ダンガンロンパExtraWorld 〜砂漠のコロシアイ学園生活〜   作:magone

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第1章 (非)日常編 Ⅲ

「......うっう〜」

 

 

眠い目を擦り、大きな欠伸を一つすると僕は周りを見回した。

 

「......はあ」

 

誘拐された現実を見て落胆のため息を吐く。習慣付いたように時計の方を見てみると、時刻は7時半を示していた。僕は準備を整えると食堂へと向かった。

 

「おはようございます、クルト様」

「おはよっす〜」

「おはよう。あれ? 今日は古畑さんも一緒なんだね」

「桐崎さん1人じゃやっぱり大変かな〜って思ってね」

「わたくしだけでも問題ないと存じ上げたのですが...」

「いいんすよーこれは私が勝手にやってるだけだからさ〜」

「古畑さんは優しいんだね」

「そ、そ、そんな事ないっすよ〜、今日はたまたま早起きしちゃったから手伝ってるだけなんすよ」

「早起きって2人とも何時からここにいるの?」

「おおよそ6時ぐらいだと思います」

「は、早いよー! 今だってまだ8時前だよ? もう少し寝てても誰も怒らないよ?」

「桐崎さん仕込みからやってるから長いんすよね」

「そ、そんなに手が込んでたんだ...何かごめんね」

「そんな、クルト様が謝罪されるような事は...ん?」

「どうしたんすか? 桐崎さん?」

「このような"紙"先ほどからありましたか?」

「紙?」

 

桐崎さんの目線を辿るとテーブルの上に無造作に一枚の紙が置いてあった。それに気がつくと同時に食堂の扉が開いて続々とみんなが入ってきた。

 

「おはよう...ってどうした3人して微妙な顔してよ」

「微妙な顔ってどんな顔よ。で、そんな顔をしているのはその紙が原因なのかしら?」

「あ、ああ、そうなんだ。まだ何か分からないけど何か書かれているようなんだ」

「読んでみろよ」

「待って下され、小田切氏と繭住女史と勅使河原女史と萬屋氏がまだいらしてないようですぞ?」

「まあでも先に読んで構わないだろう。全員で聞くという決まりはないんだ」

「それもそうっすね。よし、じゃあ読むっすよ〜」

 

古畑さんが紙を手に取り、その内容を朗読した。

 

「えーと...『オレは砂漠越えを決行する事にした。別れを言えないのは悪いが必ず助けを呼んで戻ってくる。だから決して希望を捨ててはいけない。最後にこれだけは言っておく。希望を諦めない心は絶望に染まりはしない、コロシアイの誘惑に負けはしない、だから1人も欠けずにこの学園から生きて帰ろう。再び会える事を心から願っている。さらば。 小田切電皇より』」

 

小田切くん...やっぱり行ってしまったんだね。

 

「小田切のヤロウ、一言ぐらい言わせてから出て行きやがれってんだ...」

「電皇ちゃん...」

「小田切くん、行っちゃったんだね」

「...なあ?...こんな雰囲気でこんな事言うんわどうか思うんやけど...」

「どうしたんじゃ舞田、すっと言わんか」

「じゃあ言うんやけどさ、もしも小田切が1人で逃げてしまってたらどうするん?」

「は?」

「何言ってるの? 舞田くん!?」

「いや俺やかて信じたいけど万が一ってのがあるやろ? その場合俺らはここで居続けなあかんくなる。その可能性もあるって言いたいんや」

「そんな事になる訳ないッ!」

「ク、クルト?」

「小田切くをは僕らを救う為に砂漠へ出て行ったんだよ? その小田切くんが『希望を捨ててはいけない』って言ってるんだよ? 疑うような真似はやめようよ!」

 

気がつくと僕は周囲の目も気にせずに舞田くんに怒っていた。でも許せなかったんだ。小田切くんは僕に絶対にまた会うって約束した。そんな小田切くんが僕らを裏切るはずがない。そう思っていたからこそ僕の口はこんな簡単に小田切くんを庇うことが出来たんだろう。

 

「俺かて疑いたくはないんやで。でも100%やないやん」

「て言うかさー、電皇の砂漠越えって十司郎が提案したんじゃなかったけー?」

「そうだ。お前が提案したんだ。小田切に疑心を抱くのはやめろ」

「...せ、せやな...俺が悪かったわ。今のは忘れてくれ」

「...舞田くん」

「...それにしても遅いですな。お三方は寝坊ですかな?」

「勅使河原さんはそうだろうけど、萬屋くんと繭住さんもそうなのかな?」

「まあいいだろう。話し合う事も無いんだ。ここに来る事を強制することもないだろう」

「それもそうね」

「じゃあ先に頂いちゃおうよ」

 

