龍門に登る   作:みーごれん

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第十八話 長いヨル・前編

 開戦の合図は一つの矢が一人の隊士を貫いて始まった。

 あまりに突然で無慈悲なその矢は死神たちを悉く混乱させ、戦況は滅却師の側に傾いている。

 

 それを見ながらため息を吐くものが一人。

 

「ま、いっちょオレが出るかねえ」

 

 そう言って“五”の字を負った男は立ち上がると、斬魄刀を引き抜いた。彼の後ろに控える様に佇んでいた、長い金髪の死神がそれに続く。

 

「隊長自ら出向かんでも、俺が行けばええんちゃいますか」

「ん~、どうかなあ……多分爺様(じっさま)がオレを選んだのはオレの斬魄刀が殲滅戦に向いてるとかそんなんじゃねえのかなあ。オレからしたら全然そうでもねえけど……」

 

 それを聞いた彼の副官は惣右介達一番隊員を含め周りに居た全ての隊員を下がらせた。最前線で闘う者達も、号令を聞いて左右に捌ける。滅却師たちがそれに追撃しようと動き出したその時――

 

「お招きしよう、〈幽玄回廊(ユウゲンカイロウ)〉」

 

 低く、そして静かな声が意外なほど辺りに伝わった。この小さな戦場にいる誰もが息を呑んでその男――護廷十三隊五番隊隊長・志波寒鴉に視線を注ぐ。尖兵としてその場に居合わせた滅却師達の霊圧ごと、寒鴉一人の重く深い霊圧が呑み込んでいった。

 

 始解した状態においても、寒鴉の斬魄刀に変化はない。だが数秒もすれば、どんなに鈍い者でも違和感に気付く。というのも寒鴉の足元の影が、普通ではありえない程膨張し、正方形を形作っているのが目に入るからだ。彼が斬魄刀を横薙ぎに振るうと、滅却師が固まっているあたりに、それこそ回廊のように彼の足元から伸びた黒く幅のある道のようなモノが伸びた。

 

「さてさて、鬼が出るか蛇が出るか?」

 

 喜色ばんだ彼がそうつぶやいた直後、黒い床の空間上に何かが出現した。

 

「今回は何だろうな?」

 

 後ろに下げられた待機中の隊員の中で、惣右介の隣にいた竜太郎が面白そうに呟いた。質問の意図を掴めなかった惣右介が首を傾げる。

 

「どういうこと?」

「ああ、惣右介は知らないんだったな。アレが隊長の斬魄刀、〈幽玄回廊〉の能力だ。自身を起点として特定の空間を指定し、其処を支配する」

「支配って、どんな?」

「それがアレの面白いところだ。支配の仕方はいつも違うんだよ。隊長曰く、斬魄刀の気分次第なんだそうだ。オレが見たのは地面がマグマみたいになったのと音が聞こえなくなったのだった。どっちにしろ変わってるよな。制御できるのが能力の有効範囲だけなんて」

 

 竜太郎の認識は正確なモノとは言えないのだが、今は割愛させていただく。

 兎も角、寒鴉の斬魄刀は、それが”面白い”だとか”心動いた”というようなものを現実世界に反映することが出来る力を有していた。出てくるモノが何なのか、寒鴉にすら分からないという不便極まりない代物ではあるのだが、敵の整った隊列を掻き乱すには十分な規模の能力でもあった。

 

 そして今回、空間内に出てきたのは……

 

 白、黒、赤、黄……半透明で様々な色を持つ、お椀の様な形。その口の辺りから、レースやリボンの様なヒダが下がっている。

 

海月(クラゲ)?」

「……紛うこと無き海月だな」

 

「俺的にはもちっと戦いやすいのにしてほしかったンだけどなあ……」

 

 夥しい数の海月が、まるでそこが海の中ででもあるかのように漂っていた。その種類も様々でどう動いても海月に当たりそうだ。だが外から見ている分には、空中を漂うガラスの様な生き物の群れに心奪われる様な光景だった。

