、後ろでじゃり、と足音がした
後ろを向けばフォウさんを肩に乗せた男性
「あなた…は…?」
その人は私の問いに答えず、懐からなにか試験管のようなものを取り出す
「………。」
そしてなにか呟くとその試験管を地面に叩きつけた
パリン!と予想よりも大きな音がなり、割れた瞬間
当たりは群青に包まれた
割れた試験管から零れた透明の液体は、瞬く間に広がり瞬間、群青に染まる
そして群青は幾何学模様を作り出していく
出来たのは一陣の魔法陣。男性はそれに手を翳した
「収束せよ」
その一言とともに魔法陣は縮み、掌に乗るほどの大きさとなる。そして
「───。────。─────!!」
何か聞き取れない言葉を叫ぶとぱりんと魔法陣が割れ、光が溢れる
そして、その光は矢のように先輩へ走る
私が目を見開き男性見つめると、その人は無言でその場にあった瓦礫に座る
呆然とする私をフォウさんが引っ張る
引かれるままに先輩に近づく私
「…ぅぁ」
先輩の口から僅かだが声が漏れた
「…先輩!」
「フォウ!」
私とフォウさんが呼び掛けると先輩はゆっくりと目を開き…
「ここ…は?あれ、マシュ?」
起き上がった
「痛いところはありませんか!?」
「え、あぁ大丈夫だけど…」
先輩の全身を見回す
あれほど無残に焦げていた腕も、腹部から溢れていた血も見当たらず、それどころかボロボロだった服も新品同様に糊がきいていた
「よかった…。本当に…よかった…」
あのあと、少女と青年…いや、予想より若かったから少年でいいか…。少年に礼を言われた
別にどうだっていいのに
そして、そんな僕達の元に第三者の声が聞こえる
『やっと繋がった!』
この声は確か…覚えてないな
機会を通したような声でその第三者は…この場合第四者なのか?まぁいい。その男は今僕らが置かれてる状況を教えた
曰く、僕とあっちの少年以外のマスター候補は全員死亡したらしい
そして、所長オルガマリー・アニムスフィア、その補佐レフ・ライノールが行方不明だと言う
僕達と同じようにレイシフト…あぁ、これはある種の時空移動のようなものだ。それに巻き込まれた可能性もあるらしい
見つけたら合流してくれとのことだ
まぁ僕にとって必要な情報はその程度だった
あとはあの盾を持った少女…マシュと言うらしい。その少女がデミ・サーヴァントとなったことに対してだった
そして最後に、その声の主は僕に向かって「所長を責めないでやってほしい」と言われた
なんの事だか
その後僕達は移動することになった
「あの」
………
「あのー」
………
「す、すいませーん」
「うるさい」
「え、すいません」
やたらと藤丸立香が絡んでくる
「…ええと、お名前を教えて頂けたらなーなんて」
「名前を聞く時はそちらから言うのが普通では?」
「あ、ごめん。俺は藤丸立香。日本人だ」
「……レイズ…。レイズ・スリントだ」
「あぁ、よろしく、レイズ」
そう言い藤丸立香は手を差し出す
僕は無言で先を行くことにした
「えぇ…」
取っ付きにくい。それが立香の彼への印象だった
なぜ自分を助けたのかもよくわからない
マシュを先頭に道を歩いていると叫び声が聞こえた
「なんで私がこんな目に遭わないといけないよ!レフ!どこにいるの!」
あの声は…!
見ればオルガマリー所長が骸骨達に囲まれてる
あの骸骨たちはここへ来るまでに何度か遭遇した。その度マシュかレイズが倒していた
所長は魔法?を使ってはいるものの多勢に無勢と少しづつ押されてる
「マシュ!助けよう!」
「分かりました!」
マシュは盾を使い骸骨に向けてタックルをする
そして、弾き飛ばされた骸骨を盾で叩き割る
「レイズ…!手を貸して!」
「…まぁいいか」
何がいいのかわからないがレイズは銀色の液体が入った小瓶を取り出し蓋を開ける
それをもう片方の手で取り出した紙に垂らすと銀色の液体は小さな陣を作った
そして手を翳すと一つにまとまり弓になる
そして弓から影が溢れそれが人形に変わる。そしてその影は弓を掴むと弦を引き絞り、狙う
ひゅんと音を立てて射出された矢が空中で別れ、雨のように骸骨達に降る
矢は骸骨に刺さるとどろりと溶け、直後固まった
そして、固まった矢で身動きの取れない骸骨達にマシュがトドメをさし、戦闘は終了した