なかなか現れない繭住さんを気にしながらも僕はとりあえず目の前のご飯を食べる。食べ終わると少しの間、食堂で時間を過ごした。繭住さんを含む3人が現れたのは10時を過ぎる頃だった。

 

「繭住さん、おはよう」

「おはよ」

「萬屋くんと勅使河原さんも一緒なんだね」

「たまたまそこで会っただけよ」

「寝足りない」

「......」

「あ、そうだ。小田切くんが今朝早く行ったらしいよ。手紙が置いてあった」

「手紙?」

「うん。...古畑さん、手紙はある?」

「ん? ああ、あるっすよ。...はい、これだよ」

「ありがとう。...この手紙が食堂のテーブルに置いてあったんだ」

 

3人に小田切くんの置き手紙を見せる。

 

「...希望、ね」

「小田切電皇は焦っていたのか?」

「ん? どうしてそう思うの? 勅使河原さん」

「確かに早いのに越したことはないが、だからと言って早急に過ぎると思う」

「それもそうだけど、きっと小田切くんは一刻も早く僕らをここから救いたかったんだと思うよ。萬屋くんはどう思う?」

「...僕...?」

「うん。昨日一緒に準備してたよね? 小田切くん何か言ってたりしなかった?」

「…砂漠の事以外は特に...」

「そう。だとしたらやっぱり小田切くんが朝早く行ったのは特に理由なんてなかったんだよ」

「杞憂なら問題ないわ」

 

勅使河原さんは一見抜けてるように見えて意外と鋭い所を突いてくる。そこはさすが超高校級の歴史学者の考察力と言ったところかな。

 

「そう言えば今日は遅かったね、繭住さん」

「う、うん。ちょっとね...」

「そ、そうなんだ」

 

繭住さんがあまり言いたくなさそうな感じだったんでそれ以上は聞かないことにした。もしかしたら男の僕には分からない事かもしれないし...。

 

「それよりちょっといい?」

「何?」

「砂漠をちょっと調べたいの。付き合ってもらえる?」

「う、うん? いいけど」

「じゃあ決まりね。ご飯食べたら行きましょ」

 

繭住さんは食べ終わると僕を連れ立って砂漠へと赴いた。

 

「相変わらずここは暑いわね」

「そうだね。で、何を調べたいの?」

「多分なんだけど、一昨日砂漠を調べた時に落としたみたいなの」

「落としたって?」

「私のハサミ」

「ハサミって繭住さんがいつも持っている理髪用の?」

「そう。一本ない事にさっき気付いたの。探したんだけど見つからなくて...後はこの砂漠ぐらいしか...」

「なるほどね。僕はそのハサミを探せばいいんだね?」

「うん。頼める、かな?」

「もちろんだよ。そのハサミは繭住さんにとって大切な物でしょ? だったら断る理由なんてないよ」

「あ、ありがとう...クルト」

 

僕は繭住さんのハサミを探す事にした。試しに近くを歩きながら注意深く捜索する。10分後砂漠の中に一つ銀色に光るモノを発見した。

 

「あれはもしかして」

 

近くに行くとその期待は確信に変わった。

 

「繭住さん! あったよ!」

「本当に!?」

 

僕は母親が迷子の子どもを見つけたように走り寄ってきた繭住さんに見つけたハサミを返した。

 

「うん! これだよ! これ!」

「良かったね、繭住さん!」

「うん! 本当にありがとう、クルト!」

 

いつも強気な繭住さんがこうして笑顔を浮かべながら素直にお礼を言う姿は何だか少し得した気分になった。

 

「僕は見つけただけだよ」

「ううん、私一人じゃ見つけられなかったかもしれないし。...それにこれは私にとって特別な一本なの」

「そうなんだ。初めて使った物とか?」

「フフッ...うん、そんな感じだよ。...あっ」

「砂嵐だね。見つかったし、中に戻ろう」

「そうね」

 

砂嵐に襲われるのは嫌なので、僕と繭住さんはとりあえず学園に戻る事にした。中に戻ろうと内扉を開けた瞬間、目の前に小さな人影を見つけた。萬屋くんだ。

 

