A New Hero. A Next Legend   作:二人で一人の探偵

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敵はネスト……そして、最愛の家族。そろそろ陸人くんの胃がダメになってそう……




生きるも死ぬも

 ネストと接敵した勇者達は、飛行できないなりにジャンプや飛び道具で気を引いて敵の侵攻を少しでも遅らせようと分散して仕掛けた。その段取りを無視したのが東郷美森。彼女は1人になった瞬間、なんと躊躇いなく満開。飛行能力と圧倒的な火力でネストの意識を自分に向ける。

 

「東郷さん! 何してるの⁉︎」

 

「アンタ、そっちはダメだって……ていうか、なんで満開を!」

 

「ごめんなさい、友奈ちゃん、夏凜ちゃん。でも、これで最後だから……」

 

 端末の通信を切り、飛行ユニットで移動する美森。彼女は予定通り結界のすぐ近くで停止してネストを待ち構える。そして後ろを振り返り、火砲を起動する。その照準はずっと人類を護ってきた最後の砦、四国結界に。

 

(私がここに穴を開ければ。ネストは簡単に壁を突破できる。それで全部終わり。勇者(わたしたち)の身体を捧げて……全てを使い潰して未来を繋げた陸人(えいゆう)まで引っ張り出して……そこまでしてやっと維持している歪な世界は、この一撃で終焉を迎える)

 

 たとえ何もかもを壊してでも、大切な人を苦しめ続ける運命から解放してあげたい。それが美森の愛の深さだった。その愛は、決定的な引き金に指をかけ――

 

 

 

「美森ちゃん!」

 

「――! さすがリク……思った以上に早かったわね」

 

 その照準を飛んできたアギトに変更。容赦なく全力砲撃。ギリギリで回避したアギトはトルネイダーから落下し、結界の上に着地した。

 

「一応聞くよ。なんでこんなことを?」

 

「あなたこそ、なんでそこまでするの? あなたほどの気高く優しい魂が使い潰されるほどの価値が、この世界にあるとは私には思えない」

 

 陸人はあの日語られた真実を覚えていない。だから美森の言葉の半分も理解できていない。それでも彼女は陸人絡みの何かに追い込まれて、陸人のためにこんな暴挙に出たのだということは把握した。

 

「君が思いつめていたのは気づいてた。それを後回しにしていたのは俺のミスだ。本当にごめん」

 

「ほら、そうやって全部自分のせいにする。それがあなたを追い詰めていくの。お願いだから自分を大事にして。私の邪魔をしないで」

 

 噛み合っているようで噛み合わない2人の会話。一方だけが知っている事実があり、もう一方はそれを知られているということさえ知らない。そんなややこしい状況が、普段は無言でも意思疎通ができる2人の間に致命的な齟齬をもたらしている。

 

「教えてくれ、美森ちゃん。君が苦しんでいるのなら俺は助けたい。だから助けさせてくれ、俺に本当の気持ちを教えてくれ!」

 

「無理よ。あなたがあなたである限り、私は現状を良しとは思えない……いつだって助けられてきた。だから今度は私が、あなたを!」

 

 満開を経験したことで手に入れた遠隔射撃兵装を使い、アギトを翻弄する美森。射撃の網を掻い潜ってなんとか接近しようともがくアギトだったが、足場が悪く近づけない。

 

「ほら、いい子だから大人しくしてて。すぐに終わるからね? 最後の時まで、一緒にいましょう?」

 

 幼子をあやすような口調で儚く微笑む美森。その手が差し伸べられた先で抗い続ける陸人は、彼女の顔を見ていられなかった。全てに絶望した、光なき瞳。陸人を見ているようでその実何も映していないその眼は、彼が美しいと心惹かれた輝きを完全に失っていた。

 

「何度でも言うぞ。俺は君を守る。何があっても、どんなものを敵に回してもだ!」

 

 みんなに笑っていてほしい。それだけのために命を懸けてきた陸人にとって、今の美森の在り方は到底認められるものではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あたし、なんでこんなに頑張ってるのかな……樹も、みんなも……悪いことなんて何もしてないのに)

 

