A New Hero. A Next Legend   作:二人で一人の探偵

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VSガドル

気合い入れて描いたので、少しでも盛り上がってもらえたら嬉しいです。


八章3話 決戦

 指定の日、まもなく日が暮れるという頃合い。陸人たち9人は丸亀城の教室に集まっていた。

 

「さて、そろそろ時間ね。千景さんたちも気をつけて。ガドル相手に後ろを気にする余裕はなさそうだし」

 

「……ええ、なるべく距離を取ることにするわ……」

 

「陸人、みんなも……気をつけろよ」

 

「ガドルはおそらく1人で来るでしょうけど、勝てる見込みを持ってくるはずです」

 

「うん、必ず勝って、生きて帰るよ。黒の力の持続時間も延びたし、出力も上がってる、いけるはずだ」

 

「任せて! りっくんは私が守るよ」

 

「友奈ちゃん……」

 

 あれ以来友奈はずっとこんな調子だ。陸人は違和感を感じながらも友奈は笑顔で流すばかりだった。

 

 

 

「そうだ、樹海化する前に円陣やらない? ヒナちゃんや水都ちゃんも一緒に」

 

「ああ、それはいいな。全員で気合いを入れようか。よし、円陣を組もう」

 

「あら、それでは失礼しますね。皆さん、ご武運を……」

 

「もう私たちにできることはないけど、みんなを信じて待ってるね」

 

「任せてみーちゃん! ちゃーんと帰ってくるわ!」

 

 9人が円になって気持ちを1つにする。

 

「ガドルはこの世界の大きな脅威の1つだ。今度こそ決着をつける……もちろん勝って終わらせる、必ずだ! ファイト──」

 

『オオーッ‼︎』

 

 掛け声の直後、世界が塗り替えられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千景たち3人と別れて、陸人たちはガドルのもとに向かう。人間の姿のまま、それでもさらなる凄みを感じさせる。

 

「バーテックスは……いないか」

 

「当然だ。足手纏いも横槍もちゃんと間引いてきた。純然たる決着をつけるために」

 

「とことんクウガにこだわるのね。悪いけど、お邪魔するわよ?」

 

「構わん、お前たちとの連携込みで今のクウガの力だ」

 

「りっくんは、絶対に殺させない……!」

 

「そうだ、俺が勝てば全てを殺す。それが嫌なら倒してみせろ」

 

 勇者たちと言葉を交わしながらもガドルの視線は陸人から離れない。

 

 

 

「これが最後だ。鍛えてきたか?」

 

「ああ、前回のようなヘマはしない。勝つのは俺たちだよ」

 

「……フッ、やれるものなら、やってみろ!」

 

 ガドルのもとに力が収束する。樹海に漂う神樹の力と同質の、天の神の力が満ちていく。

 

 

 

「行くぞ! 総員戦闘準備!」

 

 現実世界にある守るべきものを思い、若葉が変身する。

 

「レッツ、メタモルフォーゼ!」

 

 気負うことなくいつも通りに、歌野が変身する。

 

「よーし、行くよ! 勇者になーる!」

 

 一瞬だけ陸人を見て、覚悟と共に友奈が変身する。

 

「──変身ッ‼︎──」

 

 "絶対に勝つ"それだけを胸に陸人が変身する。

 

 

 

 姿を変える5人。神の力を振るう戦士たちがぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来い──『酒呑童子』‼︎」

 

「降りよ──『大天狗』‼︎」

 

 友奈の切り札、酒呑童子。手甲が巨大化し、より力強くなる。

 それに並ぶ若葉の2体目の精霊、大天狗。天をかける黒い翼が生える。

 

 黒のクウガを正面に、左右から友奈と若葉が攻める。歌野は一歩離れたところから予見と鞭で援護に徹する。戦力の約半分を失った勇者たちが考えた最善の陣形だ。

 

 

 

「今よ、若葉、友奈さん!」

 

 鞭を巻きつけ、一瞬だけガドルの足を止める。

 

「ハアアアアッ!」

「──シッ!」

 

 友奈の拳と若葉の剣が同時にガドルを襲う。冷静に両手で防いだところに、本命が飛び込んでくる。

 

「オオリャアァァァ‼︎」

 

 黒の青のロッドが直撃、ガドルを大きくふき飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガドルはすぐさま立ち上がる。とっさに飛び退いてダメージを減殺させていた。

 

「いいぞ、今までで1番のこの手応え! 待った甲斐があったというものだ!」

 

 構え直す勇者たち。なにやらおかしな事が起きている。樹海内部だというのに、ガドルの真上に黒い雲が広がっていく。

 

「今度は俺が見せよう、新たな力を!」

 

