孤児院隊長奮闘記   作:あげびたし

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なんか忙しいぞーーーー!!まとまった休みがほしーーーー


でも遅くなりました、連載再開です。週一で仕上げていきたい所存


奮闘記:14 喧嘩代行

真っ青に染まった葉が風に揺れている。

落ち着いてきてはいるが空気は未だ熱気を帯び、まだまだ夏を感じさせている。

現実世界の我が家を改築した事によって2階に自室を持てた俺は、窓から入る風を感じながら久々の休暇を楽しんでいた。

あの散々だがそれなりに楽しめた孤島でのバカンスから一週間、霞の「全国孤児院支援プロジェクト」が本格的に動きはじめ俺もその手伝いで大忙しだった、もちろん子供達にも手伝ってもらいながらそれはもう目が回るほど働いたのだ。そして、丁度お盆の時期も過ぎた頃に手に入れたまとまった休みをこうやって静かに過ごしている。

開けた窓から下を見れば、綺麗になった庭で子供達も思い思いに過ごしているようだ。

GBNにも、あれからインしてはいない。

このままほとぼりが冷めるまで、ゆっくりしても良いかもしれない。

そんな事をぼうと考えていた矢先、階下のキッチンから何やら大きな音がする。霞は未だ会社に缶詰なので、恐らく子供達の誰か…茶輔あたりが悪さをしたのだろうと当たりをつけ階段を下っていく。

そして俺は目の前の光景に絶句してしまう。たしかにキッチンにいたのは茶輔ではあった、だがその手には包丁が握られ、まな板の上にはどこから取ってきたのか小ぶりの鳩が絶命している。

明らかに、異常な状態なのは確かだった。それにいつもなら囃し立てる他の2人の姿が周囲に居ないのもおかしかった。

 

「茶輔、何をしている?」

「お腹がさ、空いたから」

 

こちらに向ける顔付きが普段とは全く違っている。いつも笑顔を絶やさない子ではあるが、今は完全に無表情である。包丁を使い血抜きをしていたのだろうか、少し頬に飛んだ血すら拭おうとせずに舐めとっている。

俺はゆっくり近づき、茶輔の手の包丁を包み優しく取り上げる。その後腰を落としながら茶輔の目を見すえる。初めて出会った頃と同じ目だ、少し緋色が混じった金色の目はかなりの興奮状態を示しており呼吸も荒い。

俺は少し躊躇しながら彼を抱きかかえると、笑いながら話しかけた。

 

「茶輔、冷蔵庫にもちゃんと食べ物があるんだぞ?無理にとってこなくても大丈夫なんだ」

「…ここ、山が無い」

 

どこかズレている会話をしながら茶輔に話かけ続ける。俺の肩をしっかり握った手の力は子供とは思えないほど強く、皮膚を削り取る痛みに耐える。

それでも俺は優しく話しかけ、茶輔を抱き抱えたまま他の2人を探す事にした。

まず見つけたのは霞の書斎で床に座っている千恵だった。その周りには棚の本がうず高く積まれ、その中心に千恵の背中が少し見えている。

 

「凄いな千恵、これ全部読んだのか?」

「まだ3周しかしてないよ」

 

こちらを見ずに答える姿があの頃とダブる。もうそんな時期だったかと思い至り、千恵に手を伸ばしゆっくりと立たせる。小脇に抱えた辞書を離そうとはしないが、反対の手で俺の手を取っていた。

握り返す小さな手の感触は硬い、立派な戦士の証しであると共に悲しい手でもあるそれをしっかりと握り、まっすぐに子供達の部屋を目指す。

少しだけ隙間が開いた扉から中を覗く。やはりというべきか、ベッドに腰を掛け頭を抱える京谷の姿があった。

 

「鳴り止まないんだ、音が」

 

誰に言うでもなく漏れた声は子供とは思えないほど冷たい。俺は抱えていた茶輔を下ろし、千恵の手からゆっくりと手を離す。

そうしてそれぞれの頭をひと撫でしてから、京谷に近づき腰を落とした。

その後無言で京谷の横に座り、その背中をさすりながら抱き寄せる。すると安心したのかそのまま寝息を立てた京谷の目から涙が溢れた、どうやら痛みをずっと堪えていたらしい。