 頭上のネストから湧いてくるペデスと戦いながら、風は理不尽な世界に嘆き続ける。友奈や陸人の心が頑強すぎるせいで忘れてしまいそうになるが、彼女たちはまだ中学生。世界を背負わされるにはあまりにも若い魂だ。悩み続ける風は極めて一般的な感性で考えているに過ぎない。

 

 "良いことしてる人は幸せになるべきだ"

 "苦しいことは悪い人に向けばいい"

 

 誰もが思う当たり前の考え方。そうあれば、人間が大好きな"平等"という理屈が通ることになる。その見方で言えば、勇者部は総じて"良いことしてる人"の部類に入るだろう。ならばなぜこんなに苦しまなければならないのか? 風が割り切れないのは、そういうことだ。

 戦闘中に考え込んで、大剣を握っていた手から力が抜けて隙だらけの風。背後からのペデスの一撃で大きく跳ね飛ばされてしまう。

 

「……もう、いいかな」

(お姉ちゃん!)

 

 風が諦めかけたその時、離れたところでワイヤーを振るっていた樹が姉の身体を突き飛ばして間一髪助け出す。泣きそうな顔をしていた風とは対照的に、樹の眼には強い光が宿っていた。

 

「……樹……」

 

 "見てて。お姉ちゃんは私が守るから"

 

 前もって用意していた画面を示し、樹が力強く頷く。風が手放した大剣を手にして果敢にペデスの群れに向かっていった。

 

(樹、強くなったのね……)

 

 自分の前に出て敵の攻撃を捌いていく妹の背中を見つめる。彼女も世界の理不尽に打ちのめされた1人だ。なのに今、ああやって世界を守るために戦っている。なぜ樹は戦えるのか? なぜ姉である自分にはできないのか? 風は樹のパソコンに残った音声データを思い出す。

 

 

 ――私には大好きなお姉ちゃんがいます――

 ――本当は私、お姉ちゃんの隣を歩けるようになりたかった――

 ――私自身の生き方を持ちたい。そのために今、歌手を目指しています――

 

 

 確かに世界だって樹が守りたいものだろう。しかし彼女の本質は違う。お姉ちゃんが大好きだと公言して憚らないあの妹にとって、何より大切なのは。

 

(そうだ。あの子は、私と……みんなと……当たり前の時間を過ごすことが何より大好きで……)

 

 

 ――陸人さんと、みんなと一緒に日常に帰る。そんな自分の願いを叶えるために、自分の意思で決めたことです――

 

 

 樹が今もなお後悔を見せずに戦えているのは、勇者としての根幹がブレていないから。大切な日常を守るためなら、何があっても振り返らない。それがあの小さな身体を動かす彼女の勇気だ。

 

(そっか。私、お姉ちゃん失格だな。あの子のことを"守らなきゃいけない妹"って枠に押し込めて。あの子自身の意志と成長をちゃんと見てなかったんだ)

 

 隣に立ちたい、立てる自分になりたい、と樹は言った。しかし風から見て、今の妹は既に姉を追い越して前にいる。その背中で己の意志を示し、頼れる姉が戻ってくることを信じて戦い続けている。

 風はようやく一切のフィルターを抜きにして、曇りなき眼で妹を見つめることができた。

 

 慣れない大剣に振り回されて隙を晒した樹。頭上からの攻撃が樹に迫り――

 

「……ゥアアアアアアアアッ‼︎」

 

 ずっと溜まっていた毒を吐き出すような、重く力強い咆哮。淀んだ弱気を吐き出して飛び出した風がペデスを弾き飛ばして妹を救った。

 

「貸してみなさい、樹。コイツはこうやって使うのよ、ね!」

 

 大剣を受け取り全力で振り回す。ただでさえ大きい刃を更に大型化して、周辺一帯をまとめて薙ぎ払う風の得意技が炸裂した。

 

(お姉ちゃん!)

