孤児院隊長奮闘記   作:あげびたし

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機体紹介も始めましたー
これからちょくちょくあげてきます!

今回友人からお借りしたキャラが登場します!!ありがとう!!

追記:タイトル変更しました。


奮闘記:8 ヨーロッパ遠征

嵐のような1ヶ月だった。

シズクこと有澤霞が同居人となったのが始まりだ。彼女としては大忙しのうちに入らないとの事だが、こっちは大慌てで住居スペースを作ったり子供達への説明に苦労をしたんだぞ。

幸いなのは、自分が綺麗好きだったということだ。

暇があれば大暴れする子供達を放っておけば、この家は遠からず倒壊していたのではないだろうか。

そんな確かにボロいが手入れが行き届いた庭がある一軒家を、俺は少なからず愛着を持って世話していたのだ。男の一軒家とはまさに城なのだ。

…だが、そんな愛着ある俺の城は今大きな布をかけられ、柵に覆われている。

そしてその布に印字されている文字は、最近よぉく思い知った会社のもの。

 

「俺の城…」

「ん?なんか言ったか?たいちょう」

「俺ぁもう腹ペコだぞーたいちょう」

「た、たいちょうコレみて元気出して!ちょうちょ!」

 

ありがとうなぁ千恵。

だがそれは蛾だ。凄い鱗粉ついてるからね。やめて!背中に入れないで!!やめろぉ!!

 

「あんた達ー早くしなーメシ冷めちまうゾ!!」

 

そう景気の良い声を張り上げるのは、庭に止まった小型のトレーラーハウスから。

荷台の窓からエプロンをつけ、Tシャツにジーンズというラフな格好の霞が手招きをしている。

トレーラーはもちろん彼女の持ち物だ。荷台を住居スペースとして改造され、手狭ながらキッチンまで付いてる優れもの。どうやら趣味、らしい。

うーむ、なんとうらやま…いや、けしからん。あんなもの俺だってワクワクするではないか。

そうやって少し羨ましく見ていれば、早速茶輔がつまみ食いをして耳をつねられている。

…しかし子供達も、随分懐いてくれたもんだ。

最初の頃はブーブー文句を垂れ全く近づかなかったが、人柄なのかなんというか。

まぁ、シズクが料理できたのが1番でかいのだろう。

茶輔は言わずもがな、京谷と千恵もそのあとすぐに陥落していった。

それに家事も分担してできるようになって、俺も自分の時間を取れるようになったは本当に助かる。

今までは子供達の世話に掛り切りでできなかった事も、これでできる。

当面の目的は仕事探し、目標は子供達を学校に通わせる事。

なのだが…。

 

『仕事ぉ?!…ならウチの会社の下請けしたら良いじゃねぇか』

 

正に鶴の一声だった。

社長のキモ入りで全世界の孤児院に向けて物資を運輸する企画が立ち上がり、社長主導で進められたプランは、社内の反応とは裏腹に世間の評判も追い風を受け、いまや専用の部署まで作られる始末だ。

そして俺はその近郊の運送ルートでトラックの1つを任されることになる。

完全に贔屓されているが、そこはソレ。

社長の連れ合いだと内外に響いた俺の名前があれば、誰もが笑顔で同情の目を向けてくれた。

何故だ、何であんななのに会社が成り立ってんだ。

そうして未だ社長業務を続けている彼女は、オフィスをここに移してからというもの今まで以上にバリバリ仕事をこなす傍、こうやって家事と子供達の世話をしているのだ。

そのタフネスはどこから来るんだ。

そんな事を思いながら重い腰を上げ、青空の下テーブルと椅子を出し始めた霞と子供達の手伝いをし始める。

春の陽気は、そろそろ夏に変わろうとしていた。

 

※※※※

 

「なんだこりゃーーー!!!!」

「すっごーーーーーい!!!!」

「うっわぁ…まじかよ…ハハハ!!すげぇや!!!」

「な…なんだよ…コレ」

 

ソレは、唐突に現れた。

昼飯の後、俺達はGBNの居住空間であるマゼランの前で立ち尽くしていた。

原因は、俺達の遥か上空からゆっくりと降りてきているモノ。

巨大な影を落とすソレには見覚えがあった。

巨大な砲身にミサイルポッド。それを支えるバーニアは更に巨大だ。

だが、その中心に位置している謎のMSがいる。

オレンジ色にカラーリングされた、逆関節の脚を持つグリモアだ。

もう誰だか1発でわかるその機体から、大音量で聞こえるのはやはりシズクの声。

 

「野郎共ォ!!コレがなんだか、知りてぇかィ?!」

「「「イエーーーーーイ!!!」」」

 

も、もう笑うしかない。本当に、なんてやつだよ。

 

