A New Hero. A Next Legend 作:二人で一人の探偵
まあ毎度戦闘回のたびにネタ切れを感じながら騙し騙しやってるので、次もなんとか…なったらいいなぁ
あ、若葉ちゃん誕生日おめでとう!(とってつけた感)
二重顕現状態の友奈のスペックは非常に高い。黒のクウガとの共鳴で高めあった結果、2人がかりでガドル電撃体と互角に持ち込んでみせた。
友奈が正面でガドルと殴り合う。間合いが開いた瞬間に友奈を飛び越えたクウガが交代して蹴り込んでくる。2人は前衛を交代しながら大きなダメージを避けてガドルを追い込んでいく。その上──
「2人とも下がって!」
ガドルが後ろ手に剣を形成し振り下ろすのと、歌野の指示により2人が飛び退くのはほぼ同時だった。
歌野は完全に指示出しに専念。どれだけ力を伸ばしても心を読まれることは止めようがない。戦士として、非常に厄介な能力だ。
「チィッ! この──」
「させるか!」
その歌野の指示で若葉が頭上という死角から割り込んでくる。ガドルが隙を作っても即座に妨害が入り、攻めきれない。
純粋な戦闘力で自分に追いすがるクウガと友奈。
動きを読み、最適な流れに持って行く歌野。
速度と飛行能力で翻弄してくる若葉。
仕切り直すべく高く飛び上がり距離を取るガドル。それも読んでいた歌野は、ガドルが動くよりも先に、若葉に指示を出していた。
「クッ、大したものだ……なに⁉︎」
「逃がさないわよ、絶対に!」
着地した地面に自分以外の影が映る。見上げると空を舞う若葉に抱えられた歌野が自分めがけて落下してくるのが見えた。
「グッ、ガ……!」
「よっし、ホールド!」
ガドルの首に鞭を巻きつけて後方に着地する歌野。拘束するのに有効な部位をようやく捉えることができた。
「──ッ‼︎」
一瞬無防備を晒したガドルに追撃が迫る。声にならない叫びと共に、猛スピードで急降下してきた若葉が唐竹割りの一閃。ガドルに傷をつけることに成功した。
「効いたぞ……! オォォォォッ‼︎」
「ガッ⁉︎」
「ひゃああっ⁉︎」
ガドルの体から雷撃がほとばしる。近距離にいた若葉と歌野はかわしきれずに吹き飛ばされる。
この時点で2人は役目をこなしていた。主力が大技を使うための時間を稼いだのだ。
「ヤアアアアアアッ‼︎」
「なんだ、この速さは……⁉︎」
酒呑童子のパワーと一目連のスピード。底上げされた神の力がガドルを捉えた。周囲を飛び回り、全方位から連続で拳を浴びせる。
「万、回──、勇者、パァァァァンチッ‼︎」
1万回目の拳が顔面に直撃。ガドルは大きく後退り膝をつく。
息を荒げるガドルの耳に、バイクの走行音が届く。ビートチェイサーとゴウラムが合体したバイク『ビートゴウラム』が迫る。
「行っ、けええええっ‼︎」
クウガの黒の力がビートゴウラムに注がれる。ゴウラムのパーツに金の意匠が追加され、神の力が増加する。
三位一体の超必殺技『ライジングビートゴウラムアタック』がガドルに直撃する。
大きく跳ね飛ばされ滑るように転がるガドル。ようやく体勢を整えたところで、前方のバイクに誰も乗っていないことに気づく。
「出し惜しみナシって、言ったはずだ!」
バイクから直接飛び上がり、両足に力を込める。
『アメイジングマイティキック』が先ほどの傷に叩き込まれる。
「オオリャアァァァァッ‼︎」
「ガァァァァッ⁉︎」
吹き飛んだガドルの体が樹海の根の谷間に落ちる。次の瞬間に大爆発が起きた。
「うおわあぁっ⁉︎」
爆風に飛ばされるフラフラのクウガ。若葉が受け止め、4人合流する。
「勝てたか……」
「ギリギリ、ね……」
「……ん? あれ、なんか変だよ?」
「ここまでやっても、まだ足りないのか⁉︎」
広がり続けていた爆発が、巻き戻し映像のように収束していく。全てが収まったその先から、足音が響く。
そこには至るところに傷を負い、足元もおぼつかない状態で、それでも確かに立って歩いているガドルの姿があった。
(どうやったら倒せるんだ、あの怪物……!)
