A New Hero. A Next Legend 作:二人で一人の探偵
圧倒的な物量差を埋めるべく、陸人は策を巡らす。まずは敵を振り切って主導権を奪うこと。トルネイダーを呼び出して、地対空の奇妙なチェイスが始まった。
「どうした? 俺1人に追いつけないのかよ!」
入り組んだ工廠エリアを縫うように飛行して運動性で翻弄していく。純粋な速度ならまだしも、空を翔けるスライダー相手に小回りで勝つのはG2-Xでは不可能だ。
(攻撃の意思が見えない。単純に振り切ろうとしている……何か狙ってるのね、だったら──)
低空飛行で狭い小路を抜けて射撃を避けるターゲットに、V1部隊は数的優位をまるで活かせていない。しかし、システムの生みの親である雪美は当然トルネイダー対策も考えていた。
「追いつけないのなら、そっちから出てきてもらえば済む話よ……こんな風にね」
数機のG2-Xに一斉射撃の
急に追跡をやめて射撃隊列を組み始めた敵を見て、アギトは背筋が凍るような寒気に襲われる。
「っ! まさか……」
「発射」
「こなくそっ──落ち、ろぉぉぉっ‼︎」
上空に放たれたミサイル群目掛けて飛ぶアギト。何とか追いすがり、爆炎の刃を飛ばす必殺技『バーニングボンバー』で叩き落とした。
「さすがね。でも残念、隙だらけよ」
「っ⁉︎ 第二射──」
目の前しか見えなくなっていた陸人の死角、爆風の奥から飛んできた二射目のミサイルをまともに受けて墜落するトルネイダー。100mほどの高さから叩き落とされたアギトは、地面に落ちる瞬間に爆発を起こしてその反動でギリギリ立て直して着地した。
「ハッ、ハッ……やってくれる……」
「本当に頑張るわね、理不尽なくらい。何がそこまであなたを突き動かすのか、聞いてもいいかしら?」
雪美は本心から疑問だった。御咲陸人には記憶がない。自分がアギトである理由も知らないし、血の繋がった家族もいない。そんなフワフワした足場に立っていながら、彼はなおも他人に手を伸ばし続けている。世界というものに打ちのめされた雪美にとって、まるで理解できない行動だった。
「大層な理由なんてないですよ……ただ、俺たちを信じてくれてる人がいるから、応えたいだけです」
「信じてくれる人?」
「この仮面を見て、ヒーローだって……"仮面ライダー"だって、応援してくれてる人がいる場所を……燃やさせるわけにはいかない」
隠れて戦っていた時期が長かった陸人にとって、一般市民からの好意の証である仮面ライダーの称号は特別だった。自分の存在が公に認められた気がして、何もないと思っていた自身のことが少しだけ誇らしく思えた。
「……プロパガンダ用の名前なんて、あなたは疎ましく感じているとばかり思っていたわ」
「そりゃ面倒だと思うこともあったけど、それでも俺は嬉しかった。勇者部のみんなや、仲間たちは……御咲陸人の一部としてのアギトを受け入れてくれた。でも、何も分からないアギトそのもののことは、ずっと俺の気がかりだった」
記憶が戻らない以上、陸人の中のアギトの真実という不安は尽きない。仮面ライダーという名前がついた時に、少しだけその重荷が軽くなったのだ。
「だから、俺は負けない。御咲陸人として……仮面ライダーアギトとして!」
「そう……立派だと思うわ。けれど、ごめんなさいね」
まだ動ける全てのV1がアギトを囲むように集う。トドメの包囲殲滅陣が迫る中、アギトは右手を高く掲げた。
『全員範囲に入った、今よ御咲くん!』
「沈めぇぇぇっ‼︎」
足元に渾身のバーニングライダーパンチ。動いている敵全てを巻き込んで一帯の地面を崩壊させた。落下していくアギト達が降り立ったのは本部の地下施設、大型実験場の1つ。
「──まさかっ⁉︎」
「そう、ここは大規模な兵器の試験場……世界一の耐熱設備!」