他の2人も同様に眠そうな目をしている、俺は3人がそれぞれの布団で寝るまでその場に留まり、部屋からででた時にはすっかり夜になっていた。

霞が見てなくてよかったと思った、話しはしているとはいえこんな急にああなるのは久しぶりだ。必ずパニックを起こしてしまうだろう。

アレの行動は、彼らにつけられた呪いのようなものだというのが俺の見解だ。

まだ俺が、この仕事をする前にしていた職場にいるかかりつけの医者にも診断してもらい徐々にだが治ってはきているが、それでも先は長そうだ。

発作はある日思い出したように現れるため予想が難しく、対処がしづらい。

だが、寝かしつける事ができればその間の記憶は失われるが元には戻る。

…後は、彼ら次第なのかもしれない。

子供達にこの症状が出ている間、自分が無力であることを強く意識させる。

だが、それに屈する事はできない。

それが彼らを育てると決めた、俺の責務なのだから。

 

※※※※

 

あれから一夜明け、霞以外の俺達は久しぶりにGBNの世界にいた。

照りつける太陽に熱砂の大地は相変わらずの様相で、ある意味で安心した。

このところ、ブレイクデカールを使用するマスダイバー達の増植によって起こるバグがGBN内でも顕著に現れており無視できない被害を被っているらしい。俺達も2度ほど対峙している事を考えれば、その異常さも理解できる。

通常ならば運営側が取り締まる案件なのだろうが、全世界規模に潜伏するマスダイバー達を見つけるのは容易な事では無く、全て後手に回っているらしい。

しかしこのまま良いように奴らに振り回されるのも、それはそれで癪に触る。あんな奴らに好き勝手に暴れられてしまうとこのGBN自体が廃れてしまう可能性だってあるのだ。それは大変困る、子供達の為にもどうにか手を打たなければならないだろう。

だからという訳では無いだろうが、以前よりも戦闘補助の依頼が多く寄せられていた。いるかもしれないマスダイバーの影を恐れるよりも、逆に戦うことをGBNのダイバー達は選んだようだ。

ブレイクデカールの氾濫を防ぐ意味でも「子供達の遊び相手」をあちらから用意してくれるというのはとても有難い事だった。

子供達も、昨日の事など微塵も感じさせずに今日も元気にはしゃぎ回っている所をみればこちらとしても安心はできる。

不安が無い訳では無いが、もしかしたらこの一連の騒動の最中に俺達を襲いにかかってきた者の尻尾でも掴めれば良いと思っている。

 

「隊長ぉ!そろそろ来るぜぇ!準備はバッチリだぜぇ」

「おっしゃー!!久々に、暴れるぜー!!」

「もう、倒していいんだよね?いいよねえええ?!いくよおおおおおおおお!!!!」

 

依頼されていたフォースバトルの真っ最中ではあるのだが、コレは余念が無さすぎるな。

俺は苦笑を漏らしながら無線から聞こえる声に応答しつつ、それぞれに一応の指示を飛ばす。久しぶりの戦闘でもあるのだから、ある程度は子供達の自由にやらせてみるつもりだ。

千恵の【ランページ】が先陣を切り、京谷の【オンスロート】と茶輔の【タイラント】が並走しつつ敵の侵攻部隊に奇襲をかけていく。

敵はいきなり側面から現れた千恵に驚いてはいたがすぐに対応し迎撃を試みるが、予測がつけづらい動きに加え京谷の射撃が敵の連携を撹乱させ、そこに茶輔の飽和火力支援が加わり敵はいよいよ混乱しているようだった。

そうやって敵達が子供達に翻弄されている間に俺は狙撃位置を変えつつあぶれた敵や、指揮官機と思わしき機体を屠る。

今回は敵が狙う都市区画中心部に位置するミサイル発射基地を防衛すれば良いのだが、何も守ってばかりいる必要は無い。相手を殲滅し尽くしても良いのだ。そうならば、こちらの土俵。

俺は子供達の攻撃の苛烈さについていけず、不用意に空に飛び上がって反撃しようとしている【ZZガンダム】型の推進機を撃ち抜きながら、あらかじめ仕掛けてあったトラップを発動させていく。

破壊され捨てられた都市部が戦場として選ばれた事もあり、罠を仕掛けておくにははうってつけのフィールドだ。ワイヤー型の爆破トラップや、動きを阻害する地形沈下トラップなどが次々と発動し敵部隊の壊滅に拍車をかけていく。

どうやら敵フォースの主力級が運良くこちらに来ていたようだ。抵抗は激しいが、彼らを足止めできていればこちらの味方が別働隊を倒しきる時間が稼げる。そうすればそのまま包囲殲滅も容易にできるだろう。

