ダンガンロンパExtraWorld 〜砂漠のコロシアイ学園生活〜 作:magone
砂漠で1番多い死因って何か知ってる?
それは『溺死』なんだよ
普段乾燥している砂漠に大雨が降ることによって涸れ川に洪水が起き、それに飲まれて溺死するんだってさ
不思議だよね。小説や映画なんかで砂漠で遭難したシーンを見ると専ら水を欲してるけど、その何よりも欲した水に殺される事もあるんだね
大自然が
ぶっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!
.......まあそれはそれとして〜
学級裁判も後半戦ッ!
疑い合いッ!
ーーーー庇い合いッ!
ーーーーーーーー騙し合いッ!
ーーーーーーーーーーーー信じ合いッ!
繰り返される命のやり取りッ!
今明かされる衝撃の真実ッ!
涙なくして語れない壮絶な過去ッ!
....ってヤツ?
あればいいなぁ
「それで? これからどうするの?」
「そうねぇ。...一度ここでこれまでの裁判を整理するのはどうかしら?」
「それがいいね。何がわかってて、何がわかっていないのかを知るのは大事だわ」
「なら不肖この氏家幕之進がこの裁判のあらましを−」
「私がやるわ」
マオさんの提案でこれまで議論してきた事を整理する事になった。...どうやら平子さんがその役目を受けるようだ(役目を取られた氏家くんは俯いて、あからさまに落ち込んでいた。...ドンマイ)。
「まず小田切くんの死因だけど、それは足立くんの検死結果から分かるように窒息死であると思われる。そしてそれは首の索条痕により絞殺であるとされた。次に動機に関しては舞田くんの証言により、小田切くんに何らかの殺意を抱いた者がいた可能性が示唆されたが、ここで貴志さんが異論を唱える。それは前提条件として小田切くんを殺す事が出来るのかというもの。自身を探偵だと名乗った彼女に従い、議論を進めていき、そこで小田切くんの力の源は彼が装着していた強化アーマーであった事が判明した。そしてその強化アーマーが故障していたと考えられ、彼を殺す事が可能となるという結論に至る。ここまで判明すると貴志さんは自身が探偵と言ったのは嘘だと告白、その理由は発言力を高める為のものであった。その後、小田切くんを絞殺した凶器は頑丈なヒモ状の物とされ、萬屋くんのラペリングロープかもしれないという事になったが、"射出後に自動的に巻き取る"、"代替品はない"などの理由でラペリングロープでの絞殺は不可能と結論付けられた。...多少の省略はあるけど、ここまでが今までの裁判の流れね」
「ありがとう、平子さん」
みんな平子さんの話を納得した様子で聞いていた。でも問題はここからだ。
「でも結局は犯人を見つける糸口すら見つかっていなんすね」
「いやまだまだ議論すべき事はあるよ。諦めず裁判を進めよう」
「とは言っても何を話すべきなのか...。絞殺されたと言っても、その凶器が分からないならこれから何を話しても無駄な気もするけど...」
それもそうだ、凶器が分からない状態じゃそこから犯人を見つけ出す難易度は高い。どうにかして小田切くんを絞殺した凶器を見つけなくちゃいけない。
「もしかしたら僕らが見落としている何かがあるかもしれない。誰でもいいから凶器になりうるものに心当たりはないかな?」
「うーん...ぼくには心当たりはないかな。保健室とかにあった包帯とかはダメなんだよね?」
「首の痕を見る限り、あれは相当硬いものだと思う。極論を言えば、細長い金属のように硬い物が最適解なのだけど...」
「萬屋千歳のラペリングロープならそれに適していたが、仕様上それは不可能という事になった。...とすれば他の事を検討する他ないな」
「検討て言うても...そないなモン他にあらへんがな」
「犯人が隠したのかしらね。だとしたらあたし達にそれを探し当てるのは難しいかもしれないわね...」
「アイツのマフラーも凶器にならないようだしな。ったくよォ!」
マフラーか。そう言えば小田切くんはいつもあの赤いマフラーを巻いていた。ここで最初に会った時も...最期に会った時も......。...ん? でも何でだろう、どうして小田切くんはいつもあのマフラーを巻いていたんだ? 小田切くんのファッションセンスと言えばそれまでだけど、もしかして何か理由があったのかな?
