ダンガンロンパExtraWorld 〜砂漠のコロシアイ学園生活〜   作:magone

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第4章 非日常編 学級裁判(前編)

 

 

–––弁論準備–––

 

 

えーと、最初は集めた証拠の整理から始めた方が良いよね?

 

 

–––モノクマファイル4

被害者となったのは、"超高校級の探検家"萬屋千歳。

死亡推定時刻は正午。

死体発見現場は天文台の巨大望遠鏡付近。

死因は外的要因による心停止。

 

 

–––クルトに送られた真実

モノクマがランダムに送信し、クルトが受信したもの。内容は『オマエラの中に黒幕の手先がいる』。

 

 

–––平子の様子

勅使河原の部屋の前で出会った平子は、顔が紅潮しており、呼吸も乱れ、目もトロンっとして、足取りも覚束なさそうだった。その事を訊ねた際の平子の様子にも違和感を覚えた。

 

 

–––開閉可能な天井

天文台の天井は、天体観測の為に開閉が可能となっていた。

 

 

–––砂嵐接近感知装置

砂嵐が接近すると自開いていた天井が自動で閉じる仕組みになっていた。

 

 

–––プラネタリウムルームの防音性

プラネタリウムルームは快適な宇宙の旅のため、完全防音となっていた。

 

 

–––古畑の放送

正午、突如始まった古畑による放送。内容は狂気に取り憑かれたような感じだった。一瞬、六車の声らしきものも聞こえた。

 

 

–––紫の毒薬

食堂に撒かれた可能性のあるモノクマ特製のオリジナルポイズンの一つ。効能は詳細が不明であったが、状況から考察するに精神に作用する毒薬である可能性が高い。

 

 

ーーー六車の証言

午前7時40分〜50分の間に萬屋と遭遇した際に、"...早く砂漠に出たい...出たくて仕方ないんだ..."と六車に話していた。

 

 

−−−景品ガチャに関するモノラクダの発言

モノラクダ曰く、景品ガチャは学園や生徒に関するヒントがメインで、水もコロシアイに使える品もない。

 

 

–––校旗

エグイサル工場の入口付近にあった絶望ヶ淵学園の校旗。先端が槍状になっており、そこに血が付着していた。

 

 

–––プレスされたエグイサル

工場内にあったプレス機によってエグイサルが一機破壊されていた。

 

 

–––工場内の砂

工場内に砂漠のものと思われる砂が散乱していた。

 

 

–––工場内から砂漠へ通じている扉

砂漠に出ることが出来るもう一つの扉。ボタン式で開くことができる。とても大きな扉。

 

 

–––モノクマ&モノラクダの証言

封鎖を解除できる条件は"人が死ぬこと"と前日に説明していた。

 

 

–––"絶望"

以前に話題になった"人類史上最大最悪の絶望的事件"に関連する元凶とされるモノ。

 

 

こんなとこ、かな。

 

4回目か......学級裁判そんなにやったんだ。

 

ダメ。悲観してる場合じゃない。今回は例の煙のせいで平子やクルトたちが本調子じゃない。だから私が引っ張っていかないと。私だって3回も学級裁判を乗り越えたんだ。裁判の進め方だって理解したつもり。

 

やる。じゃないとこの靄の中の入ったような事件は乗り切れない。

 

 

そろそろ開廷する。絶対に、生き延びてみせる。

 

 

 

 

 

 

–––学級裁判 開廷–––

 

 

「えー、ではでは! 最初に学級裁判の簡単な説明をしておきましょう! 学級裁判では『誰が犯人か』を議論し、その結果はオマエラの投票により決定されます。正しいクロを指摘できればクロだけがおしおきですが、もし間違った人物をクロとした場合は、クロ以外の全員がおしおきされ、生き残ったクロだけがこの絶望ヶ淵学園から卒業でき、希望溢れる外の世界へと羽ばたけるのでっす!!」

 

始まった。4度目の学級裁判。

 

「平子、今回はどのことから話せばいいんだ?」

「......」

「んだよ、だんまりか」

「いや、そうじゃなくて。ごめんなさい。頭痛が酷くて少しボーッとしていたわ」

「頭痛? ああ、そうか。古畑に聞いたが、食堂にいた連中は変な煙を吸ったらしいな。その後に意味わかんねー行動を取ってしまったとも聞いているぞ」

「そうなんすよね...」

「わしも似たような感じぜよ」

「ぼ、僕も」

「お前らもか。おいおい大丈夫かよ今回の裁判」

 

 

しかもクルトたちは数時間の記憶がない。加えて頭痛もある。裁判を円滑に進めるためには比較的大丈夫な私がリードしていかないといけない。さあ、やるわよ。

 

 

「とりあえずさ、4人がそうなってしまった原因について話さない? 今回の事件はそこが起因になっていると思うの」

「そうね...。繭住さんの言う通り、そこをはっきりさせる必要があるわ」

 

