BUILD in the Fate/Grand Order 作:芹香
傍観を決め込むゲーティアに向け、私が信頼していて、尚且つ最強の布陣を整えたサーヴァント達が突撃する。
マシュは其の手に持つ大盾を振るい、流れ弾を弾きながら距離を詰めていく。
ジャンヌは旗を両手で持ち、勇猛果敢に攻撃する。時々、腰に提げている剣を抜いて剣戟を浴びせているが。
エミヤは投影した弓と矢、二振りの剣を用い、マシュのサポートに回っている。正確無比な矢の軌道は、凡人には到底真似出来ない。
アルトリアは魔力放出を用いて重い一撃を浴びせていく。流石ブリテンの王、太刀筋が綺麗だ。一寸の迷いもない太刀筋は、何度見ても惚れ惚れする。
そして戦兎。ラビットラビットフォームの特徴である手足が伸び、重そうな両手武器〈フルボトルバスター〉を振るって変幻自在な攻撃をしていく。というか、手足が伸びるって何処の悪魔の実を食べた男だよとツッコミを入れたくなったのは言うまでもない。
「……やっぱり凄いよ、皆」
サーヴァント達も凄いが、戦兎も凄かった。その力が欲しくて、無理を承知で戦兎に詰め寄って何度も強請ったのは今でも覚えている。
でも、戦兎の力は私が扱える代物じゃないのが分かった今、私はその力を手にするのを諦めた。そもそも異世界の技術をこの世界に広める原因にもなりかねない。それは戦兎も望んでいない事だろう。
暫く攻撃が続く。その時、傍観を決め込んだ筈のゲーティアの様子が変わった。後ろに鎮座する玉座の更に後ろ、超高密度の光の束が輝きを増していく。
───────不味い。
誰もがそう思った時、その光は放たれた。その光は人類史全てを燃料とし、全てを焼き尽くす光。アルトリアが持つ聖剣エクスカリバーが放つ光を何重にも束ねた光を打ち破る物は、この世界に存在しない。
故に、私が出来た事は何も無い。代わりに、マシュがその光を防ぐべく前に出た。
マシュに力を託した英霊〈ギャラハッド〉が持つ大盾と宝具は、しっかりとマシュに受け継がれていた。マシュが真名を解放し、その大盾を起動させると、私達を守るかのように白亜の城が出現する。
だが、肝心のマシュは最前線で光を防ぎ続けている。一度触れたりでもしたら即座に消滅しかねない光を、たった一人で。
「───────マシュ!?」
慌てて駆け寄りたい所だったが、戦兎達に静止させられた。彼女の、マシュの想いをしっかり受け止めろという事なのか。だが、このままマシュが痛みに耐え続けている所を見続けるのは、私にとっては苦痛だった。
でも、仮に私がマシュの元へ向かったとしても何が出来る。足手まといになるだけじゃない。マシュが守りたい人、すなわち私が死ぬ事になったら、マシュは悲しむだけじゃない筈だ。
前に出たい気持ちを必死に堪え、奴の攻撃が止むまで余波に耐え続ける。流石は人類史を束ねた攻撃、一筋縄では行かない。
それを受け続けているマシュは、どれほどの苦痛を受けているのだろうか。想像は出来ない。だけど、静かに見守るしかなかった─────
「……ありがとうございます、先輩。皆さん。そして、戦兎さん。先に、逝きますね……さようなら」
最期に、マシュの声が聞こえた気がする。余波に耐え切れなくなった私達は、いつの間にか気絶していた。恐る恐る目を開けて前方を見遣れば、マシュが持つ大盾だけがそこに鎮座している。私達を守るように。
遺された大盾を見たゲーティアが嗤う。マシュが消えた事に対し、不愉快な声で嗤う。酷く、耳障りだ。聞いてて、怒りがふつふつと火を灯すように滾ってくる。
「マシュを……私の後輩を…嗤うなぁぁぁぁっ!!」
完全にキレた私はマシュの大盾を持ち、ゲーティアに向かっていった。だが、寸前で誰かに肩を掴まれる。後ろを向けば、ビルドに変身していた戦兎が。
まるで機械のように無言だったが、私には戦兎の意図が分かった。滾っていた怒りを鎮め、数歩下がる。代わりに戦兎は前に出る。
「─────マシュの想い、俺が引き継ぐ。この世界の、人類の、彼女が守りたかった未来をこの手で繋ぐ!」
ベルトからフルフルラビットタンクボトルを取り外し、元の形状に戻す。ハザードトリガーのスイッチを再び押してからフルフルラビットタンクボトルを振り、青い成分─ タンクの成分 ─を選択し、再び二つに折ってベルトに挿し込む。
