ダンガンロンパExtraWorld 〜砂漠のコロシアイ学園生活〜 作:magone
外へ出る扉を開けた僕と繭住さんの二人はその空に目を奪われた。
「なに...これ」
「一体...どういう事だ?」
この学校を取り囲むように巨大な鉄の柱が空へ向かって伸びており、それが真ん中に集中していた。ちょうど巨大な鳥かごのように。
「どこなの、ここは?」
呆気にとられていると前から一人の男子が歩いてきた。
「繭住ちゃーん!」
「舞田!」
手を振りながら歩いてくる男子は、帽子を唾を裏にした被り方をして、サルエルパンツを穿いていた。
「これは何なの一体!」
「すごいやろ? まるで鳥かごやな」
「アンタ何でそんな冷静なの?」
「いや〜。こんなん見せられても現実感無いってゆうかなあ。...そっちの兄ちゃんは?」
「...クルト...です」
「やっぱ外人さんなんやね。俺は
「自己紹介もいいけど、これは本格的にまずくない? 逃げられないじゃない!」
「それがな、何か向こうに扉があったで。きっとこっから出る為のやつやと思うわ」
「それどこ?」
「向こうや、でも−」
「行こう、クルト」
「うん!」
「......人の話は最後まで聞こうや」
僕と繭住さんは舞田くんの言った方向に走り出した。グラウンドを横切った先に確かに扉があった。その扉の手前にまたしても人影があった。
「あ、勅使河原!」
「...はあ、眠い。うん? 繭住藍子」
よく見るとスタイル抜群だ。まるでモデル体型を絵に描いたようだ。でもシャツが半分ズボンからはみ出していたり、髪もよく見るとボサボサだ。...なんだかすごい勿体無さを感じた。
「これでここから出れるの?」
「まあ、そうだけど...あんまり期待しない方がいいよ? 期待した分絶望が深くなるよ?」
「それはどう言う...」
「まあ少し待ちな。今、その手の専門家が調べてるから」
「専門家ってアイツか」
「そう。...そっちの彼は?」
「あ、クルトよ」
「どうも...」
「どうも、私は
アイツって言うのが誰かわからないけど、今はその彼を待つしかないようだ。そう思っていた矢先だった。その扉が開いたのだ。そこには背がとても低い小学生のような男子がいた。口元が服で隠れて、目つきが少し怖かった。
「あ、萬屋」
「萬屋千歳、どうだった?」
「...難しい...」
「そうか」
「あ、クルト、紹介するよ。彼は
そう勅使河原さんが紹介すると軽く萬屋くんが会釈した。
「てゆうか、その扉の先どうなっての? それでここから出れる訳じゃないの?」
繭住さんの問いに萬屋くんは勅使河原さんと目を合わせて難しい顔をした。
「まあ、見た方が早いよ。萬屋千歳、二人を案内して」
「...わかった...」
萬屋くんは再び扉を開くと僕たちをその奥へ導いた。するとそこは、小さなトンネルのような作りになっており、その奥にさらに扉があった。
「...内扉閉めて、じゃないと外扉開かない...」
「あ、ごめん、わかったよ」
内扉を閉めると萬屋くんは外扉を開けた。その扉の先から目が眩むほどの光が差し込んだ。でもその光は決して希望の光ではないという事を僕たちはすぐに思い知る事になる。
「...暑い。...これは......」
眼前にはただただ広がる砂の世界。無情なそんな現実を僕たちは突き付けられた。
「砂漠?」
「...ここはどこなの?」
「...わからない、僕も見たことない砂漠だ...」
ただ呆然と立ち尽くし僕たちに更に砂漠は牙を剥いてきた。
「何? 突然暗く...」
「...砂嵐だ。早く中へ...」
中へ入るため振り返るとさっきまで僕たちがいた場所の全容が見えた。それは巨大なドーム。砂漠の中に巨大なドームがあるのだ。しかしそれ以上の事はわからなかった。
「おかえり三人とも」
「ここは...」
「私にもわからない。でも多分犯人から何かしらのアクションがあると思う」
「アクション?」
「そう。多分だけど犯人は私たちに何かさせる気なのよ...、だからこそ...こんな所に連れてきたのよ、きっと......それまで...眠いから寝るね...zzz」
「え、嘘。こんな所で寝ちゃった」
疲れてるのか、寝不足なのか、勅使河原さんは突然寝だした。
「どうしよう」