「ねぇ。みんな聞きたいんだけど小田切くんがあのマフラーを外していた所を見た人っているかな?」
「あ? それがこの事件と何か関係あるのか?」
「い、いや少し気になって...」
「気になる事ね...。いいわ答えましょう、クルトくんにはクルトくんなりの考えがあるのでしょ」
そう言ったのは平子さんだ。考えという程の大層なものじゃない。これは違和感。それを解消したいだけのただの僕のエゴだ。例え事件に関係がなくても知らなくちゃいけないものがそれにあると思ったからなんだ。
「私は見てない。みんなはどうかしら? 小田切くんがマフラーを外した瞬間を目撃した人はいるかしら? いたら名乗りでてもらえる?」
「......」
「......」
「......」
答えは沈黙。つまりいないのだ。この中の誰一人小田切くんがマフラーを外した所を見ていない。それが意味する事は.......もしかすると...。
僕の脳裏にはある可能性が浮かんでいた。それが示す事は今まで話していた凶器の存在を否定するものだった。
「......もしかしたら、小田切くんは"絞殺"じゃないのかもしれない」
「あ? 何言ってんだよ、クルト」
「そうですぞ? 小田切氏は窒息死であると足立氏の検死からそう考えられたはず。もしかしてクルークハルト氏は足立氏の検死を疑っておいでなのでは?」
「...そうなの? クルトちゃん?」
「い、いやそれは違うよ! マオさんの検死結果を疑うつもりはないよ!」
「じゃ何だよ? お前は何が言いてんだ!?」
「...小田切くんは絞殺じゃない方法で窒息死したのかもしれない」
「なっ!」
「クルト様、それはつまり、扼殺という事でしょうか?」
「残念だけどそれはないよ。扼殺なら首に手の後が残るだろうし、それに超人的な力がないとはいえ、小田切くんを扼殺する事は困難と思う」
「違うんだ。僕の言いたい事はそう言うことじゃない。小田切くんは−」
「...ガタガタうるせぇぞ」
僕の言葉は六車くんの声によって遮られた。
「小田切は絞殺されたんだよ。それは分かりきってる事だろ!」
「そ、それはまだ断言できないよ」
「何が断言できないだぁ? ふざけんのもいい加減にしろよ」
「小田切が絞殺された事は話し合った結果だろ?お前はまだ小田切に夢見てんのか?」
「夢? どう言う事?」
「お前は小田切が絞殺された事実に目を逸らそうとしてんだ。小田切に心酔するあまり、周りが見えなくなってんだよ!」
「そ、そんな事はないよ! 僕だって小田切くんが死んだ事実を受け止めてるよ」
「どうだかな。現に小田切が絞殺されたことを示す証拠には目を瞑ってるようだが?」
「証拠? それは一体なに?」
「一々言わなきゃいけねーのかよ。...いいだろう、言ってやるよ。それはな、小田切の首に残っていた索条痕って奴だよ!」
ここだっ!
小田切のマフラー−論破→索条痕
「その言葉、斬らせてもらうよ!」
「いや必ずしも断言できないはずだよ。だって小田切くんはいつもあの赤いマフラーを巻いていたから、僕らは小田切くんの素の首を見ていないよね?」
「あ? それがどうしたんだよ」
「もしかしたら小田切くんの首の痕は最初からあったのかもしれないって事だよ」
「なんだと!?」
小田切くんはここに来る以前は、僕みたいな人を助ける活動していた。だとしたらその過程で負った傷だとすれば全て納得がいく...。小田切くんがそれを隠していたのは、多分ヒーローだったからだ。ヒーローとして、敵である犯罪者に隙を見せない為に隠していたんだ。もっと言うと僕らに不安を抱かせない為もあったかもしれない...。だから小田切くんはあのマフラーを絶対に外さなかったんだ...。
「...なるほど、小田切くんの首の索条痕は殺害された時のものではなく、おそらくここに来る前に付けられたものだと仮定すれば、必ずしも絞殺とは言えないって訳ね」
「...首の痕を人目に晒さない為にマフラーを着けていたって事か...」
「それなら納得がいくね」
「な、ならよう、小田切は何で窒息死したんだ?」
「それは多分...」
小田切くんが殺された状況を鑑みるに、おそらく小田切くんが窒息死した原因は...あれしかない。
「砂漠の砂。あれなら小田切くんを窒息死させられるんじゃないかな?」
「す、砂やて!? そんなんで人が殺せるんか?」
「...確かに、あり得ない話じゃないわ。世の中には砂で窒息死した事件、事故なんて山ほどあるのよ」
「でもよう、それをやるには大きな穴を掘る必要があんじゃねぇか? 俺が見た限りうつ伏せになっていた小田切が少し砂に埋もれていただけだったと思うが?」
「電皇の顔だけ砂に埋めて、上から押さえつけたら窒息死するかもしれないよー?」
「そんな事ができるのは鮫島しかいないな」
「わ、わしはほがな事しとらんぜよっ!」
「鮫島くんに可能なのは事実だけど、少し無理矢理過ぎるわ。他の可能性も検討しないと」
「他の可能性って?」
「例えばあの遺体、何か気になる所があるか探ってみるのよ」
気になる所か。小田切くんの遺体で不自然な箇所が何かあったか、それを探すんだ。
モノクマファイル1
小田切のマフラー
バックパック←
これしかない!
「小田切くんが背負っていたバックパック。あれって普通なら考えられないおかしな点があったよね?」
「おかしな点?」
「バックパックの中身に注目してほしいんだけど...1.5ℓのペットボトルが12本、非常食が3個、タオル3枚ってあるけど、みんなはおかしいと思わない?」
「おかしい所と言えばやっぱり12本のペットボトルだよね?」
「その通りだよ。水が満タンに入ったペットボトルが12本。これから砂漠を歩いて行こうっていうのに、こんなにあったら重くてまともに動けないよ」
「いやでも電皇ちゃんならそれぐらい...って、あっ!」
「なるほどね、私たちが当初思っていた超人的に強い小田切くんなら可能であると思われていたけど、普通の人間である事が判明した今となってはその量は不自然極まりないという訳だな」
「ならどうしてバックパックにそんなにペットボトルが?」
「...
「犯人がどうしてそんな事をしたんだ?」
「それをこれから解き明かしていくのよ。そうすれば今度こそ犯人に繋がる手掛かりになるかもしれない」
「よし! じゃあそれについて議論するっすよ!」
平子さんの言う通りだ。犯人の手掛かりを得るためにはこんな所で立ち止まってはいられない。どんな些細なことでも聞き逃してはいけない。そう思い、僕はみんなの議論に耳を傾けるんだ。
「小田切氏の背負っていたバックパック...ずばり犯人の小細工に違いありますまい!」
「それを今から議論するっすよ...」
「主は多分こう言っている。この事件の犯人には悪魔が取り憑いている。今名乗り出れば、私の正拳突きだけで勘弁してやる、とな」
「それで名乗り出れば苦労はないっすよ」
「そうねぇ。気になる事と言えば、あのペットボトルの中身はどこから補充したのかしら?」
「そりゃあっこやろ? 宿舎の一階にあるウォーターサーバーやろ?」
「そんな事は分かりきってるっすよ! てゆうかどうして私がツッコミ役に回ってるっすかぁ!」
聞き逃さないよっ!