──おそらく体内の天の神の力を活性化させて、クウガの技のエネルギー……神樹の力を打ち消したのだろう。向こうもギリギリだったようだがな──
「クッ、ククク……クハハハハハ……」
ガドルは明らかにボロボロでありながら、そのプレッシャーはさらに膨れ上がっていた。
「ハァーッハッハッハ! 楽しませてくれる……俺も全てを出そう……! ウオオオオオォォォォォ‼︎」
叫びと共に樹海の空に広大な雷雲を発生させ、そこに雷撃を打ち上げるガドル。
その刺激に反応した雷雲が活性化。眼に映る範囲全体に次々と雷が落ちる。
「なんだ、コレは⁉︎」
「まさにディザスター! マズイわね……」
「うわわわわわわぁ⁉︎」
「友奈ちゃん! クソッ、どうすればいいんだ⁉︎」
ギリギリで回避する勇者たち。すでに疲労困憊のクウガと友奈を歌野がフォローし、若葉がこの雷撃を止めるために雷光を掻い潜りながらガドルに突っ込む。
若葉の最高速の一閃を防ぐことを諦め、ガドルは体で受け止める。痛みを堪えて剣を掴み捕らえた若葉に、自身をも巻き込んで大きな雷を落とす。
「グアアアァァァッ⁉︎」
「ここまでだ……堕ちろ、翼の勇者!」
「グッ……まだだああっ‼︎」
ガドルの技が本人に効くはずもなく、近距離で捕らえられた若葉は雷撃に晒され、力が抜けていく。自分はここまでだと確信した若葉は最後の抵抗として力任せに剣を振るう。ガドルの足に小さな傷を残したところで力尽きた。息があるのは確認できるが、気を失い、変身も解除されてしまっている。
「若葉ちゃん⁉︎」
「若葉! ──って、ヤバイ!」
「しまった!」
若葉の撃墜に動揺した3人は思わず合流したタイミングで足を止めてしまった。そこに極大の雷撃が落ちてくる。
「くっ……こんのおおっ‼︎」
歌野は頭上で鞭を高速回転させて即席の盾を展開。雷撃を正面から受け止める。
「気合い入れなさい!
歌野の精霊『覚』は特異な能力を持っている代わりに、他の精霊と比べて直接戦闘力を向上させる効果が低い。もともと使っていたシステムが違うこともあり、歌野は出力で言えば最弱の勇者だ。
それでも歌野は強い。それは白鳥歌野本人が経験に裏打ちされた戦闘力と、どんな状況でも希望を失わない精神力を持っているからだ。
「ああああぁぁぁぁっ‼︎」
雷撃を落とし続けるガドルと受け止め続ける歌野の我慢比べは、歌野の勝利に終わった。雷が収まり、雷雲も引いていく。
意地と底力だけで、歌野は雷撃を耐え凌ぎ、膝をつく2人の仲間を守りきった。
「ハァッ、ハァッ……ソーリー、わたしもここまでみたい。あと、お願い……」
「歌野ちゃん!」
「ありがとう、あとは任せてくれ……!」
仲間を信じる、と言わんばかりに笑顔のまま、歌野は倒れる。勇者装束も解け、これで今戦えるのは2人となった。
荒れ果てた樹海に立つ、3人の戦士。いずれも傷だらけで、肩で息をして立つのもやっとの有様だ。
お互いもう小技で削るような戦い方はできない。次の一撃で決着をつける。それが3人の共通認識だった。
「さあ、幕引きといこうか!」
ガドルが足を開いて構える。
「友奈ちゃん、一緒に行こう! 俺たちの力で、今度こそガドルを倒す!」
クウガが腰を落として構える。
「うん! やれるよ……私達なら!」
友奈がクウガに合わせるように構える。
『オオオオオオオッ‼︎』
3人同時に大きく跳躍。高く、高く舞い上がり最高の一撃を放つ。
ガドルの最強技『ゼンゲビ・ビブブ』が2人に迫る。
クウガと友奈は声を合わせ、息を合わせ、動きを合わせ、心を合わせる。
「ダブルッ!」
「勇者ぁぁぁぁ!」
『キィィィィィック‼︎』
背中合わせに同時に飛び蹴り。『ダブル勇者キック』がガドルの必殺技と激突する。
樹海全域を震わす衝撃。雷と閃光が疾る。どちらも押し切れぬまま、互角に押し合う。しかし体力の問題で追い込まれているのは勇者側だ。
「終わりだああああっ‼︎」
さらに力を込めるガドルに負けじとクウガと友奈も気合を乗せる。
「勇者は不屈っ‼︎」
「勇者は根性っ‼︎」
『絶対に、諦めなああああい‼︎』
粘り続ける2人の勇者に、ガドルの体が限界を迎えた。衝撃に耐えきれず、若葉が足に残した傷が広がっていく。
「オオオオオオオッ‼︎」
「──っ‼︎」
一瞬、クウガの姿がより黒く力強い姿に変貌したのをガドルは確かに見た。
(それが、究極の進化、か……)
クウガにはまだ先がある。ガドルはここで初めて、ダグバがクウガを気にかける理由が分かった気がした。
