SSR ビギンズ0   作:真田丸

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現在投稿停止中のSSRの前日談となります。



メモリー 0.1

「オイッ!見つかったか!?」

 

「いや、ダメだ!クソッどこに行きやがったガキ共!?」

 

物陰に隠れているとそんな叫び声が聞こえた。

息を潜めて暫くするとバタバタといった足音が遠退いていくのがわかった。

 

「ほら簪、今のうちに逃げるよ」

 

「う、うん・・・・」

 

隣で震えていた妹に振り返るけどその目には涙がたまっていて脚も生まれたての子鹿みたいでとてもまともに動けそうじゃない。

さっき隠し持っていた発信機を起動させたからもう少しで助けが来るはずだけどいつまでも此処に居たら見つかる。仕方なく簪の手を掴んで走り出そうとした時

【カランッ】

 

簪が足元に転がっていた何かの部品を蹴ってしまい音が響いた。

 

『オイ今の音!』

『向こうからだぞ!!』

 

不味い気付かれた!

このままじゃ2人とも殺されるかもしれない・・・

 

 

「簪はここに居て、絶対に動いちゃダメだよ」

 

考えた結果ボクは簪を隠れさせる事にした。

 

「・・・お兄ちゃんは?」

 

「大丈夫、すぐに戻って来るよ」

 

不安そうに見る簪の頭を撫でて出来る限りの笑顔を向けて走り出す。

 

どうやら此処は何処かの廃工場見たいで至るところに大きな機械が置かれている。

工場内を兎に角走り回っていると曲がり角から銃を持った2人組が出てきた。

 

「あっ――!?」

 

声をあげるよりも早く胸が燃えるみたいに熱くなった。全身に痛みが走って力が入らなくなった。

 

『おい、殺っちまって良かったのか?』

『娘の方がいれば問題無いさ』

 

2人組のそんな会話を聞きながら瞼がだんだんと重くなっていった・・・・・・

 

 

 

―――――――――――――

 

「・・・や・・・・・うや!・・・・・・起きなさいよ蒼矢!!」【ガンッ!】

 

「イッ・・・・タァ〜〜」

 

頭部への強烈な痛みで意識が一気に覚醒したような気がした。

顔を上げると目の前では涙目で右手を押さえながら睨み付けてくる眼鏡を掛けたら女の子がいた。

「詩乃、いきなり酷いよ〜」

 

「ツゥ〜・・・酷いよじゃないわよ!時計見なさい、時計を!!」

 

詩乃が指差した先、壁に掛けられた時計を見ると5時を回ったところだった。

 

「もうとっくに放課後よ。アンタは午後の授業丸々寝てたわけ」

 

そして、と言い詩乃が辞書並みの厚さのプリントの束を机に乗せた。

 

「・・・なにコレ?」

 

「先生から預かったアンタへの宿題よ」

 

見た瞬間に嫌な予感はしたけどやっぱりそうだよね〜〜・・・・

「えっと、詩乃ちゃん・・・・」

「イヤよ」

 

用件を言う前に拒否された!?

 

「どうせアンタの事だから手伝ってとか言うんでしょ?イ・ヤ・よ」

 

ズイッと迫り来るその顔からは明確な拒否の意志が滲み出ていた。

 

「そこを何とかお願いします!幼馴染みのよしみで!」

 

「困ったらいつもそうじゃない。この間だって放課後の掃除を手伝ってあげたじゃない。今回は一人でやりなさ「駅前のクレープ3個で!」―――ッ!?」

動揺した?よしこの方向で押していこう。

 

「4個!いや・・・5個でお願いします!!」

 

「しょ、しょうがないわね!期限に間に合わなかったら私まで先生になに言われるか分からないから手伝ってあげるわ!」

 

やった!(財布の中身以外は)無事に協力を得られたことに小さくガッツポーズを取っていると詩乃はいそいそと帰り支度を始めた。

 

「でもこれから夕食の買い物をしていくから先に帰って少しは進めておきなさいよ」

 

「うん判ってるよ」

 

教室を出ていく詩乃を見送ってボクも帰り支度をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

先に言っておくとボク〔渦季 蒼也〕と朝田 詩乃は現在同じアパートの同じ部屋に住んでいる。

元々ボクたちは東北の田舎で幼馴染みだったんだけどとある事情から東京の中学に通うことになり両方の家供経済的にあまり余裕は無いことから同じ部屋に住めば安く住むんじゃないのか?ということで今に至る。

まあ、昔からよく互いの家に泊まることもあったしあまり抵抗はなかったんだけど時折お風呂上がりの詩乃にドキッとするのは内緒だね。

 

 

「っと、少し急いだ方が良いかな?」

 

気付けばもう日も沈身始めていた。このペースじゃ部屋につく頃にはすっかり暗くなっているだろう。

 

「近道していこっと」

 

3丁目の神社の中を通れば少しは早く着く筈、そう考えて神社の境内に入る。

 

この神社は古くから〔大地の泉〕という古井戸をを祀っているらしいけど詳しくは知らない。ただたまに井戸が緑色に光り魔物が現れると言い伝えられていて普段あまり人は近付かない。

 

「でもこのご時世に魔物って言われてもね〜」

 

はっきり言って胡散臭い。そう思いながら井境内で一際大きな木《御神木》を横切ろうとした時、

 

「――ッ!?」【ゾワッ】

 

ナニか言葉では言い表せられない寒気を感じた。

『グルル・・・」』

 

獣のうめき声が聴こえるそれもすぐ近くからだ。

慌てて周りを見渡しても何処にもそれらしい影は見当たらない。

 

気のせいだったのか?魔物が出る神社ってことでそんな錯覚を感じたのかもしれない。

 

そう結論付けて改めて歩き出そうとして空を見上げた。

 

「・・・・・えっ?」

 

見上げた先、御神木の上にそれは居た。

全身を針金のような毛で覆いその4本の足には刃のように鋭い爪が伸びている。獰猛な印象しか与えないその目は真っ直ぐにボクを捉えていると離れない。

巨大な狼がそこには居た。

 

『グルル・・・グルルルル・・・ガアァッ!!』

「・・・アッ!?」

 

御神木から飛び降りた狼に声をあげるより早く腹部に熱を感じた。

 

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