ウォーターサーバー−論破→ウォーターサーバーやろ?
「それは違うよッ!」
「ペットボトルの中身が全部ウォーターサーバーから調達したとは思えないよ」
「なんでや? クルト」
「あのね。僕は小田切くんが砂漠越えの準備していたあの日の夜にウォーターサーバーの前で話しているんだ。その時は確かに小田切くんがウォーターサーバーからペットボトルに水を入れていた、でもその時は2本ぐらいしか持っていなかった」
「それがどうしたんや? クルトと別れたら後にもう何回か入れに来たかもしれへんやろ?」
「それはないよ。僕は事件前と事件後のウォーターサーバーの水量を覚えていたんだけど何も変わっていなかったんだ」
「ならクルトと会う前に入れたって事は考えられへんか?」
「それもないと思うよ。バックパックに入っていた水の量ならウォーターサーバーが恐らく空に近くなってるはず。でもそんな事にはなっていなかった」
「なら他の水はどこから持って来たんや?」
「それなら、多分...グラウンドに併設されてる水飲み場だと思うよ」
「水飲み場か」
「あれなら砂漠にも近いし、すぐに運べるね」
「そ、そうか」
でもこれじゃあ、犯人に繋がる手掛かりにはならない。もっと、もっと、見つけないと...
「それならなしてそないな事したんや? 犯人はどうしてバックパックの中身を増やさなあかんかったんや?」
「それは.......」
現時点では何故バックパックの中身を増やした理由はまだわからない。でもこれは小田切くんの死因に関係しているとしか思えない。無駄ではなかったはず。そう信じてる。
「わかっていないようね。なら保留にして、他に気になる所を探していきましょう」
「他と言ってもねぇ」
「...気になる所と言えば一つだけ...」
「ん? それは何だ? 萬屋」
「...僕が気になったのは、あの砂山だよ...」
すっかり落ち着きを取り戻した萬屋くんがそう答えた。砂山。おそらく外扉の両サイドに盛られていたあの砂山の事だろう。
「砂山か。...よし、なら次の議題は砂山にしよう」
あの砂山は確か小田切くんの真隣にも盛られていた。だとしたらここに何か秘密が隠されているのかもしれない。そう思い僕は再び耳を傾ける。
「まずその砂山って何のことか教えて」
「...うん。まず砂山って言うのは外扉の両脇に盛られていたものの事を言っているんだ...」
「それならあたしも見たわ。二つとも似たような形に盛られいたわよね」
「...僕が気になったのはそれだよ。事件前、その砂山は本当に対照的だったんだ。でも事件後はそれが非対称的になっていたんだ...」
「なるほど確かに不思議ね。意図的な何かを感じる」
「犯人がやったとしか考えられないっすね」
「だとしても犯人がどうすればああなったのか...うーん」
「普通に倒したんじゃない?」
それだッ!
非対称的な砂山−賛成→普通に倒したんじゃない?
「そうかもしれない」
「繭住さんの言う通り。あれは砂山を倒したからそうなったんだ」
「それはつまり...どうゆう事だ?」
「つまり、うつ伏せに倒した小田切くんの上に崩した砂山の砂で覆う事で窒息させたんだよ」
「砂山を崩したから事件前は対照的だった砂山が事件後には非対称的になっていたんだね」
うん、これなら辻褄が合う。現にあの砂山は僕の身長を優に超えるほどの高さだった。あれを崩せば小田切くんを覆う事が出来るはずだ。
「でも流石に無理矢理すぎないか? 崩れた砂山に埋もれたからって都合よく窒息するものなのか? 暴れられて振り払われたらそこで終わりだぞ?」
当然の疑問だ。小田切くんのようにガタイがいい人なら尚更だ。でも犯人はそれも考慮に入れていたんだ。ここでさっきした議論の答えが役立つはず。
「いやそれも大丈夫なはずだよ。死んでいた小田切くんの格好を思い出してみて。大きなバックパックを背負っていたよね?」
「なるほど、あのバックパックのせいでまともに身動きは取れなかった。加えて彼はうつ伏せだった、あの状態から立ち上がるには腕や足の関節を曲げる必要があるが、バックパックが重すぎるせいでそれも叶わない。小田切を殺害できるという訳か」
「そっか! だから殺害された当日に砂漠に出た私とクルトは小田切の死体を発見できなかったんだ!」
「うん、そうだと思う。砂で隠れていたから見つけられなかったんだ」
僕と繭住さんがハサミを探しに砂漠へ出たあの時、小田切くんは僕らの近くで死んでいたんだ...。死亡時刻から見て助けることは不可能だったと思うが、それでも悔やまれる。一分一秒でも早くあの暑い砂から出してあげたかった......。
「ちょっと待ってくれる? それだと何であなた達は彼の遺体を発見できたのかしら? 隠れていたなら掘り返さない限り見つからなかったはず。でも見つけた。それはどうして?」
貴志さんの疑問も尤もだ。でも多分僕はその答えを知っている。それはきっとアレのせいだ。
砂嵐←
それとこれだ。
クリーン装置←
「小田切くんの遺体を見つけられたのは、"クリーン装置"のおかげなんだ」
「クリーン装置とな?」
「もしかして、あのバカでかい扇風機の事か?」
「そう、あの扇風機の事だよ。モノクマに教えてもらったんだけど、あれは"砂嵐"の後に外扉の前に積もった砂を風圧で払う為に稼働するようなんだ。多分それで完全に埋もれていた小田切くんの遺体を露わにしたんだ、と思う」
「そう考えると、あの両脇に盛られた砂山もそのクリーン装置が稼働した結果生じた副産物のようなものだったんだろうな。だからあの二つの砂山は対照的になっていたと...」
「...納得してくれたかな?」
「...そうね。矛盾は、まあないし、小田切くんが砂で窒息した線で考えていく他ないようね」