陸人が真澄の指示のもと、敵を誘導していたのはこの施設の真上に全員を集めるため。地下という密閉空間、耐熱処理が万全の隔壁、そしてバーテックス因子という異物を混ぜたV1。
「なるほど……お見事、ここまで来たらもう私にできることはないわね」
陸人の狙いを理解した雪美は、諦めたように息を吐いてヘッドギアを外した。これ以上はどんなオペレートをしても無駄だと、聡明な彼女は把握した。
トリニティフォームに変化したアギトが、風を操って瓦礫を操作、天井を塞いで空間を密閉した。
「さあ、準備完了……ちょっと熱いけど、我慢してくれよ!」
『倒れたV1は遠隔端末で可能な限り解析してある。生命維持機能は万全よ、遠慮なくやりなさい!』
フレイムセイバーを足元に突き立て、焔がほとばしる。ほんの数秒で施設全体を駆け巡った灼熱は、元々の設備もV1達もまとめて焼き尽くす。
「蒸し焼きだ……!」
(斬撃の傷と比較して、炎の跡は治りが遅かった。異形の存在に強いアギトの炎が強く作用するのなら)
陸人は戦いの中で些細な違和感を鋭敏に感じ取っていた。攻撃方法による敵の回復速度の違い。再生能力の大元であるバーテックスの弱点をそのまま引き継いでいるとしたら。アーマーそのものの耐熱機能とは別に、仕込まれたバーテックス因子を焼き尽くして再生機能を壊すことができるのではないか。
「グッ、つう……ぅああああっ……!」
だがこの方法には1つ欠点がある。逃げ場を封じて蒸し焼きにするためには天井を風で塞ぐしかない。そして炎と風を同時に操るには、耐熱能力がフレイムの1/3しかないトリニティで耐え凌がなければならない。
やがて限界が来たのか、1人、また1人と火花を散らして倒れていくV1。それでもまだ両手の指では足りない数がアギトを止めようとぎこちなく動いている。
「……クハッ……さあて……が、我慢、比べと……いこうぜ……!」
震える声で強がる陸人。システム内のバーテックス因子が全滅するのが先か、仮面の奥の陸人が息絶えるのが先か。変則チキンレースが始まった。
(ここからは彼の、自身との戦い……もし勝てたのなら、その時は──)
モニター越しにその様子を眺める雪美。この時代に自分から火刑に処されるような無謀に走った、愚かな程優しい少年。彼を見据える眼には、僅かに生の感情が宿っていた。
(思ったよりキツイな……左側の感覚が、おかしい……!)
アギトの炎は物理法則を超えた超高温で燃え盛る。熱を逃がす隙間もないまさに蒸し焼き状態。煉獄の焔が術者本人の生命さえも脅かして勢いを増していく。
発火から1分と少し。アギトの力をもってしても、呼吸がままならなくなってきた。視界まで安定しない始末だ。
──本当に頑張るわね、理不尽なくらい──
(確かになんで俺がこんなこと、って思うこともある……だけど)
自らの炎に呑まれ、息もできない地獄の中、陸人は自分の原点を思い出す。家族の、仲間の、友達の、知らない誰かの、みんなの笑顔。それが当たり前に続く時間を守りたい。
そして何より、ほんの数時間前に誓ったばかりなのだ。
──なるべく早く来てね? りくちー、約束だよ──
──ああ。"仮面ライダー"の名にかけて──
(苦しみ続けたあの子には、せめてこれから先、幸せだけが待つ未来を──!)
園子との約束を破るわけにはいかない。こうしている今も待っている彼女のもとに、何がなんでもたどり着かなくてはならないのだから。
強大な闇に操られた傀儡と、譲れない約束を胸に戦う少年。内に秘めた熱量の差が勝敗を分けた。
「……俺の……勝ちだ……!」
地面に膝をつき、剣を支えになんとか倒れずに堪えている有様だが、意識を保てているのはアギト1人だけ。全てのV1はバーテックス因子の焼失によって発生したバグと、あまりの高熱にシステムダウンを起こして完全に停止している。
「ええ、私の完敗。数が多くて耐熱処理まで手が回らなかったのよね」
(本当にそうか……?)