 

あの時、あの場所で、何が起きたかを明らかにしよう。そうすれば見えてくるはず。この事件の始まりが。

 

 

–––ノンストップ議論–––

 

 

「何が起きたか説明してくれよ」

「今日の朝、私を含めた何人かが食堂に集まっていた」

「メンバーは平子さん、クルトくん、鮫島くん、萬屋くん、そして私古畑野々葉の5人でしたっす」

「その後すぐに煙が食堂内に充満し始めたんだ。最初に気付いたのは平子さんだったよ」

「その煙を吸い込んでしまった辺りから数時間の記憶がすっぽ抜けたかように何も覚えてないぜよ。まるで気絶でもしておったかのようにのう」

「その煙ってのはよ、化学準備室にあった毒薬を気化させたモンだな」

「気化させた毒か。以前にも同様の手法が用いられた事件があったな」

 

 

紫の毒薬–賛成→化学準備室にあった毒薬を気化させた

「六車の意見に賛成よ」

 

 

 

 

 

 

「六車の言う通り、その煙は化学準備室にあったモノクマ特製のオリジナルポイズンを気化させたものだと思うわ」

「だろ? やっぱそうとしか考えらんねーよな」

「確かに気化のさせ方は前に桐崎が使った手で間違いない。でも使ったのは致死量何パーセントとかの毒じゃないわ。薬品棚に一つだけあった効能不明の毒。紫の毒薬を使ったのよ」

「紫の毒薬を?」

「そうよ。というかそれしか選択肢がないんだけどね」

「でもその毒薬って効能不明なんだよね? 藍子にはその効果が何かもうわかったの?」

「まあ、ある程度ならね」

「本当!? 教えて教えて〜!」

 

 

紫の毒薬の効能、それは。

 

 

 

 

–––選択–––

 

 

 

肉体に作用

精神に作用←

 

 

 

 

「精神に作用する毒薬。それが紫の毒薬の効能よ」

「精神に!?」

「どういうことだ」

「私は食堂で煙を吸ってしまった後のクルトと会ってるんだけど、まるで別人だった」

「別人?」

「私に向かっておい女〜だの、ひざまずけ〜だのって言ってきてたのよ。しかも足組して頬杖までしちゃってさ」

「まるで傲慢な王子様だ」

「王子ではあるんだけどね、一応...。繭住さんごめん! でも本当に覚えてなくて...」

「わ、私も人間不信になって所構わず叫びまくっていたらしいっす...。こちらも全く以って記憶にございません!」

「海も女の子が苦手なことが治ってておかしかったね」

「そのようで...はい」

「効能は不明ってつまり摂取するまでどんな精神状態になるかわかんねぇっことかよ」

「ランダム要素メル! ガチャみたいで面白いと思わないかメル?」

「全く面白くねーよ」

 

 

やっぱ紫の毒薬は精神に作用する薬。これをどうやって作ったかも気になるけど、今はその議論は無意味。問題はその効能の方だ。

 

 

「あっでもちょっと待ってー! 本当にそれって化学準備室から持ってきたものなのかなー?」

「なに赤星、他にあるの?」

「あるかもーって思った。だからね、ちょっとだけ反論させてね!」

「え、ええ。いいわよ。ドンと来い!」

 

 

そうは言ったものの、反論を打ち負かすことなんて私にできるのかな。今までも打ち負かされたてばっかりなのに。......ああ! 考えたってしょーがない! 裁判を進めるにはやるしかないんだから。

 

証言台を強く握って、私は赤星と向かい合う。

 

 

–––反論ショーダウン–––

〔赤星衛〕

 

 

 

「その煙?を発生させたのって藍子たちが言うには化学準備室から持ってきたモノクマ特製のオリジナルポイズンの一つである紫の毒薬ってことになってるけどさ、ぼくは他に可能性があるんじゃないかなって思うんだよ」

 

「他に可能性? そんなのあったっけ? 気化された何かがクルトたちの精神に影響を与えたのは間違いないと思うし、それができたのはオリジナルポイズンしかなくない? 気化の仕方も桐崎のを踏襲したっぽいし」

 

 

「う〜〜ん、それはそうなんだけどさ。ちょっとだけ疑問がぼくの頭の中に残ってるんだよねー。それを解消しないとさ、ほらモヤモヤ〜ってするからさ。あのね、景品ガチャってあったの覚えてる? あれなら色んなモノが手に入ったし、今回の事件に使われたモノもそこから調達したんじゃないかなって思ったんだ。どう? 可能性としてなくはないと思うんだけど」

 

 

景品ガチャに関するモノラクダの発言–論破→景品ガチャ

 

「その言葉、カットさせて貰うわ」

 

 

 

 

 

 

 

「景品ガチャにはそう言った品はなかったと思うわ」

「そうなの?」

「ええ、そうよね? モノラクダ」

「ん!? ど、どうしてこの流れでトーホーに?」

「アンタが六車に言ったんでしょ。"このガチャにはコロシアイに使える品はない"って」

「そうだ。確かにコイツはそう言ってた」

 