「みんなもそれでいいかな?」
そう聞くとみんな静かに頷いた。小田切くんは砂で殺された。...どうして、僕らを救おうとしてくれた小田切くんをそんな酷い殺し方で...そんなに小田切くんを殺したかった理由って一体......。いや今考えるべきはそれじゃない。まだまだ解かなきゃいけない事がある。
「それなら電皇ちゃんは何かで気絶させられた後にさっきの方法で窒息されたのね...」
「どうやらそう考えるしかないようですね」
「気絶...小田切くんを気絶させた原因ってモノクマファイルに書いていた"前頭部の打撃痕の事で間違いないわよね?」
「打撃痕が死因でなけりゃ、まあそうなるだろうな」
「なら犯人は限られてるんじゃない?」
「あ? それは誰だよ、貴志」
「それはやっぱり、鮫島くんと鬼頭さんと...それとあなたよ、六車くん」
「あ゛? はああああああぁぁぁぁぁぁああああ??」
「ちょっと待ってよ。
「誰がバカだとッ!? コラァ!!」
「わ、わしもやっとらんぜよ! 小田切を殺してなんかないきっ!」
「貴志さん、理由を教えてくれるかしら? どうしてその3人?」
「...まず小田切くんは前頭部に打撃痕を受けていた。それはつまり小田切くんは正面から攻撃を受けたことになる。なら犯人は少なからず腕に自信がある人物。そしてそれに該当するのは初日にエグイサルに立ち向かった鮫島くん達3人が一番高いと思ったからよ」
「ふざけんな! 俺はただこんなとこから一刻も早く抜け出したかっただけだッ! そんなことで犯人にされてたまるかよッ!」
「わ、わしは小田切が助けてくれた事に感謝しとる。そんな小田切を殺すなんて非道、わしには出来んぜよ...」
「私は救済目的以外でこの
「俺は犯人じゃねぇ!!」
「わしは犯人じゃないぜよ!」
「私は犯人などではない」
まずい。3人がそれぞれ自分の身の潔白を主張しそうだ。聞き逃さないように注意深く聞かないと...。
※パニック議論は3人が3人とも無罪を主張するので、会話が3つございます。
(例)
A1「」
B1「」
C1「」
A2「」
B2「」
C2「」
...このように続いていき、A1はA2に会話が進み、B1はB2に会話が繋がるようになっています。また同じ人物が連続で話す場合もございます。以上が大まかな説明となります。
六車「俺は犯人じゃねぇ!!」
鮫島「わしは犯人じゃないぜよ!」
鬼頭「私は犯人などではない」
六車「だいたい証拠もねぇだろ!」
足立「気持ちはわかるけどねぇ...」
鬼頭「そんな事をしても意味はない」
平子「証拠はないが、怪しいのは事実だ」
鮫島「信じてくれっ! わしは犯人じゃないぜよ!」
萬屋「...でも武器がある...」
平子「他に小田切くんを気絶させる方法を−」
繭住「なら無実を証明できる?」
萬屋「...それで殴打したのかも.,. 」
平子「提示しくれるかしら?」
鮫島「それはその...そうですね...」
鬼頭「これはそのような用途で使用するものではない。これは−」
六車「提示つっても...そうだ! 小田切は−」
鮫島「...はい。できませんです」
萬屋「...これは...?」
六車「転んで扉に頭をぶつけたんだ!」
繭住「簡単に諦めんじゃないよ! 男ならもっと足掻いてみせな!」
鬼頭「神聖なるエクソシズムに使う装具だ!」
聞こえた!
外扉の凹み−賛成→扉に頭をぶつけんだ!
「六車くんの言う通りかもしれない」
「小田切くんはもしかしたら扉に頭をぶつけて気絶したのかもしれない。現にあの外扉の内側に小さな凹みがあった、あれは小田切くんが頭をぶつけた証拠になるんじゃないかな?」
「まじか。自分で言ったことだが、転んで扉に頭をぶつけたなんて信じらんねーんだが...」
「クルトくんは本当にそう思うの? 転んで頭をぶつけたって」
「転んで、とは思ってないよ。ただ小田切くんが扉に頭をぶつけて気絶した可能性があるんだ、そうだよね赤星さん?」
「ぼ、ぼく?」
名指しされた赤星さんは顔をきょとんとさせていたけど、彼女なら何か知っているはずなんだ。あんな出来事があったんだから。
気絶した赤星←
これだ。
「赤星さんは確かあの内扉と外扉の間にある小さな通路の中で捜査していたよね? 外扉の凹みだって赤星さんが見つけた訳だし」
「う、うん。萌華と祈里と一緒にね。クルトと藍子ととも少し喋ったよね」
「その直後なんだけど、外扉の凹みを捜査していた赤星さんは急に気絶したよね?」
「あ、そうそう! びっくりしたよー! 凹みを見ていたら急に扉が勢いよく閉まったんだよー!」
「急に扉が?」
「砂漠にいた誰かが蹴飛ばしたんじゃないの?」
「いやそれはない。あの時砂漠にいた全員は扉の位置から離れていたと記憶している。誰かが外から蹴飛ばす事なんて出来ないはずだ」
「だったらアレは何だったのー?」
「それがわからないんだ。だからそれをみんなで考えてほしいんだ」
「赤星衛が気絶した理由...か」
この謎が分かれば、鮫島くん達が犯人とは必ずしも言えなくなるはず。答えを見つけるんだ。
「赤星さんが何故気絶したのか、それを議論すればいいのね」
「赤星女史はその時の事は覚えておいでですかな?」
「気絶した時は、確かー、んー、クルト達と話した直後だったね」
「私と勅使河原さんは直前まで赤星さんと一緒に捜査していたわ。特に何もしていないわ」
「本当っすか? 本当に何もしてないんすか?」
「本当に何もしてないわ」
「私も分からないわ。あの時は寝るために部屋に帰ろうと内扉を開けただけよ」
「こんな時まで寝ようとしていたんすね...」
ん? もしかして"あの事"が原因なのか?
