A New Hero. A Next Legend 作:二人で一人の探偵
つまり独自設定の雨あられです。
その辺お覚悟の上で読んでいただけると助かります。
翌朝、早起きに慣れた若葉や歌野に合わせた起床時間ゆえに眠そうにしているメンツも含めて、勇者たちは大阪の梅田に到着した。
梅田駅の地下街を探る一同。降りたシャッターやバリケードの跡など、人間の抵抗の痕跡が見られる。
これまでにない人の気配に希望を感じる勇者たちだが、強化された視力で奥にあるものを認識した陸人が焦った声で仲間を止める。
「──! みんなストップ!」
「陸人さん?」
「この先は俺が行く……みんなはここにいて……後で説明するから」
有無を言わさず先行する陸人。首を傾げながらもその言葉に従う一同。
壊れたシャッターを更に一枚越えた先。そこには白骨化した死体の山があった。
「くそ、こんな……!」
「陸人、どうした?」
「若葉ちゃん⁉︎」
戻ってこない陸人を心配して追ってきた若葉も惨状を目撃する。
「……! ……こんなことに……!」
視線を逸らした先で一冊のノートを見つける。拾って読もうとした若葉の手を、陸人が掴んで止めた。
「この先には誰もいない。これ以上ここにいると他のみんなも来ちゃうかも……中身はみんなで読もう。ここは見せたくないけど、ここにいた人の声は……みんなで聞こうよ」
「陸人……ああ、そうだな」
仲間と合流し、全員で日記を読む。
そこには、バーテックスの脅威と、それを恐れるあまり凶行に走った人間の汚さが記録されていた。
若葉はバーテックスへの怒りを募らせた。
千景は人間への失望を感じ、同時に強く生きる決意を固めた。
球子と杏と真鈴は、3年前の惨劇の夜を思い出した。
死の恐怖から逃れるために他者を犠牲にする人間。
そしてその醜さを目の当たりにしてもなお、人を守ろうとする陸人。
日記を死体の山の元に戻しに行った陸人。その背中は今も変わらず力強い。
(もしかしたら、陸人くんは……同じような経験が以前にもあったのかもね……)
真鈴は朧げに陸人のブレなさの原点を察した。
もはや希望を持ちようもない精神状態で、勇者たちは名古屋へ向かう。
その地を埋め尽くすように散乱する巨大な卵状の物質。それは更に彼らの精神を追い詰める光景だった。
「……こんな……これが、バーテックスに支配された世界……」
「……クソ……ふざけやがって……!」
あまりの光景に崩れ落ちる杏を見て、そこに現れるバーテックスの群れを見て、球子の中で何かが切れた。
怒りに身を任せ、球子は奥の手を使う。
「この世界は、お前らなんかに渡さない! 絶対にだ‼︎」
「待て、球子!」
精霊の力を使い、卵と小型をまとめて一掃する球子。
その勢いは凄まじく、球子の怒りを表現するようだった。
「球子ちゃんストップ! あとは俺がやる! ──変身‼︎──」
球子の消耗を心配した陸人が前に出て、残りを殲滅する。
「球子! 精霊の影響は今もハッキリ分かっていない、軽々しく使うな!」
「悪い、カッとなっちゃって……でもまぁ、ちょうどいいしコレに乗って探そう。その方が──」
「いや、球子ちゃんは今すぐ変身を解くんだ。使うにしても短時間の方が負担は少ないかもしれない……空から回るなら俺がゴウラムで飛ぶよ」
瞬く間にバーテックスを殲滅したクウガが諌めるように言う。
真剣にこちらを気遣うその声に、球子も頭を冷やして従う。
やはりと言うか、生存者は見つからず。勇者たちは重たい心持ちのまま諏訪へと向かう。
「いやー、やっぱりきついな、精霊の力を使うのは……」
「タマっち先輩、大丈夫?」
いつもの元気がない球子を見た陸人は、そこでアマダムが球子に反応したことに気づく。
(──! ……今のは……)
直感に従い、黒の力を解放。球子の手を取る。
「えっ? り、陸人⁉︎」
「球子ちゃん、ジッとしてて……」
──あんな一瞬の反応に気づくとは……目ざとい男だ──
アマダムの声に自分の勘が正しいことを確信するクウガ。そのまま体内のアマダムに意識を向ける。
その瞬間、球子は自分の中にあった倦怠感、精神的な淀みが消えていくのを感じた。
「……え? 陸人、今何したんだ?」
「……ふう、球子ちゃん、調子はどう? 少しは楽になった?」
