SSR ビギンズ0   作:真田丸

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メモリー0.17

「ヒソヒソ」「ヒソヒソ」

 

 

・・・・おかしい・・・・詩乃が退院した次の日からやけに周りから視線を感じるようになった気がする・・・・

 

詩乃と一緒に学校へ行くと周りの生徒はぼくたちを避ける様に距離を取ってコソコソと話し出すしそちらを見ると途端にめをそらされる。でも、詩乃と教室前で別れると今まで感じていた視線はだいぶ減り代わりに同情の様な視線が向けられる。

 

元々クラスメイトとはあまり話す方ではなかったけど視線を感じるようになってからはより周りと話すことが無くなっていった。と言うよりもボクが話しかけようとするとあからさまに距離を取っていく感じだ。

 

 

そして、それと同時期から詩乃の様子もどこかおかしい。昼休みや放課後にクラスの友達と過ごすことが多くなった。

 

それ事態は全然良いことなんだけど幾ら友達に付き合うようになったと言ってもやけにお金の消費が激しい気がする。

 

今までそれぞれの家から貰ってきた仕送りは家賃や光熱費、食費とそれぞれのお小遣いに分けた後、残りは共用の口座に入れてあるんだけど最近その口座の残高が減ってきている。

 

何に使ったのか聞いてみても・・・

 

「ごめんなさい、ちょっとハメを外しすぎたのよ」

 

と言って詳しくは教えてくれない。

 

それに最近はボクが詩乃の教室に行くことさえ拒まれていて学校内では殆ど顔を会わなくなった・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレの・・・・邪魔をするなぁぁぁ!!」

 

「ッ!?ウアァァァ!!」

 

蹄状のエネルギーの直撃を受けて大きく飛ばされた。

 

いけない、今は戦いに集中しないと!

 

気を引き締めて現在対峙しているドーパトを見る。

白と黒の縞模様の身体に強靭な脚、手足は蹄の形をしている。

シマウマの記憶を持つドーパント【ゼブラドーパント】が地面に蹴りながら迫ってくる。

 

ヴォルアローを放ち牽制しようとしても高く跳躍し避けられ背後に回られた。すぐに振り返っても攻撃する前に蹴り飛ばされる。

 

「遅い・・遅い・・・遅い!!オレが、トップランナーだぁ!!」

このゼブラの変身者は近くの大学に通う陸上選手らしい。

最近、有名な陸上選手が相次いで襲われておりギルドが調査した結果メモリ使用者を特定、今日は学校を休んで変身者を人気のない町外れの倉庫に誘い込んだ。

 

「ダレにもオレの走りは止められなぁい!!」

 

脚を振るうたびに次々飛んで来る蹄状のエネルギーに逆にこっちが追い込まれている。一撃一撃が中々に高い威力を誇り着弾するたびに爆発を起こす。恐らくメモリとの高い適合率によって新たに得た力だろう。

 

蹄のエネルギーを躱しながらヴォルアローを放つがゼブラもその脚力で躱していく、それぞれの攻撃ですでに倉庫は半壊している。いくら街はずれとはいってもこれ以上時間をかけると人目に付くかもしれないからね。

これまで倉庫内を縦横無尽に動かしていた脚をゼブラへと向ける。

 

「ナァッ!?馬鹿カッ良い的だぜ!」

 

ゼブラは一瞬の動揺を見せたけどすぐに脚を振るい蹄のエネルギーを飛ばしてくる。

 

「くっ!ハァァ!!」

 

飛んでくるエネルギーを防ぎながら前に出る。蹄のエネルギーは打ち払うたびに爆発が起こる。

 

「クッウウッ!まだまだぁ!!」

 

少しづつゼブラとの距離を縮めていくとゼブラも意地になっているみたいで距離を取るような動きは見せない。代わりに一撃一撃が重くなっていくのが分かる。

 

「いい加減に・・・・くたばれ!」

 

ゼブラが特大のエネルギーを作り出そうとした。その瞬間今まで続いていた攻撃が止む。

 

「今だっ!」《ヴォルテックス!マキシマムドライブ!》

 

「グッアアアァァァァ!!」

 

ヴォルアローにメモリを挿し周囲のエネルギーを吸収する。

急激に上昇するエネルギーに身体に激痛が走るけど耐えられない程じゃない!

 

ゼブラがエネルギーを打ち出すよりも速く接近する。

 

「ヴォル・エッジ!!」

 

エネルギーの走る刃がゼブラの身体を斜線に切り裂いた。

 

「ガッ!アアアァァァァ〜!!」

 

切り裂かれたゼブラは貯めていたエネルギーを暴発させ爆発した。

 

 

 

 

 

 

「フゥ」

 

戦いを終えてようやく一息つけた。

ゼブラの変身者だった大学生は壁に寄りかかりブツブツと何か呟き続けているけど大して興味は無いかな?

 

今は・・・・正午前か、面倒だけど午後の授業には出れそうだね。

 

 

ドライバーからヴォルテックスメモリを抜いて変身を解除する。すると今まで虚ろな目で呆然としていたゼブラの変身者がボクの顔を見て動揺しだした。

 

「おっ!お前まさかあの!?」

 

「どうかしましたか?」

 

ボクはこの人とは初対面のはずだ。でも、この人は明らかにボクの事を知っているようだ。

「妹が話していた・・・・人殺しの幼馴染だろ!」

 

「・・・・はっ?」

 

・・・・・人殺しの幼馴染み?・・・・人殺しの?・・・・・幼馴染み?・・・・・・・・ヒトゴロシノ・・・・・オサナ・・・ナジミ・・・・・・・

 

「・・・・・オイ」

 

「えっガァッ!?」

 

胸倉を掴んで壁に叩き付ける。相手はさっきの戦いでのダメージもあったらしく身体中からボキボキッと音が聞こえたけどどうでもいい。関係ない。興味がない。

 

「人殺しの幼馴染ってどういうことだ?人殺しってダレの事言ってんだ?」

 

「ヒィ!い、妹が言ってたんだよ!じっ・・・自分のクラスにはっ!昔、人を撃ち殺した女が居るって!! クラス内のラインで・・・・この記事がっ!」

ソイツが取り出したスマホの画面を見るとそこにはボクと詩乃が並んで歩いている写真、そして・・・数年前の地方新聞のある記事が写っていた。

 

「――ッ!?」

 

自分の息が止まるのがわかった。心臓を鷲掴みにされたみたいだ。

 

「アアッ・・・・・!」

 

あの時のことは今でも鮮明に思い出せる。

 

必死に忘れようとしているのに・・・・思い出したくなんてないのに・・・・・・もう、あの時のキミを見たくないのに・・・・

 

 

【郵便局に強盗立て籠り!人質の少女が犯人を射殺!?】

 

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