砂漠への扉−賛成→内扉を開けた
「これかもしれない」
「勅使河原さんは赤星さんが気絶する直前に内扉を開けていた。もしかしたらこの事が原因かもしれない」
「私が内扉を開けたから赤星衛が外扉に頭をぶつけて気絶したと、君はそう言いたいのか?」
「う、うん。あのね、あの砂漠へ続く扉の仕様を思い出してほしいんだけど。あれって内扉と外扉があって中にある小さな通路に入って内扉を閉めないと外扉が開かない仕組みだったよね?」
「はい。確かにそのように記憶しております」
「だったら反対は? 砂漠から学園へ帰る時って中から入るのと同じようにしなきゃ入れなかった?」
「まあ一応出る時も入る時も同じような手順を踏んだと思うけど...。開かないと困るし」
「僕もそう思っていた。きっと開かないから同じようにしなきゃって...でもさっきの勅使河原さんの話はそれと反するものだったよね」
「あ! 勅使河原はさっき外扉が開いていたにも関わらず内扉を開けていたね!」
「そう、開いたんだ。それでその直後外扉は勢いよく閉まった。この意味わかる?」
「つまり、この"砂漠へ続く扉"は出る時は内扉を閉めないと外扉は開かないけど、入る時は外扉を閉める必要なく内扉は開く、その代わりに外扉は当たれば気絶するくらいのスピードで勢いよく閉まってしまう。こうゆう事だったのね」
「うん。そうだと思う」
「なるほどね。私が内扉を開けたばっかりに赤星衛に傷を負わせてしまった訳か。赤星衛、すまなかったな」
「祈里は悪くないよー! 悪いのはこんな仕様にしたモノクマなんだから!」
「ムキー! これは学園に砂漠の砂が入らないように設計されているんだよ! オマエラの為を思ってね!」
「私たちの事を思うなら早く家に帰してほしいっす!」
「それはそれッ! これはこれだよッ! オマエラの健やかなコロシアイ生活の為にボクだって環境作りを頑張ってるんだから感謝してほしいよ!」
謎理論を展開しているモノクマは無視していい。それより今は議論を進めることだ。
「これで小田切を殺した方法まではわかった訳だ」
「でもここまで来ても容疑者は桐崎さんと古畑さん以外の全員...まだまだ先は長そうね」
「そうねぇ。いくら犯行がわかっても今までの議論では犯人に繋がるようなモノはなかったわね」
「.......」
小田切くんを殺せることはわかった。凶器もわかった。犯行もわかった。でも未だに犯人を示す証拠がない。どうしたら...これから一体何を議論すればいいんだ? 他に...何か...。
「.......ここまで来てすまないが、言ってもいいか?」
「何? 鬼頭さん?」
鬼頭さんはいつもの流し目で辺りを見回しつつ、喋り出した。
「ペットボトルとは、何だ?」
「は?」
それはどうゆう意味を含んだ言葉なんだ? まさかペットボトル自体を知らないって事じゃないと思うけど...。そんな事を思っているといつも鬼頭さんに食ってかかっている六車くんが口を開いた。
「テメェふざけてんのかぁ? ペットボトルとは何だ、だと? お前はペットボトルもしらねぇのか? 悪魔が取り憑いてんのは、テメェの頭かぁ?」
「...はあ。六車の悪魔は後に祓うとして、私が言いたいのはそういう事ではない。ペットボトルとはこの学園のどこにあったか、という事だ」
「それはあたしも不思議に思っていたわ。あたしの知る限りどこにもそんなものはなかった。一体どこから持ってきたのかしらね」
「それなら知ってる人を知っているよ」
「それは誰なの?」
ペットボトルの存在を知っていた人物、あの人の証言が証拠になるかも。
舞田の証言
古畑の証言←
モノクマの証言
これだ!
「古畑さんなら知ってるよね? 操作の時に僕に教えてくれたし」
「私すか? そうすっすね、はい! 知ってるっすよ!」
「それをみんなの前でもう一度言ってほしいんだ。頼めるかな?」
「え? あの出来事をこんな公然で? 羞恥プレイか何かすか?」
「じ、重要なのはそれじゃないよ。ペットボトルの件だよ!」
「何だ、てっきり貴志さんと組んず解れずした百合百合展開を話せとばかり...」
「誰と誰が百合って?」
「あのその話kwsk聞きたいのですが? 小生にだけでもお教え願えますかな?」
「ああ! 話が脱線するじゃない! 古畑、無視して話して」
「わ、わかったすよ。えーと、結論を言えばペットボトルは倉庫にあったっす。でも少し見つけにくい、て言うか隠されていたように置かれていたので、倉庫を隈なく探した私たち一階探索組以外のみんなは知らなくてもしょうがないっすね」
「そうか。倉庫にあったのか。手間を取らせて悪いな」
「いえいえ大丈夫っすよ。...ああそう言えばあのペットボトルって小田切くんの他に犯人も持っていったんすよね?」
「え?」
「だってそうじゃないすか? 小田切くんのバックパックを重くするには前もって水を入れたペットボトルを用意しておく必要があるっすよね? だから犯人もそのペットボトルの存在を知っていたって事にならないっすか?」
確かにその通りだ。水の入ったペットボトルを用意しておくには、倉庫にあるペットボトルを持ってこなくちゃいけない。だとしたら犯人は......まさか...?
