「ハァハァ、ここかな?」
ギルドからの連絡を受けてボクは街の中心部から外れた廃車置き場に来た。
情報によるとココでメモリの取り引きが行われていたらしいけど周囲には人影は見当たらない。
「・・・せめてメモリの大体の能力は調べておかないとね」
基本的にメモリの取り引きが行われた場所には手に入れたばかりの力を試した形跡が残っていることが多い。
辺りを見てみると使い古された自動車が何台も積み重なれたて無造作に放置されている。一つ一つの山が壁のように並びちょっとした迷路みたいになっている。
「・・・・特に変わった様子はない・・かな?」
一通り確認を済ましてもメモリによる破壊の痕なんかは無かった。
まぁ、メモリを手に入れた全員がその場で力を試す訳じゃないからね。
「仕方ない。カジェットを飛ばして探すか・・・「その必要はないよ」ッ!?」
唐突に聞こえた声、辺りを見渡すと足元まで伸びた正面の積み重なれた自動車の影から人型の影が伸びていた。
顔を上げると自動車の山の頂上に黒スーツのセールスマン風の男の人が腰掛けていた。
「・・・・誰ですか?」
そう問いかけるけど大体の見当はついている。ただのセールスマンがこんな人気のないところにいる理由なんかない。
可能性があるとしたらメモリ購入者かあるいは・・・
「メモリのセールスマンか、かな?」
「エッ!?」
読まれた!?自分でも酷く動揺していることがわかる。目の前のこの人から表現できない不気味さを感じた。
「オイオイ酷いな。そんなに動揺しないでくれたまえ、そもそもこんな所に来るような人間はあまり表沙汰に出来ないことを行う者ぐらいだろう。そしてメモリに関わる君が真っ先に思い浮かべるもの。それを私が導き出したまでのことだ。そう、【運命】に導かれてね」
その人が取り出したものは紛れもなくガイアメモリだった。
思わずドライバーを装着してメモリを構える。でも、男の人はそんなボクを制するように手を突き出す。
「落ち着きたまえ。私は君と争うためにココに居たわけではない。1つ、【運命】を教えてあげようと思ったのさ」
「・・・運命?」
「そう!君の大事な幼馴染み。彼女は今日、私がある男に売ったメモリを経緯にガイアメモリに関わり出す!・・・それが【運命】だ」
"ヤツ" の言葉を最後まで聞いている余裕なんか無かった。大事な幼馴染み。その言葉が耳に入った瞬間、脚が勝手に動き出していた。
「詩乃ッ―――!」
「・・・・・・・抗えはしないさ、【運命】の渦からはね」
1人、その場に残った男は呟き手に持ったメモリを起動させた。
《デスティニー》
光が男を包み込み次の瞬間には男は光と共にその場から消えた。
《お掛けになった電話は電波の届かないところにあるか電源の入っていないため・・・》
「クッソォッ!!」
乱暴に電話をポケットに入れて走り続ける。
詩乃も恭二も電源を切っていて繋がらない。当然か、今は丁度映画が始まっている時間帯だ。真面目なあの二人ならマナー守っているに決まっている。
正直、あんな見ず知らずの男の言うことなんか真に受ける必要なんかない筈なのに嫌な予感がしてならない。
詩乃がガイアメモリに、化け物の世界に関わるのだけは何があっても阻止しないといけない!
ただ間に合ってくれと祈りながら"オレ"は脚を動かし続けた。