「萬屋くん?」

「...何をしてたの...?」

「あ、えーと」

「私が失くしたモノを探してもらってたのよ。別に変なことはしちゃいないよ」

「...そう。詮索してごめん...」

「いいんだよ。よ、萬屋くんは? これから外に行くつもりだった?」

「...うん。少し調べたくて...」

「うーん。調べるのはいいんだけど、今ちょうど砂嵐が来てるから後にした方がいいと思うよ?」

「...そうなんだ。教えてくれてありがとう。明日調べる事にする...」

「萬屋は何を調べたいんだ?」

「...あの巨大な扇風機の用途...」

「ああ、あの大っきな」

「どうして調べたいの?」

「...わからない事は少ない方がいい...」

「そっか」

「...うん。じゃあこれで...」

 

萬屋くんは踵を返して学園へ戻っていった。

 

「繭住さんはどうする?」

「ハサミが見つかったのクルトのおかげだし、今日はクルトのしたい事をしてもいいよ?」

「したい事?」

「何でも言っていいわよ?」

「何でもって言っても...」

「...エッチな事はなしよ」

「わ、わかってるよ!...うーん、じゃあ宿舎の一階にある娯楽室にでも行く?」

「娯楽室ね...わかった、行きましょう。退屈しのぎぐらいにはなるでしょう」

「決まりだね」

 

娯楽室に着くとそこには、既にマオさんと氏家くん、そして平子さんがいた。

 

「あら? クルトくんたちも来たのね」

「藍子ちゃんとクルトちゃんも参加する?」

「参加? 何?」

「ビリヤードという遊戯ですぞ」

「ビリヤードか。どうする? 繭住さん」

「いいじゃない。やりましょう。そこの検事の鼻っ柱をへし折るいい機会だわ」

「あなたにできるかしら? 見るからに初心者のようだけれど」

「それがどうしたのよ? 所詮玉の落とし合いでしょ?」

「まあまあ、藍子ちゃんも華月ちゃんも喧嘩しないの。これから楽しくビリヤードするってのに」

「足立くんにそう言われたら引くしかないようね」

「マオちゃんに感謝するのね!」

 

どうして僕が仲裁したら怒るのにマオさんが仲裁するとこうやって丸く収まるのだろう。

 

「ルールはナインボールでいいわね?」

「うん。いいよ」

 

ナインボール。1番ボールから順にポケットに落としていって、最後に9番ボールを落としたプレイヤーが勝つというルールだったかな。

 

「じゃあ最初は私と繭住さんで勝負でどうかしら? 負けた者から交代していくって事で」

「よろしいですぞ! 平子女史と繭住女史の因縁の対決ッ! これは試合後に友情が芽生えるパターンですな? そしてそれがいつしか愛情に変わり、そしてッ!」

「やめなさい、氏家くん」

「キモい」

「見目麗しいお二人からそのような厳しいお言葉が浴びせらるとは...ありがとうございますッ!」

「はあ、もういいわ。始めましょう」

 

2人は氏家くんの相手をそこそこに試合を始めた。

 

「先攻は繭住さんに譲ってもいいわよ」

「ふん、後悔しても遅いわよ」

 

キューを手に取った繭住さんはそれを手玉に合わせると、勢いよく撞いた。ブレイクされた球たちはものの見事に散り散りになっていった。しかしそれはテーブル外にまで及んでいたのだ...。

 

「ま、まあまあね」

「何がまあまあなのよ...完全にファウルよ。あなたは力加減もできないの?」

「う、うるさいわね! 仕方ないじゃない! 本当に初めてなんだから!」

「繭住さん、あまり力み過ぎない方がいいよ。真っ直ぐには打てているんだから焦らずに行こう、ね?」

「わ、わかってる...わよ」

「落ちたボールはポケットにでも落としておいてください」

 

繭住さんは落ちしまった5番ボールを手に取るとそれをテーブルのポケットに落とした。

 

「それじゃあ私の手番ね」

 

キューを構えた平子さんは美しいフォームで手玉を撞き、それは見事に1番ボールに命中。そのままポケットに落ちていった。

 

「なッ!」

「まだまだこれからよ」

 

その後も立て続けに2番ボール、3番ボールと落としていき、平子さんの手番は終了した。

 

