フランがシスコン過ぎて困っています   作:かくてる

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今回はレミフラじゃないよ。

こいフラこいフラ。
妹キャラ同士って何でこんなに愛着湧くんだろうね。
ってことで百合回です。


11話 綿あめ

 着替えた私達は部屋で準備をしていた。財布などの用品をカバンに詰める。

 

「およ?さとりは?」

「あぁ、お姉ちゃんなら下にジュース買いに言ったよ」

「そっか。ねぇ、鳳凰山って何か名物があったりするのかな?」

 

 フランちゃんの問いに答えたのは、意外にもレミリアちゃんだった。

 

「ここは、温泉とりんご、後は綿あめね。ここで食べる綿あめは格別だって」

「へぇ」

「もしかしてお姉様、結構鳳凰山楽しみにしてた?」

 

 フランちゃんの推理にレミリアちゃんは顔をボッと赤らめた。どうやら図星のようで、さっきまでの余裕は消え失せていた。

 

「べ、別にっ、ちょっと本で見ただけだわ」

「………」

「ほ、ほんとよっ」

 

 私とフランちゃんは揃ってレミリアちゃんを見ながらニヤニヤする。最年長とはいえ、可愛いところがあるものだと、私は心の奥底で密かに思うのだった。

 

「お待たせしました。では、行きましょう」

 

 ジュースを持ったさとりが玄関に現れ、私達は軽いカバンだけを持って外へと出た。今日は昨日よりも寒い。

 太陽が出ていないせいか、雲が空を覆っていた。

 

「……ね、フランちゃん」

「んぅ?」

「寒いから、手つなご?」

 

 自然とそう出た。いや、出てしまったのだ。気づいた後、私はハッとして口を手で塞ぎ、慌てながらも弁解する。

 当のフランちゃんはポカンとしていた。ほかの2人は驚きの表情を少し浮かべていた。

 

「え、えと、ご、ごめんね、つい……」

「いいよ」

「へっ?」

 

 予想外の返答に私は硬直してしまう。

 いや、普通に考えてみよう。私とフランちゃんは昔、いつも手を繋いで歩いていたし、今でもたまに手を繋ぐではないか。

 つまり意識しているのは私だけということだ。そうだ、こんな所で緊張するのはお門違いだろう。

 私は心を落ち着かせ、いつもの調子に戻る。

 

「ふふっ、あーりがとっ」

 

 ギュッと握り、私はフランちゃんと共に先頭を歩いた。その後から、お姉ちゃんとレミリアちゃんがついてくる感じ、まるで家族のようなこの雰囲気が私は好きだ。

 

「……少し、甘い匂いがするね」

 

 ここは鳳凰山温泉街の奥の方。昨日は手前の方までしか行っていないので、ここはまだ私たちにとって未知の領域だ。

 

「……これは……」

 

 レミリアちゃんが前に出て、鼻をスンスンと鳴らして難しい顔をする。

 

「綿あめ?かしら……」

「綿あめっ!」

 

 フランちゃんは一気に目を輝かせた。

 それはまるで空腹のところに餌が来た時のペットのような瞳。キラキラした紅い瞳だった。

 

「ほらっ、こいしちゃん、行こっ!」

「あ、ちょっと、きゃっ!」

 

 ぐいっと引っ張られて私は腕がピンと伸びる。しばらく走ると、レミリアちゃんの言った通り、綿あめ屋さんが一角にあった。

 

「おいしそぉ…」

「……じゃあ早く買おっ、フランちゃん!」

 

 指を加えながら作るところを見るフランちゃんを促す。フランちゃんは大きく頷いて店の中に二人で入った。

 

「すいません、綿あめ二本ください」

「240円になります」

 

 私は財布を取り出し、240円を出した。するとフランちゃんは慌てて止めようとした。

 

「ちょ、ちょっと、私も出すよ」

「いーのっ、たまには私に奢らせてよ」

 

 いつも二人で遊ぶ時、さり気なくフランちゃんは私にジュースを奢ってくれたりしている。フランちゃんは多分意識的に奢ろうとしているのではなく、無意識にそういう優しさが滲み出ているのだろう。

 

「はい、どうぞ」

「ありがとうございまーす」

 

 2本の綿あめを受け取り、私はフランちゃんに一本手渡す。

 

「はい、フランちゃん。今日は私がエスコートするよ」

 

 私の言葉に一瞬呆けた顔をするが、綿あめを受け取った瞬間、眩しい笑顔を浮かべた。

 

「うんっ、よろしく、こいしちゃん!」

 

 ドキッ、と強く、激しく心臓が高なった。ここまで緊張したのは、人生で初めてかもしれない、とそう思うほどに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日のこいしちゃんはいつもよりも優しい。いつもが優しくない訳では無いが、今日は一段と優しくて頼りになる。

 

「んぅー!甘ぁい!」

 