「...僕が見てるから大丈夫...だから行っても大丈夫...」
「あ、ありがとう、萬屋。他の人がどこに行ったか知らない?」
「...あっちに宿舎がある、多分そこにいる...」
「わかった。また後でね、萬屋」
「...うん...」
萬屋くんはコクンと頷くと、近くのベンチに勅使河原さんを寝かした。僕たちは萬屋くんに教えられた宿舎に向かった。宿舎はグラウンドの横に併設されていて、それほど遠くはなかった。円形の建物で巨大なホールケーキのような外観だった。僕たちはさっきのショックを拭えないままその宿舎の扉を開けた。
「どうやら...二階があるようだね」
入り口付近の見取り図を見ると一階は共有スペースで、二階は学生の個室があるようだ。
「まるでここで暮らせと言ってるみたいだ」
「は、はーん。その声は繭住女史じゃないかい?」
「ゲッ、この声は...」
声の方を見てみるとそこには、ゴーグルと黒いマスクを身につけた作業用のエプロン姿の男子がいた。
「そう、小生ですよ! 【超高校級のガラス職人】でお馴染みの
「氏家...」
「繭住さん?」
「あいつちょっと気持ち悪いから苦手なんだよ」
「いいですね〜繭住女史のその汚物を見るかの如き眼差しは実にそそるものがありますねぇ」
「近付くな、寄るな、私に触れるな」
「おう、これは失敬。時に繭住女史、そちらの男は?」
「...クルトよ」
「クルト・L・クルークハルトです」
「クルークハルト氏ですね、よろしく。砂漠の事はご存知ですか?」
「...さっき見てきたよ」
「そのご様子ではお二人ともここがどこだか見当もついてないって顔ですね...最悪、ここで数日過ごす事になりそうです。それには困らないほどの充実ぶりですが」
氏家くんはそう言うと見取り図を指差した。
「一階には共有スペースとなっており、娯楽の為のビリヤードやダーツ、ウォーターサーバーも完備されております。二階には16個の個室。いやでも察しますよ」
「そうね。私たちは二階を見てくるわ。何かあったら教えて」
「繭住女史の頼みとあらば」
「た、頼むわ」
二階へ上がると確かに部屋が16個あった。そしてその部屋の前で話している二人の女子を見つけた。一人はメガネを掛け上着を肩に羽織っている比較的背の低い女子。一人はそれよりも背が低くくまるで小学生のような印象を受ける制服の上に裏地が星柄のパーカーを着た女子だ。
「貴志! 赤星!」
「ん?」
「あ! 藍子〜!」
「何かあった?」
「いや。部屋には入れなかった。どれも試したけど全部鍵が閉まってる」
「そう。他に行ける所は...」
「藍子! 藍子! 隣の男子は?」
「クルトよ、超高校級の王子なのよ」
「王子と来たか〜! 本当に色んな超高校級さんがいるんだね」
「赤星さん、浮かれてる場合じゃないでしょ?」
「う、浮かれてる訳じゃないよ!」
「そうだといいけど。...クルトくんだっけ? 私は
「よろしく、貴志さん。...貴志さんは、何の超高校級なの?」
「...わからないの。何かの超高校級だったには違いないけど」
「記憶喪失とか?」
「かもね」
「萌華はいわゆる【超高校級の???】枠なんだよ!」
「何を言ってるの? 赤星さん。そんな事よりあなたの事を話したらどうなの?」
「そうだね、赤星さんの事も知りたい」
「ふっふっふ〜」
「ん?」
「よくぞ聞いてくれた!【超高校級の天文学者】! "まもりんスター"の名付け親! 宇宙に輝く
貴志さんは記憶喪失で自分の才能がわからない。きっと困ってるはずだから僕にできる事があれば協力しよう。赤星さんはとても天文学者とは思えない雰囲気だ。それにあの自己紹介はどこかで似たような文言を聞いたような気がするけど。多分、気のせいだ。
「よろしく。貴志さん、赤星さん」
「よろしく! クルト」
「早く出られるに越した事はないから、あんまりよろしくはしたくないところだけどね」
その時だった。
「ピーンポーンパーンポーン」
「なにこれ?」
校内放送? 一体誰が?
「オマエラ! 体育館が解放されました。至急お集まりください! あっ一番遅かった人には罰ゲームとして好きな人を暴露しちゃうから急いで集まりやがってください! 楽しいコトが始まるよ〜」
僕たちを誘う災厄の足音がそこまで迫っていた。
V3の好きなキャラは百田です。