今回オリジナルキャラが追加参戦します
感想・評価が餌になります!どしどし下さい!!
あの戦闘というか一方的な喧嘩というか遊びのようなナニカの翌日。
久しぶりにGBNのメインロビーにきていた。
普段のログイン先はマゼラン基地にしているため滅多に拠らないところだが、今日は違う。
目的は子供達と、今回の仕事相手の顔合わせだ。
立ち上げ以来の大掛かりな仕事内容で、しかも4人で来てくれという匿名の依頼。
胡散臭さが鼻につくが、前金の支払いが良かったから一応の信頼を寄せていた。
それに、普段からあの砂漠にこもってやたらに因縁つけて攻撃したり、模擬戦と称したじゃれ合いばかりをしている訳では無いのだ。断じて違う。そんな野盗みたいなフォースじゃないのだ。
…俺はな!!
そんな俺のフォース【グリズリー商会】の主な活動は、物資の運搬から戦力補助だ。
有り体に言えば傭兵家業なんだろう。便利使いされるのは慣れてるが、給金応相談。
胃痛に優しい仕事なら喜んで引き受けます。来たれ新入社員!!俺の苦労を分かち合える同志募集!!!
頭の中で叫んでみても、眉間に皺が寄り厳つい顔が更に厳つくなるだけでなんだか悲しくなってきた。
…あぁ癒しがほしい。世の母親達はこんな風に感じているのだろうか。凄いな母親。
「うっおおおおすっげええええ!!そういやここって、こんなに人いたんだよな!!!!なんだアレ!!デケェ顔!!!」
「うわぁ…オイ京谷。みろよあのキャノン砲めちゃんこカッケェ。ほしいんだけど」
「あ、あ。ちょ、ちょっと!はなれたら危ないよ!隊長、まって!はやいよっ!」
「それ、ちがう人だぞ千恵。隊長こっちじゃん?」
「ヒッ…ご、ごごごごめんなさい」
大丈夫だろうか。俺の胃腸は、大丈夫なんだろうか。
好き勝手に駆け回る2人とべったりな1人。テーマパークにきたお父さん気分だ。
そうか、だからあんなに疲労した顔なのか。俺、納得。
ため息がまた口から漏れそうになるが、ここはグッと我慢する。
子供達や、これから会う相手に疲れた顔を見られたく無い。
それに、周りの人達の無遠慮な視線もある。
それは目立つだろう、お上りさん丸出しの子供3人が軒並みAランカーなのだから。
主に砂漠での襲撃戦を繰り返した結果、溜まったGPと撃墜数でこうなったんだろうが。
流石に悪目立ち過ぎだ。仕事相手に迷惑にならないといいのだが。
「あっらぁ?八神じゃなぁい?!随分ひさしぶりじゃない!!」
「珍しい友に会えるとはな、来てみるものだ。元気にしていたか?八神。」
背後から聞こえるのは懐かしい声。甘ったるい声だが、いやにハキハキしていて不快感は無い。
何より見た目のインパクトで忘れるはずが無い。最近は初心者の支援に熱を上げているそうだ。
そしてもう1人。
ほんとうに久しぶりだ。この男と、またこうして会えるとは思わなかった。
知らないダイバーは1人も居ないであろうその男。
現在GBNでのトップ・オブ・トップ。
2人共、俺がまだランキング戦に固執し好き勝手に戦っていた時からの仲だ。
あの頃は、顔を付き合えば言い争っていたというのに今では先に笑顔が浮かんでいた。
「ほんとうに、久しぶりだな、2人共。あれから3年か?早いもんだ」
「ほんとによ!もう!連絡もしないし!場所も教えてくれないし!!」
「いや、キミらしいさ。でも、ランキング戦に来なくなったのは本当に驚いたよ」
久しぶりの同級生との会話が弾んでいる中、胃にドカンと響く聞き慣れた声。
そんな大きな声で叫ばなくても良いだろうに、周囲の注目が全部こっちにきてるからな?