〈MAX! HAZARD ON!〉
〈TANK! TANK&TANK!〉
再び二つの音声が鳴り響く。戦兎が可動式のレバーを回すと、これまた何処から現れたのか、小さな戦車が砲撃しながら、私達の後ろからやって来る。
〈ガタガタゴットン! ズッダンズダン!〉
〈Are you READY ?〉
「───ビルドアップ!」
〈OVERFLOW!!〉
小さな戦車達は戦兎の前に来ると、兎と同様に追加装甲として宙に浮く。
赤い装甲が弾け飛び、再びハザードフォームに戻った戦兎は、続いて青い装甲を順番に身に纏う。そして、最後に青いマスクを装着した。
〈鋼鉄のブルーウォリアー! タンクタンク! ヤベェェェイ! ツエ〜イィ!〉
さっきとは打って変わって、青い装甲を身に纏う戦士が爆誕。その名は仮面ライダービルド、タンクタンクフォーム。ラビットラビットがスピード特化のフォームだとしたら、タンクタンクは攻撃と防御重視のフォームだろう。
「……勝利の法則は、決まった!」
二回目となるお決まりの台詞を言い、戦兎は専用武器であるフルボトルバスターをバスターキャノンモードに。トリガーを引き、砲撃を浴びせていく。
さっきとは段違いに重くなった攻撃に対し、ゲーティアは若干ではあるものの、怯むようになってきた。
その後も手を緩める事無く攻撃していき、ゲーティアが大きくよろめいた隙を狙い、戦兎はフルボトルバスターにフルボトルを装填していく。
〈TANK! JET! GATLING! ROCKET! ULTIMATE MATCH デース!!〉
四本のフルボトルの力を合成したエネルギーはフルボトルバスターの銃口に集中していき、青く大きなエネルギー弾となる。戦兎はエネルギーチャージ完了と判断し、フルボトルバスターのトリガーを引く。
〈ULTIMATE MATCH BREAK !!〉
「──────────喰らえっ!!」
発射された青いエネルギー弾は空を切る。物凄い速度でゲーティアに肉薄していくエネルギー弾は着弾し、爆発音を轟かせる。
爆発により巻き起こった煙で見えなかった前方は段々と晴れていき、エネルギー弾をまともに喰らったゲーティアは、初めて片膝をついていた。
「今だ、立香っ!!」
「─────うんっ! 令呪を以て命ずる、全員! 宝具解放!!」
戦兎の合図で私は右手に宿る、三画の図形を象った図形のような物─ 令呪 ─を全て解放。右手の甲に刻まれていた令呪は重力を無視するかのように宙に浮き、全て空中に解けていく。
その瞬間、私と契約しているサーヴァント三騎のオーラが切り替わる。目付きは鋭くなり、今か今かと構えていた。
先ず動いたのは、ジャンヌ。
『我が旗よ、我が同胞を護りたまえ! 我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)!!』
自身を含め、戦兎をもダメージを受けない状態にさせ、更にリジェネ効果まで付与させる宝具。これにより、詠唱が必要な二騎の宝具は詠唱途中で攻撃されてもダメージを受けないから怯んで詠唱停止という事態にはならない為、安全に発動可能となる。
次に動いたのは、エミヤ。
『I am the bone of my sword.
(――― 体は剣で出来ている )
Steel is my body, and fire is my blood.
(血潮は鉄で、心は硝子 )
I have created over a thousand blades.
(幾たびの戦場を越えて不敗 )
Unknown to Death.
(ただの一度も敗走はなく )
Nor known to Life.
(ただの一度も理解されない )
Have withstood pain to create many weapons.
(彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う)
Yet, those hands will never hold anything.
(故に、その生涯に意味はなく )
So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS.
