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荒野を走る4機が、襲撃ポイントである高台へ到着する。
それを確認したあとに、俺も狙撃ポイントへ急ぎ移動を始める事にする。
俺が今いる場所は、荒野から数キロ離れた熱帯森林地帯の中。
このフィールドは荒野と森林地帯が綺麗に二分されたマップ構成になっており、中心部にタライを裏返しにしたような鉱山から西側が荒野、東側が熱帯森林と別れている。
目指す場所は鉱山、今回の仕事はそれが目標だ。
そう、この鉱山の奪還こそが団長達から依頼された仕事の内容なのだ。
目標である鉱山は、レートの高い換金アイテムが数多くドロップする当に金脈。
組織として大きくなってきた第7機甲師団は、喉から手が出るほど確保し独占したいのであろう。
問題は立地だった。第7機甲師団が保有していた領地のすぐ近くに存在しており。
同じく近くに拠点を構えていた敵対するフォースとその所有権を巡って、日夜紛争を繰り返していたのだ。
俺達のいる砂漠同様、フリーバトルの制限が無い所だったのも拍車をかけていたのだろう。
しかしチャンプ達との決勝戦を控えていた事が仇となり、主力が抜けていたその隙を狙われてしまう。
残された部隊達は懸命に戦ったそうだが、残念な事にの領地となってしまっていた。
「そんな作戦に、なんで俺達を?」
「簡単な事だよ八神君。チャンプ達との闘いで、我らの主力は改造と訓練に時間を割きたいからだ。それに、シズク君が新人の育成を兼ねたいと聞かなくてね…」
「本当の実践に勝る経験は無いからねぇ。それがあるか無いかで決まるのがフォース戦って奴サね」
つまり新人の育成もしたい、しかし負けたくも無い。というわけだ。だが、それなら何故こちらの部隊にシズクがいるのかが謎だ。
前線で指揮をしながら訓練をしたほうが確実なのではないだろうか。そんな疑問を投げかけると返ってきたのはぼやきに近いものだった。
「アイツ等の今回の訓練は、アタシの教育の最終試験なのサ。受けた作戦の中で、自分達で遂行するにはどう作戦を立てればいいか。そして自分達以外の部隊との連携が課題なわけ。これぐらいサクッとやってほしいんだけどネェ。」
そんな愚痴とも言えるような答え。続けて「アンタみたいな根性ある奴が少ない」との事だ。
どうやら、俺の更生プログラムはその後の育成プランとして立ち上げていたものだったらしいが、俺以外はほとんどクリアできなかったそうだ。
そりゃそうだろうな。アレを新人訓練にやらせたら、そりゃ鬼教官と呼ばれるわ。
そしてその問題の新人部隊はどうしているかというと、このフィールドの敵の探知範囲ギリギリの最外縁に沿って既に進攻済み。
ちょうどシズク達4機と挟み討ちをする形で布陣しているという、
新人部隊の総勢はのべ20機。ちょうど5部隊分の戦力だ。
そして対する敵対フォースの総勢は約30機強。
数的不利な状況ではあるが、それを覆すために俺たちがいる。
だが、あんな状態で戦えるのだろうか。いつもなら耳が痛くなるほど騒がしい子供達がまるでお通夜状態だ。
いざ始まればいつもの調子に戻るだろうが、このテンションはいただけない。何か発破をかけてやらねばと言葉を探していると、沈黙を破るように茶輔と京谷が騒ぎ出す。
「ああああああああ!!!!冷凍庫にアイス入れんの忘れたぁ!!!」
「ああああああああ!!!!そういや録画!!!!ライダーの録画が!!!!」
一瞬、何を言ってるのかわからず呆気に取られる。
何、お前等それ考えてたから黙ってたのか?