 いつもと同じような反応を見せるこいしちゃん。私はそれを横目で見ながら、一口パクリと食べる。

 甘さが一瞬にして口に広がり、刺激のない爽やかな味が後になって付いてくる。

 

「おいしっ……」

 

 そのまま、私達は無言で食べ続けてしまった。

 いつの間にか、少し人気のない最奥の方まで来てしまった。お姉様とさとりとははぐれてしまい、恐らく、二人は二人で別行動しているのだろう。

 今日は、親友のこいしちゃんと楽しむことにしたから、お姉様と別行動なのは全然構わない。

 

「あ〜、美味しかった、こいしちゃん、次はどこに行く?」

「……………」

 

 こいしちゃんの反応がない。食べ終わった綿あめの棒を片手に俯いているので、表情は全く見えない。

 

「こいしちゃん?」

「……こっち来て…」

 

 少しトゲのあるこいしちゃんの言葉。私は少しだけ驚きを隠せなかった。しかし、後ずさる前にこいしちゃんに手を引かれた。

 

「あっちょっ……」

 

 抵抗する暇もなく、そのままこいしちゃんの後について行った。

 しばらく歩くと、そこは路地裏だった。

 

「ちょっと、こいしちゃん?いきなりこんな所に連れてきてどうしたの?」

「……」

 

 いつまでも黙りこくるこいしちゃんの顔をのぞき込み、小さく、優しい声で囁いた。

 すると、こいしちゃんから息を呑む音が聞こえた。

 

「?」

「………っ!」

 

 こいしちゃんが顔を上げると、顔を真っ赤に染め上げて、少し涙目になっていた。私は驚き、少し距離をとったのだが、すぐに詰められた。

 

「え?こいしちゃ……きゃっ!」

 

 腕を引き寄せられ、思い切り抱きしめられる。私はその力の強さに身動きひとつ取れなかった。

 そして、ようやく離したと思ったら、壁まで私を押して、唇を押し付けてきた。

 

「んぅ!?」

「はぁ……ちゅぅぅ……」

 

 少し、こいしちゃんの口の中から甘い味がした。先ほどの綿あめの味だった。

 しかし、それをも掻き消すように、こいしちゃんは舌をねじ込ませた。

 

「れろ……じゅる…ちゅっ」

「んぅぅ!………はふっ……」

 

 私よりも力が弱いはずのこいしちゃんなのに私の方に力が入らなくなってしまった。そのままされるがままになってしまい、こいしちゃんの手が私の胸に伸びた。

 

「あっ……あっ……こいし、ちゃん……」

「…フランちゃぁん……」

 

 こいしちゃんの声はもう蕩けきっていた。その声は"お姉様にキスをしている私のような声"だった。

 何かと親近感が湧いたのか、私はそのままそのキスに対応してしまった。

 

「んっ……ちゅっ……じゅるる……」

「んぅ……んんっ…」

 

 私とこいしちゃんの口の間からは多量の唾液が垂れ、服に少々ついてしまった。

 息苦しくなったのか、こいしちゃんは一度口を離した。これを機に、私はこいしちゃんを体ごと離した。

 

「はぁ……はぁ……ど、どうしたのさこいしちゃん?!」

「…なんか……体が……」

 

 息を荒くなっている。これはキスの影響なのか、それとも別のものかは分からなかった。

 しかし、次の瞬間、こいしちゃんは重力にしたがって、カクンと意識を落とした。私は驚きながらも意識のないこいしちゃんを抱きしめる。

 

「こ、こいしちゃん?こいしちゃん?!」

 

 こいしちゃんの体はとてつもなく熱かった。こいしちゃんの顔は辛そうで見ているこっちが顔を歪めたくなるほどの苦痛の様だ。

 

「だ、誰かっ!」

 

 私だけでは何も出来ない。そう思った私は周りに助けを呼んだ。今なら、永琳達がいるかもしれない。

 そう信じて叫んだ時、すぐに駆けつけてくれたのは、先ほどの綿あめ屋のお姉さんだった。

 

「だ、大丈夫ですかっ!?」

「と、とりあえず医者を!」

「はぁ……はぁ」

 

 意識の戻ってきたこいしちゃんの顔は更に赤くなり、熱も上がっているみたいだ。

 汗もダラダラとかき、体に力も入っていないみたいだ。しばらくすると、ちょっとした騒ぎになり、野次馬が増えた。

 しかし、そのおかげで、永琳達が駆けつけてくれた。どうやら、まだ永遠亭には帰っていないみたいだった。

 

「………うどんげ、運ぶわよ」

「はい」

 

 永琳がこいしちゃんを抱えて走った。見かけによらず力持ちである。

 私は鈴仙に連れられ、永琳のあとを付けた。

 私は走っている途中、以前の泉でのキスと言い、今回のキスといい、こいしちゃんが何を考えているのか、全く理解出来なかった。

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