(その体は、きっと剣で出来ていた) 』
何時もは簡略版での発動だったが、今回は本気物の詠唱だった。それにより、周りの景色はエミヤの固有結界……空に歯車が浮かび、地面に幾千の剣が突き刺さっている心象風景となる。
詠唱途中でゲーティアがエミヤに拳のラッシュを浴びせていたが、事前に発動していたジャンヌの宝具により無傷である。
エミヤはこれまで投影、貯蔵してきた幾千の剣を宙に浮かべ、一斉射出。無数の剣が突き刺さったゲーティアは呻き声を上げ、尚も剣の雨を受け続けている。
最後に動いたのは、アルトリア。
『束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流……受けるがいい! 約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!』
ゲーティアが放ち、それを受け続けたマシュを消滅させるに至った、人類史を束ねた光よりかは劣ってしまうが、アルトリアが持つ聖剣は神が造ったとされる神造兵器。故に、その破壊力は尋常ではない。
数多の星の輝きを集めた光の束はゲーティアに向けて放たれ、ゲーティアを襲い、遥か上空にまで上がる光の柱。それが消えた時、ゲーティアは風前の灯にまで追い詰められていた。
「─────小癪な虫けらが……!」
追い詰められたゲーティアが再び使おうとするのは、人類史を束ねたあの光の束である。マシュが居ない今では今度こそまともに喰らってしまう。そう思った時、私達の前に出た人物が居た。間違える筈が無い、ビルドに変身している戦兎だ。
「戦兎……?」
「……立香。マシュの仇、打ちたいだろ。アレはなんとか相殺してみる。そしたら奴に止めを刺せ、立香」
「戦兎、それは……」
「大丈夫。俺に任しておけ」
「……分かった。任せたよ、戦兎」
何か秘策でもあるのだろうか。タンクタンクフォームのまま、戦兎はフルボトルバスターに元の形状に戻したフルフルラビットタンクボトルを挿し込む。
〈FULUFULU MATCH デース!!〉
その音声が鳴り響くと、タンクタンクフォームのビルドの下半身がキャタピラに変化する。
見た目はまんまガ○タ○クだ。そのまま、ベストポジションに移動するビルド。ゲーティアは今にでも放とうとしている。放った瞬間、ビルドもフルボトルバスターのトリガーを引き、今までとは比べ物にならないエネルギー弾を放った。
〈FULUFULU MATCH BREAK !!〉
「ウオオオオアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!」
「ぬうううう……っ!!」
エネルギー弾と光の束が、真正面からぶつかる。拮抗しているかのように見えるが、若干ビルド側が押されている。
「─────何、してるんだ! 早く、やれ!」
戦兎は、奴の攻撃を止めるのに精一杯らしい。三騎のサーヴァント達も、宝具解放の影響で立ち上がれない。
動けるのは、私一人。今まで後ろで指示を飛ばすだけだった私の、最初で最後の攻撃。身体を巡る魔力の全てを、右手に集約。そのまま、地を蹴った。
「何だと……!?」
私が生身で向かって来るのに対し、ゲーティアは気付く。今更気付いても、もう遅い。全魔力を乗せた一撃は、ゲーティアの防護壁を突き破り、人間で言う所の鳩尾に当たる部位に深々とめり込んだ。
コレが決定的な一撃となり、光の束は消滅。その瞬間、戦兎が放った一撃がゲーティアにヒット。爆発音が響き、ゲーティアはそのまま崩れ落ちて地に伏した。
「────────やっ、た……?」
確かな手応えはあった。その証拠に、ゲーティアはその存在を消していく。コレで人類史は修復された。人理が焼却され、数々の特異点を渡り歩き、最後の地にたどり着く前から始まった長い永い戦いは今、終わりを告げた。
──────────────かに思われた。
「──────え?」
気を抜いてしまったが最後、立香は何かに撃ち抜かれて倒れてしまう。
やったのは───────消滅したと思っていたゲーティア。消滅したと見せかける事で皆の油断を誘い、隙が出来た直後を狙って1mmにも満たない細い光線で立香の胸を撃ち抜いたのだ。