『ハアアァァァ……ダアアアッ‼︎』
とうとうクウガと友奈が押し切り、ガドルの体に蹴りを打ち込む。
樹海の上空にまばゆい光とともに巨大な爆発が起きた。
変身が解けた陸人は1人で樹海を歩いていた。爆風に飛ばされて逸れた友奈を探してレーダーを確認したところで背後に気配を感じる。
ヨロヨロと振り返ると、そこにはガドルが直立していた。反射的に身構えるも、ガドルの姿を見て警戒を解く。
身動き1つしない。いや、できないほどのダメージを受け、レーダーにさえ映らないほどに力が残っていない。胸の傷からバックルに向けてヒビが広がっていくガドルは、どう見てももう戦えなかった。
掠れた声が死に体の口から漏れる。
「ハハハハハ……最高だ、実に素晴らしい戦いだったぞ」
「俺たちは快楽のために戦ったわけじゃない。けど、1つだけ言わせてもらう」
どちらが勝ったのかわからないボロボロの姿で、それでも陸人は明言する。
「俺たちの勝ちだ……ガドル……!」
「ああ。勝者は、お前たちだ」
陸人は戦うことが好きではない。それでもその声には最後まで戦士として戦い続けたガドルへのわずかな敬意が込められていた。それに気づいたガドルもまた、勝者への賞賛の思いを込めて返す。
「次はダグバだ。あの究極の破壊者を相手に、お前たちに何ができるか……
「1人で寂しくないように……すぐにダグバも
無意識に口から出たらしくない攻撃的な言葉に、自分に疑問を抱く陸人だが、ガドルの楽しげな声にその思考はかき消された。
「ククク……そう、その戦意を忘れるな。ダグバに挑んだものは皆、圧倒的な力に心を砕かれて果てた。大切なのは折れない意志だ。俺との戦いで示したように……それ以上の揺るぎない意志がな……」
「……ガドル」
「クウガ……お前は以前言ったな。命の価値は自身が決めるものだから、どんな者でも守る、と……」
「ああ、俺はそう信じてる」
「ならば決して負けてはならない。価値の有る無しなど気にも留めずに全てを滅ぼすダグバにも……お前たちを見てもなお人間の価値を認めようとしない天の神にも……その言葉が本物だと言うなら、この世界、必ず守れ」
「……言われなくても、負けないよ……絶対」
話している間にどんどんガドルのヒビは広がり、神の力も抜けていく。
「本当に楽しかったぞ、クウガ……いや、伍代陸人」
ガドルはかろうじて動く首を、雷撃の跡が残る地点に向ける。
「高嶋友奈……乃木若葉……白鳥歌野……そして、郡千景……土居球子……伊予島杏……いずれも人間でありながら本物の戦士の心を持った素晴らしい勇者だった。最後の敵がお前たちだったことは、俺の誇りだ」
勝者を讃え、最後まで誇り高く……それが戦士としてのガドルの在り方だ。
「封印ではない……これが『死』か。初めての経験だが……あぁ、不思議と、悪くない気分だ……」
満ち足りたような声を残し、ガドルは最後の力で高く跳躍した。
陸人が見上げる中、樹海の空で古代の怪物『ゴ・ガドル・バ』は爆散した。
その爆発の大きさは陸人にもわずかに届いた。伏せて衝撃に耐える陸人はガドルが飛び上がった理由に気づいた。
(ガドル……今の俺じゃ爆風だけでも危ないと分かってて……)
巻き込まないために出来る限り距離を取った。散り際まで自分の誇りを貫く、ガドルらしい最後だった。
友奈の捜索を再開した陸人は、自身の神の力が何かに反応するのを感じた。
(これは……! 友奈ちゃんと、神樹様⁉︎ ヤバイ……!)
ビートチェイサーを召喚。急ぎレーダーが示す友奈の元へ向かう。
「……ハァ、ハァ……りっくんは……来てないよね?」
ガドルの撃破を確認した友奈は、陸人から離れるように歩いていた。
友奈は考えた。二重顕現の負担を陸人に押し付けてしまえば元も子もない。
陸人に穢れの肩代わりをさせないためには大社に保護されるまで陸人から距離を取ればいい。爆発で離れられたのは運が良かった。大社には事前に話を通してあるので、樹海化が解け次第すぐに迎えが来る手筈だ。
隠し事や手回しといった類に慣れていない友奈なりに精一杯考えて準備をしたのだ。問題は、想定外に穢れが強く、今にも意識が飛びそうなほどに弱っていることだ。
耐えきれずに崩れ落ちる友奈。神の力が活性化し、今にも爆発しそうな感覚だ。この規模の爆発が起きれば、樹海そのものにも深刻なダメージを与えかねない。
思わず死を覚悟した友奈は、自らが横たわる根に神の力を吸収されていることに気づいた。
(これは……神樹様? 力に呑み込まれかけてる私ごと、吸収しようとしてる?)