アギトが炎を武器にするのは、少し調べれば分かることだ。裏から手を回してまで最新のデータを取ってきた雪美にしては、些か迂闊すぎる。
「フフ、素敵なものを見せてもらったわ。これなら思ったよりもいい気分で
「っ⁉︎ なんだ?」
落下したままV1達の近くに横転しているG2-Xが、突如火花を放ち始めた。戦車以上の火力とエネルギーを内蔵した兵器が、今にも炸裂しそうな勢いで崩壊していく。
「G3-Xと同じく、『GENERATION 2-EXPECT』にももう1つの名前があるの……なんだと思う?」
「……まさかっ⁉︎」
直感で危機を悟ったアギトが、風を巻き起こす。倒したばかりのV1達を押し上げて地上に打ち上げた。それでも、一気に全員逃がすには数が多すぎる。
「正解は……『GENERATION 2-EXPLOSION』……勝とうが負けようが全てを焼き尽くす、破壊兵器の到達点よ」
「間に合えぇぇぇっ‼︎」
陸人達が仕掛けたトレーラー爆弾に匹敵する威力の爆発が数十回。地下の実験フロアは完全に崩壊した。
間一髪全員を離脱させて自分も飛び上がったアギトは、爆風に煽られながらもなんとか脱出できた。
「……ひ、久しぶりに死ぬかと思ったぞ」
「そう、あなたならきっと助けられる。そこまでは計算できていたわ」
安堵の溜息を吐いた陸人は、先程よりも遠くから聞こえる雪美の声に気づいて周囲を見渡す。すると、いつの間にか遥か遠くまで移動していたトレーラーが、G2-Xと同様に火花を散らして轟音を響かせていた。
「さっきの自爆は、それが狙いで──⁉︎」
「もう限界でしょう? あなたは素晴らしいわ。よく頑張った……だから、私のことはいいの」
自爆シークエンスに突入したGトレーラー。離脱しようとしない雪美に、慌てて駆け寄ろうとするが……
(っ! こんな時に、足が動かない……!)
身体も能力も酷使しすぎた。膝から崩れ落ちるように倒れこんでしまう。その間にも、無情にもカウントダウンは進んでいく。
「御咲陸人くん、合格よ。あなたのような人がいるのなら、もしかしたらまだ終わってないのかもしれない……無責任な言葉だけど、頑張ってね」
「待て……待ってくれ!」
カウントが10秒を切り、最早両者の距離ではどうやっても間に合わない。運命が決まったと、誰もが思ったその瞬間──
──全く、手間のかかる──
予想外の横槍が、予想外の方向から飛んできた。
──相変わらず難解で厄介で、愉快な生き方をしているな。お前という人間は──
突如としてトレーラーの真上から轟く雷光。超自然的な出力の稲妻の一閃は、雪美が調整したトレーラーのシステムを一時的に停止させた。
「何……⁉︎ これは、電撃?」
「あれは……アイツの?」
──止まらず走れ……稼げる時間は長くないぞ──
遠くから響く、あの強敵の声。驚愕を隠せない陸人だが、今は何よりも雪美だ。震える足を殴りつけ、気力で強引に身体を引っ張り上げた。
「どうして……? どうしてそこまでするの? 私は、救いなんて求めていないのに」
「それでも救う! あなたが求めなくても、誰に望まれなくても!」
《自爆シークエンス、再起動。カウント、リスタート──9──8──》
多くの謎を抱えたまま、半ば成り行きで戦ってきた陸人。そんな中で、彼は多くの生命と意志を見てきた。
流儀も信念もなく、ただ命じられるままに人を狙う異形。
自分たちこそが絶対だと、上から目線で破壊を撒き散らす天使。
衝動と本能に身を任せて、戦いを愉しむ変異種。
そして不安定な世界でも、変わることなく笑顔で明日を描く人間。
そんな誰かのために全てを懸けて抗い続ける勇者達。
そうした激動の日々の中、陸人は自分にとっての真実を見つけた。
「俺が死なせたくないから……俺があなたに生きていてほしいと思うから!」
《──7──6──5──》
絶対的な正義など分からないし、そんなものには興味もない。そして望まれるままに戦うだけでは、いつか自分の意味さえ見失ってしまう。だからこそ陸人は決めた。自分が戦うのはあくまで自分のためだと。
自分が守りたいと思うものを守る。相手が守られたいと思っているか、そんな面倒なことは守り切ってから考えればいい。
ある意味誰よりも強引で身勝手な結論に至った今の陸人は、誰よりも毅くて強い。
《──4──3──》
(ああ、そうか。これが……)
「手を伸ばさなくてもいい……首根っこ掴んででも、必ず引き上げてみせる! それが俺の──!」
(これが私達に足りなかったもの。理屈ではなく、本能で正しい道を選べる……英雄の資質)