 寒鴉の方はというと若干頬を引き攣らせながら、自らの近くに漂ってきたクラゲを斬魄刀で叩き落としたり触手を切ったりして様子を見ているらしかった。

 呆然と眼前の不思議な光景に目を奪われていた惣右介は、同じく一番隊で班を率いている先輩からの伝令で思考を現実に引き戻された。内容に首肯した直後――

 

「ぎゃあああああ⁉」

「一旦さがれ!ここに居てはッ」

「こっちに来るなああ!」

 

 向こう側から悲鳴が聞こえた。

 どうやらここに漂っている海月も本来のものと同じく毒を持っているものが居るらしい。相当致死性の高いものに触れたのか、数人が倒れたまま動かない。本来の海月であれば、人を殺してしまうようなものはそうそう居ないのであるが、そこは寒鴉の斬魄刀の裁量次第なのだろう。

 苦し気に呻くもの、必死に海月を射続けるもの、果てにはこの空間から出ようと海月を避けながら走る者と様々だった。

 敵方の隊列が完全に乱れたのを一瞥した寒鴉の副官――同隊副隊長・平子真子が、単身で寒鴉の一番近くに寄った。寒鴉が苦笑しているのを見て真子が溜息を吐いている。

 

「真子」

「はい、隊長」

「オレはここから動けないっぽいから、討ち漏らしを頼む」

「……はいはァい」

 

 その時の平子の表情は、敢えて書く必要もあるまい。

 

 

 

 

 

 そこから先は一方的だった。

 動揺して統率の取れなくなった滅却師は隊長の空間の中で必死に抵抗しながらもその数を確実に減らしていった。やっとのことで外に出ても、その空間をぐるりと取り囲んでいた真子たちに斬られていく。

 

 殲滅というより、虐殺と言った方がしっくりきた。

 眼前の光景に眉を顰めつつ、それでもなお惣右介は目を逸らさずに沈黙していた。動く気配の無い彼に、班員の一人が後ろから声を掛ける。

 

「藍染十席、我々も参加しなくてよいのですか」

「構わないよ。平子副隊長には待機と言われているし、あれ以上の戦力が不要なのは明白だからね」

 

 一番隊と五番隊の何名かは離れた位置で周囲の警戒を行いつつ待機していた。一番隊隊士の何名かは不服そうにしていたが、惣右介からしたら人を斬らずに済んでホッとしたくらいだった。この状況は見るに堪えない。

 

「正直、オレはこっちに残れてホッとしてるんだ」

 

 うっかり言ってしまったのかと思って驚いたが、隣に竜太郎の気配を感じてそのせいだと分かった。どうやら彼も待機組だったらしい。待機とはいっても背後の警戒も兼ねた任務であったから本来私語は厳禁なのだが、内容が内容だけに彼は苦笑して声の方を向いた。

 

「兄さん、本音でもそんなこと戦場で言ってはいけないよ」

「ン。……嫌な役回りだな」

「それも駄目だよ」

 

 苦笑して返すと、兄さんは笑った。

 しかしその笑みはいつものモノとは全く違い、苦し気だった。

 

 

 

 

 

 

 

 初戦で勝利をおさめ程々に進軍した寒鴉一行は、陽が落ちる前に陣を張る為その歩みを止めていた。真子に後の事を丸投げしてフラフラと辺りを歩き回っていた寒鴉は、後ろに現れた気配にニンマリと頬を緩めた。

 

「喜助か!」

「ハイ。お久しぶりっス、寒鴉サン」

 

 寒鴉が振り返ると、伝令役が被る屋根の様な形の笠を頭から外した浦原喜助は片膝をついたまま頭を下げた。

 周りで陣を張っている隊員たちがいつの間にか現れたその隠密機動に驚いているのを気にする素振りも無く、二人はニコニコしながら会話を進めた。

 

「そう畏まるなよ! ン、元気そうで何よりだ! 夜一の小娘も来ているのか?」

「はい。とはいっても頭首就任前なんで、伝令なんて危険なことはやってないっスけど。ああ、寒鴉サンは会いに来ないように伝えろと言付かってますし」

「そう言われると行きたくなっちまうんだけどなあ……前会ったのっていつだっけ? 千暁の爺様(じっさま)と新年の挨拶とかで五家集まろうってなった時だっけ?」

「そっスね。もうあれから五年になる筈っス」

 