 

「遅くなってゴメン、樹。こんな奴らさっさと片付けて、みんなを助けにいくわよ!」

 

 それは樹が憧れ続けた姉の姿。人を引っ張り、人を纏め、人を助け上げる、犬吠埼風の勇者としての在り方。

 

「さあ行くわよ! 犬吠埼姉妹の女子力、見せつけてあげるわ!」

 

 大剣を構えて叫ぶ風と、頷いてワイヤーを展開する樹。真の意味で互いを信頼した姉妹が、異形の群れに突貫していく。どれだけ詰みが近くとも、諦めない者がいる限り勝敗は誰にも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このまま戦い続けて、それでどうするの? 私たちは……あなたはどうなるの⁉︎

 身体を少しずつ失って……いつかまた彼女たちのように、あなたたちのことを忘れてしまうかもしれない。あなたたちの方が私を忘れてしまうことだって……そんなことになったら!」

 

「そうはならない! この戦いには黒幕がいるはずだ、それを倒せば……」

 

「それまでに、あと何回戦えばいいの? あとどれだけ、自分を捧げれば終わるの?」

 

「みんなが戦わなくてもいいように、俺が……!」

 

「本当の居場所が別にあるあなたは……もしかしたら何処かに消えてしまうかもしれない。戦い続けて、思い出したら……私ならこんなところにいたいとは思えない。あなたには優しい世界があったんだもの。そちらに行きたいってきっと思う! そんなことは耐えられない!」

 

(本当の居場所? 優しい世界? 美森ちゃん、誰に何を聞いたんだ?)

 

 砲撃を続けながら心中を吐露する美森。下手に避ければ結界が傷付く位置どりになってしまったせいで、全てを弾き落とすしかアギトに選択肢はない。後がない瀬戸際で、それでも陸人は美森に言葉をぶつけ続ける。彼女の心を救うために。

 

「このまま終われば……あなたが思い出す前に全てを永遠にしてしまえば……あなたはずっと、私と一緒に……」

 

「半分くらい意味が分からなかったけど、君は間違ってるよ美森ちゃん! 俺は君達を置いて何処かに行ったりはしない!」

 

「全部思い出しても、同じことが言えるの⁉︎ 絶対に⁉︎」

 

「ああ、誓えるさ! 俺も最初は怖かった。思い出した時、今までの俺はどうなるんだろうって。消えてしまうんじゃないか、今の居場所がなくなってしまうんじゃないかって、思い出すことを避けてた!

 だけど今は違う。昔の俺がどんな奴だったかは関係ない。今の俺がどうありたいか、それさえ揺るがなければ、何があっても俺たちは変わらずにいられる!」

 

 それは風と樹を見ていて辿り着いた、陸人の新しい境地だ。

 変わってしまったことに恐怖と後悔を抱いた風。彼女の姿が、記憶に怯える自分と重なった。

 そして樹。何を失っても変わらない彼女の姿に、陸人は自分のあるべき未来を見つけた。自分の中の大切なもの。その芯さえブレなければ、きっと変わらずにいられる。そう思えば未知の記憶も怖くない。

 

「俺は絶対に美森ちゃんから離れたりしない! 今は苦しくても、絶対に君が心から笑える世界を取り戻してみせるから!」

 

「だけど……だけどっ!」

 

 迷いなき宣言に、美森は返す言葉を失った。それでも持て余す焦りと嘆きを込めて砲撃を繰り返す彼女に、陸人は敢えて変身を解除した。

 

「リク、何を……!」

 

「ほら、撃ってみなよ美森ちゃん。この程度の距離、君なら眼を閉じてたって頭を撃ち抜けるはずだろ?」

 

 挑発するように両手を広げて煽る陸人。こと仲間に対してはいつだって優しかった彼らしからぬ言動に、美森の動揺は加速する。

 

「リク……どうして分かってくれないの!」

 

「君がやろうとしているのはこういうことだろ? 世界が終われば俺も死ぬんだ。なら今ここで殺したって変わらない……違うか?」

 

 不敵に笑って言葉で攻撃を続ける陸人。武器を構えている美森の方がどんどん追い込まれている。空に浮かぶ満開が少しずつ後退していくのを見て、陸人は人外の身体能力を解放、飛行ユニットに飛び移る。

 

「――ッ! ダメ、離れて……お願いだから、やめて、リク……!」

 