 雲から一直線に雷が落ちる。それを浴びたガドルの雰囲気が変質していく。腹部のバックルを中心に神の力が収束、向上していく。

 

「オオオオォォォォ‼︎」

 

 雷の中から現れたガドルは、その姿も変化していた。

 肉体の一部が変色し、頭部の角も変化。放つプレッシャーはさらに濃く、重たくなる。

 

 ゴ・ガドル・バの新たな力、『電撃体』

 

 天の神の力を高めた至高の戦士が顕現した。

 

 

 

 

「クウガよ……お前の進化を見習わせてもらったぞ」

 

「あれだけ強いくせに、向上心までお持ちとは。全く恐れ入ったよ」

 

「敵が強いならこちらも強くなるしかない、当たり前のことだ……!」

 

 

 その言葉を終える前にクウガが仕掛ける。

 黒の青の速度で背後を取る──取った、はずだった。

 

「──ッ⁉︎」

「遅い!」

 

 クウガは攻撃に入る一瞬で背後を取り返されていた。強烈な蹴りを受けて吹き飛ぶクウガ。

 

「りっくん!」

「おのれ……!」

 

 友奈がクウガを受け止め、若葉が仕掛ける。

 速度と威力を兼ねたその剣を軽々と躱す。大天狗の機動力ですら、今のガドルを捉えられない。

 仕切り直すために上空に逃れる若葉。目を離した一瞬でガドルがボウガンを形成したことには気づかなかった。

 

「若葉っ!」

 

 歌野の鞭は数発の矢を撃ち落とすことはできたが、圧倒的な連射力に対応できず、若葉の翼はいくつもの穴を開けられた。

 

「オオオオッ!」

「無駄だっ!」

 

 若葉が撃ち落とされた次の瞬間には、友奈は自分の間合いまで踏み込んでいた。なのにガドルは、目も向けずに友奈の拳を掌で受け止める。超近距離で凄まじい衝撃が発生する。

 驚く友奈の拳を握ったまま、ボウガンを剣に変化させる。

 

「させないわ!」

「……お前は、優秀だな。戦い慣れている!」

「キャアッ⁉︎」

 

 振り上げた剣に鞭が巻きつく。歌野は実にうまく援護をしていた。問題はそれをものともしない強敵が相手だということ。

 力尽くで鞭を引き、歌野を思い切り引き寄せる。足が地を離れる勢いでガドルに引き寄せられた歌野が友奈と並んだところで剣を振り、鞭を切り裂く。

 

 横薙ぎの一閃。友奈と歌野をまとめて切り飛ばした。

 

「ガドルゥゥゥ‼︎」

「そうだ、来い! お前の最強の技で!」

 

 黒の赤のクウガが走りこんでくる。それを見たガドルは笑って剣を捨て、同じく走りこむ。

 同時に跳躍。同じように両足を揃えて飛び蹴り。

 

 

 

 

 クウガの必殺技『アメイジングマイティキック』とガドルの必殺技『ゼンゲビ・ビブブ』がぶつかり合う。

 神の力の衝突、あまりのエネルギーに爆発が起きる。

 

「陸人!」

「……ウソでしょ?」

「そんな……!」

 

 空に捲き上る煙の中からクウガが脱力した様子で墜落。一方のガドルは平然と着地。

 誰が見てもクウガの最強技が打ち負ける結果となった。

 

 

 

 

 

「ふむ……確かに力は増している、暴走もしていない。だが、同じような進化の道を歩んでも、やはり結果は変わってくるものか」

 

 ガドルとて無傷ではない。しかし天の神の雷に慣らされた体は、クウガの黒の力でも破れない耐久力も持ってしまっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あまりのダメージに立ち上がれないクウガのもとに集まる勇者たち。

 

「……マズイな、強すぎるぞ」

 

「粘って粘って、チャンスを待つ……までに私たち全滅ね、確実に」

 

「若葉ちゃん、歌野ちゃん……時間稼ぎ、お願いしてもいい?」

 

 その言葉に驚き友奈を見る3人。あの力を見てまだ手があると言うのか。

 

「考えがあるんだな? 友奈」

 

「うん、一応準備してたんだ。通用するかは、賭けだけど……」

 

「私は賭けられるものもないからね。友奈さんがそう言うなら託すわ」

 

 頷きあって前に出る若葉と歌野。

 それを見たガドルが笑う。

 

「作戦会議は終わったか?」

 

「待たせて悪いわね……と言うかよく待ってたわね」

「それも戦いを楽しむためか?」

 

「まあそういうことだ。無論手を抜いたりはしないがな」

 

 話し合うということは諦めていないということ。どれだけ力を見せても折れない勇者たちは、ガドルにとって至高の敵だった。

 

「私が前に出る。フォローを頼むぞ、歌野……!」

 