「......」
「ん? 何?」
僕はそう思った人物の顔を見た。その人物は僕の視線に気付き、喋りかけてきた。言うしかない......その人物を犯人だと。しかし合っているのか? もし違っていたら......いやそう考えるのは後でいい。僕はその人物の目を見つめながら辿り着いた答えを告げたのだ。
「貴志さん...犯人は君じゃない?」
「......何?」
彼女は静かに僕を見つめて問いかける。ただ一言"何?"とだけ.......。
「え?」
「萌華が...犯人?」
「クルト! それはホンマか! ホンマに貴志ちゃんが犯人なんか?」
「勿論違うわ。私は犯人じゃない。何を勘違いしてるの? クルトくん?」
「いや勘違いじゃないよ。さっきの古畑さんの話を聞いて思ったんだ。水の入ったペットボトルを予め用意できるのは、そのペットボトルの存在を知っていた人物。それは、この学園を探索をする組み分けで一階探索組にいた小田切くん、古畑さん、赤星さん、それと貴志さん、君たちだけなんだ」
「だったら何故私になるの? 古畑さんや赤星さんだっているじゃない?」
「忘れたの? 古畑さんにはどうやっても小田切くんを殺せないアリバイがあるんだよ? それに赤星さんはあの扉の仕組みを知らなかった、だからあんな無用心に外扉に顔を近づけていたんだ。それに貴志さんはあの時こう言っていたよね?」
勅使河原さんが内扉を少し開けた。その時だった。
「ちょ、待っ−」
「え?」
「ドガーンッ!」
「うぎゃらぁぁぁぁぁあああああ!!」
「な、何!?」
「あ、赤星!」
なんと外扉が勢いよく閉まり、その鉄の扉が赤星さんを襲った。気付いたら赤星さんは僕の足下で目を回して倒れていた。
「この時、貴志さんは『ちょっと待って』って言おうとしたんじゃない? それは扉の仕組みに気付いてから勅使河原さんを止めようとしていたから。違う? 貴志さん?」
「...違うわ。あれは勅使河原さんが捜査中にも関わらずに事もあろうに自室に帰って寝るなんて言い出したから止めようとしただけよ」
「なあ、クルト...本当に貴志ちゃんなんか? だってよ、貴志ちゃんは小田切の真実を俺たちに教えてくれたんやで? 犯人ならそんな事せんと思うねんけど」
「そうよ。私は犯人じゃない。だからそんな疑いはやめて。時間の無駄よ」
「でも! 一階を探索した人たちの中で一番怪しいのは貴志さんなんだ! 違うなら何か証拠を出してみてよ! 探偵を騙って進行を奪う事ができるほどの聡明な貴志さんならできるはずだよ!」
「...いいわ。言ってあげる。ただ小田切くんの真実も私抜きじゃ辿り着けなかったクルトくんに私を論破する事なんてできるのかしら」
貴志さんが犯人...いやまだ確信はない、でも貴志さんが怪しいのも事実だ。違うなら違うで構わない。僕の推理が間違っていたって、そう言ってくれても構わない。だけど今は彼女と言葉を交わす他議論を進める手段はないんだ。
「クルトくんは私をどうしても犯人にしたいようだけど、私が犯人なら小田切くんの真実を晒すような真似はしないわ」
「それは...多分犯人と言われる事を避ける為だよ」
「それなら赤星さんだってそうじゃない? 扉の仕組みを知らないフリをしてわざと気絶したとも考えられれじゃない」
「あれがわざと? 一歩間違えば大怪我になるのに?」
「それほど覚悟を決めていたってこともあるでしょ? あなたの推理は穴だらけなのよ。私が犯人というなら私にしか当てはまらない証拠を出しなさいよ!」
その言葉切るよ!
置き手紙−論破→証拠
「これがその証拠だよっ!」
「置き手紙。みんなこれを覚えてる?」
僕は自分の部屋から持ってきた小田切くんが書いたとされる置き手紙をポケットから出すと、みんなに見えるように広げた。
「それは小田切氏が書いたと思しき書き置きですな。うむ。覚えていますとも!」
「これは、僕と古畑さんと桐崎さんで食堂のテーブルに置いてあるのを見つけたんだ」
「あ、でもそれってどっちが置いたの? 小田切? それとも犯人?」
「もちろん犯人だよ。だってこれを発見したのは小田切くんが死んだ時間より後なんだ。それより前に置かれていたなら桐崎さん達が気付いたはず。だから多分桐崎さんと古畑さんがキッチンで朝ご飯を作っている隙に犯人が置いたんだと思う」
「確かにキッチンにいた私たち二人は食堂に誰か入ってきても気付かないかもしれないっすね」
「だからこれは犯人が置いたもので間違いないんだ」
「それがどうしたのよ! だからって私が犯人とは言えないはずよ!」
貴志さんから余裕のオーラが消えていくのがわかる。探偵だと言っていたあの頃の貴志さんの印象が薄れていくのを感じる。それでも僕は歩みを止める訳にはいかない。僕だけじゃない、みんなの命も懸かってるんだからっ!