そんな風にこの戦闘の予測を立てていれば味方からの無線が入る。通信画面ごしでも伝わるような喜ぶ声は正に予測通りのソレ。

上手く別働隊を退けたようだ、既にこちらの支援のために2個部隊が先行してくれているらしい。

朗報だが、敵もそれがわかっているのだろう。先程よりも更に抵抗の手を激しくしてきている。しかし遅すぎる反撃だ。既に敵は壊滅状態、四方から撃たれ続け最後の抵抗は無意味に終わってしまう。

その後、無事に依頼を達成した俺達は根城であるマゼラン基地に戻り今後の依頼をどれにするか思案していた。子供達は暴れられればそれで良いと言ってはいるが俺としては報酬額が多く、それでいて安全な依頼が良かった。

そんな折、珍しい奴から通信が入る。

 

「八神、連絡していた筈だが。なんで来てくれなかったんだ?」

「…お前か。決起集会のことか?何とか連合とかいう。その事なら、俺達はパスさせてもらう。」

「何故だ、お前だってわかっているはずだろう!このGBNに起こっていることも!ブレイクデカールの事も!」

 

声の主は、怒りもあらわに俺を問い詰めてくる。それはそうだろう、奴としては必ず参加するとでも思っていたようだ。

だが、俺はそれに返信せず。集会にも参加しなかった。

 

「あぁ、わかっているさ。だがな、今回の作戦…団長からも聞いてはいるが、いくらにもキナ臭すぎる。今まで尻尾すら掴めていなかった奴がそう簡単に出て来るのか?それに、ブレイクデカールの進化の件も知っている。正面からぶつかるのにはリスクが高すぎるぞ」

「そこまで言うなら、何故参加しない!!」

「…怒鳴るな。俺もこのGBNを守りたい気持ちはお前と同じだ。だがな、同じ所では見えない物もある。俺達は俺達で探ってやるさ、その為の情報も仕入れてやる。その時は、共同歩調といこうじゃねぇか。…じゃぁな」

 

何かまだ言おうとしていた奴との通信を一方的に切り、何も映らなくなった画面を睨む。

どうやら、焦っているようにもみえた奴の顔。チャンプとしても矜持か、何なのか。アイツがどれだけこの世界を愛しているのかは良く知っている。

だが、だからこそ俺は共には行かない。アイツはアイツなりにやるのだろう、ならばこっちもこっちなりにやるだけだ。

何より、俺等は大勢での作戦には向いて無い。逆に足を引っ張りかねないのだ。

 

「なんだー?ケンカかー隊長?チャンプとヤるのか?!そうなんだろ!!」

「バカ京谷ちげーよぉ!アレは隊長をナカマにしたいとかそんなことじゃあねぇの?」

「え…隊長、行っちゃうの?ヤダよ…」

 

振り向けば子供達の顔だ、千恵はいつも通りだが強がっている京谷や茶輔もどこか不安気な顔だ。そんな顔は、見たくない。

 

「大丈夫だ、俺はお前達といるよ。…さぁ!次はどの依頼を受けるか決めなきゃな!」

 

そんな俺の言葉を聞いた子供達は元気な返事でそれに答え、それぞれ依頼選びをはじめだす。

俺も、その様子を眺めながら依頼リストの選別を始めるのだった。

 

※※※※

 

「まさか、あんた達が来てくれるとはねー。ま、助かるけどさ」

 

コクピット内部の通信画面の先でボヤくのは、キツイ大きな目と青い髪を無造作に後ろで縛っているのが特徴のチンピラ風の女性。そんな馴染みの顔である『喧嘩代行屋ベタ』のを視界の端に捉え、彼女のぼやきには無言を持って返す。

俺達はあの後、悩んで悩んで結局お得意様であるダグの依頼を受ける事にした。

ダグが回してくる依頼は、大概厄介事で危険も大きいのだがその分報酬額は高い。だが、今回の依頼はそんな中でも特殊なモノだった。

内容は「火星にあるフォース同士の戦闘跡地の調査と、争っているフォース同士の停戦調停における仲介役」というものだ。

この女が出てくる時点で、安全な仕事では無いなとも思っていたのだが、すでに『代行』による仲裁は終了。停戦協定を結び今後の話し合いという所まで終わっているようだった。