「ええ。私の指示、ちゃんと聞いてね若葉!」

 

 天翔ける者と心読む者。相性抜群のコンビがガドルに挑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 友奈は酒呑童子を解除して呼吸を整えている。

 

「……友奈ちゃん、どうするつもり?」

 

「りっくん……私はりっくんにこれ以上苦しんでほしくない。でもりっくんが守りたいもののために、そういうわけにもいかないんだよね」

 

 友奈は微笑みを崩さない。陸人を安心させるために。

 

「私はもう何も言わない。だからりっくんも、これから私がやる事に何も言っちゃダメだよ」

 

 陸人の無茶は止められない。ならば彼の隣に立つために、同じように無茶をする。陸人にそれを止める権利はない。なぜなら彼自身が止まらないのだから……友奈が言いたいのはそういう事だ。

 

「友奈ちゃん?」

 

「大丈夫、りっくんの願いと私の願いは同じだよ。一緒にみんなを守ろう!」

 

 友奈は恐れを隠して強い瞳で前を見る。陸人の気持ちを少しでも楽にするために。

 

 友奈の勇者服のモチーフは『桜』

 桜の花言葉は"精神の美"

 友奈の心は誰かのためを思っている。

 笑うのは誰かと一緒に笑うため。

 泣くのは誰かの悲しみを受け止めるため。

 その心が強くあるのは大切なものを守るため。

 高嶋友奈は強さと優しさと美しさを備えた、勇者の心を持っている。

 

 

 

 ──この娘、まさか──

 

「友奈ちゃん、待っ──」

 

「さぁ、出し惜しみナシで行くよ! 『酒呑童子』、『一目連』‼︎」

 

 クウガの制止を振り切り、友奈は2()()()()()精霊を降ろす。

 かつてない力が収束する。神樹さえも想定していない手段。人間が手を出してはならない領域にまで友奈は到達してしまった。

 

「ウオオオオオォォォォォッ‼︎」

 

 勇者装束が変化する。酒呑童子と一目連の意匠を組み合わせた姿に、人の器に収まりきらない神樹の光が後光のように表出する。

 

「グウゥッ! アアアッ……」

 

「友奈ちゃん⁉︎」

 

 2乗の力を引き出すためにもたらされる2乗の負荷。ただでさえ負担が大きい酒呑童子。その上に一目連も併用するという規格外のやり方でシステムの限界を突破した友奈に莫大な負荷がのしかかる。

 

「友奈ちゃん! ダメだ、それは──」

 

 うずくまる友奈の穢れを移そうとするクウガ。体の内側から食い破られそうな痛みに耐え、友奈はクウガの手を払う。

 

「……だい、じょうぶ……私は……私は!」

 

 隣にいる守りたい人を見て、後ろにある大切な世界を思い、友奈は力強く立ち上がる。

 

「私は‼︎ 勇者、高嶋友奈だあああああああっ‼︎」

 

 高嶋友奈は勇者である。その心に守りたいものがある限り、いくらでも強くなれる勇者だ。

 

「……友奈ちゃん」

 

「大丈夫……行こう、りっくん!」

 

 いつも通りの笑顔で手を差し出す友奈。

 仮面越しでもわかる苦い顔をした陸人がその手を取る。

 2人は走る。ガドルは笑い、若葉と歌野を振り払う。

 

「ハアアアアッ‼︎」

「勇者ぁぁぁっ、パァァァァンチ‼︎」

 

 クウガと友奈の拳がガドルを大きく吹き飛ばす。

 

「ここまでとはな……やはり面白い。クウガも、人間も!」

 

「りっくんはやらせない! この世界も壊させない!」

 

 友奈が叫ぶ。穢れに耐えて、拳を構える。

 

「絶対に負けない! 俺たちは、大きすぎるものを背負ってるんだ!」

 

 陸人が叫ぶ。痛みを堪えて強く地を踏む。

 

「見せてやる……人間の、本当の強さを!」

 

 若葉が叫ぶ。翼を広げ、剣を構える。

 

「ここからが本番よ! 勝って帰るって約束したんだから!」

 

 歌野が叫ぶ。笑顔を崩さず、鞭を構える。

 

 勇者の戦意に、ガドルの喜びは増すばかりだ。

 

「いいぞ、それでこそだ! 人間!」

 

「行くぞガドル! 出し惜しみはナシだっ‼︎」

 

 

 

 勇者たちは諦めない。ガドルの戦意は折れない。

 

 持てる全てをかけた戦士たちの戦いは新たな領域に進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




改めて、私戦闘描写苦手ですわ。
台詞回しは王道バトル物を意識してみました。

感想、評価等よろしくお願いします。

次回もお楽しみに
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