「てめぇ!!!土産もってくるっつーから楽しみにしてたのによりにもよって!ンなもん持ち出して来やがって!!!!!」

 

あらん限りに叫ぶが、同時に少し嬉しくなっている俺がいた。

それは、シズクが乗ってきたもの。

【巨大兵装・ミーティア】

ガンダムSEEDのガンプラの中でも異彩を放っていたソレが今、目の前にある。

今では多額のDPを支払うことでしか手に入れらない目玉商品。

しかし、次の瞬間にはたと思い出す。

 

「オイ…シズク。お前…DPあとどれだけ残ってんだ…?」

「んぁー。アタシの機体の改造と、コレ買ったからもうほとんどねぇぞー」

 

ミーティアから降りて来たシズクはあっけらかんと言い放ち、ソレを当てにしていた俺は膝から崩れ落ちる。

あんな機体(ミーティア)どこに格納すんだよ…。砂だらけだぞここは。

落胆した俺には目もくれず、和気あいあいと盛り上がる子供達とシズク。

なーにが「昔から自分だけの船を持ちたかった」だ。

なんで誰も後先考えずに行動するのか、責任者はどこだ。…俺だ。

そんな一人ツッコミをしていると鳴り響く着信音。

画面の表示は馴染みの名前。

力無い動作で出ると、聴こえてくるのは渋く落ち着いた声。

 

『おう八神。ご無沙汰だな。…てめぇんとこのガキ共ぁ元気してるか?』

「あぁ、ダグ。久しぶりだな。それよりも仕事か?つかくれ」

『また、なんかあったな?…まぁ仕事だ。ウチんトコの若い馬鹿が、ヨーロッパサーバーで受けた仕事でヘマしやがってよ。あちらさんの輸送ルートが被害受けてんだ。それの安全確保の仕事だな。…引き受けてくれねぇか?報酬は弾んでやる』

 

通信相手の声の持ち主はフォース『喧嘩代行屋ベタ』の頭領ダグ。

恰幅の良い親父で普段は落ち着いてはいるが、一度戦闘になれば鬼神の如き強さの親父だ。

だが、子供達の前では良い顔をしたいのか、そんな顔を見せたことが無い。

そんな親父との付き合いはまだ駆け出しの頃、仕事を手伝っていたらいつのまにか馴染みになり、今の今までズルズルと続いているといういわゆる「腐れ縁」ってやつだ。

そんなやりとりに子供達が反応し、俺の手から通信端末をもぎ取りシズクも加わっていく。

また俺から離れたところで話がドンドン進んでいく。

まぁ…ヨーロッパサーバーなんて滅多に行かないから…いいかな…さっさと仕事終わらせて、観光でもしようか…。

 

そんな絶対に無事に終わらない未来に、少しでも希望をみて俺は機体準備をしに格納庫に向かう事にした。

 

※※※※

 

ヨーロッパサーバー内でも有数の観光地がある。

中心にカルデラ湖、それを囲むようにそびえるまだ山頂に白いものが残る山岳地帯。のどかなレンガ造りの街並みに、青々とした牧草地はまさに保養のためには必ず行きたいと多くのダイバーが夢見る場所だ。

だが、そんな前評判を覆すような問題を抱えていた。

街からある程度の所までを完全に戦闘を禁止しているのにも関わらず、なぜかここには強面が集まるのだ。

完全中立地帯であるのには理由がある。それはこの保養地に隣接している大型フォース同士の抗争が激化しているからだ。少し街から離れ戦闘エリアにいけば見えてくるのは戦闘の爪痕だらけ。今俺達が通ってるところだって、なんとか確保された非戦闘ルートなのだ。

そんな事など露知らず、窓から眺める始めての景色に色めき立つ子供達。

俺だって、こんなので移動しなきゃはしゃいでたかもしれない。

ここは高度限界ギリギリの空の中。

シズクが大枚叩いて買ったミーティア改め、『グリーズ商会専用輸送船』【ウルスス】。

…の底部に付けられた輸送ハンガーに掴まれた戦闘指揮装甲車の中。

今回の仕事仲間である『喧嘩代行屋ベタ』の組員が先回りしてお膳立てしてくれてるとはいえ、流石にこんなので来るとは思ってないだろうなぁ。

 

『野郎共!そろそろ到着するからしっかり捕まってなァ!!』

 

それはノリノリのシズクの声が聞こえる。

今の彼女は正に海賊の女船長となり、今までで1番のご機嫌状態だ。

そのご機嫌な調子を少しでも俺にわけてほしい。

俺は、今日1番のため息をつき着陸に備える。

どんどん高度を下げていく機体は多少の揺れを起こすが、彼女の操作センスなのか思ったほどでは無い。むしろ子供達はなぜか不満気だ。

 