友奈の力の爆発を防ぐため、神樹はやむなく彼女を吸収しようとする。友奈も働かない頭でそれを受け入れかけていた。
(もう助かりそうにないし、ここで終わればりっくんの負担になることもない……それもいいかな)
瞳を閉じ、意識を手放した友奈は、バイクの走行音が近づいて来ることに気づかなかった。
「いた! 友奈ちゃん!」
バイクから飛び降りて友奈の体を抱き上げる陸人。神の力の制御を失いつつある友奈と、それを吸収する神樹。陸人は事態を把握、覚悟を決める。
(神樹様、友奈ちゃんは俺が……!)
陸人の覚悟を察した神樹は友奈への干渉をやめた。
意識がないながらも息を荒げて苦しむ友奈。手足をはじめ身体中傷だらけの彼女を見て、陸人は無理やり黒の力を発動する。
「ゴメン、友奈ちゃん……今から俺は、君の気持ちを踏みにじる。それでも、それでも君には──」
生きていてほしい。その一心で友奈の頰に触れて、陸人は──
「……う、うぅん?」
体に伝わる振動に、友奈は意識を取り戻した。とは言え、あまりの脱力感に瞼を開くのも億劫で、目を閉じたままではあるが。
「お、友奈ちゃん、起きた?」
耳のすぐ近くで陸人の声がする。体勢から考えて背負って運ばれているようだ。とりあえず友奈は降りようとする。
「……りっくん? ゴメン、私寝ちゃって……」
「いいって。友奈ちゃんもう動けないでしょ。ムリするから……もう樹海化も解けたし連絡も入れた。みんなの所まで移動するだけだからさ」
全身ボロボロの友奈は、そこでようやくキックに使った両足の感覚がないことに気づいた。
(……アレ? りっくんのそばにいちゃ、ダメだったような?)
疲労から思考もまとまらない友奈。陸人と触れ合っている安心感と、こちらを想う彼の声に感じる愛おしさに、やがて考えることを放棄した。
「ゴメンね、りっくん……ありがとう」
「お礼を言うのはこっちだよ。あんな無茶してまで俺を気遣ってくれたんでしょ?」
「……いつもりっくんがやってることだよ……少しだけ、りっくんの気持ち……分かったかも……でも、りっくんも、私たちの気持ち……少しは分かったでしょ?」
「そう、だね。見ている側は、すごく怖い……こんな気持ちを、みんなにさせてたんだな」
「どうしようもなかった、っていうのは分かるけど……もう少し私たちのこと、頼ってほしいって、私は思うから……だから、今回はいつもよりも更に頑張ってみたんだ……私、ちょっとはすごかったでしょ?」
「うん……カッコよかったし、頼もしかったよ」
「エヘヘ……やったぁ……りっくんにほめられたぁ」
嬉しそうに微笑む友奈は全身で感じる陸人の体に違和感を感じた。
「りっくん? なんか、体冷たくない?」
「……ん? 結構血を流したし、友奈ちゃんの体が熱持っちゃってるだけじゃないかな」
「……そう、かな? そうかも……」
「まだキツイでしょ? 寝てていいよ、合流できたら起こすからさ」
「うん、ありがとう……りっくんは優しいなぁ」
「おやすみ、友奈ちゃん」
「おや、すみぃ……」
この時陸人は嘘をついていた。今の陸人の体に
体はひどく冷たく、傷も血の跡こそ残っているが、頭部や首といった血が流れやすい箇所の傷でさえも出血していなかった。
友奈の失敗は倦怠感から眼を開かなかったこと。ここで眼を開いていれば、陸人に起きた異常についても気づけただろう。
何せ日本人らしい黒だった陸人の髪が、
陸人自身も気づいていない。霞みはじめた視界で自分の頭髪の色まで把握できなかった。そのせいで陸人は自分の身に誤魔化しようのない異常が起きたことに気づかないまま、仲間の元に向かう。
秘密にすることで守ってきたものが、とうとう壊れてしまう。
終わったぁ…叫ぶところがくどかったかな、とか最後ガドル喋りすぎたかな、とか色々反省点はあれど、戦闘描写が苦手な私にしてはそれなりに自分のビジョンを表現できたのではないかな、と思います。
感想、評価等よろしくお願いします。
次回もお楽しみに