「う、うん……でも、何で?」
「俺にも理由は分からない。けど、何とかできそうな気がして……うまくいってよかったよ」
変身を解除した陸人の顔色は、先ほどより少し青白く見えたが、いつも通りの笑顔を向ける彼に球子は何も言えなかった。
諏訪に着いた頃にはすっかり日が暮れていた。
ここに誰もいないことは分かっていたため、一同は真っ直ぐ陸人が墓を作った森に向かう。
「これが……?」
「ええ、陸人くんが作ってくれた、私たちの同胞のお墓……」
「もう一度来れて、本当に良かった……」
感慨深げな歌野と声が震えている水都。何も言わずに全員で墓の掃除を行う。
用意してきた押し花を備え、墓前に手を合わせる一同。
死霊に祈りを捧げる行為により、荒んでいた勇者たちの心も幾分か落ち着く。
一通りの作業を終えた勇者たちは、歌野と水都をそこに残し、墓前から離れた。
「それじゃ、例の洞窟に行ってくるよ。歌野ちゃんと水都ちゃんは、しばらくそっとしておいてあげて」
「ああ、分かっている……そちらも気をつけろよ」
墓前と洞窟。二手に分かれるメンバーたち。
陸人、真鈴、球子、杏の4人が洞窟を調べることとなった。
「ここがその洞窟か? 随分荒れてるな」
「何千、ってバーテックスが飛び込んで行ったからね……その前はもう少し綺麗な洞窟だったよ」
「それだけのバーテックスが動くだけの何か……それがあったってことでしょうか?」
「その答えも奥にあるんでしょ。とりあえず行けるとこまで行ってみましょうよ」
明かりのない場所で、時間の感覚が分からなくなるほど歩いた先で、神々しい光に照らされた開けた場所にたどり着いた。
「これは……遺跡?」
「この光、もしかして……」
「うん、間違いない。神様の光だ」
「……なぁ、奥にあるの何だ?」
球子が示した先には、外にあった陸人作の墓に似た、大量の墓標のような遺跡があった。
その中央には上蓋がない棺と、その中に眠る石像のような人型があった。
それをみた陸人は、かつてないほど激しく反応したアマダムに声をかける。
(アマダム、もしかしてここが……)
──ああ、そうだ……ここが私が眠っていた、目覚めた場所だ──
アマダムと対話する陸人、神の痕跡を探る真鈴をよそに、杏は大量に並んだ墓標を観察し、あることに気づいた。
「……アレ? ……ここ……」
「どうした? あんず」
「ここにも、眠ってた人がいるんじゃないかな……多分2人分、掘り起こされたみたいな跡がある」
その痕跡は、他と比べて真新しさがあった。
──私の口から貴様だけに伝えるのも非効率だ。そこの巫女なら土地神の力の残滓を見つけられるはずだ。それに触れされろ──
アマダムの指示に首を傾げながら真鈴に伝える陸人。真鈴が奥にあった石柱に触れると空間一帯に光が広がり、以前アマダムが陸人を呼んだ地と同じ、何もない空間が発生した。
「なんだなんだぁ⁉︎」
「これは、神樹様の……」
「記憶を空間として残したもの、らしいよ。アマダム曰く」
「神託に似たものを感じる……」
神の力に適性がある4人がこの空間に集められ、映像が流れる。神託以上に力を固めた結果、巫女以外にも受け取ることができるようだ。
数えるのも馬鹿らしいほど遥かな古代、人に近い怪物がその力を振るい、人間を殺戮する遊戯に勤しんでいた。
それに対抗するべく戦う戦士が1人。超古代に存在したクウガである。アマダムの力を受け取った戦士は、神たちとも協力し、怪物を次々と封印、最後には自らも眠りにつくことでその封印を永遠のものとしようとした。
その封印は長い時代変わることなく、土地神も変わらずこの地を守り続けた。
しかしある時、人類を見限った一部の神が、この地の封印を解こうと力を振るう。
土地神も対抗し、結果的に古代のクウガの棺が壊され、アマダムが遺跡から奪われかけた。
土地神とアマダム自身の抵抗で、アマダムは洞窟の中腹辺りで解放され、天の神に奪われることはなかった。
その落下したベルトを拾った男がいた。
近くの遺跡の探索がひと段落し、たまたまこの洞窟を見つけた男。
伍代雄介は、アマダムと出会った。
雄介さん登場。
切りどころが難しく、短くなりました。
感想、評価等よろしくお願いします
次回もお楽しみに