「おーい!たいちょ…うわぁぁ!!チャンプ!?!?」
「うっわぁ…生チャンプじゃん。すげぇーつよそぉー…戦いてぇー」
「こ、こわい」
それぞれの反応。というか予想通りの反応だ。
千恵に至っては2人の姿を見てから、俺の背中にしがみ付いて離れない。
蝉かお前は。
突然の事に目を丸くした2人を余所に、ちびっこギャングを両手に抱える。
腕の中で暴れるが俺の腕力には敵わないのだ、参ったか悪餓鬼め。ついでに振り回してやろう。
そんなやりとりが可笑しかったのか、驚き顔の2人が声を出して笑う。
「ちょっとーもー!すっかりパパじゃない!前に相談に乗った子供達よね?!紹介しなさいよぉ!」
「なんだ、知っていたのかい?…そうかキミ。彼らが引退理由だね?いやぁ楽しそうで何よりだよ!」
「「おろせー!!」」
「め、目が回る…」
ダメだ、ちょっと持ち上げたぐらいじゃアトラクションと変わらない。余計騒がしくなってしまった。
それにこの2人にも笑われてしまいなんだか恥ずかしい。
幸いにもまだ待ち合わせには時間があるので適当な店の個室を借りて大人しくしよう。
しかし、皆なんでこんな嬉しそうな顔するんだ。そんなに俺の仏頂面が面白いのか。
※※※※
「そうか、そんな事だったとはね」
「黙ってて悪かったよ。だが俺にも余裕が無かったんだ。許せよ」
ここはチャンプ行きつけのカウンターバーらしい。
暗く落とされた照明に落ち着いた雰囲気。
手入れの行き届いた店内、マナーを守りこちらを詮索しないマスターと客達。
素晴らしい店だ、贔屓にしようと心に決めた。…子供達には内緒にせねば。
そんな雰囲気をぶち壊してしまう子供達といえば、今は彼女に連れられ様々な場所を見て回っているだろう。
それぞれの紹介を済ませた後、彼女から引率を買って出てくれた。
全く相変わらずに気の利かせ方が上手い奴だ。すこしお節介すぎるが。
お節介といえば俺の隣で涼しい顔をしてるコイツもだ、あの頃から少しも変わっちゃいない。
何かと声をかけてくるコイツを最初はめんどくさい奴だと思った。
だが、こうして年月が離れた後に改めて会うと分かる。
本当に強くなりやがった。
「お前、強くなったよな」
「そうかな?まだまだ強くなるよ」
グラスを空けながらサラッと答えるコイツの性格が嫌いだった。
俺はあの時、何を焦っていたんだろうか。
そんな受け答えも今は懐かしい。あぁ…このままこの気持ちで別れたいものだ。
俺の中でチリチリと燻っている火が燃え上がるの感じながら、グラスの中身を一気にあおる。
そろそろ、仕事相手との待ち合わせ時間だ。俺は頭の中を切り替え右手を差し出す。
少し驚いた顔を見れば、コイツに一発かませられたのだなとニヤリと笑う。
だが、涼しい顔を戦士のソレに変えながら握り返す手は力強い。変わってねぇなぁ本当に。
「またな、今度はこっちに遊びに来い…お前らはその…ダチ公だ」
「っ…!あぁ!またな友よ!」
そうやって扉を先に出た俺は、早足に待ち合わせの場所に向かう。
子供達には連絡してあったが、彼女が子供達をコントロールできるわけが無いと心配している。
ならば、自然と早足になるというものだ。
だが、俺の予想は完全に裏切られたのだった。
「あ、おせーぞ隊長!!!2分遅刻だ!罰金だ!!肩車して!!!」
「俺はホットドックでいいよぉ特大なぁー」
「あ、お、おねぇさん。も、もう降りますから!下ろして!!」
「えー?まだだっこさせなさいよぉ!あんな熊ゴリラよりぃワタシのほうがいいでしょぉ?!」
なんだアレは。すっかり懐いてるというか…言うことを聞いている、だと…。
それぞれちゃんとベンチに座りながら、ソフトクリームで口を汚している。
お前ら、何で俺の時もソレができねぇんだ。
千恵に至っては膝の上でガッチリホールドされてやがる。そこまでさせるなんて中々出来ないぞ。