「「「マスター!!」」」
「立香っ!!」
無論、コレは誰も予想していない出来事。立香というマスターを喪いかけているのが原因なのか、エミヤ、アルトリア、ジャンヌの三騎は身体が消えかかっており、座に還りかけているのが分かる。
血がとめどなく溢れ、立香の命は刻一刻と削られていっている。立香を殺そうとしたゲーティアはまだ、余力があるのか動いている。
だが、サーヴァントは魔力パスが切れかかっている為、消滅しかかっている。だとしたら、誰が動ける? その答えは、すぐ近くに居た。
『戦兎君っ!! 立香ちゃんを今すぐこちらに運んでくれ! 治療は、僕達がやる!』
「─────いえ。俺にやらせてください、Dr.。俺には、秘策があります」
『戦兎君、何をする気なんだい…?』
「時は一刻を争う…。なら、アレだっ!」
フルフルラビットタンクボトルとハザードトリガーをベルトから外した戦兎。それ等を仕舞い、新たなフルボトルを取り出した。
片や白いボトル。よく見れば、病院で医者がよく使う聴診器のレリーフが刻まれている。
片や赤いボトル。幻想の生物とされる不死鳥のレリーフが刻まれている。
〈DOCTOR! PHOENIX!〉
〈Are you READY ?〉
「ビルドアップ!」
その二つをベルトに装填、ベストマッチともビルドアップとも、スーパーベストマッチとも鳴らずに待機音が鳴り響く中、躊躇う事無くレバーを回す。ベルトを介してスナップライドビルダーと共に前後に白と赤の装甲が形成され、戦兎はそれを身に纏う。
─────嘗て戦兎は言っていた。本来なら有機物と無機物の組み合わせでしかビルドには変身出来ないと。だが、今この場に立っているビルドは戦兎の世界での常識をいとも容易くひっくり返した。
敢えて名付けるなら、ドクターフェニックスフォーム。医者の知識と不死鳥の不死性を兼ね備えたトライアルフォーム。
フォームチェンジしてすぐに戦兎はレバーを回す。一体何をする気なのだろうか。その答えは、すぐに分かる事になる。
〈READY…GO! VOLTEX ATTACK!!〉
不死鳥の炎を纏った手術用の器具で、ゲーティアがすぐ近くに居るにも関わらず、高速で治療を始めたのだ。フェニックスハーフボディの能力である炎は破壊だけが目的では無い。物体の再生能力も有している。つまり、不死鳥の炎を使う事で遺伝子レベルの再生が出来るという事である。
コレには流石のDr.とダ・ヴィンチちゃんも驚きである。現に今は一言も喋れていない。
だが、戦兎の身体は度重なる変身とハザードフォームに変身する際に訪れる自我を喪いそうになる程に強い刺激、フルフルラビットタンクボトルによるハザードトリガーの制御装置の効力により、立っているのが奇跡と言っていい程にボロボロである。それなのに、自らの身体を捧げても立香を助けるという気持ちが現れていた。
「俺が、助ける……! もう、誰も喪いたくはないんだ!!」
無茶な運用をした影響か、はたまた身体に限界が来たのか。ビルドの全身に赤い稲妻が走る。その痛みに耐え続け、尚も治療を続ける戦兎。
だが、そう簡単に終わらせてはくれないのがゲーティアである。自分の事をそっちのけで何かし続ける戦兎を鬱陶しく思ったのだろう。だが、それは何者かに阻まれる。
「─────よく、やってくれた。戦兎君。後は、僕に任せて欲しい。美味しいところを持っていく感じで悪いけどね」
「Dr.……?」
いつの間にか、Dr.が戦兎と立香の前に出ていた。戦闘要員でも無い彼が何故来たのか。それは、すぐに分かった。彼が手袋を外すと、左手の薬指にだけ指輪がはまっている。それが、証拠になった。
ゲーティアは合計で九つの指輪をはめている。だが、左手の薬指に当たる部位だけには指輪をしていなかった。彼がソロモンそのものだとしたら、合計で十の指輪をしているのが自然である。
立香の治療が粗方終わった戦兎は、一度しか見ていない指輪を改めて見た瞬間にDr.の正体に気付く。そして、ゲーティアがDr.を見た瞬間に狼狽え始めた原因にも。
「Dr.、もしかして貴方は……」