 

視線がモノラクダに集まる。

 

 

「ちょ、ちょっと待つメル! 確かに景品ガチャにはそんな品はないメルよ? でも別にこれは言ってもいい情報メルからね! モノクマが言ってなかっただけで、決してトーホーがプレミしたワケじゃないメル!」

「自己弁護に必死だなおい」

「ぶっひゃひゃ! 愉快愉快! モノラクダが失言したみたいになってるなんて!」

「失言だろうがなんだろうが、その発言がある以上、景品ガチャから例の煙を発生させた薬は手に入らないみたいね」

「そうみたいだね! ならぼくの反論は終わり! 藍子〜ありがと! モヤモヤがなくなった!」

「私も疑問を晴らせて良かったわ。これからも何か変に思うことがあったらなんでも言ってね。それが裁判では大事になると思うから」

「うん! わかったよー!」

 

 

良かった。問題なく反論を捌けたようだ。この調子で裁判を進めていこう。

 

 

「ならば私から少しいいか」

「何? 勅使河原」

「モノクマ特製のオリジナルポイズンを気化させたなら効果が半減してないとおかしくはないか。桐崎雨城が平子華月に仕掛けた事件の時のように」

「確かにオリジナルポイズンは気化すると効果は半減すると記されていたっすね。それは紫の毒薬も例外ではないと?」

「そう考えるのが筋だろうな」

「なら何が半減されたの? 前は致死率だったから簡単だったけど、じゃあ今回は?」

「......」

 

 

それは考えてなかった。というか今の今まで忘れていた。気化すると毒の効能は半減するなんてこと...。なんだろう。精神に作用する毒薬の効果が半減するとどうなる?

 

 

「持続時間」

「え?」

「毒の効果の持続時間。それなら半減していたとしても不思議じゃない」

 

 

頭痛がする頭を押さえながらそう平子は答えた。

 

 

「時間か」

「なるほど、本来ならば相当な時間が摂取量に応じて精神に作用するはずだったが、気化されたことによりその時間が半減したと」

「僕の記憶がないのがだいたい7時間ぐらいだから、本当なら14時間ぐらいそのままだったってこと?」

「まぁその話はそれぐらいで良いんじゃない? 半減したかどうかなんて言っても結局結果が全てよ。今議論すべきなのは...」

 

 

平子は一呼吸置いて。

 

 

「誰がそれを仕組んだか。重要なのはそこじゃないかしら」

 

 

そう言った。

誰がそれを仕組んだか。個人の特定まで全然だけど、可能性があるとすれば...クルトに訊いた例の人物だ。

 

 

–––ノンストップ議論–––

 

 

 

「誰がってそりゃ...犯人だろ?」

「紫の毒薬を撒いた後に千歳を殺したってこと? なんでそんなことするのー?」

撹乱することがかもしれねーな。俺たちの注意を分散する為によ」

「そうなのかなぁ。随分と勇気あることするね、その犯人」

「赤星さん、どうしてそう思うの?」

「だって、紫の毒薬を使ってどんなことが起きるなんて犯人にも予測できないと思うんだよね!だから勇気あるなぁって」

「勇気というより向こう見ずのように思えるっすね。なんせ不確定要素の塊っすから」

「まるで予め毒の効能を理解していたみたいだな」

「そんな奴いねーだろ」

 

 

黒幕の手先–賛成→予め毒の効能を理解

「いるかもしれないわ」

 

 

 

「毒の効能を予め知っておくことができる。それができるかもしれない人物に心当たりがあるわ」

「マジかよ! 繭住からそんなトンデモ情報が出てくるとは思わなかったぜ。で、誰なんだ?」

 

 

なんか失礼な物言いが聞こえた気がしたけど無視しよう。

クルトの方をチラリと見ると目があって、小さく頷いてくれた。私も頷き返すとクルトが教えてくれたあの情報を言った。

 

 

「黒幕の手先。紫の毒薬を効果を知り得た人物はそいつしかいない」

「く、黒幕の手先?」

「何すかそれは」

「前にモノクマが僕に送ってきた"真実"だよ。『オマエラの中に黒幕の手先がいる』ってそうモノパッドに表示されていたんだ」

「ああ、例のアレっすね。コロシアイが過去にも〜とかの」

「そう。それだよ。みんなにこれを公開するとただ混乱を招くだけだと思っていたから今まで黙っていたんだ...」

「そういう約束だったしね。それで公開した理由は、紫の毒薬の効能を予め知ることが出来る人物が現時点では"黒幕の手先"とされる人物しかいないと考えられるから。そうね?」

「うん...。考えたくはないけど...。僕らの中にそんな黒幕側の人物がいるなんて」

 

 