「なんだよぉ…いきなり攻撃されて、落下しねぇのかよぉ」

「ここはドラゴンがでてきて、んでそれに千恵がさらわれんだよ!!」

「こ、こわいこといわないでよぉ…で、でも、いきなりほうりだされるかと、思ってたかも」

 

そんな事になったら俺の腹がぶっ壊れるから勘弁してくれ。

子供達に物騒な想像が現実になった場合、苦労するのは全部俺じゃないか。

そうこうしているうちに、地面が見えてくる。非戦闘エリア内に設けられた着陸ゾーンだ。

装甲車のタイヤがゆっくりと地面に着くのを感じ、やっと安心できた。

車から降りると、上空へ登っていく【ウルスス】が見える。流石にここでは収納できないので、大型専用の格納庫へ向かうとの事であった。

…あるもんなんだな、そんなとこ。流石全てのガンプラで遊べるように設計されてるだけはある。

そんな妙な納得をしていると背後から声がかかる。

 

「お待ちしておりました、八神・グリーズ様。そしてお子様方。私は『喧嘩代行屋ベタ』様の使いのものでございます。今回の依頼に関してのご説明と案内を任されております」

 

そう言って頭を下げてくるのは、いかにも堅気ではなさそうな茶髪の優男。

しかし風貌とは違った如何にもな物腰と雰囲気に少し違和感を感じる。

何より、『ベタ』にこんなやつはいない。

 

「あぁ!失礼しました。私は『ベタ』様に依頼をしていたフォース『ローズ・カルテル』のニコラスと申します。この度は私達の不手際でわざわざご足労、感謝いたします」

 

そう言って右手を出すニコラスに俺はきな臭いもの感じ、目だけで応じてさっさと仕事の話を進めようとしたのだが、その手を握りかえす小さな手が視界に入る。

 

「よ、俺京谷!兄ちゃんヒョロいな!!大丈夫か!」

「ん。茶輔だ。できたらでいいんだけどよぉ。美味い飯屋を教えてくれぇねぇ?」

「………。千恵」

 

うん、ぶち壊しだな!!知ってた!!仲良くしたく無い奴とどーして握手するかな君達は!!

京谷も茶輔ももう少し大人しくできないもんかな、千恵を見習って俺の足にくっついてくれないかな!!!

 

「ははは、よろしくね三人共。どうでしょう。近くに美味しいパスタの店があるんですが、そこで仕事の話、というのは」

 

子供達に笑顔を向ける奴の顔は全く信用ならないが、既にパスタで吊られた子供達のキラキラする目を裏切れる訳もない。

俺達は案内されるまま、車でその店に向かうこととなった。

できればシズクとも相談したかったのだが追い立てられる子供達のせいで、すっかり忘れていた。

 

※※※※

 

「う、うめええええ!!!なんじゃぁあ!こりゃぁぁ!!!!」

「茶輔、もう少しおちついて食べな…」

「あーーーーー!!!京谷が僕のミートボール取ったぁぁ!!!」

「ちょ、まてって!茶輔!!それ俺んだって!!コラァ!!ピザ食うな!!」

 

まぁ、こうなるだろうと予測できたさ。この前5人で行ったファミレスでもう経験済みだよ。

お前らこっちでもそうなのか、そうか。

あ、久しぶりに胃が痛い…。

 

「賑やかですね、いつもこの調子で?」

「あぁ…すまんな騒がしくして。だが、仕事の話はわかった。さっそく取り掛かる」

 

隣のテーブルで大騒ぎしている子供達は一旦無視することにして、目の前男の目を見据える。

格好こそ優男風だが、その目だけは良く知った色がみてとれた。

暴力と金の色だ、現実世界でも良く見たその目に危険を感じるが今は仕事仲間だ。

ある程度は仕方ないことだろう。ダグのオッさんも面倒な依頼をしてきたものだ。

 

「はい。ですがまだ日にちもあります。お願いした輸送トラックの警護は明朝ですし、このレストランの2階に部屋を取ってあります。どうかゆっくり観光してください」

 

そう言って軽やかに笑うニコラスに、子供達が反応した。

彼らにとって砂漠以外のところは全てが始めて、格好の遊び場なのだ。

いまだ口に麺を入れている茶輔以外の二人は、先程手に入れた地図を見ながら探検計画を楽しそうに話す始末。

どっちにしろ、今日は仕事にはならんだろう。

 

「…わかった。心遣いに甘えておくとしよう」

「いえいえ、私達としても『グリーズ商会』とは仲良くしておきたいという下心あってのことです。ここは、おきになさらず」

 