「いや言えるよ。だってこの手紙は、白い紙に黒いボールペンで書かれたものなんだ」
「それがどうしたのよ...」
「貴志さん、君は確かボールペンを持っていたよね?」
「...うっ!」
「確かに見たわ。小田切くんに貸してと頼まれた貴志さんがポケットからボールペンを取り出す所を」
「ちょっと待ってよ? ボールペンを持っていたから犯人にするの? おかしいってそんなの! 第一この学園にだって探せばボールペンの一本や二本ぐらいあるはずよ! それとも何? クルトくんはこの学園の隅から隅まで見たの? どこにもボールペンはなかったの?」
「そ、それは...」
学園の隅から隅まで見たのかと聞かれたら、そんな事はない。まさかこんな所でボールペンが鍵になるなんて思ってみなかったから...どうすれば...。
「ないわよ」
え?
「え? 今なんて言ったの? 平子さん?」
平子さん?
「ないって言ったのよ。この学園のどこにもボールペンはない。宿舎、食堂、保健室、教室、売店......倉庫を除く全ての場所は調べ尽くしたわ。でもそんなものはどこにもなかったわ」
「嘘よ...そんな訳...」
「こんな局面で嘘なんて言わないわよ。それとも何? 私が嘘を言ってる根拠でもあるのかしら?」
「......」
「平子さん...ありがとう」
「そんな事言ってる場合じゃないわよ? クルトくん」
「え?」
平子さんに助けられたのも束の間、貴志さんが再び反論したのだ。
「まだよ...。まだ終わってないっ! 桐崎さんだってボールペンを持っているじゃない! 私だけが怪しいなんて言えないはずよ!」
「はい。確かにわたくしはボールペンを所持しています。それに関して反論はございません」
「それ見なさい! まだ私は負けてない! 私は犯人じゃない!」
「き、貴志さん...」
苦し紛れ。今の貴志さんは明らかに冷静さを欠いている。そんな反論ではここにいるみんなを動かすことなんてできないのに...。
「...クルトくん、この裁判はあなたの手で幕を引いてくれる?」
「平子さん...?」
「ここまで辿り着いたのは、あなたの功績が大きい、だったらこの裁判はあなたが終わらす権利がある」
「僕が...」
「そう。小田切くんの死と必死に向き合い、もがき、勝ち取った真実よ。あなたが貴志さんの最後の反論を打ち砕くのよ」
最後の反論を打ち砕く。僕に出来るだろうか...いややるしかない。ここまで来たんだ。彼女が犯人だと認めてくれれば、小田切くんが殺された理由もわかる。なんとしても勝たなければいけない。決意を新たに僕は彼女と対峙する。これが最後の議論と信じて......。
「まだよ! まだ終わってないわ!」
「桐崎さんが犯人かもしれないでしょ?」
「何らかの方法でアリバイを作って」
「小田切くんを殺したかもしれないでしょ!」
「だから私が犯人とは必ずしも言えない!」
「クルトくんならわかるでしょ?」
貴志さんの言い分は既に破綻している。桐崎さんのアリバイは完璧、覆しようもない程に。自分で気付いていないのか? それとも演技か? ...どちらにしてもこれ以上はもう......終わりにするんだ.......。
「あの手紙は私が置いたんじゃない」
「信じてよ」
「私はやってない...」
「私が小田切くんを殺すなんて...」
「そんな事あるわけ...」
「ねぇ、信じてよ」
「私じゃないのよ」
「ボールペンの件だって」
「私のじゃなくて、桐崎さんの物なのよ!」
ここだ。ここで彼女にトドメを刺すんだ。
彼女の最後の矛盾を撃ち抜く。これで今までの議論に決着をつけるんだ!
『消えるボールペン』
「これで終わりだっ!」
「消える...ボールペン?」
「そうだよ。桐崎さんのボールペンは普通のボールペンとは違う、書いた文字を消せる代物なんだ。そうだよね、桐崎さん」
「...はい、その通りでございます。わたくしが所持しているボールペンはいずれもそのような細工が施されております。構造としてはこのボールペンで書いた文字を後ろの消しゴムのような物で摩擦により消す事を可能としたものです。ただし、これはあくまでもこのボールペンで書いた文字のみで他のボールペンで書かれた文字についてはその範疇ではありません」
桐崎さんはそう言うと、胸ポケットからボールペンを取り出してみせた。
「ありがとう、桐崎さん。...つまりこの置き手紙がこのボールペンで書かれたものだとすれば、このボールペンの後ろの部分で消す事ができるはずなんだ。...桐崎さん、そのペン借りてもいい?」
「はい」
僕はちょうど隣にいた桐崎さんから手渡しでボールペンを受け取ると、みんなに見えるように置き手紙とボールペンを前に突き出した。
「今から、この置き手紙の文字をこのボールペンで消えるか、消えないかを調べる。これで消えたら僕の推理が間違っていたという事でみんなには合わせる顔がない。...でももしこの文字が消えなかった、その時は、貴志さん...罪を認めてくれる?」
僕は置き手紙の文字を消そうとボールペンを近付けた。
「...認めるよ」
そう呟いた彼女を見て、僕の手は止まってしまった。
「認めるって嘘やろ...ホンマに貴志ちゃんが...」
「信じられないわ。彼女自身も言っていたけど、電皇ちゃんの真実を知れたのも彼女の功績が大きいはずよ。どうしてそんな矛盾した事をしたの?」
