SSR ビギンズ0   作:真田丸

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メモリー0.12

楽しい時間はあっという間に終わるって言うのは本当ね。

映画は想像以上に満足がいくものだった。原作の雰囲気をしっかりと再現されていつつも実写化されたことで原作には無かった新しい良さがあったわね。

 

今、私たちは映画館近くの喫茶店で小休憩をとっていた。

 

「映画、面白かったね」

 

「ええ、見に行って本当に正解だったわ。誘ってくれてありがとうね」

 

「い、良いんだよ朝田さんが喜んでくれたなら・・・//」

 

蒼也にも帰ったらちゃんとお礼を言わないといけないわね。

 

そう考えながらコーヒーを飲もうとしたらバックの中からスマホの着信音が聞こえてきた。見てみると蒼也からだった。

新川くんに断りをいれて出ると走っているのか蒼也の荒い息づかいが聞こえてきた。

 

『ハァハァ!詩乃!?今どこにいる!?』

 

「どうしたのよそんなに慌てて?」

 

蒼也にしては余裕がなく怒鳴るような声だったため少し驚いたけどとりあえず聞かれたことに答えることにした。

 

「映画館近くの喫茶店よ。少し休んだら帰るけど・・・」

 

『今すぐに帰るんだ!部屋で大人しくして外に出ないようにしてろ!!』

 

「何なのよいきなり!?理由を言いなさいよ!!」

 

『いいから!!』

 

一方的な要求に私まで声を荒げてしまった。新川くんや周りの人も目を丸くして見ているけど関係無かった。

「アンタ、最近私に隠れて何かしてるんでしょ!?それに関係していることなのね!」

 

『事情なら後で話す!とにかく今は速く部屋に居てくれ!・・・・・頼むからッ!』

 

「・・・・・・・・分かったわよ。その代わり、しっかりと説明しなさいよ」

 

『うん、じゃあ後で』

 

 

蒼也との電話を切りバッグを手に取る。

 

「蒼也がなんだって?」

 

「ごめんなさい。なんだか今すぐに帰って部屋で大人しくしていろって言うのよ」

 

「そうなんだ・・・・じゃあ送って行くよ」

 

新川くんも席から立ち上がってお会計を済ませようとレジに向かった。そこで私も自分の分を払おうと財布を出そうとしたけどそれよりも先に新川君が一万円札を出してお会計を終えていた。

「ちょっと新川君!?自分の分ぐらい自分で出すわよ」

 

「いいから、此所は顔をたてさせてよ」

 

自分の分の代金を渡そうとしても頑なに受け取ろうとしない新川くんとの押し問答が続いたけれどラチが明かないから仕方なく、今回はお言葉に甘える事にした。

 

お店を出ようとトビラの取っ手に手を掛けようとしたら直前、トビラは勝手に前へと引かれた。

 

「エッ?」

 

外の人が開けたんだとスグに理解はできたけれどあまりのタイミングの良さに呆気に取られていると店の外から全身黒付くめの覆面の人が息を切らせながら入ってきた。

 

「ハァハァ!てめェら一人も動くんじゃねぇ!!」

 

店内を見渡して頭上に伸びたその手に握られている【モノ】を見た瞬間、私の視界は真っ暗な闇に覆われた。その中で唯一見えるのは覆面の男が持つ【アレ】だけだった。

 

「あっ・・・・ああ・・・!!」

 

脚が震える・・・・息が苦しい・・・身体が揺れる・・・・

 

「朝田さん!?」

 

新川くんの声が聞こえて身体を支えられた。

 

「全員、今すぐに1ヶ所に固まって座れ!今すぐにだ!!」

 

ズキュゥン!!と店内に響いた鈍い音と立ち込める煙の匂い、それがギリギリで保っていた私の心の糸を切り落とした。

 

「イヤャャャャャャャャ!!!!」

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ハァ・・・ハァ・・詩乃は、もう部屋に着いたかな?」

 

取り合えず詩乃には部屋で大人しくしている様に連絡を取っておいたから大丈夫なはず。あとはこの辺りに居るはずのメモリ購入者を見つければ・・・・

 

手がかりが無いためとにかく走り回っていた。あのセールスマンの口ぶりからしてすぐにでもメモリを使う可能性があるはずだ。

 

その時近くからパトカーのサイレンや野次馬の声が聞こえて来た。

 

向かってみるとあるビルの前に人だかりが出来ていた。ビルの入口前にでは数人の警察官が立っていて人が入らないようにしていた。

 

「何かあったんですか?」

近くにいる人に聞いてみるとその人も恐らく誰かから聞いたのだろう曖昧ながらも教えてくれた。

 

「なんでも3階の喫茶店に銀行強盗が逃げ込んだらしぞ。そんで、店にいた客や店員を人質にして立て込んでいるんだと」

 

「そうですか・・・・・エッ?」

さっきの電話で詩乃は確か映画館近くの喫茶店に居るって言ってたはず、此処から映画館はすぐそこだ・・・まさかっ!

 

「立て込んだのってどれくらい前ですか!?」

 

「ん?ええ・・・・っと確か20分前位だったかな」

 

20分前、丁度詩乃に連絡を取った時間だ。

とても嫌な予感がした。人だかりから離れてリュックからオレンジ色のゴーグルを取り出す。

ゴーグル越しにビルの3階を見ると外壁を透視し中の様子が見える。

 

1ヶ所に10人前後の人が固まっていて少し離れた場所には腕を突きつけた体制で1人いる。突き付けている腕に握っているのは拳銃だ。

 

そして・・・・・人の固まりから僅かに離れた位置に閉じ籠る様に身体を丸め震えている詩乃とそんな詩乃を犯人の視界に入れないよう背に隠す恭二が居た。

 

「やっぱりいたっ!」

 

当たって欲しくない予感が当たって奥歯を噛み締める。

 

詩乃のあの様子からして拳銃を見てあのトラウマを思い出したに違いない。このまま時間かかれば詩乃の精神が持たないだろう。

でも、あの立て籠り犯がメモリの購入者だった場合とても警察が手に追える相手じゃない。

やっぱりココはボクがどうにかしないと。

 

ゴーグルを仕舞いバッグから青いカメラ【バットショット】を取り出してガイアメモリに似たメモリ【疑似メモリ】を挿す。

 

《バット!》

 

するとカメラはコウモリのような姿に変形した。バットショットは空高く飛ぶとビルの周囲を隅々まで撮影していく。

 

その画像はそのままスタッグフォンに送られてくる。

その画像から見ると隣のビルとの距離はそんなに離れてなく、しかも5階の窓が空いている。近くには人も居ないみたいだし・・・

 

ボクはすぐに隣のビルに入り5階まで駆け上がった。

画像で確認した窓まで来ると画像通り隣の窓は開いておりしかも丁度周りからは死角になっていて見られることもない。

 

少し窓から距離を取って軽く跳ねる。そして着地したと同時に窓へ向かって全力で走り出した。

 

窓の手前でジャンプし窓縁を踏み台に更に跳ぶ。ビルの間は3メートル位あったけど余裕で届いた。

 

着地の際上手く受け身を取り無事に隣のビルに入ることができ、そのまま喫茶店がある3階へと向かった。

 

「詩乃、スグに助けるから!」

 

 

 

 

 

 

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