そう言いながら席を立つニコラス。

子供達にも笑顔で挨拶しながら出て行く彼の背中をにらみながら、俺はこれからの事を考えるために目を瞑ろうとした、が。

それは俺の頭に振り下ろされた鉄拳により阻まれる。

 

「やぁぁがぁぁみィィ…アタシに連絡寄越さないで美味いもン食べるたァ。良い度胸じゃァないかィ?」

 

振り向けば、鬼がいた。

星が周りそうな視界の中、憤怒の形相を浮かべるシズク。これは、いかん。

最大の敵は味方にいたのだ。

そして、1番やってはいけない事に気がつく。

それは小学生ぐらいの子供を持つ親が、絶対してはいけない事。

()()()()()()()()()()という愚行。

 

そう。3人共綺麗に居なくなっていたのだ。

 

※※

 

うまかった。すごいうまいメシだった。

あんなうまいものが、世界にあるというのはすごいことだと、俺はおもう。

俺がはじめてたべたのは犬の肉だっけ?

まぁいいや、すんごいまずかったのはおぼえてる。

でも前を歩く2人はどこいくんだ?

リーダーの俺としては、もっとうまいメシが食いたいんだけどなー

ん?向こうから肉の焼けた良い匂いだ!こっちは魚か?!

 

「うーーーーん。俺の腹は何腹だ?!」

 

さっきは、カイセンパスタってのを食べたから、こんどは肉だなにくにくー!!

 

※※

 

いやーー隊長たべんのおせーしなんかムズカシイ話してるしなーツマンネーよ!!

こんな面白そうなトコ、遊ぶに決まってんじゃーん!!

千恵はびびりだし、茶輔はメシのことばーっかりだし!やっぱここはリーダーの俺がしっかりしねぇとなー。

でもおもしれぇ店がいっぱいあんのなー!!銃だらけの店とか、銃だらけの店とか、銃だらけの店とか!!!

銃だらけってかっけーなー!!!そういや昨日のライダーの敵、隊長みてぇで笑えたなー

帰ったらもっかい録画みよーっと。

ん?!なんだあの店!!変な店だ!!ピンクの煙出てやがる!!面白そうだ!!!

 

「オイ!!あの店行ってみようぜ!!!…ってアレ?」

 

うしろにいたはずの2人がいない。

 

なんだよーアイツら迷子かよー。

 

※※

 

あ、あれ…2人ともどこいっちゃったの…?

周りは知らない人だらけで、こ、こわい。すごくこわい。

なんか女の人も男の人も、す、すごいおっきい人ばっかりだよぉ…

で、でも僕はリーダーなんだから頑張らないと、だよね。

2人をたいちょうのところにつれていけば、また。な、なでてもらえるかな。

えへへ。

あ、あのお店なか美味しそうな匂いがしてる!茶輔がいるかもしれないから、い、いってみよう、かな…?

で、ででもお店の前にいる人が怖いから、こ、こっちの京谷がいそうな銃のお店に…あわわ店員さん顔怖いよぉ…。

う…さすけーきょうやーどこー!!

 

※※※※

 

マテマテ、落ち着け、俺。

さっき出ていったばかりだし、そう遠くへは行ってないはずだ

 

「おーい!!、茶浦!京谷!千恵!どこ行ったー?!」

 

人混みをかきわけながら走る。

俺の後ろには少しむくれたシズクがいるが、彼女も少しは反省しているらしくちゃんと探してはくれている。

狭い街だ、すぐにでも見つかるだろう。だが、そんなことが心配なのでは無い。

彼らから目を離すということは、火薬庫で火遊びするのと同義なのだ。

 

ん?!…待ってくれあの騒ぎは、何だ?!

待って待ってMATTE!

なんであっちで煙上がってんの?!

 

アイツらじゃないでくださいお願いだ!!

あああ!アイツらの笑い声の幻聴が!!!

あああああ!!!なんか鍋降ってきてるぞおおおおおお!!!!




京谷「おーーーーーい!お前らーー!!どこだーーー?…はぁ…迷子とかかっこわりーなーもう!!」
茶輔「うまい!!おかわり!!これレシピどうなってんだぁ?!作り方教えやがれぇ!!」
千恵「きょうやぁ…さすけぇ…どこぉ…うわーんたいちょぉーーーー!!」
八神「うおおおおおお!!!!どこだああああああ!!!!!どこにいんだよおおおお?!?!」
シズク「ね八神、あの店行かない?なんか良い服見えたんだけど?」
八神「それどころじゃぁないでしょシズクさーーーーん!」
シズク「もう!次回奮闘記第9話 輸送部隊護衛任務!…ねね八神、たまには2人でデートしない?」
八神「だーーーーかーーーらーーー!!」



※『喧嘩代行屋ベタ』および頭領ダグは友人からお借りしました
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