『代行屋』も最近はかなり忙しく働いているらしい、ダグ自身が出向く事も多いようだ。

しかし裏を返せば、それだけ大規模な戦闘が多くなってきているという事だろう。マスダイバーによる被害もかなり多くなってきているようだ。

今回の抗争でも、互いに用意したブレイクデカールによる戦闘行動があったようだが、ダグとサイネの奮戦によりなんとか収まったと聞いている。

相変わらずというか、鬼のように強いおっさんだ。そして、それをアシストする彼女もだ。

そうやって先頭を意気揚々と突き進む彼女の機体を眺める。

俺達の部隊も異形揃いだが、彼女の機体はそれとはまた別のベクトルで異形だ。

通常MSとはまず大きさが違う。巨大な鳥のようなシルエットをしたソレは、折りたたまれた脚部をこれまた巨大な羽のような腕にしまい込み巡航形態で飛行中。

そしてその周りには2機の小型無人機が秩序だった動きで辺りを警戒している。

初めて見た時は、それは驚いたものだ。何せこんな機体すら操れるとは思わなかったからだ。

黒と紫をメインカラーとしたその巨体は、そもそもMSでは無い。それは数あるガンダム作品でも強敵として出会うものだ。

彼女の機体は、天使の名を持つMA【ハシュマル】の改造機。ファンネルを組み込んだオールレンジ攻撃を可能とした【マガツ・ハシュマル】だ。

恐ろしいほどの攻撃力と生命力、そして無数の無人機である『プルーマ』を操り「鉄血のオルフェンズ」では主人公機である【ガンダムバルバトスルプス】と死闘を繰り広げた機体だ。

彼女はそれに更に手を加え『プルーマ』の操作数を減らす代わりに更なる火力増強を施したようであった。

それは、剣一本長銃一丁で戦場を突き進んで行くダグの背中を守る為の改造のように思える。それに気づいた時は、可愛げがあると思ったものだ。

そんな事を考えている間に目的である、戦闘により破壊し尽くされた火星の工場プラント群に辿り付いていた。

大きなクレーターに群生していたプラント群には、未だ生々しい戦闘の痕跡が色濃く見え、どれだけ激しい戦闘が行われていたのかがわかる。

この場所の調査がまず一つ目の依頼なのだが、一体何を調査するのだろうか。めぼしいものなど見当たらないが。

 

「隊長ーとくになんもなかったぜー?」

 

まず聞こえるのは京谷の声、部隊イチの速度を誇る京谷にはそれを活かした斥候役をやってもらっている。

そうやって大人しく索敵をしてくれたのは意外ではあったが、彼なりの気の使い方なのかもしれない。

俺はにやけそうになる顔を片手で制し、その声に了解の意図を返す。

そうやって他の2人にも報告を促せば、茶輔は万が一に備えた砲撃ポイントへの移動は終了。それの随伴機である千恵も同様だった。

あとは、俺とサイネがプラント群へ着くだけということらしい。警戒態勢と速度は維持したま俺とサイネ、そして京谷がその後に続く。

破壊尽くされたプラントを観察すれば、どうやったらそうなるのかわからない破壊痕が多く見られる。

融解した切断面は一部がガラス質までに変化している、ビームサーベルでもこうはならない。

4軒ほどのビルを貫通している巨大な穴も同様だ、一番被害が大きいであろう中央広場にはまるで隕石が落下したような巨大なクレーターができている。一体、どんなバケモノが暴れていたのであろうか。

そんな時、俺が仕掛けていたセンサーリコンが警報を鳴らし始める。しかも反応はかなり近い。どうやらサイネもそれを『プルーマ』の行動で感じ取ったらしい。

飛行形態を解き、羽の内部から脚部を展開し警戒をし始める。京谷は既に銃口を周囲に向けいつでも撃てるようにしていた。

俺も、腰からナイフを引き抜き右手に構えたハンドガンの下で構え襲撃に備える。

時間にして2分ほどだろうか、俺達がそれぞれの武器を構え辺りを警戒したのは。

 

「勘違いか?…なんかデッケェ影がアタシのプルーマに映ったんだけどよぉ?」

「ねーちゃんのみまちがえじゃねーの?まぁ俺達より弱いから仕方ねーな!!」

「ハァ?!誰がテメェより弱いって!?ここで白黒つけてやっても良いんだぜ!!」

 