《──2──1──……0》
橙色の閃光が曇天を照らす。今日1日で考えられないほどの爆発が大社本部で発生したが、その中でも1番と言える大爆発。轟音が大気を揺らし、衝撃が地を裂く。
地球最強の機甲部隊は、たった1人の英雄に完全敗北を喫した。
「ハッハァ! 慣れてきたぜ、そのスピードにも!」
「へぇ、実はまだ最高出力じゃなかったりするんだけど……どうする? 本気でやろっか?」
「言ってろ。全力出してねーのは俺も同じだ」
G4とギルスのスピード勝負。こちらはそれぞれの速度の質の差が表れている。AIの判断速度とトップスピードの速さで圧倒するG4に対して、ギルスは柔軟で鋭敏な反射神経と運動能力で食い下がっている。
ギルスがジャンプで回避すると見切り、そのコース上に弾丸をばらまくG4。跳んだ先に飛んできた射撃に、ギルスは慌てて身をよじって回避。アクロバットのような動きでギリギリ全弾避けきった。
「見えてる景色に沿ってるのに……なーんで当たらないかなぁ?」
「舐めんなよ……データで全てが把握できると思ったら大間違いだってんだよ!」
感情が昂り、その能力が高まっている今のギルスなら、予測に基づいて動くG4の反応を見てからでも脊髄反射で対応できる。
言わば常に後出しの権利を有しているのがG4。その後出しの手の動きを見切って、相手と同時に手を変えているのがギルス。四角四面な行動パターンと、マシンスペックに縛られている志雄にはできない対処法だった。
鋼也のコンディション次第で大きくスペックが変動するギルス。今日の彼は、G4のデータベース上にあるどの状態よりも調子が良かった。古い縁を敵に利用された怒り故か、いつまでも振り切れない自分への失望故か。
「すっ飛びやがれパチモン!」
「調子に乗りすぎだよ、鋼也!」
しかし敵もさる者。ギルスの飛び蹴りを掻い潜って懐に飛び込み、ゼロ距離でサラマンダーを展開。胸部に銃口を突きつけて発射した。一撃で大打撃を食らったギルスは、空中で同じように吹き飛ばされてきたG3-Xと激突した。
「──ガッ⁉︎ つぅ……志雄? 何やってんだお前」
「こ、こちらのセリフだ……少しデカイのをもらっただけ、まだまだやれる……!」
どんな時でも2人揃えばこの調子な鋼也と志雄。そんな2人の足元に、緑色の紋章が浮かび上がった。
「っ! コイツは……」
「──どけ、鋼也!」
ギルスを紋章の範囲から押し出し、同時に自分も転がるように逃げるG3-X。一瞬後、紋章の範囲に複数の爆発が巻き起こり、地面を爆砕した。
「ふむ……数回の攻防で"紋章術"の対処を身につけたか。いい反応だ」
「フゥ──、超常の能力者とは、何度も戦ってきたものでね」
『紋章術』
呪術を得手とする罪爐の穢れを色濃く受け続けた影響で、哲馬が習得したアギトの力の応用形。何らかの意味を持たせて力の象徴たる紋を描くことで、攻撃、防御、拘束といった種々の効果を発揮する汎用性の高い超能力。身1つで立ち回るアナザーアギトの弱点を補う手段だ。
得意の射撃戦に持ち込んだにもかかわらずG3-Xが押しきれなかったのは、この攻防一体の能力を破れなかったからだ。ケルベロスは全て防がれ、返す刀で死角から紋章が迫ってくる。予兆が大きいので気づくのは簡単だが、どこにでも瞬時に現れるせいで不意を突かれると反応できない。
「オイオイ、何だそりゃあ⁉︎」
(っ! マズイ、またあれを……!)
紋章術を攻略する術を考えていた志雄の耳に、数分前の自分と同じ驚愕の声が届いた。膠着状態が続く戦況に我慢の限界が来た香が、またしても禁断の兵器を展開したのだ。
「今度はきっちり当てるからね……はい、ドーン‼︎」
「はいドーンじゃねえんだよバカヤロウ!」
「鋼也避けろ!」
倒れこむように真横に飛び退いて、なんとかギガントを回避した2人。しかしまだ終わりではない。ミサイルの射線上には、アナザーアギトの紋章が刻まれていた。
「術というのも侮れん……突き詰めれば、こんなこともできる」
今回の紋章に込められた意味は"反射"。躱したはずのミサイルが、背後から全く速度を落とさずにもう一度向かってくるという予想外の悪夢。着弾2秒前に態勢を立て直した鋼也と志雄。絶体絶命、と思われたそのタイミングで──
(アイツなら……)
(合わせてくれるはず!)
言葉もアイコンタクトも交わすことなく、2人は同時に動いた。ギルスフィーラーとアンタレスの併用でミサイルを縛りつけ、勢いを軽減。そのままハンマー投げのように振り回して制御を奪った。
(よっしゃ!)