裁判場に嫌な緊張感が走る。無理もない。今まで共に生き延びてきた仲間とも呼べる存在の中にいわゆる"裏切り者"がいるなんて...。私だってできればそんなこと考えたくはない。

 

 

「で、でもよ、そりゃモノクマが送ってきた奴だろ? 信用していいのか?」

「確かにその通りだけど、既に公開された"真実"は全てやはり"真実"だった。舞田くんと桐崎さん。彼らに送られたいずれの"真実"にも嘘はなかった。足立くんに送られた真実は要検証だけど、状況証拠的に黒幕の手先がいるということも十分に有り得るわね」

「んだよ。結局全部マジだったってことかよ」

「というより、紫の毒薬を使えたのはそいつしかいない時点でそう考える他ないんだけどね」

 

 

それが誰なのかはまだ検討もついていないけど。

 

 

「じゃあさ、その黒幕の手先が今回の犯人なの?」

「そう、なんですかい?」

「いや...それはまだわからない。その可能性もあるとは思うけど」

「いずれにしても黒幕の手先が今回の事件に関与してる可能性は多いにあるだろう」

「...だったら誰なんすか。その黒幕の手先って」

 

 

空気が凍る。

 

 

「それはまだわからない。議論を進めるともしかしたらわかるかも」

「だったらそうするしかねぇな。チッ。気味が悪ぃな。今もずっと仲間ヅラしてる奴がいるなんてよう」

「それもそうだが、致し方ない。名乗り出るワケもないだろうしな」

「うむ。それじゃあ、まずは何を話すぜよ?」

「死因はどうっすかね? 避けては通れぬ話題だとは思うのですが」

「死因か」

 

 

死因。それなら示されていたはず、あの証拠に。

 

 

 

 

–––証拠提示–––

 

 

 

モノクマファイル4←

 

 

 

これだ!

 

 

 

「萬屋の死因は、モノクマファイルによると"外的要因による心停止"って書いてあるわね」

「外的要因ってなに?」

「この場合は体外的にもたらされた要因ということだろうか。つまり持病などで心臓が停止したワケではなく、例えば何かで心臓を刺され、血流が停止したということだろう」

「服に血も滲んでいたし、間違いないと思う」

「ならその凶器を突き止めれば犯人が見えてくるかもしれないっすね」

 

 

凶器。それらしい証拠はある。けど、みんなの意見も聞きたい。提示する前に一度話を聴いてみよう。

 

 

 

 

–––ノンストップ議論–––

 

 

 

「萬屋くんを殺した凶器について何かわかる人はいるかな?」

「つまりだ、萬屋は心臓が刺され殺されたワケだろ? だったら包丁と考えるのが良いんじゃね?」

「キッチンって封鎖されてたよね? 封鎖される前に用意したってこと?」

「やはりそれよりは他の凶器と考えるのが適切かもね」

「ん〜でも刺殺できるモノとなると...ナイフのような形状のモノだとは思うんすけどね〜」

「いやそうとは限らない。心臓を貫くなら槍のような形状でも問題は全くない」

「だけど槍なんてこの学園にはなかったと思うけど。ぼくが見逃してるだけであったのかなぁ?」

 

 

校旗−賛成→槍のような形状

「勅使河原の意見が正しいと思うわ」

 

 

 

「勅使河原の言う通り、萬屋は槍のようなモノに貫かれて殺されたんだと思う」

「でも槍なんて...」

「あったのよ、それが。覚えてる? 工場の前にあった校旗。あれで刺したのよ」

「校旗?」

「この学園の校旗って先端が槍のように鋭いのよ」

「そ、それなら可能性はありそうっすね」

「可能性があるというか殆ど確定だと思う。何しろ血が付いていたしね。そうだったよね、鮫島」

「そう、ですね。萬屋を殺した武器はアレで間違いないと思うぜよ」

 

 

校旗が萬屋を突き刺した。やっばりその線を追うのが一番現実的だと思う。他にそれらしい凶器もないし。

 

 

「工場の入り口近くにあったアレか。あの旗で萬屋をグサリと殺ったのか」

「千歳...」

「でも...凶器はそれで良いとしても、じゃあ殺害現場はどこなのかしら?」

「萬屋千歳が発見された場所は天文台。普通ならばそこであると考えるのが自然か」

「じゃあその校旗を天文台まで持っていったってことになるんすかね」

「ん〜。少しだけ違和感を感じる。校旗ってそこそこ大きいから持ち運んでいたら目立つと思うんだよね」

「持ち運ぶなら目立つ校旗はそもそも不適当。ならば間違っているのは殺害現場の方と考えるのが妥当か」

「凶器が間違ってるという線もなくはないけど、他に凶器の候補が上がってこないのであれば...そうね、そういうことになるわね」

 

 

殺害現場は天文台じゃないなら...。

 

 