というかその服はなんだ。フリフリのついたリボンに空色のワンピーススカートじゃないか。
京谷は限定コラボアイテムで人気テレビ番組の変身ベルトだろ、高いぞソレ。
茶輔はバーガー食いながら機体整備してやがる、悪い予感しかしねぇ。
「隊長、みろよ!!あのおねぇさんが千恵の服えらんだんだぜ!!俺もコレ買ってもらった!カッコいいじゃんね!このベルト!!」
「俺はグシオンリベイクフルシティのバックパックだぜぇー良いだろぉー!」
「た、たすけてぇー隊長ぉ〜女の子にされるぅぅぅ」
なんというか、満喫してんなぁお前等。
もう、帰りてぇなぁ。これから仕事なんだよなぁ。
無理だよなぁ。
深いため息が漏れるのを見かねた彼女が笑顔を向ける。
「ちゃんとパパしてるのね、八神。安心したわ」
「パパって呼ぶんじゃねぇよ。まぁ…しかしかわらねぇか…」
そんなやり取りを不思議そうな顔で見つめる3人。千恵はなんとか逃げ出したようだ。
アイツとも交わした握手を彼女とも終わらせ、子供達を連れて歩き出す。
途中で自分の服装に気づいた千恵がからかわれながら着替えるという悶着もあったが、なんとか待ち合わせの場所に到着する。
これからが大変なんだが、こんな時間もたまには悪くないかもなと思い始めている俺がいる。
本当にたまに、だが。
※※※※
待ち合わせ場所に着いた俺達は黒い軍服達に囲まれ専用格納庫の一室に通された。
その間、何か失礼な事はされなかったが子供達も少し緊張した面持ちで大人しくしていてくれたのが助かった。
埋め合わせに何を要求されるかわかったものじゃ無いが。
約束の時間5分前、待たされていた部屋の扉が空くのを察知し、立ち上がりながら出迎える。
そしてまた、驚いた。
今日はどうやら、そういう日らしい。
「やぁ、八神・グリーズ君。久しぶりだね」
「な、団長…!まさか貴方だとは…」
扉の奥に立っていたのは、また懐かしい顔。
白イタチの姿に軍服をしっかり着こなし、頭の上に被った略帽。
本当に、あの頃のままの姿だ。当時の記憶が蘇ってくる。
GBN内で彼のフォースはあまりにも有名だった。
「第7機甲師団」
この名前はあのチャンプと同じぐらいの輝きを放っている。
先の大会ではチャンプのフォースと熾烈な戦いを繰り広げていたのだ。
目の前の彼はその団長であり、俺の元上官。
感慨深く思い出に浸っている俺の脳天から冷やすのは彼らしかいない。
「白い!!!なんだ!!イタチか?!オコジョか?!うまそうだ!!」
「…イタチって食えるのかなぁ。肉少なそうだぜぇ?」
「煮鍋ならいけんじゃね?」
「か、可愛いねぇ。抱きしめたら、ふ、フカフカしそうだねぇ」
「「わかる!」」
あまりのショックに動けなくなってしまった、限界まで痛くなる胃腸が警報を鳴らしているが目の前にいる元上官の手前何もできない。
そんな俺を見かねて助け舟を出してくれたのは、後から入ってきた影だった。
「チィーーーッス八神ちゃーん。元気してた?アタシだよ!今回の仕事はアタシらと共同でやってもらうからね!!足引っ張んじゃないよ!」
「ゲェッ!!し、シズク教官殿ぉ?!」
更に胃腸がマッハだ。なんだコレは。
そんなやりとりを見て団長は盛大に吹き出していた。
子供達もそんな俺を見てまた笑っている。
誰か、誰か助けてくれ。胃薬はどこか。
茶輔「隊長のあの顔見たか?超おもしれぇのなぁ」
京谷「けっさくすぎだ!でもあの女の人だれなんだろな!」
千恵「フカフカ…モフモフ…」
八神「誰か…俺の心配をしてくれ…」
京谷「千恵はもうあの格好しねぇの?カワイーじゃん?」
千恵「…ヤダ」
茶輔「うおっ…コエェ…。まぁいいや。次回!奮闘記第3話ぁ!!鬼教官シズク!!つぇえのかな?」
※シズク教官はオリジナルキャラです