 美森が手に装備した散弾銃の銃口を掴み、自分の胸に突きつける陸人。引き金さえ引けば、御咲陸人の生命はその瞬間終わりを迎える。

 

「どうして? 君はこれと同じことを何万人もの人にやろうとしてたんだろう? だったら引いてみせろよ、俺1人分の生命しか乗ってない引き金なんて軽いもんだろう!」

 

「ぅぁ……ぅぅ、あああああっ‼︎」

 

 とうとう錯乱し、狙いもつけずに砲撃をばら撒く美森。四方八方に破壊を撒き散らす彼女を見て、陸人は覚悟を決める。

 

 

 

 何があっても守ると誓った女の子を、この手で殴る覚悟を。

 

「東郷……美森っ‼︎」

 

 隙だらけの美森の懐に飛び込み、右の拳を硬く握りしめる。それを見ていた精霊は、なぜか静かに引き下がった。まるで陸人を見逃すように。大切なものを見失った主人を救うために、あえて道を譲るかのように。

 

「リクッ!」

「ゴメン、美森ちゃん……歯を食いしばれっ‼︎」

 

 反射的に遠隔射撃兵装で足止めを狙う美森。死角から飛んできた迎撃を屈んで回避した陸人が、下からすくい上げるような軌道で拳を打ち込む。バリアも発動せず、美森の顔を捉えた一撃は彼女を高く跳ね上げ、その戦意を喪失させた。

 

 

 

 

 

「……リク……私は……」

 

「美森ちゃん。俺のこと、信じられない?」

 

「そんなこと……でも、怖いの。あの乃木さんたちだって、そう思ってたはずだもの。忘れたりしないって……だけど、私は思い出せない。あんなに悲しい気持ちは湧いてくるのに、この気持ちの原点がどうしても思い出せないの」

 

「散華したことについても、このままにしておくつもりはない。方法は分からないけど、何年かけてでも取り戻してみせる。そのためにも、今はこの世界を終わらせるわけにはいかないんだ」

 

 拳を振り抜いた陸人は、脱力して倒れた美森の体を支える。焦点さえ合わなくなってきた翠眼は、光を求めてさまよっていた。

 

「どうして……私は……」

 

「……分かった。じゃあ約束しよう。俺は絶対に君を忘れないし、置いて行かない。

 それからもう一つ。君が世界に絶望したのは、元を辿れば隣にいながら君の幸せを守れなかった俺の責任。だから約束だ。俺の残りの人生全部使ってでも、君の幸せを見つけ出す」

 

 まるでプロポーズのような言葉だが、陸人にそんなつもりは欠片もない。ただ前を向いてほしい。その一心で、自分に出来る最大限を尽くそうとしているだけなのだ。

 

「もしそれでも、どうしてもこの世界が嫌になったら、全てを終わらせたくなったなら、まず俺に言ってくれ。自殺を考えるよりも、世界を終わらせようとするよりも早く」

 

 陸人は俯く美森の顔を両手で包み込み、互いの額を合わせてゆっくり語りかける。

 

「その時は、責任持って俺が一緒に死んでやる。この世界がダメなら、死んだ先の何処かで、君の幸せを探す旅を続けよう」

 

「――!」

 

 それはまさに文字通りの殺し文句。愛が重すぎるゆえに、一時的に死生観すら歪みかけている今の美森には効果抜群の一言だった。

 

「だから、勝手に死のうとするな。君が心から幸せだと思えるその時まで、生きるも死ぬも俺たちは一緒だ。君の命は俺が預かるし、俺の人生は君のもの。また誓約書でもなんでも作ってくれていいし、これは俺の本心。嘘はつかないよ」

 

「リク……あなたは、どうしてそこまで……」

 

「何度でも言うよ。俺は君が大好きで大切だから、君が生きるこの世界を守りたいし、君に世界を好きになってほしい。そのために、俺にできることはなんでもやる……それだけのことなんだ」

 

 秘密を明かしたあの日から。陸人の芯はブレていない。結城友奈を、犬吠埼風を、犬吠埼樹を、三好夏凜を、東郷美森を。

 御咲陸人が好きだと思った全てを守る。それが彼の勇気だ。

 