「なら殺害現場は...どこ?」

「工場の入り口前なら校旗も近いし、そこが一番可能性としてはあるけど」

「何とも言えねーな。つかそれよりアリバイの方の重要じゃねーのか? 今回は死亡推定時刻はわかってんだろ?」

「モノクマファイルには正午と記載があるっすね」

「ならそっから怪しい奴を割り出せるかもしれんのう」

 

 

アリバイね。確かに犯人を見つけ出すには無視しては通れないわね。それにアリバイに関しては私は言いたいことがある。

 

 

「萬屋くんが殺された時間にアリバイがある人はいる?」

「いるわよ」

 

 

私はクルトの問い掛けに反応した。

 

 

「繭住さん、アリバイがあるということは誰かと一緒にいたの?」

「そう。勅使河原よ」

「私か」

「そ、そうよ」

 

 

だ、大丈夫かな?

 

 

「私はね、部屋から出た後に倒れてる勅使河原に気付いてそのまま勅使河原の部屋のベッドに寝かしたのよ」

「倒れていた!? 祈里は大丈夫なの?」

「もう心配はない。もともと体は強くはないからな、無理がたたっただけだろう」

「それなら良いけど...いや良くはないけどさ」

「そ、それでその後色々あって問題の正午も勅使河原を診ていた...のだけど、覚えてない?」

「ひどく朧げ気だが、そうだったような気もする」

「曖昧だなおい」

「それはそうだ。介抱してくれたのは本当だと思うが、正午も共に部屋にいたのかは実際朧げ気なのだからな」

「んー勅使河原さんと繭住さんの証言が完全に一致していればアリバイ完璧なんすけどね〜」

 

 

勅使河原は完全には覚えてなかったか...。まぁ仕方ないわよね。勅使河原も状況が状況だったしね...。

 

 

「完全とは言えないが、貴女達二人はアリバイがあるとして...他のみんなどうかしら?」

「他にアリバイっすか...あるんすかね...」

「正午にアリバイ...普段なら昼食を摂ってる時間だから普段ならそれなりにいそうだけど、今のこの状況じゃあねぇ...」

「キッチンも封鎖されとったしのう」

 

 

正午は勅使河原の部屋にいた。...そう言えば、あの時テレビが急に映り出したような...。もしかしたらそれでアリバイが成立するかも?

 

 

–––証拠提示–––

 

 

古畑の放送←

 

 

「古畑、アンタのアリバイなら証明できるかも」

「え? それは本当っすか!?」

「アンタは覚えてないかもだけど、正午頃にあの放送室の設備を使って放送していたのよ。ちょうど朝と夜にやっていた感じで」

「え、ええ。変な放送をしてしまっていたことは聞きましたっすけど。その時間が正午だったんすか?」

「間違いないよ。時計を確認した直後にテレビがついたからね。だから時間的に古畑には萬屋を殺せないと思う」

「ぼくもその放送なら見たよ。確かに正午だったと思う! 野々葉は犯人じゃない!」

「そ、それは良かったっす...。何しろ記憶がないものですから知らないうちに...なんてこともあったかもしれないと思うと心穏やかではいられませんでした...。ひとまず安心しましたっす...!」

 

 

その古畑の言葉に一抹の不安を覚えた。記憶がないうちに...そんなことあるワケないよね...? クルト。

 

 

「ん? どうかしたの? 繭住さん」

「あっいや...なんでもない...」

 

 

思わず目を逸らしてしまった。大丈夫。そんなことあるはずない。あるはずない。

 

 

「繭住さん、他にもアリバイが成立する人はいないんすかね?」

「......」

「繭住さん?」

「あっごめん。アリバイの話よね。いると思うわ」

「本当っすか? 一体誰っすか?」

 

 

今は裁判に集中しないと。さっきの古畑の放送でもう一人アリバイが成立しうる人がいる。まずはそれを示さないと。

 

 

 

–––選択–––

 

 

Q.古畑の放送でアリバイが成立する人物は誰?

 

 

赤星衛

クルト・L・クルークハルト

鮫島海

平子華月

六車ミゲル←

 

 

 

これだ!

 

 

 

「六車、アンタよ」

「俺?」

「そうよ。古畑の放送が流れていたテレビから声が聞こえたのよ。『なにワケわかんねーこと言ってんだ。開けろ。古畑お前変だぞ。何かあったのか?』ってね」

「ああ、そりゃ俺だ。古畑の様子が明らかに変だったからな、んな風に呼び掛けたのを覚えてる。...そうか放送に乗ってたのか」

「ぼくも確かに聞こえたかも!」

「赤星も聞こえたなら六車のアリバイも大丈夫そうね。あんな呼び掛けしながら萬屋を殺せるワケもないし」

「ならばこれで4人のアリバイが成立したことになる」

 

 

よし! 六車のアリバイを証明できた! この調子で犯人まで辿り着ければ良いのだけど。

 

 

「他にもアリバイがあるって人はいる?」

「......」

 

 

いない、か。

 

 

「記憶がない時間に起きたことじゃからアリバイはわからんぜよ」

 

 

やっぱ、そうよね。

 

 

「ひとまず...みんなの動向が気になるね」

「僕は...何をしてたんだろう」

「わしも皆目わからん」

「ぼくは覚えてるよ〜!」

「ちょっと待って一人ずつ聞くから」

「えーとね、ぼくはねー」

 

 

聞こえてない!?