 志波乱鴉率いる志波家と四楓院千暁率いる四楓院家は、共に五大貴族と呼ばれる尸魂界で最上位の貴族だ。志波家と四楓院家は、当主の気質からか他の家々より交流が多い。従って寒鴉と喜助、そして四楓院家の姫たる四楓院夜一は顔見知りだった。

 

 寒鴉の言っていた”五家集まろうってなった時”というのは、寒鴉と夜一が、”新年、毎度毎度当主に挨拶しに行ったりされたりだけでも面倒なのに、それを自分以外の四家それぞれにやるなんて超面倒くさい。一気にやりたい”と言ったのに対し、四楓院家当主が乗った結果出た案である。結論から言えば却下された。”五家集まって仮に襲撃でも受けたらどうする⁉”とのこと。五大貴族の当主が一度に欠ける事態にでもなれば、瀞霊廷内で大変な混乱になると中央四十六室まで出張ってくる騒ぎになった。結局寒鴉は隊長職に就いてから兄にそう言う事を丸投げしていたから、最近は新年の挨拶回りをスルーしていたのだが……

 

「やれやれ、警護の都合とかで集まるなとか心配しすぎだよなあ……綱八代とか乱鴉兄は兎も角、俺や千暁の爺様に警護とかいらないだろ、絶対……」

「否定はしませんけど、過ぎた事を言っても始まりません。今は取り敢えず伝令を聞いて欲しいんスけど、いいっスか?」

「ああ、スマンスマン! 何の伝令だ?」

「ハイ。総隊長より伝令です。“現世戦力に於ける隊長の斬魄刀全面解放を許可する。同時に本日以降、隊長の限定霊印も解除される”――以上です」

 

 近くでその会話を聞いていた隊員が思わずと言った風に零す。

 

「え、それだけ?」

「それだけっス」

 

 真剣な表情で返した喜助に、寒鴉もまた顔を顰めた。

 殲滅戦が決まった時点で、副隊長以下は現世のみ斬魄刀の全面解放が許可されていた。隊長は時間が限定されてはいたが、始解ならばこれもまた可能。加えて副隊長にも本来打つ限定霊印が免除されていた。限定霊印とは、一般の死神とは隔絶した霊力を持つ副隊長以上の死神がその力で現世の霊なるものに不要な影響を及ぼさないように、その身に自身の隊花を模した模様を施して霊力を五分の一にまで制限する為のモノだ。そういう面倒くさい御託が並べてあるが、実は単に隊長格がホイホイ現世に行かれると四十六室的に嬉しくないだけなんじゃないかと寒鴉は思っていたりするのだが、今は取り敢えず置いておく。

 兎にも角にもそれを現時点で隊長も解放し、斬魄刀の全面解放――斬術に於ける最終奥義・卍解を許可された。意味することは一つだろう。

 

「つまり山本の爺様は“さっさと片ァつけて帰って来い”と言いたいわけだ」

「……そう取るのが妥当かと」

「あ~、ヤダヤダ! 実質俺一人に言ってるじゃん! 卍解(アレ)、色んな意味で疲れるから嫌なんだよ! くっそー……五番隊隊長・志波寒鴉、確かに言付かった。ありがとな、喜助。――ところでよォ、()()、どう思う?」

 

 ス、と寒鴉の視線が、現在組み立て中の野営地に注がれる。その意味を察した喜助が首を横に振る。

 

「お察しの通りだと思うっス」

「やっぱそーか。分かった。先手を打たねえとな」

「御武運を」

「らしくないセリフだ。だがありがたく受け取っとく。小娘にもよろしく伝えといてくれ」

「分かりました」

 

 笠を被り直した喜助は一礼すると消えた。

 

「瞬歩、上手くなったなあ」

 

 微笑みながら言った寒鴉の瞳は揺れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五番隊野営地

 七名ほどの人影が、音も無くそこに降り立って()()()()()

 

(手筈通りに行くぞ)

 

 リーダー格の男が呟いた。

 周りの者が同時に頷く。

 直後――

 