ここに来るまで散々言い合っていた事で争いをまた始め出す2人。だが、今はそんな事を気にしている場合では無い、サイネの見間違えかどうかはともかく、俺のリコンに反応があったという事は必ずここには何かが、いる。

そんな俺の心配を他所に今にも戦いだしそうな2人に注意を促そうとした、その時だった。

コクピット画面に出現するアラートメッセージと強い地面の揺れ、そしてアスファルトの大地が盛り上がるのを感じ、即座に回避行動を取る。

横っ飛びにその場を離れ、2人にも警告をしようとするが既にそれぞれがこの揺れの原因へと攻撃を仕掛けようと散開済み。

ある種のプロ意識のようなものに、俺は多少なりとも敬意を払いながら改めて構えをとる。

瞬間、一際大きな揺れが遅い立ち並ぶ廃ビルが完全に倒壊。

そして、辺りを覆う土煙の奥に俺は見た。

アレは、まるで…。

 

「ドラゴン?!すっげーーーーー!!!!」

「ばっかありゃデカイトカゲだろ!!」

 

それぞれの反応。確かに、そのシルエットはファンタジー世界で見るトカゲやドラゴンに見えるだろう。

だがここはGBNだ。決してファンタジーの世界では無い。

そうだ、これは。

 

「バカでかい…ダナジン?!あり得るのか!!こんな機体が!!!」

 

そう、それは確かに【ダナジン】の姿だ。だが、禍々しく変化したその姿は一目では判断できないほどに成れ果てていた。

身体を包むほどの翼が背中から生え、顔面の口に当たる部分から生えたとしか思えない程の牙。まさにドラゴン、呼ぶならば【巨竜ダナジン】か?

そして何よりその巨体。それは以前戦った【城サイコ】を彷彿とさせるほどだ。しかも、というべきなのか。視覚化されるほどに纏っているオーラの色は「紫」。

そう、ブレイクデカールによるマスダイバー化。

だがおかしいのは、目の前の【巨竜ダナジン】にパイロットが搭乗しているようには思えない事。どこか無機質な視線でこちらを見据えてきている。

俺達はその視線と睨みあい、お互いに動きの無いまま5分が経過し緊張がピークに差し掛かったのを見通したように【巨竜ダナジン】の上空から頭めがけて勢いよく突っ込んで来る影が画面の上部に映る。

その影は着地と同時に巻き上げた砂塵を纏い猛烈な勢いで、一気に攻め始めたのだ。

すんでの所で大きく跳躍して後退した【巨竜ダナジン】の俊敏さには目を見張ったが、それよりも今やるべき事は攻撃の主を援護するように遠くから響く、甲高い落下音に注意する。

【巨竜ダナジン】目掛けて落下しているのは茶輔の【タイラント】が放った重砲による範囲爆撃、その爆撃の雨の中を怯まず突き進み、右腕の巨腕を振り回すのは千恵の【ランページ】だ。

俺達が呆気にとられている最中、遠くから砲撃を繰り返す茶輔から通信が入る。

 

「隊長ぉ!!なにぼっとしてんだよぉ!!千恵の援護しろよぉ?!京谷ぁ!!さっさと動きやがれこのノロマ野郎がぁ!!!」

 

まさか茶輔に恫喝されるとは思わなかったが、俺はすぐに行動を開始する。サイネもそれに倣い攻撃行動を開始。

京谷は何やら怒鳴りながら戦塵の中に突っ込んで行った。

やはり、ただの調査にはならなかったようだ。特別手当をもらうしかないだろう。

こんなところでまさかのドラゴンハントだ、しかもブレイクデカールを使用した無人機らしき機体。

ここで仕留めれば、何かがわかるかもしれない。ならば気は進まないがやるしかないだろう。

俺達を敵と認識した【巨竜ダナジン】は衝撃波になるほどの咆哮を出し、態勢を低くする。

 

俺達の竜退治が、ここに始まった。




サイネ「ったくよぉ!!あのガキ共ちゃんと躾けろよな!!八神!」
八神「できたら、苦労しねぇんだよ…」
茶輔「あ、チンピラだ」
京谷「ホントだヤクザねーちゃんだ」
千恵「…あ、ちょうちょ」
サイネ「てめええええらあああああ!!!!」
京谷「へへーん追いついてみやがれー!!」
茶輔「やーーーい悔しかったら捕まえてみなぁ!!
次回!奮闘記第15話!それぞれの戦い! そろそろ本気出しちゃうぜぇ?」
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