 

 

「僕の動向を教えて欲しい」

「わしの動向を教えて欲しいぜよ」

「ぼくの動向を教えるね!」

 

 

待って。これってみんなが違うことは話し出すアレ!? わ、私に出来るかな...。やってみないとわからないか。裁判が進展するヒントが隠れてるかもだから聞き逃さないようにちゃんと耳を傾けないと。

 

 

 

–––パニック議論–––

 

 

※パニック議論は3人が3人とも議論を展開するので、会話が3つございます。

 

(例)

 

A1「」

B1「」

C1「」

 

A2「」

B2「」

C2「」

 

 

...このように続いていき、A1はA2に会話が進み、B1はB2に会話が繋がるようになっています。また同じ人物が連続で話す場合もございます。以上が大まかなパニック議論の説明となります。毎度お邪魔して申し訳ないです。

 

 

 

クルト「僕の動向を教えて欲しい」

鮫島「わしの動向を教えて欲しいぜよ」

赤星「ぼくの動向を教えるね!」

 

古畑「繭住さん曰く、傲岸不遜だったらしいっすね!

平子「生憎、私は分からない」

赤星「えーと、ぼくは正午はプラネタリウムにいたと思うよ」

 

クルト「何でちょっと嬉しそうなの...」

鮫島「そう、ですか...」

勅使河原「プラネタリウムか。他に人はいたか?」

 

古畑「嬉しそうだなんて...そそそそんなことはないっすよ」

平子「私も...煙の影響を受けてしまっていたからな」

赤星「いやいなかったよ。一人で不安と戦っていた!」

 

クルト「もういいや...。でも結局僕の動向はわからないままか」

鮫島「そうでしたね。平子さんも記憶がないのでしたね」

勅使河原「ならば赤星衛のアリバイは未成立ということになるな」

 

クルト「僕は一体何をしてたんだ?」

平子「......」

勅使河原「どうだ? 何か見つけられたか?」

 

 

 

 

 

聞こえた! 違和感を感じる話し声が。

...でも、ならどうして?

 

 

平子の様子–論破→平子さんも記憶がない

「ちょっとその話待ってくれる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「繭住さん?」

「平子、アンタもしかして他の人と違って記憶残ってるんじゃない?」

「......」

「マジっすか!?」

「どうして、そう思うの?」

「だってアンタ言ってたじゃん。部屋から出ない方が良いって」

 

 


 

「大丈夫?」

「私は...平気よ...はぁ......はぁ...それより」

「何?」

「今日は部屋から出ない方がいいと思う...鍵を閉めて誰が訪ねてきても絶対に開けちゃダメよ...いいわね?」

「は? なんで?」

「...はぁ...質疑応答してる余裕はないわ。私は...部屋に戻らせてもらうわ...」

 

 

そう言うと平子は自室に入っていった。

大丈夫なの? アイツ。どう見ても只事じゃなさそうだったけど。何かあった?

 


 

 

 

「記憶がないならどうしてそんな忠告できたの?」

「......」

「平子さん?」

「何で黙ってるの? アンタらしくない」

「......記憶はある。多分、私だけいち早く気付いたから煙を吸い込んだのが少量で済んだから、記憶障害が起こらなかったのだと思う」

「そうならそうと言えばいいのに。どうして無駄に疑われるようなことをするの?」

「それは.....」

 

 

平子は証言台に視線を落とす。まるで言いたくないことがあるかのような。

 

 

「華月なんだか顔赤くない? まだ体調悪いの?」

 

 

顔が赤い...。確か廊下であった時の平子もそんな感じだった気がする。加えて呼吸も乱れてて...表情も虚ろだった。煙の影響を受けたのは間違いないっぽいけど。隠してる? 理由は? あの平子が情報を出し渋るような何かがあるの?

 

 

ん? まさかそんな......。いやあり得る。紅潮した顔、乱れる呼吸、虚ろな表情、覚束ない足取り...これ全部()()()()()()()説明できる。

 

...だとしたら、ちょっと同情する。

 

 

「平子...もしかしてアンタ煙を吸って...」

「......?」

エッチな気分になったりした?

