気がつけば、私は見知らぬ空間を漂っていた。上も下も、右も左も分からない。時間の概念も無いのか、今が何時なのかも不明である。
そんな空間に何故私が居るのか。うっすらと覚えている事は、私を救ってくれた命の恩人が身を挺して作った"新しい世界"で暮らしている時に、突如発生した蒼い渦に吸い込まれたから。
余りにも突然だった為、助けを呼ぶ暇もなくこうして見知らぬ空間に一人、佇んでいる。身体は浮いている為、佇んでいるという表現が合っているかどうかは分からないが。
「(……皆、心配してるだろうな)」
元の世界に帰れる保証も無い。取り敢えず何かしらアクションを取るべきだと考えた私は、今はもう使わなくなった愛用の武器を取り出そうとした。使わなくなったとしても、肌身離さず所持していたのだ。
"思い入れがある武器だったから、手離したくないという思いもあったかもしれない"。
呼び出そうとしたら、案外あっさりと呼び出せた。手こずると思っていた為、拍子抜けである。手に持てば、あの時から何も変わっていない事に安堵した。その時、僅かながら記憶が蘇る。
思い出したのは自分の親友であるツバキとマコト、二人と仲良く話している時の記憶、上司に当たるキサラギ少佐との言い争い、マコトの右ストレートを喰らっても尚、私の側に居てくれたカグラさん、あの時自分の左腕を犠牲にしてまで私を助けてくれた○○○さんの記憶。何故か最後に思い出した人物の名前と姿が思い出せなかったが、私だけじゃなくあの世界で暮らす皆が忘れてしまったのだろうか。
「(今、何してるだろうなぁ…)」
名前と姿を忘れてしまった、見知らぬ恩人に思いを馳せながら、私は自らの意識を闇に沈める。考える事は、既に放棄していた。幾ら考えても、状況は変わらない。そう結論付けた為だ。
─────人理継続保障機関「カルデア」。
世界中から集められた47人+αの魔術師達。彼等は人類を救うべく集められた、エリート中のエリート達である。
その+αである一般枠でカルデアに来た、最後の一人「藤丸立夏」。彼女は此処の所長「オルガマリー・アニムスフィア」の怒りを買い、最初のミッションから外されてしまう。そんな中、触媒となる物を入れないと起動しない筈の召喚陣が起動し始めた。
無論、その異常事態に誰も気づかず。中から現れたのは金髪の少女。銃火器に似た武器を携帯している為、何かしら訓練を受けていたと解釈出来る。
謎の少女と邂逅するまで、後数分────
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