てっきり先程の戦いで負けた事がショックだったのかと思っていたのだが。
「オイ、千恵!帰ったらアイス買いに行こうぜぇ」
「そうだ、ぬけがけしたお前のおごりだかんな!!」
「えーーー!!!ぬけがけはごめんってば!!でも茶輔は僕におこずかい借りてるし、京谷は昨日の夕飯にハンバーグあげたじゃん!!!」
「「覚えてやがったか!!!」
にわかに騒がしくなる子供達に、俺は一体何を心配していたのだろうかと頭を抱える。
そうだった、彼らは負けた事でいちいち落ち込むようなタマではなかったじゃ無いか。
そんな殊勝な心があれば、俺の胃は無事のままだっただろう。
「お前等…大人しくしてると思ったら…」
「え?俺はバーガー食ってただけだよぉ?」
「俺はベルトで遊んでたー!オートパイロットできるし!隊長!隊長!!コレすげぇイイよ!!」
「ぼ、僕は夕焼け空が綺麗だなーって…えへへ」
よし、お前らには金輪際心配なんてかけてやるもんか。
子供達のそれぞれを聞いたシズクは大爆笑、団長すらも無線越しに笑いを堪える始末。
なんで俺だけこんな頭を悩ませていたのか、凄く馬鹿らしくなってきた。
そんなやりとりをしていると、鉱山の裏手で盛大な爆発がおきる。どうやら始まったらしい。
そう、本部隊は陽動。囮として入り口付近で派手に戦ってもらう。
その背後を俺達が奇襲するというシンプルな作戦だ。
「おっぱじめたね?よっしゃぁ!!野郎供!!派手に行こうじゃなィか!!!」
シズクの号令に、子供達が大きな声で呼応する。
教導機を務めるシズク機の突撃に合わせるように3人が戦場を掻き回し始めた。
完全に虚をつかれた形になった敵方は、にわかに浮足だってしまったようだ。
それはそうだろう、前線に戦力を割いているとはいえ、まだ20機近くが駐屯しているところにたった4機が襲いかかるのだ。正気の沙汰では無い。
そうやって慌てだした奴から一機一機落とされて行く。俺は狙撃ポイントを適宜変えながらただ撃ち続けるだけ、まるで鴨撃ち状態だ。
まぁ、あんな機体に急に襲われたら誰だってビビるだろうなぁ…。
※※※※
「伝達!!!敵はどうやら第7機甲師団の本隊の模様であります!数は20機ほどでございます、お館様!!」
「むむ、彼奴等め!性懲りも無く攻めてきおったか!お館様!ここはうって出るべきかと!!」
鉱山内部に作られた我が居城「風雲武田城」その最上部。
天守閣の間に集められた我が精鋭の臣下達がそれぞれ闘志を燃やし活気付く。
それはそうであろう、あの知将が率いる部隊からやっとの思いで奪いとったこの鉱山。
なんとか鉱石の運搬も始まり、そろそろ商いに手を広げようとしていた矢先のこの戦。
負けるわけにはいくまい。
「よし!!!!出陣じゃぁ!!!支度せい!!!伊達は右翼!近藤は左翼から攻め立てろ!島津と徳川はそれぞれ前に出て貰うぞ。奴らの侵攻の足止めじゃ!本陣の守りは真田と本田に任せる!!疾きこと風の如く!侵略すること火の如くじゃぁ!!!」
「「「「はっ!!!」」」」
臣下達が持ち場につく中、ゆるりと手を伸ばすと傍に侍っていた女中のお蝶がお酌する。
グイと煽ると喉を焼く心地良さ。そう、ここで負ける訳にはいかないのだ。
この鉱山で集めた資金を使い軍備を整え、そしてゆくゆくは我の国を起こすのだ。
あの知将を下し、そのまま頂点へと登る。そうすれば全てが思いのままだ。
崩れそうになる顔を意識の力で押しとどめ、力強く立ち上がる。
「我が名は武田!!武田・ゲンシンである!!この戦から始まるのだ。我が野望を止められぬものかぁ!!!」
天守閣から響く声が開戦の合図となり、畳をひかれた床が反転しながら開いて行く。
下からせり出してくるのは戦況を伝える巨大モニターに、オペレーターの臣下達。
我の後ろからは巨大な艦長椅子が登ってくる。その椅子にドカリと腰をおとし周囲を見渡す。
モニター群の前に座る彼らは戦場の様子をつぶさに観察している。
彼らの目は確かな戦略眼の持ち主であり、不測の事態にもすぐに対応できる。
それに加えて我が誇る精鋭達。ここまで共に苦楽を味わってきた彼らに打ち破れぬ敵はいない。
現に戦場を写すモニター群には我が方優勢の文字がデカデカと表示されている。機嫌が良くなるのを自覚しながらも、むやみやたらに銃を乱射し突撃を繰り返す敵方には不快感を覚える。
全く、知将も落ちたものだ。チャンピオンに敗北し余裕がなくなったのかのようなお粗末な闘い方だ。ならば引導を渡してやるのが武士の情けというものよ。
「本田と真田に伝えよ!!すぐさま本陣から出陣し蹴散らせとな!!」
張り上げた声へ返事を返す彼らも勝利を予感してか、満面の笑みを浮かべている。
が、その雰囲気をぶち壊す凶報をオペレーターの1人が叫ぶ。その顔は周囲と真逆に青ざめていた。
「お、お伝えします!!!さ、左翼の近藤様が!討ち死に!!!討ち死にでございまする!!」
「何?!何が起きたぁ!!部隊は!!彼奴の真選組はどうなったぁ!!!」
「お味方は全滅!!!!全滅でございます!!!開戦後に左翼背後より急襲してきた謎の機体4機に12機全てが破られました!!」
ありえない事であった。近藤が乗る【虎徹頑駄無】とその部隊『真選組』は個々の力はともかく、集団戦での戦は我が軍最強であったはずだ。それが、破られた?ありえん!!!ありえんぞ?!