「それは貴志萌華にしかわからない。彼女から直接聞く他ないだろう。しかしその前にやるべき事がある。クルト・L・クルークハルトよ、この事件の流れを最初から振り返ってみてくれないか?」
「僕が?」
「君が適任だと判断した。嫌なら平子華月か、まあ私でもいいが、どうする?」
「...いややるよ。最後までやり通す。それが僕の責任だと思う」
「...そうか。なら頼むよ」
ACT.1
事の発端は最初にここに来た日に小田切くんが僕たちをエグイサルから守った事から始まっていたんだ。この時、小田切くんは僕たちを守る事と引き換えに力の源である自身の両手両足に装着するアーマーを全て犠牲にしてしまったんだ。力を失った小田切くんはそれでもなお僕たちの希望であり続けようとしてくれていた。.......しかしその孤独な決意が犯人に利用される事になってしまったんだ。
ACT.2
犯人は何らかの方法で小田切くんの秘密を知った。もしかしたらここに来る前から知っていたのかもしれない。小田切くんは砂漠越えの準備の為に萬屋くんと相談してバックパックや非常食等を用意していた。そして翌日の早朝、小田切くんは砂漠へ通ずる扉に向かったんだ。そこで犯人は扉の開閉方法を利用して小田切くんを気絶させた。頭の傷はこの時負ったものだと思う。
ACT.3
気絶させた小田切くんを砂漠へ出し、砂山の下にうつ伏せに寝かせた。その後、予め用意していた水の入った10本の1.5ℓペットボトルを小田切くんが背負っていたバックパックへ入れた。次に小田切くんのマフラーを取った。これは首の古傷を露わにして絞殺による殺害であると誤認させる為だった。もっと言うと絞殺の犯行が可能だった萬屋くんに罪をなすり付けるものだったと思う。準備が整った犯人は小田切くんに向けて砂山を崩した。バックパックのせいで身動きが取れなくなった小田切くんは砂に埋もれる事になり、そのまま窒息死したんだ...。
ACT.4
犯人は小田切くんを殺した後、紙に自身のボールペンで小田切くんが書いたと見せかける手紙を書き、それを食堂のテーブルに置いた。最終的にその手紙が犯人を確定する証拠になったんだ。小田切くんがいなくなった後、僕たちは全員で砂漠に行ったけど小田切くんの遺体は見つけられなかった。それもそのはず、小田切くんの遺体は砂に埋もれていたからなんだ。僕たちは砂嵐が来ると学園へ戻り、翌日まで砂漠には出なかった。翌日になって遺体は僕、繭住さん、萬屋くんの3人に発見された。なぜ見つかったのかは、砂嵐の後に稼働するクリーン装置が原因だった。クリーン装置の風が砂を払いのけ、小田切くんの死体を露わにしたんだ。その後、犯人は何食わぬ顔をして砂漠に現れた。
「これがこの事件の全容だよ。そしてこの事件の犯人はーー」
僕は一呼吸を置いて、犯人の名前を呼んだ...。
「貴志萌華さん、君なんだ」
そう言われた貴志さんの顔には、先程の焦りの色は見えず、ただこの結果を受け入れているような表情をしていた。
「...正解よ」
その言葉はこの学級裁判の終わりを示す言葉だった。
「.......まじかよ」
「信じられない。萌華ちゃんが犯人なんて...」
「信じられなくてもこれが真実よ。彼女は理由はどうあれ小田切くんを殺した。そしてあわよくば私たちを欺き、犠牲にした上でここから悠々と出るつもりだったのよ。...所詮人なんてそんなものよ」
「......違う。私は.......ただ.......」
「ハイハイハーイッ! そこまで! それから先は投票を終わってからしてちょーだいなッ!」
モノクマはそう高らかに裁判終了のお知らせを叫んだ。直後、目の前のモニターには、死んだ小田切くんを含んだ16人のイメージイラストが並んでいた。クロと思われる人物を押せという事なのだろう。
「それではオマエラ、お手元の投票画面で小田切クンを殺したと思う生徒に投票してください! 一番得票数の多かった人物がオマエラの導き出した答えになります! さあ、それじゃあちゃっちゃと押しちゃってくださいな!」
投票画面をよく見ると小田切くんのイラストはモノクロ写真のようになっている。脱落したという意味か。これを自分たちの手でもう一つ増やせというのだから酷な話だ。強制させられているとはいえ仲間を処刑台に送るような真似をしなければいけないなんて、モノクマはどこまで悪魔なんだ...。
「うぷぷ。投票が終わったようですね。それではさっそく結果発表と参りましょう!」
モノクマがそう言うと頭上から大きなモニターが現れていた。そこに映し出されたのは投票結果。最多得票数15票を獲得したのはやはり貴志さんだった。
「投票の結果、クロになるのは誰か!? その答えは正解なのか不正解なのかー!?」
モニターの映像が切り替わり、そこには僕らを示すイラストが円状に配置されている。次の瞬間、真ん中の光の矢印がクルクルと回転し、そして徐々にスピードが落ちていく。完全に停止した時、矢印が指し示したのは貴志萌華さんのイラストだった。けたたましい音と共に吐き出されたメダルが正解を意味していることを理解するのにそう時間はかからなかった。
...こうして僕たちのはじめての学級裁判は終わりを告げたのだ。
モノクマ劇場の蛇足感(笑
でも書きたくて、ついやってしまったよ...
誤字は見つけては直しているけど、発掘すればまだまだ眠ってる誤字たちはいるだろう。猛省。
クロ予想は当たっていたでしょうか?
次はクロの過去と小田切くんの過去、それとオシオキを書く予定です。ではまた次回お会いしましょう。