A New Hero. A Next Legend 作:二人で一人の探偵
仮面ライダーとのクロスという何番煎じだというテーマで、やれるところまでやって見ます。
興味のある方、よかったらお付き合いください。
零章0話 降誕
気付いた時にはその人は消えていた。
まだ学生の頃から実の姉のように自分を愛し、育ててくれた女性の最期を、伍代陸人は他人事のように見ていた。いや、見ているしかなかった。
「……みのりさん……?」
やっと口に出た言葉を聞く人はおらず、たった今家族を殺したバケモノだけが今更気付いたように近づいて来た。
「──ッ‼︎ クソッ!」
普通の子供なら、まず間違いなくここで死んでいただろう。だが、良くも悪くも普通ではない陸人は、自身の頭ほどの高さに浮かぶ白い怪物の真下をスライディングで抜けることで死角に入って距離を取ることに成功する
最愛の家族との死別。その直後でも冷静に生きる道を探る己の思考に呆れながら、半ば無意識的に陸人は自分の家まで逃げ延びた。
「確か、前に稽古に使ってた木刀はここに……っ!」
それがあのバケモノに通用するとは彼自身思っていないが、逆にどんな武器なら通じるのか、陸人には想像もできなかった。
気休めの道具を探して家を漁る中、1つの木箱が棚から落ちて中身が飛び出た。
「……雄介さんの……」
自分を育ててくれた2人の兄妹。みのりの兄にして陸人にとっても兄である青年。長野で遺跡調査に参加している兄から先日送られてきた石器のような遺物。みのりと2人、調べてみても何もわからず、雄介が帰って来たら聞こうと箱のまま放置していた物だ。
兄の無事を確認しようとスマホを開くと、当然のように圏外表示。逃げる最中少し確認しただけだが、あのバケモノはどうやらかなり広い範囲に拡散しているらしい。
スマホをしまい、なんとなしにその遺物に触れた陸人の身体に、これまで感じたことのない熱が駆け巡った。
「ッ! これは……なんだ?」
手を離すと熱は収まる。この感覚について考えるよりも早く、白いバケモノが壁を食い破って侵入してきた。
とっさに投げつけるものを求めて遺物に手を伸ばした瞬間、さらなる高熱を感じた陸人は、この遺物を抱えて窓から飛び降りた。
「まさか、あいつらに反応しているのか……?」
以前にもあったのだ。雄介が持ち帰る遺物は、価値なしとみなされるか、調査もできないような状態の、悪く言うとガラクタのようなものばかりだが、時折妙な特徴を持った遺物が混ざっていることがある。
不思議な声のような音が聞こえる木札だとか、冷やしても熱が失われない鉄片だとか。何故か陸人と雄介にしかその反応は感じられないのが一番の不思議だった。
これも訳の分からないガラクタの1つか、少しでもこの状況を打破する鍵になるものか。遺物の使い方を考えながら逃げる陸人は、やがて複数のバケモノの目に留まり、取り囲まれた。
「こうなったら、出たとこ勝負だ‼︎」
逃げ切らないと悟り、陸人は遺物を腰に当てる。よく見ると、ベルトのように思えたのだ。死も覚悟した、ヤケクソの一手だった。
しかし、それが彼の、そして世界の運命を変える一手となる。
ベルトから強烈な光が発生し、陸人を包み込む。光が晴れた時、まともな思考があるとは思えないバケモノたちが目を剥いたような反応を返した。
そこにいたのは、陸人では、いや、人ですらなかった。
橙色の瞳、頭に付く角のような装飾、体全体を包む黒いボディスーツのような装い、その上から纏った筋肉のようにも防具のようにも見える白い鎧。この世界で、その名を呼ぶものはいないが、その姿はこう呼称されることがある。
未完成形態 グローイングフォーム
「……なんだ、これ? ……雄介さん、一体何を送ってきたんだよ……」
自分の体を見て、呆然とする陸人。その隙をついてほぼ真上に位置していたバケモノが食いちぎろうと近づいてくる。
本能的に左手でバケモノの口を押さえ、右手でカウンターの拳を合わせる。すると意外なほどにあっさりとバケモノは吹き飛び、やがて動かなくなった。
「……何が何だかだが、やれるのなら、やらなきゃダメだよな」
敵の素性は不明。自分の状態も不明。そもそも勝利条件が検討もつかない。それでも1つだけルールを自分に定め、陸人は覚悟を決める。
俺の目の前で、誰かを死なせない。絶対に守る。
「出し惜しみはナシだッ‼︎ 行くぞバケモノ‼︎」
誰かの笑顔を守りたい。兄の言葉を胸に、少年の長い戦いが始まった。
プロローグ終了。我ながら展開雑に書きすぎたかな…オリ主1人だとシーンを持たせられないんですよね。
クウガを知っている人ならわかると思いますが、主人公はゆゆゆ世界の雄介とみのりの義弟です。といっても、雄介はクウガにはなれませんしなったこともない。未確認もいない平穏な世界でした…バーテックスが来るまでは。
次回、原作キャラが出ます。(良ければ)お楽しみに。