「まあこれくらいでいいでしょ」

「うまいじゃない? 華月ちゃんはビリヤード経験者なのかしら?」

「昔少しだけ齧っただけよ」

「こ、これくらいで、負けは認めないッ! こ、これからよ!」

 

その後も試合は続いたが、初心者である繭住さんが勝てるはずもなく、平子さんの勝ちで終わった。

 

「で、誰の鼻っ柱を折るって?」

「くうぅうぅ! こ、こんなの平等じゃないわ!」

「その平等じゃない勝負に乗ったのはどこの誰かしら?」

「...ッ! う〜...クルト!」

「な、なに?」

「アンタが仇を討ちなさい!」

「えっ?」

「それじゃあ次はクルトくんね」

 

僕は半ばなし崩し的に交代を余儀なくされた。

 

「負けんじゃないわよー!」

「さ、最善は尽くすよ」

「それじゃあ先攻はクルトくんでいいわよ」

「ありがとう。...さて」

 

撞かれた手玉は手前の1番ボールに当たり、散り散りになったボールの一つがポケットに入った。

 

「あら」

「いいぞー! クルト!」

「まだ僕の手番だね」

 

みんなには言い忘れていたけど血筋しか才能がないこんな僕にも得意とするジャンルがある。その一つがビリヤードだ。小学部時代からずっと自宅の屋敷にあるビリヤード台を一人で遊んでいた。そのおかげか、僕の数少ない取り柄になったんだ。

 

「う、嘘...でしょ? 私の...負け?」

「スゴイ! スゴイ! スゴイよ! クルト!」

「クルークハルト氏にこのような特技があったとは、超高校級のハスラーと言っても差し支えないでしょうな!」

「華月ちゃん、ドンマイ」

「な、何でクルトくんはそんなに上手いの?」

「自宅にビリヤード台があってね...一人の時にそれで子供の頃から遊んでるうちに、こんな感じに...」

「は、はあ〜。積んできた経験が違うのね...」

「それで次は誰に交代しますかな? 順番でいくと小生か足立氏になりますが?」

「あたし全く勝てる気しないわ」

「小生も激しく同意です」

「ははっ」

 

ここに連れてこられたメンバーの中で抜きん出た才能もなく、絶え間ない努力をしてきた訳でもない僕が彼らと少なからず並べた事が嬉しくて少しだけ笑みが溢れた。その後もみんなとビリヤードしたり、平子さんと将棋したり、繭住さんとダーツしたりして過ごした。こんなまるで異世界的な場所でも希望があるだけでコロシアイなんて起きない平和な時間を過ごせる事が僕はとても嬉しかった。こんな時間が得られたのも小田切くんのおかげなんだと思わずにはいられない。

 

「あらもうこんな時間ね」

「桐崎女史の作るデリシャスなディナーを食べに行きましょう、各々方」

「そうね...どう? クルト、楽しかった?」

「...うん! すごい楽しかった! ありがとう繭住さん!」

「そ、そう? それは良かったわ」

「ヌヌッ? 繭住女史、もしや照れ−」

「照れてない!」

 

僕たちは娯楽室を後にすると食堂に足を運んだ。そこで桐崎さんと古畑さんの作った晩御飯を平らげると、宿舎に戻った。みんなに『おやすみ』と告げると僕は自室へと入った。

 

「もう10時か...」

 

僕は寝る前にシャワーを浴びようと思って服を脱いだ。するとポケットから何かがこぼれ落ちた。

 

「これは...」

 

それは、小田切くんが書いた置き手紙だった。どうやら古畑さんから渡された後、無意識のうちにポケットに入れてしまってたようだ。

 

「小田切くん...」

 

僕はそれを机の引き出しにしまった。小田切くんとの約束を忘れないために...。その後、シャワーを浴びた僕はベッドへ直行し、そのまま眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、僕はいつものように目覚め、準備を整えると食堂に向かった。すっかりこれが日常になっている違和感に気付かない程にこの生活に慣れてしまったのか...。そんな事を考えながら食堂の扉を開ける。

 

「おはようございます、クルト様」

「おはよう、桐崎さん」

 

これまたいつも通り。食堂に入ると桐崎さんが綺麗なお辞儀をしながら挨拶をしてくれる。そしていつも通り桐崎さん達の作ったご飯を食べる。

 

「...頭、痛い」

「...寝すぎ...」

 

10時前くらいには萬屋くんが眠そうな勅使河原さんを連れて現れる。これもいつも通りだ。そういつも通り。でもこの"いつも通り"を続ける訳にはいかない。

 