左翼の戦場を急いでモニターに呼び出させると、確かに彼らがいた戦場は火の海と化していた。
薙ぎ払われた木々に抉られた岸壁。破壊された土嚢が錯乱し、極め付けはいったい何がどうやったらそんな事ができるのか、巨大なクレーターまでができていた。
しかし、そんな状況であったなら叫び声の1つも聞こえるはず。それが、無い。なぜだ??
その瞬間。戦場を写していたモニター群の画面が、右端から侵食されるように砂嵐になっていく。
オペレーター達の悲痛な叫びが天守閣の中でうねりとなり木霊する。
「な、なにが。なにが、おきているのだ…」
消え入りそうになる声に答えてくれる者は、誰もいなかった。
※※※※
その日は、いつもと変わらぬ日であった。いつも通りの哨戒任務。鉱山の周りを警戒しながらいつものルートで巡回していく。
先の戦いでそれなりの戦果をあげた俺はお館様の目にとまる事になる。
晴れて足軽
そしてなんと部隊も任されるようになり、一層の忠誠をお館様に誓うのだった。
そんな日であったのだ。
それが、一瞬前の事。
はじめに聞こえたのは、どこからか聞こえる子供の笑い声だった。
部下の足軽李衣王達が当たりを見回すが、すでに日が落ち始めた森の中。捜索は困難だった。
「隊長、戻りましょう。きっと気のせいか何かです。探知にも何もありませんよ」
「そうですぜ、さっさと戻って交代するのが吉ってもんでさぁ」
「気味がわりぃが…しゃぁなしでしょう。これぐらいが限界とちゃいますか?」
臆病風に吹かれたようで癪に触るが、確かに限界だった。それにどうやら鉱山の入り口では第7機甲師団と思われる輩が確認されたらしく、合戦の準備も始まっている。
妙なモノに付き合って戦に間に合わないというのは恥である。
「よし、ここは一旦戻りお館様の指示を…」
そう言い踵を返した瞬間。
1番森に近く真後ろにいた部下の反応が消える。声をあげる事も無く、爆発音も無い。
コクピットを一撃で射抜かれたのだ。粒子となって消えていく部下。
その最後の光が消える前にもう一機。射撃音は聞こえない。慌てて本部に連絡を入れようと通信機を入れるが帰ってくるのは無音。ジャミングされている!しかもただのジャミングでは無い。普通に妨害しただけならば本部が気づかない訳が無いのだ。それが無いという事は…!
最悪の状況を考え、残り1機となった部下と背中を合わせる。
せめて、せめて部下だけでもここから逃がさなくてはいけない。そして本部に危機を知らさねば。
そう部下に伝えようとするが、その部下はすでに事切れ消えかかっていたのである。
「な…!!ちくしょぉ!!!どこに…!!」
冷たい悪寒が背中から感じる。センサー感度を最大まであげたその時、探知機が反応する。
それは真後ろにいた。
いきなり機体が動かなくなる。背後から何かが俺の機体を羽交い締めにしたのだ。
必死で手足を動かそうとするが反応が無い。何故だと機体の状態を確認すれば、手足を動かす動力部分のケーブルが切られているのだ。
「痛みというのは大事な信号だ。それが無い、というのは困ったものだよな。俺の腹も痛みの信号を送らないでほしいよ」
密着した事でできる超短距離の無線が耳に飛び込んでくる。地獄から這い出てきたかのような底冷えする声だ。
しかし腹が痛いのだろうか、妙なぼやきも聞こえる。
だが、問題はそこじゃ無い。
こいつは、この機体は。完全に周囲の風景と同化しているのだ。
「き、貴様何奴だ!!!まさか第7機甲師団か!!!こんな手をつかうなどひきょ…」
最後のセリフは言わせてもらえなかった。
コクピットを突き破ってきた大型の単分子ナイフで一突きされてしまったからだ。
あれは…いったいなんなのだ、まだ膝が笑っている。
※※※※
「逃げないでよおおおおおおおおお!!当たらないじゃないかあああああっ!!!」
まるで悪鬼のような猿声が響く。その声の前にまた部下が1人倒れて行く。
どうして、どうしてこうなった。
俺達『真選組』は、敵を押しとどめる前線部隊の左翼を任された精鋭部隊。
右翼の伊達殿と協力し、敵を挟撃し一網打尽にするはずだった。
だが、これはどういうことだ?!