「!?」

「はい!?!?」

「は?」

「ななな何言ってるんすか繭住さん! 仮にも命が懸った裁判の場っすよ!? 和ませるにしたって冗談に聞こえないトーンだったすよ!」

「そりゃ冗談じゃないもの。私は至って真面目よ」

「とは言っても...」

 

 

まぁ、そうなるのもしょうがないわよね。

 

 

「ひ、平子さん...繭住さんはこう仰ってますが」

「......」

 

 

平子は腕を組み直すと目を瞑り、空を仰ぐ。

 

 

「えっ!? 何も言わないということはまさか」

「......不本意ではあるけど、そうよ」

「あの煙は精神に作用する。平子華月の場合は色情を増幅させたのだろうな」

「言語化しないでいいって」

「そ、そうだ。あの煙が全ての元凶。決して、決して私が自らそんな...い、淫猥な妄想をするワケないでしょう!」

「言わなくていいって」

 

 

とりあえずこれで平子が口を噤んでいた理由も分かった。要は恥ずかしかったんだろうね。まぁ、記憶があったとしても進展する情報を持ってなかったからそのまま進行しても問題ないってことにしたのかな?

 

 

「わ、私のことはもういいでしょう。金輪際この事について議論は不必要!」

 

 

平子は顔を赤らめながら力強く言った。

 

 

「私は記憶はあったけど身の危険を感じてすぐ部屋に戻った。...煙の影響もあったし。だから食堂のみんながどういう状況なのかは解らない。繭住さんとは一度あったけど、それ以降は誰とも会ってない」

「整理すると、平子華月は色情増幅。クルト・L・クルークハルトは性格変貌、古畑野々葉は疑心増幅、鮫島海は女性恐怖症の減衰。ならば萬屋千歳は一体どのような状態にあった?」

「萬屋も煙を吸ったんだよな?」

「それは間違いないと思う」

「煙を吸った萬屋くんと会った人がいればいいんすけどねぇ」

 

 

萬屋と会った.....そうだ、いるじゃない! アイツが!

 

 

 

 

–––証拠選択–––

 

 

六車の証言←

 

 

「六車、アンタならわかるんじゃない?」

「六車ミゲルが?」

「俺か。ま、萬屋とは会ってるが」

「何時ぐらいか言える?」

「えーと、確か7時40分とか50分とかその辺だ。屋上で会ったぞ」

「煙を吸った後のタイミングで間違いっすね。萬屋くんは何か言ってなかったすか?」

「ああ、言ってたぞ。『... 早く砂漠に出たい...出たくて仕方ないんだ...』ってな」

「ん〜いつも通りのような? 違和感もあるような?」

「それだけか」

「そうだよ。俺も腹減ってたし、煙云々なんて知らねーからよ、テキトーにあしらっちまったよ」

「そうか。...どうだ? 萬屋千歳がどんな状態だったか推測することはできるか?」

 

 

 

"... 早く砂漠に出たい...出たくて仕方ないんだ..."

 

 

萬屋の精神状態。砂漠から出たいではなく、砂漠に出たいという日本語の違和感。そして、出たくて仕方ない。この言葉から推測できることは......。

 

 

 

「好奇心の増幅?」

「好奇心...?」

「萬屋は探検家だった。萬屋自身もこの砂漠を見たことないと言ってた。だったら興味があっても不思議じゃない。その気持ちを増幅させられた。そうは考えなれない?」

「なるほど、そういう考えもあるんすね。私はてっきり自殺願望の増幅かと思いましたっす。ほら砂漠に出たいと言ってたワケですし」

「自殺願望の増幅ならわざわざ砂漠に出るなんてまわりくどい方法を取るとは思えないし、そもそも砂漠には出られない状況だったんだ。他に考えつくものがないなら、繭住さんの推理で進めてもいいと思うけど」

「そうっすね。異存ないっす!」

「わしもありません」

 

 

今の所は順調そのもの。このまま事件解決まで進めれば良いのだけど...。

 

 

「なら議題を進めるわね。じゃあ、そんな萬屋を一体誰がどんな理由で殺害したのか、考えつくことはある?」

「誰かはやっぱり...黒幕の手先かな?」

「結局そうなるか」

「じゃあどんな理由で殺したんだ? 手先が事件を起こして何かメリットあんのか?」

「あるんすか? モノクマ&モノラクダ」

「さあね! 仮にあっても言うワケないじゃん!」

「トーホーらは基本的には裁判には干渉しないメルからね、そんなこと振られても困るってもんメル」

「とのことのようっす」

 

 

黒幕の手先が萬屋を殺すメリット......。

もしかしたら、あるかもしれない。今までに開示された真実に嘘がないのなら。

 

 

「メリットはあるかもしれない。黒幕の手先が"絶望"だとしたら」

「"絶望"?」

「前に話題に挙がったね。"人類史上最大最悪の絶望的事件"。舞田くんが見つけたDVDにその"絶望"で世界が危機に瀕しているという内容のものが収められていたってやつ」

「でもそれってフィクションって話じゃなかったっけ?」

「それがフィクションじゃないかもしれないんだ」

「...どういうこった?」

「モノクマから送られてきた真実。それに嘘はなかった。つまりその"絶望"による一連の事件にあった希望ヶ峰学園の生徒同士のコロシアイは本当にあったって考えられない?」