「どうしたの? クルト」

「え?」

「いや何か難しい顔をしてたから」

「...ごめん、繭住さん」

「謝らなくてもいいよ。何か心配事?」

「い、いや、そんな事もないんだけど...」

「そう......。じゃあ気晴らしにでもいく? ビリヤードとかダーツとか」

「ありがとう。でも今日は遠慮しておくよ。少しやりたい事があって...」

「やりたい事?」

「うん。...あっ、萬屋くん!」

 

僕は朝食を食べ終わり食堂を後にしようとする萬屋くんを呼び止めた。

 

「...何...?」

「萬屋くんって今から砂漠に行くつもり?」

「...うん...」

「僕も手伝うよ。あの装置を調べに行くんでしょ?」

「...僕一人でも大丈夫だと思うけど...」

「なら近くで見張っておくだけでもいい。もしかしたらモノクマが邪魔をしてくるかもしれないし」

「...そう。なら頼むよ...」

「わかった!」

「クルト、どうしたのさ、急に」

「...小田切くんが今も僕らの為に砂漠越えをしてくれている。なら僕も僕にできることがあるならしなきゃいけないって思ったんだ......」

「...なるほど。じっとしてられないってヤツね。いいわ、私も行くわ」

「ま、繭住さんまで付き合う必要はないよ? 砂漠はすごく暑いんだし、砂で服だって汚れるよ?」

「いいのよ。私だってじっとしてる派じゃないし、それに何かあった時の為に人数は多い方がいいでしょ?」

「繭住さん...」

「さあそうと決まれば行きましょう。あまり遅くなり過ぎるとあっという間に夜になるわよ」

「そうだね。じゃあ行こうか」

「...うん...」

 

僕と繭住さんと萬屋くんは食堂を後にすると、そのまま砂漠へ通ずる扉まで来た。

 

「...知ってると思うけど、内扉を完全に閉めないと外扉が開かない仕組みになっているから気をつけて...」

「学園に砂が入らない為の仕組みだろうね」

「めんどいくさいシステムね」

「...理解しているなら大丈夫...」

「なら行こうか」

 

内扉、そして外扉を開ける。

 

「やっぱり暑いね」

「うん。暑い」

「.......」

「さあ、さっそく調べようか」

「......」

「ん?」

「......」

「どうしたの? 調べないの?」

「......」

「萬屋くん?」

「......」

 

砂漠に出てからの萬屋くんの様子がどうもおかしい。普段からあまり話すタイプじゃないけど、今回は萬屋くんの性格の問題じゃない事は彼の表情を見るに明らかだった。まるでフリーズしたように固まっている。僕はなんの気なしに萬屋くんの見ている方向を振り向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

そこには砂に半分埋もれていた"何か"がうつ伏せに倒れていた。僕は途轍もなく嫌な予感がしてその"何か"に一目散に駆け寄った。

 

「なに...これ?」

 

僕はその埋もれたモノを掘り起こす。まるで自分が今考えている最悪を否定してくれと言わんばかりに...。

 

「ク、クルト...それ...まさか......」

 

繭住さんが何か言っていたけどその言葉は僕の耳には入らなかった。目の前の事で精一杯だったからだ。そして数秒後、一心不乱にその"何か"を掘り起こしてみると、やはりそれはうつ伏せに倒れている"人"だった。

 

「うそ」

 

何だ? これは?

 

「...こんな事って...」

「...ク、クルト!」

 

嘘だ。これは嘘なんだ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ......こんなの...

 

「信じないッ! 僕は信じないッ! こんな事あるはずないんだッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小田切くん...が...死ぬはず...ない

 

「こんなの...う、嘘だあああああああああぁぁあああぁぁぁあああああぁあぁあ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ピンポンパンポーン!』

 

 

 

『死体が発見されました。オマエラ、死体発見現場の砂漠まで急いで集合してください』

 

 




六車「(非)ワールドカップオフィシャルサポーターの六車ミゲルだ。まずは日本決勝進出おめでとう! 決勝も期待してるぜ! 俺が出られねーのは残念だが、俺抜きでも日本は十分強ぇから心配いらねーぜ? みんなも日本応援してくれよな!」

"超高校級のエースストライカー"六車ミゲルくんからのメッセージでした。


次回、モノクマ再始動の巻。です。
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