武田・ゲンシン殿率いる『武田機甲軍』の中でも、集団での戦は最強とされる我が真選組が既に半壊状態。
本丸との通信は完全に遮断され、夜の帳が降りた森の中で完全に孤立していた。
原因は、あいつらだ。いきなり背後から襲ってきた正体不明の野盗もどき。
大斧を振りかざし、まるで竜巻のように暴れ部下達を両断していくオレンジのグレイズアイン。
異様に大きい右腕と凶悪な杭打ち機で飛びかかり、こちらを一撃で屠ってくる白頭のグリモア。
4つの脚を器用に使いこなし、この狭く障害物の多い森の中で予測不可能な立体起動で襲いかかる肩と頭が紫のグリモア。
そして両腕自体に重火器を備え、更に背中から生えた2本の腕に巨大な鈍器と斧を持つ、下半身が戦車となったの緑のグリモア。
「近藤局長!!貴方だけでもお逃げください!!!!ぐ、ぐわあああああ!!!!」
なんということだ、『真選組』の副長が目の前でやられてしまった。
機体の顔面に左側面から投げつけられた大斧が突き刺さっていた。
粒子となって消えていく機体に刺さったソレをその持ち主が無造作に引き抜く。
「なぁンだ。鬼の副長とか言われてた割に、呆気がないじゃないか。これなら子供達だけでも全滅できたかもしれないねぇ?」
「敵はぁぁ?!どこおおおおおお!!??」
「なんだよこいつら、ヨエーでやんの。つまんね」
「これで最後かぁ?まじか、まだ撃ってねぇんだけどぉ?」
目の前に現れた地獄の獄卒も裸足で逃げ出すような覇気をまとう機体が4機。
暗闇に浮かぶカメラアイの光が更に恐怖を助長する。
せめて一太刀だけでもと愛刀「無敵虎徹丸」を抜き放ち裂帛の気合を込めて突撃。
だが俺の目の前に映ったのは、逃げ切る事ができないほどの弾幕であった。
※※※※
なんとか復活したモニターはたった1つ。だがそれが映し出したのは凄惨の一言に尽きる。
左翼は壊滅。右翼と前線は保ってはいるものの、辛うじて戦えているという体たらく。
更に、この鉱山にある本丸めがけて突撃してくる機体が4機。この戦場の中ほぼ無傷を保っているというのは驚きだが、左翼を壊滅させたのは確実にこやつらだ。
しかし、ありえない!!
我が軍が押されているだと?!ありえん!!!我らはあの知将が率いる第7機甲師団とも互角に渡りあえた精鋭だぞ?!そんな馬鹿な事があるのか?!?!
それがなぜ、なぜたった4機に良いように掻き回されているのか!!気に食わん!!
「そんな馬鹿な事がぁ!!あるかぁ!!!!」
堪らずに振り上げた拳で肘掛けを殴りつける。乱れた髪を気にしている場合では無い。
あの賊供を狩らねばこも怒りは収まらないだろう。
ならば、仕方がない。アレを起動させるしかないようだ。
急ぎコントロールパネルを呼び出し、起動キーを解除。合わせてオペレーター達にも支持を出す。
「かしこまりました!!隔壁封鎖!!各関節および居住空間のロック開始!!」
「武装状態確認!70パーセントを維持!エネルギー状態良好!!」
「お味方に通達良し!姿勢制御開始!!」
全てのチェックが終了した事を受けると、座っていた椅子が更に上昇する。
行き着く先は天守閣の天井にあるコクピット。
そこにある操縦桿を握り込むと、久しぶりに身体中の血が燃えるように熱い。
そうだ、我もまた
「ゆくぞ!!!発進!!風雲武田城改め【武田大・将・軍】!!!!!」
最大限まで拡張した無線放送で戦場全域に我が声を轟かせる。
「目にもの見せてやるわぁ…この愚か者共めぇぇ!!」
八神「…あいつら、ちゃんとやれてんのかな。シズクは心配ねぇとして、アイツらが黙って作戦守るとか想像つかねぇんだけどなぁ…はぁ………。おっと、そうだった。
次回奮闘記第5話。鉱山攻防戦・後編。俺もいっちょ働くとするか!!」