 

 

そう。そうなる。そうなってしまう。

そのコロシアイが事実なら私たちが今置かれているこの状況も一連の事件と地続きである可能性が高い。ってことになるのよね。

 

 

「ま、待てよ。仮にそれがマジだったとして、黒幕の手先が萬屋を殺すメリットにどう繋がるんだ?」

「...萬屋は私たちにとっての希望だった。砂漠から抜け出せる一縷の望みを乗せた希望だった。その萬屋を殺すことで、私たちを絶望に叩き落とす。それが"絶望"...黒幕たちの狙いだとしたら殺すメリットはある、と思う」

「嘘だろ...」

 

 

私だって嘘であってほしいよ。でも裁判で脅威になる平子やクルトじゃなくて萬屋を狙った理由はもうそうとしか考えられない。

 

困惑の空気が場を支配する中、力強くも静かな声が響いた。

 

 

「少しばかり反論させてもらおうか」

 

 

勅使河原だ。

 

 

「反論?」

「繭住藍子。君は言った。人類史上最大最悪の絶望的事件は本当にあった。つまり、史実だと」

「ええ、そうなるわ」

「それはおかしい。そのような事象は人類史には刻まれてない。私は常に歴史と向き合ってきた。そのような歴史は綴られていない。その前兆すらも。故に反論させてもらう。それが史実というのなら、フィクションではないと吹聴するなら、私の反論を封じてからにしてほしい」

 

 

歴史は勅使河原の領分。超高校級の歴史学者である勅使河原らしい着眼点ね。

勅使河原が研鑽を積み重ねてきた分野だ。譲れないものがあるんだろうね。

 

 

「わかったわ。やるだけやってみる」

 

 

それでも私たちは進まなくちゃいけない。

絶望しながらでも、それでも。

 

 

 

 

 

–––反論ショーダウン–––

〔勅使河原祈里〕

 

 

 

「近現代史において、江ノ島盾子ら"絶望"の起こした"人類史上最大最悪の絶望的事件"というものは記録されていない。それは事実だ。フィクションではないと言うのなら何故私たちはそのことを断片的にすら知らない?」

 

「それは...やっぱりモノクマたちが私たちの記憶を奪ったとしか考えられないよ。ほら私たちってここに連れて来られた経緯すら何も知らないし、きっとその"絶望"に関する記憶も奪われたんじゃないかなって思うんだけど」

 

「確かに可能性は大いにあるだろう。現に先刻の事件でも足立猫が久礼爽の問いに答えなれなかった場面があった。記憶を奪われている、そう考えるのが自然なのかもしれない」

 

「だったら」

 

「しかしだ、繭住藍子。それだけでは不十分だ。記憶を奪われたというのは状況からの推測に過ぎない。萬屋千歳が"絶望"に殺されたという筋で進めていくのなら、その論拠を示せとまでは言わない。せめてもう一声、何かないか?」

 

「何か......」

 

 

 

言葉に詰まってしまった。

このままだと...反論を打ち崩せない。

 

 

何を言えばいい? どうすれば勅使河原を納得させられる言葉を出せる? どうしたら...。

 

 

......出てこない。何も。

 

 

やっぱり私に...裁判をリードなんて.......。

 

 

 

 

「繭住さんの説を補強するよ」

 

 

え? クルト?

 

 

 

モノクマたちが私たちの記憶を奪った–補強→足立猫に送られた真実

 

 

 

「マオさんに送られた真実を覚えてる? 『コロシアイは何度も行われている』って内容の。モノクマが送ってきた真実を全て真と捉えるならこれもそう捉えるべきだと思う。そして、そうなら過去にあったコロシアイ="絶望"による希望ヶ峰学園生のコロシアイってことにならない? だったら"絶望"が実在し、それによって萬屋くんが殺されたって考えても矛盾はしない。どう? 勅使河原さん」

 

 

「...そうだな。足立猫に送られた真実だけ無視するワケにもいかない。わかった。その線で議論を進めよう」

 

 

 

クルトは話し終わると私の方を向いた。

 

 

「頭痛がようやく治まってきたよ。議論を進行してくれてありがとう繭住さん。ここから僕も微力ながら頑張るよ!」

 

 

そう言うとクルトは小さく微笑んで見せた。

私はその一瞬の笑顔に強く安堵した。感謝を言われたのが嬉しかった。

 

 

その目に、希望を感じられた。

 

 

 

 

クロはまだ誰かわからない。最悪の結果も覚悟しないといけない。

 

 

 

それでも私はクルトと一緒に最後まで前へ進んでいきたい。

一緒に生きてここから出ていきたい。

一緒に笑っていたい。

一緒に......。

 

 

だから、私はバトンを渡した。

一緒にこの事件を解決して、この砂漠から帰るために。

 

 

 

 

 

 

 

–––学級裁判 中断–––




次回から視点がクルトに戻ります。
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