「やーやー、こんばんは! 生憎、客用の茶は無えんだ」

 

 突然の声に全員が振り返る。

 片手を挙げ、ニコニコと笑った死神が一人立っていた。

 現れた人影が何者かを認識した男は一瞬驚愕し、そして苦々し気に声を絞りだす。

 

「――志波、寒鴉!」

「お、当ったり~! こんな夜更けに俺に会いに来てくれたのか? 悪いな、滅却師のもてなし方を知らねえんだ」

「チッ、仕方ない……段階五!」

 

 統制の取れた動きで、滅却師たちが寒鴉を取り囲んだ。数の不利に全く寒鴉が動じる様子を見せない。それどころか、輪から抜け出そうともせず笑みを浮かべている。寒鴉の態度から背筋に悪寒が走った男は、早急に段階五――野営地への急襲後、現れた寒鴉に目晦ましを行って逃げるという作戦――を実行に移した。周りに如何程の敵戦力が分散しているか知れないが、一刻も早くここから立ち去るべきだと彼の勘が告げていた。

 

「構わん、放て!」

「志波式石波法(ひゃく)(しち)式・破輪汨海(はりんべっかい)――砂になァーれッ!」

 

 霊矢が放たれると同時に寒鴉が地面に手を突いた。

 途端、滅却師たちは自身の世界が大きく揺れるのを感じた。

 

 実際の所、揺れていたのは世界の方ではなく――

 

「しまっ――」

「真子ィッ!」

「分かっとります! ――縛道の六十三・鎖条鎖縛!」

 

 寒鴉を中心として、円状に蟻地獄が形成された。

 野営地をいとも容易く飲み込むほどの規模で展開された其れは、初見の者であれば十中八九思考が停止する。もがけばもがくほど足を取られて身体が沈み、掴めるものなど周りには無い。助かる為には、術が発動される前か、その直後に霊子で足場を構成して、地面から離れておくより他にない。現に術を行使した寒鴉は蟻地獄の中心で空に立ち、静かに滅却師達を見降ろしていた。

 一瞬で足を取られた滅却師がもがいている隙に、寒鴉と同じく空に立って隠れていた真子がリーダー格の滅却師を縛道で縛って引き上げる。

 

「クソッ、退け! 退いて報告を――」

「もォ手遅れや。諦めえ。あっこまで沈んでもォたら自分で脱出なんか出来るわけあらへんやろ」

 

 真子が捕らえた滅却師の首筋に手刀を入れて昏倒させた。

 他の滅却師たちの悲鳴が響く。しかし砂の流れが止まることはなく、その声諸共飲み込んだ。

 

 静寂に包まれた野営地()()()場所に、霊子で足場を作って寒鴉の隣に真子が降り立つ。

 

「……えげつない技ですわ、ホンマ。これが百以上あるんやから怖いわあ」

「はは、百もねえぞ?」

 

 同じく霊子の足場に立っていた寒鴉が笑う。さも当然のように言い放たれた言葉に、真子は一瞬言葉を失った。

 

「……は? いやだって、隊長さっき“佰漆式”言いはったやないですか。百七番目なんちゃうんですか?」

「いや、七番目だ。志波式石波法は百一からの番号なんだ」

「ハア⁉ 何で⁉」

「俺が知るかよ。まあ、その方がカッコいいとか威嚇になるとかそんな理由だろ」

 

 “んな、適当な……”と真子が唖然としているのを見ながら、寒鴉が豪快に笑った。前者の推測の方が強ち正鵠を射ているかもしれないと真子は思ったりしたとかしないとか。

 そうやって二人がガタガタ騒いでいると、鎖条鎖縛にぶら下げられた滅却師が目を覚ましたのか身を捩った。

 

「ぅ……」

「起きたか。おはよーさん」

「……‼ 貴様ッ、そうか、これは……」

 

 ギリリと歯ぎしりの音と共に、視線で射殺すかのような勢いで滅却師が寒鴉を睨んだ。

 足元からは、いまだにさらさらと蟻地獄が崩れる音が響いている。

 