(あとはこれを……)
ギガントの出力は破壊的。2人の呼吸が完全に噛み合っていなければ、力が余計に分散してそのまま撃ち抜かれていたはずだ。
それでも彼らは成功させた。打ち合わせしたわけでも、似たようなケースを経験したわけでもない。ただ相手への信頼1つだけ。『アイツならこうする』と『アイツなら分かってくれる』という確信が、土壇場で2人の呼吸を完璧にシンクロさせた。
(いっ、せぇ──)
(──のぉ、せっ!)
完全に抑え込んだミサイルを壁面に投げ飛ばした。ギガントの威力はやはり凄まじく、外壁を爆砕して4人をまとめて吹き飛ばした。
「……あーっぶねぇ、あんなのまともに受けたら一瞬でお陀仏だぞ」
「僕なんか2度目だぞ……勘弁してくれ、この恐怖は夢に出そうだ」
向かい側の壁に叩きつけられたギルスとG3-Xが、互いを支えてなんとか立ち上がる。九死に一生といった有様だが、流石に今のを凌ぎ切ったのは予想外だったらしい。同じく吹き飛んだ敵の二人も驚愕を隠せずにいる。
「んー、今ので最低でも片方は仕留めるつもりだったんだけど……なんだろ、イライラしてきたなあ。なんでそんなにしぶといワケ? 勝ち目なんてないのに頑張りすぎでしょ?」
「大した根性だ……が、それだけでは何も変えられない。それはお前たちも分かっているだろう?」
「フン、いつまでも上から目線で語ってんじゃねえぞ」
「だからー、最後にはみんな死んじゃうんだって────へぇ、ちょっとビックリ。パパ、表のV1たち負けちゃったみたいだよ。こぞって停止してる……これはシステムの大元から壊されたっぽいね」
G4のディスプレイに飛び込んできた警告情報。雪美が統括していたV1とG2-Xの機甲部隊が全機機能停止したという。それが意味するところは1つ。
「……雪美も逝ったのか」
「どうだろ? そこまでは──「無事だよ」──え?」
敵側の会話に、息も絶え絶えになりながら口を挟む志雄。彼にとっては当たり前のことだ。
「陸人が、目の前の生命を見殺しにするわけがない。何がなんでも救うはずだ」
「……だな。今頃代わりに大怪我してんじゃねーか? あのバカは」
「見てきたように言うのだな。付き合いと呼べるものはほとんどない間柄だろうに」
「付き合いの長い短いじゃねえんだよ。ちゃんと話せば、アンタらにだって分かるはずだぜ。アイツはどんな夢みたいな理想でも、現実に変えちまうファンタジスタだ」
「陸人が勝った……なら、僕達がグズグズしているわけにはいかないな。彼が追いついてくるまでに、決着をつける……!」
挟むように両側に立つ敵に対して、2人も背中合わせに構える。ギルスはアナザーアギトに、G3-XはG4に向かって。
「……ほう?」
「アレ? 結局最初の組み合わせに戻るの? さっきまでの方が相性良いように感じたけど」
「ハッ、相性? んなもん関係ねーよ」
「そんな小さなことは、この一手で吹き飛ばしてやる!」
鏡写しのように、2人同時に両手を交差して力を込める。彼らの奥の手は、発動手順が非常によく似ていた。
「──ッ、ゥオオオアアアアアッ‼︎」
「
『Boost up』
数多の刃をその身に宿した攻撃的な進化形態、エクシードギルス。
一時的に安全措置を全て取り払った最高状態、EXCEED。
戦う中で鍛え上げた各々の切り札が、ここでようやく切られた。
「アハッ! きたきた、やっとその気になってくれたね志雄!」
「さっさと済ませるぞ……勝負だ、G4!」
タイトな時間制限が課されている志雄は、目にも留まらぬ速度でG4に突撃、両者はエレベーターシャフトに飛び込んでいった。
「その姿……やはり一度きりの奇跡ではなかったか」
「舐めんなってんだよ。俺はまだまだ止まんねえぞ」
全身の細胞が泡立つような高揚感。ギルスの身体は、その力は、まだ進化できると全身で訴えていた。
「第3ラウンド、スタートだ!」
「これが最後だ……全てをぶつけてこい!」
科学技術VS科学技術、超越者VS超越者。似た者同士の決戦は、最終局面に突入する。
ちょっと間延びしてしまった感。次でとりあえず今の戦闘は決着つける……予定ではあります。お付き合いいただければ幸いです。
感想、評価等よろしくお願いします。
次回もお楽しみに