私のヒーロー   作:読み専S

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遅くなって申し訳ないです。
一話投稿で既に力尽きてました。
久しぶりにマイページを開いたら感想が!!
感想でやる気が出るってホントなんですね。
書き方が落ち着きませんが、大目に見て下さい。
それではどうぞ




思導 歩が退院して一カ月が経過した。

オールマイトもしばらく入院していたが、今は無事ヒーロー活動に戻っている。

歩はまだ、立ち上がれずにいた。

 

義手・義足に慣れるのに時間はかからなかった。

もともと運動能力が高く、義肢の性能も良かったおかげで既に日常生活は何の問題もなく送れている。

だがあの一件以来、ヒーローとしての活動は行なっていない。

 

右腕と左脚から発する念力は生身の時と比べれば弱体化しているが、もともと戦闘を主体として活動するヒーローではない歩にとって、大きな問題ではない筈だった。

 

しかしそれでも、思導 歩が退院して一カ月。

彼女はまだ、自分が守っていた町に戻れずにいた。

 

 

 

退院した歩は、実家で父母の世話になっていた。

"しばらく(うち)に泊まりなさい"

退院した歩を迎えに来てそう言ったのは母親だったが、一緒に来ていた父親が何も言わなかったのは、二人に共通の見解があったからだろう。

義肢は十分に扱えるとはいえ何か問題が起きた時に心配だと母親は言った。

 

それに対して思うところはあったが、結局歩は何も言わなかった。

ーーー今のこの子を一人には出来ない

母親が、本気で自分を心配してくれているのが、その目から伝わって来たからだった。

母親からすれば、今にも死んでしまいそうな顔だったという。

 

実際、母親の危惧はその通りだった。

歩は食事を摂ることすら億劫になっていた。

生きる気力が損なわれていた。

眠りも浅く、ちょっとした物音で起きてしまうようになった。

 

特に酷いのが、退院してから悪夢を見るようになったことだった。

歩が見るのは、あの戦いの記憶だ。

あの場で(ヴィラン)を抑え込むことが出来たのは歩だけだったにも関わらず、力が足りず、次々と仲間が殺されていった。

その無力感が、彼女を苛んでいた。

 

それでも歩は、ヒーローを続けようと思っていた。

続けなければならないと思っていた。

歩の活動していた町は今、復興の真っ最中だった。

地域密着型のヒーローとして、町の人々に支えられながら活動していた彼女だからこそ、いち早く町に戻り復興を手伝わなくてはいけなかった。

 

歩も立ち上がろうとしたのだ。

だがそこで思ってしまった。

ーーー()()()()()()()()()()()()

 

歩は多くの人に支えられていた。

歩が活動出来ていたのは町のみんなのおかげだ。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

一体どんな顔をして戻ればいいのだろうか。

"町は守れませんでしたけどこれからもよろしくお願いします"とでも言えばいいのだろうか。

 

世間話に花を咲かしたおばさんも、

一緒にゴミ拾いをしたおじいさんも、

ヒーロー科を受けると言っていた学生も、

ただヒーローだというだけで目を輝かせていた子供たちも、

 

何一つ守れなかったのに。

 

 

 

歩は家の周りを歩くようになった。

いつまでも部屋の中でぼんやりとしている歩に母親が提案したのだ。

"少しは体を動かさないと復帰する時困るよ"

歩はその言葉に従い、気の向くまま、行く当ても無く歩くようになった。

どこか遠くに行ってしまいたくなっていた。

 

歩が気付いた時には、もう雨が降っていた。

今日は天気が悪いからと母親に持たされていた傘も、開く気にはならなかった。

既に開いても無駄な程ずぶ濡れになっていたから。

そんなになるまで、歩は雨が降っていることに気が付かなかった。

 

雨宿りをするために何気なく逃げ込んだ橋の下で、歩は座り込んで動けなくなっていた。

水を吸った服を絞る気もなかった。

只々寒かった。

歩には、その寒さをどうすることも出来なかった。

 

雨の音が響いていた。

仲間たちの叫び声が聞こえてきた。

体が冷えていた。

(ヴィラン)の怒声が聞こえてきた。

耳を塞いだ。

逃げ惑う人の悲鳴が聞こえてきた。

義肢の付け根が痛んでいた。

 

歩には、その体の震えを、どうすることも出来なかった。




次話投稿も遅くなります。
期待しないで待って下さい。
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