「そうだよ。僕の本当の姿は……ソロモンだ。カルデアの召喚システムを使った当時の所長は、三騎の召喚成功例を出した。
……うん。少し長くなるが、彼とカルデアにまつわる昔話をしよう。何、ゲーティアに襲われる心配は無いさ。
一人はマシュに憑依する形で召喚されたギャラハッド。もう一人は戦兎君も良く知るダ・ヴィンチちゃん。最後は僕だ。いや、僕になる前の英霊、ソロモン王その人。ソロモン王は当時の所長と共に聖杯戦争に参加し、見事勝ち残った。
そして、ソロモン王は願った。受肉してソロモン王として生きる訳じゃなく、君達人間として第二の人生を歩む事を。君達と同じ人間になるんだ。英霊としてのスキルとか色々な権能を棄てて。でも、あらゆるものを見通せる千里眼を喪う直前、ソロモン王は見てしまった。
人としての幸福、充実を知る前に人類終了の未来を。だけど、何かをする前にはもう、遅かった。魔術王としての全てを棄てて、ソロモン王とは別種の凡人、つまりロマニ・アーキマン。僕に生まれ変わっていたからだ。
何もかもを喪い、只の人間に成り果てた僕が理解出来たのは、それを起点にカルデアを起こす事だけ。千里眼を喪った今、誰が、何故、どうやって人類を終わらすのか何一つ分からなかったんだ。
だが、僕は無視出来なかった。それは何故か? この終焉は僕に…いや、彼に関係するものだと感じたからだ。だから、僕は学んだ。来るべき未来に向けて備えた。そうして、今にたどり着いた訳だ」
戦兎はDr.の昔話を長々と聞いていた訳だが、それより先の事、彼が何をするのかについて、分かってしまった。いや、理解してしまったのだ。だからこそ、その役目は"自分達が引き継ぐ"と心の中で決めたのだろう。
「……Dr.」
「戦兎君が言いたい事は分かる。だけど、彼を生み出したのは紛れもなく僕…ソロモン王だ。コレは、僕の罪でもある。だから、今此処で償わせて欲しい。おこがましいかもしれないけどね」
「いえ、Dr.はお忘れですか? 俺には、もう一人頼れる相棒が居る事を。
Dr.が自分の正体を明かしてくれた事には感謝しています。ですが、それだけでは貴方が命を張って奴と共に消滅する理由にはならない。ゲーティアは貴方とは別種の存在だと明言しています。だから、"俺達が身体を張って奴を倒す"」
戦兎のその一言がキーワードになっていたのか、遥か後方…カルデアが位置する場所からもう一人、物凄い勢いで飛び出した。
それは、あの時遅れてやって来た戦兎の相棒。そして、戦兎と同じ仮面ライダーの一人。龍の如く暴れ回るその仮面ライダーの名は──
〈極熱筋肉ゥ! クローズマグマ! アぁァチャチャチャチャチャチャチャッアチャァァァ!!!〉
「うぉらぁぁぁぁぁ!!」
仮面ライダークローズの最終形態。クローズマグマ。嘗て猛威を奮ったクローズチャージの変身アイテムであるドラゴンスクラッシュゼリーが融解して生まれたボトル『ドラゴンマグマフルボトル』をナックルダスター型の武器『クローズマグマナックル』に装填してビルドドライバーに挿し込む事で変身する。
その力は、クローズやクローズチャージ以上。マグマの如く熱い攻撃を放つ、最終形態に相応しい力を備えている。ゲーティアを殴り飛ばしたクローズマグマはビルドの側に立つ。
「よっ、万丈。お前の出番だ」
「やっと暴れられるのか……。幾らお前が立てた作戦とはいえ、滅茶苦茶待ち侘びたぜ、戦兎」
「まぁいいじゃないの。お前のその姿を奴に見られる訳には行かなかったんだから。それより万丈、俺達二人がやる事は分かってるな?」
「嗚呼、勿論だ。彼奴をぶっ飛ばして俺達の世界に帰る。それだけだろ?」
「筋肉バカにしては理解が速い。やるぞ万丈」
「応っ!!」
二人がゲーティアに向けて走り出す。立香とサーヴァント達、ロマニ…否、ソロモンはその場に残った。それは何故か。勝手ながらもこの世界の未来を託したのだ。他でもない、異世界の来訪者であり、今まで立香達と協力関係を築き上げて来た戦兎と万丈の二人に。
今ここに、仮面ライダーと人理焼却式、異なる存在である彼等の最終決戦が幕を開ける。
後少しだけ、お付き合いくださいませ
(予定では後二、三話くらいです)