「どうかな? 美森ちゃん。俺にはこれ以上懸けられるものがないんだけど……」

 

「そうね……私も、あなたと一緒に見つけたい。この世界で、私が幸せになる未来を」

 

 美森の瞳に光が戻る。ずっと狭まっていた視界が、上を向いて太陽の輝きを見つけたのだ。陸人の内に燃え盛る炎が、闇に沈んでいく少女の心に火を灯し、引っ張り上げることに成功した瞬間だ。

 

「ごめんね。君を追い詰めて、傷つけるようなことを言って……」

 

「ううん、いいの……どうしても私に手を上げたくなかったんでしょう? こちらこそごめんなさい。あなたに、らしくないことをさせてしまったわ」

 

 甘えるように抱きついて、陸人の胸に縋り付く美森。ぬくもりを求めるように顔を擦り付けるその様は、やっとの思いで親を見つけた迷子の幼子のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それじゃ――マズい!」

「きゃっ⁉︎」

 

 美森の手を取って立ち上がらせた陸人は、一瞬で変身して彼女を庇うように背中に隠す。気づけば目と鼻の先に、あまりにも巨大な空中要塞、ネストが迫ってきていた。その中心に位置する巨大な砲口。すでにチャージを終えた破壊兵器には、莫大な光が収束していた。

 

「美森ちゃん!」

「回避っ!」

 

 慌ててユニットを操作して射線から離れる美森たち。余りにも完璧に不意を打たれた2人は失念していた。自分たちの後ろに何があるのかを。

 

「しまった!」

「結界が……!」

 

 本来バーテックスの力では破れないはずの結界。しかし何事にも例外は存在する。神世紀には文献でしか残っていないことだが、かつて天の神は神樹が使う防御の対処法を構築し、怪人2人を利用して実際に攻略している。

 その技術を応用した破界砲。威力もさることながら、対神樹兵器としての性能を有しており、近距離で最大威力を叩き込めば、四国結界さえも風穴を開けられる。

 

 ついに破られた結界の内側に、ネストが侵攻していく。止めようにも、質量差がありすぎて勇者たちにはなす術がない。

 

「りっくん、東郷さん!」

「詳しい話は後で訊くとして、ここからどうするかよ!」

 

「みんな、無事⁉︎ 状況は……全員分かってるみたいね」

 "とにかく追いかけないと!"

 

 無事に合流し、ネストを追って結界の内側に飛び込む陸人たち。その先には、予想外の光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「……え? 街がある?」

 

「どういうことよ。樹海化してたはずじゃない!」

 

 壁の向こうには見慣れた植物の世界ではなく、それ以上に見慣れた文明が作る景色。現実世界の市街地のすぐ近くまで、ネストは詰め寄ってしまっていた。

 見慣れた晴天に影を落とす、超常的な空飛ぶ城塞。四国のどこからでも目に入る異常な光景。何も知らない市民達には、一体どのように映っているのか。

 

「リク、これって……」

 

「結界を破った以上、樹海を無効化できてもおかしくはないか……」

 

 かつてン・ダグバ・ゼバがやってみせた樹海破り。ネストにはその能力さえも搭載されていた。まさに天の神の切り札。人類殲滅の決戦兵器。

 

「マズいわよ。ここで砲弾一発でも見逃せば……」

 

 風の呟きに、樹も勢いよく頷いて焦りを表現する。樹海化していても、現実への影響は0ではない。それでもかなりリスクを減らすことができ、また戦闘中にはある程度周囲を気にせず戦えるという利点もあった。

 しかしこうなってしまえば、街や市民への被害はダイレクトに発生する。目の前で悲劇が起こる光景を見ながら戦えるほど、勇者たちは達観してはいない。

 

「りっくん、どうしよう⁉︎」

 

(後がない……俺たちにも、人類そのものにも……!)

 

 背水の陣どころの問題ではない。腰までしっかり水に浸かったような状態で、勇者たちの必死の抵抗が始まる。

 

 

 

 

 

 




ここからは純粋にバトルです。後数話でアニメ一期分は終わるかな。そこからはくめゆを予定しています。

感想、評価等よろしくお願いします。

次回もお楽しみに

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