「何故ッ……」

「漠然とした問だなあ……生かした理由は尋問するため。あ、それとも何で襲撃が分かったのかって話か?」

 

 眼光が鋭くなったのを見て寒鴉は溜息を吐くと、しゃがみ込んで覗き込むように滅却師を見つめた。

 

「此処、木もねえし小高い丘になってて見晴らしも良い。野営地にはちょうどいい場所だった。――良すぎるくらいにな。狙撃ポイントの多い森よりこういう所に死神側(俺ら)が陣を張ろうとするのは容易に想像できたはずだ。でも、何も無かった。妨害も、偵察も、何にも。だったら、この場所はもうアンタらの手の内なんだろうなって思ったわけだ。ま、現世自体が滅却師の本来の戦場と言やァそうなんだが……だが、思ってたより少人数だったな。人員不足か?」

 

 滅却師の殺気が膨らむ。同時に霊圧も膨らんだが、寒鴉は眉一つ動かさずに口の端を釣り上げたままだった。

 

「兵数差など、あの方の前では意味を為さない!」

「はは! 兵数差は自覚してんだな。で、これは誰の命令だ? ――っつっても、答えなんて分かりきってるがな」

「知った風な口を「破道の十一・綴雷電!」――ッがあっ」

 

 真子が、手に持った鎖条鎖縛に綴雷電を重ねた。伝って来た電撃に滅却師が仰け反っている。

 

「隊長、敵さん興奮させすぎやで。聞き出せるもんも聞き出せんようになるやろ」

「きき……だす……ふっ」

 

 滅却師の口から失笑が漏れる。その声音に寒鴉が眉を顰めた。

 

「随分と愉快そうだな? どうかしたのか」

「小生が如き雑兵から、あの方の御深意など分かるものか」

「つまりお前さんは何も知らないと?」

「貴様のその発言は、あの方を知らぬから言えることだ。小生たちですら、何を知っていて何を知らぬのかを知らぬ。全てを動かすのは彼の方だけだ」

「何だ、それ……どういう――」

 

 次の瞬間、真子が()()()引っ張られた。

 霊子で足場と流れを作って体を動かした滅却師が、一気に二人の頭上へ舞い上がる。

 身体を捻った彼が、縛られた手を寒鴉達の方へ向けると――そこには矢を番えた短弓が握られていた。

 

「手ェ放せ、真子ッ」

「くそっ」

 

 鋭い一矢を居合で弾いた真子の態勢が崩れる。足場を踏み外したかのように真っ逆さまだ。そして当然、その下には依然として蟻地獄が口を開いて待ち構えている。

 咄嗟に寒鴉が平子の真下へ自身の霊力を集中させた。

 

「くっ――断空!」

 

 寒鴉が真子の真下に断空を張る隙に、もう一矢が寒鴉へ向かう。避け切れないそれを片手で無理やり弾いた彼は、もう片方の手を滅却師へと向けた。

 

「破道の四・白雷‼」

 

 一条の光が滅却師の心臓を真っ直ぐに貫いた。

 彼の口から夥しい量の血が溢れ出る。

 

『志波寒鴉に見つかったら、すぐ撤退してね。ちょこっと向こうの戦力を削れたら嬉しーなーくらいの作戦だから、無理せず退いていーからさ!』

 

 主の指示を思い出しながら、滅却師が重力に招かれる。

 

『君らも大事な戦力だよ? 早めに戻って、明日に備えてね』

 

 トッ……

 

「咲、さま……言いつけ、を、護れず……もうし、わけ、ありません……」

 

 砂の海に落ちた彼は、静かにそうつぶやいて(しず)んでいった――

 

 

 

 




気付いたら前回の投稿から二週間も経ってました。
驚き。

話は変わりますが、志波式石破法って詳細不明ですよね。岩鷲、奥義と小技しか使ってないし……なんなら二次小説でも使ってる人見たこと無いですし。
やっぱり使いどころが難しいのかなあ……
勿論みーごれんにこれ以上の描写は無理です! 書ける気しません!
設定は全部捏造です。百一番目から振り当てられた番号とか、志波家ならやりそうとか思って勝手に想像。特に意味はないです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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