フランがシスコン過ぎて困っています   作:かくてる

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おっひさっしぶりです。


18話 こいしとフラン

「………」

 

 トントンと、机に置いた右手の人差し指がリズムよく机を叩く。なぜか、イライラするのだ。誰が悪い訳でもない、何かが欠けている。

 ああ、もう。早くこれを解消することは出来ないのかしら。ただそれだけを考えると、さらにイライラが増して意味をなさない。

 

「あ、あの……お嬢様?」

「何?」

「そ、そんな不機嫌な顔して、どうかなされましたか?」

 

 恐る恐る聞く咲夜。その顔はどうみたって私を恐れている顔だ。申し訳なさがありながらもイライラが上回ってしまう。

 

「別に、咲夜には関係ないわよ」

「も、申し訳ありません……」

「…………フランがいないと、ここまで寂しくなるとはね……」

「妹様……ですか?」

「ええ、フランに触れていたい、抱きしめたい、キスしたい」

 

 おかしいと思う。それに、こう思い始めたのはつい最近な気がする。理由は分からないが何だかフランが恋しい。

 

「…………私っておかしいのかしら?」

「……いえ、妹を大切に思う気持ちは大事だと思います。ただ……」

「ただ?」

 

 咲夜の含みのある言い方に私は無意識に聞き返していた。

 

「やはり、関係をわきまえるべきです」

「……関係?」

「お嬢様と妹様は血を分けた「姉妹」です。互いにどのような感情を抱くか、というのは自由かもしれませんが、お二人の間には大きな壁が隔てていることを忘れないでください」

「……分かってるわよ」

 

 本当は分かっていない。嫌だ、フランとの間に壁を作るなんて、考えたくもない。

 

「少し、散歩してくるわね、付き添いはいらないわ」

「かしこまりました」

 

 日傘を差し、屋上から飛んでいく。どこに行こうか。フランは地霊殿へ行くと言っていた。

 

「顔でも出そうかしら……」

 

 しかし、フランには地霊殿には来ないよう釘を刺された。フランに会いたいけど、本人から突き放されたらもう立ち直れない。

 そう思った私はとりあえず人里を歩き回ろうと決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フランちゃぁーん」

「何ー?」

「キスしよ」

「バイバイこいしちゃん、今日は楽しかったよ」

「嘘! 嘘だから」

 

 こいしちゃんの冗談に飽き飽きした私は妖怪の山の広場から立ち上がって帰ろうとする。

 

「で、この暇な時間をどう解決するの?」

 

 人里や地底を歩き回った私達はとうとう暇を持て余す羽目になった。

 

「誰か来ればいいんだけどなぁ」

「そうだねぇ……」

「ね、フランちゃん」

 

 こいしちゃんがゴロンと私の方を向いた。

 

「このまま昼寝しない?」

「あ、いいね。風も気持ちいいし」

「じゃ、手繋ご」

「………………いいよ」

 

 今日の天気は雲一つない快晴の青空。幻想郷だからこそのこの景色に、私は見とれていた。

 こいしちゃんと手を繋ぐ。暖かい手は今の気温とそっくりだ。

 自然とまぶたは落ちていき、こいしちゃんの微笑む顔を見ながら、私は眠りについていた。

 

 

 

 

 

 

 

「…………ふふっ」

 

 可愛い寝顔。思わず襲いたくなるくらいの吐息と口元が私の肌に当たる。

 

「可愛いよ、フランちゃん……」

 

 耳元で囁く。それに対し、フランちゃんは「んん……」とこもった声を出して、また寝息を立てた。

 今日はフランちゃんにキスしたりえっちなことをするために来たんじゃない。ゆっくりとこの時間を過ごすためだ。

 

「おやすみ…………」

 

 ゆっくりと流れる時間の中で、私は色んなことを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 数十年前。

 私達古明地姉妹は、幻想郷に越してきたんだ。古明地は代々、「覚妖怪」として読心の能力を手にしていた。

 忌み嫌われ、石を投げられ、時には殺されかけたことだってあった。

 ある日、私は1人で放浪としていた。能力の制御はお姉ちゃんよりも早かったし、この時にはもう心を読むことは全くしなくなった。するとしたら、動物と会話をするくらい。

 そんな時、私の身長より20センチくらいの男5人が私の前に立ち、いきなり暴力を振るいだしたんだ。

 

「ほら、とっとと死ねよ!」

「い、いや……痛い……やめっ……」

 

 5人の集団に殴られ蹴られ、通りゆく人々も無視したり、あるいはくすくすと笑ったり。

 私が「普通の人間」ならば、ただの「か弱い少女」ならば、周りの人は助けてくれたのだろう。

 そんな普通じゃない私につくづく嫌気がさしていた。

 

「やめてっ!!」

 

 暴力を振るわれて早5分、同じ能力を持つ私の血の繋がった姉、さとりお姉ちゃんが助けてくれた。

 私と男の間に入り、両手を広げて守る。男達はお構い無しにお姉ちゃんをも殴り始める。

 

「覚妖怪とか気味が悪い!」

「人の心に漬け込んで腐らせる悪い妖怪だ!」

 

 そんなこと、一度もした覚えはない。ただただ心が読めるだけで忌み嫌われているんだ。

 人間は集団でいれば強がる。自分一人では何も出来ないのに、そういう考えの奴が集まってこういった悪事を働く。

 馬鹿だ。つくづく思う。力がないくせに、集団でかかれば強くなった気分にいるこいつらが私は大嫌いだ。

 

「もう、殺しちゃってもいいよね」

 

 そんな人間に、私は殺意の一点張りだった。

 気づいた時には、辺りの道に人間たちの臓器や四肢が散らばる。悲鳴をあげて逃げる者、その場で動けなくなる者。ほら、一人じゃ何も出来ないんだ。

 

「あっはは……もう死んじゃえ」

「こ、こいし…」

「お姉ちゃん……このまま人間なんて殺しちゃおうよ! 一匹残らずさぁ!」

「ダメよ! こいし! 戻ってきて!」

 

 古明地は現在、私とお姉ちゃんしかいなかったから、頼る人は誰一人として存在しない。

 私達はこの世界に居場所がないと感じていた。当たり前だ、人を何人と殺したんだ。生きてていいはずがない。

 この時から、私の心は病んでいたのかもしれない。心が読めて忌み嫌われるのなら、「心を読めなくすればいい」。

 

 世間の目や能力によって追い詰められた私はそんな考えを思いつくまでに精神がおかしくなっていた。

 包丁を取りだした私は自分の第三の目を「切り裂いた」。

 縦に、横に、斜めに。だんだん、痛みを忘れるくらい切っていた。

 

「こいし!!」

 

 お姉ちゃんは怒っていたけど、後悔はしていない。最終的にお姉ちゃんには理解してくれた。辛かったねって、私もこいしを支えるからって、本気で心配してくれた時は死ぬほど嬉しかった。

 今まで、遠く感じていたお姉ちゃんが一気に歩み寄ってくれたみたいだった。

 

 

 

 

 

 

 でも、私の心は満たされなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 心が読めなくなった私と未だに読心の能力を持つお姉ちゃんの二人はこの世界から脱却した。

「幻想郷」。それは、私達のような奇想天外で、異様な能力を持つ妖怪や神様が集まる世界。私達は1人の妖怪によって幻想郷へと移住した。

 

 

 

 しかし、そこでの生活もあまり変わりはなかった。

 

 

 

 地上の人間達も私達のことを忌み嫌っていた。以前の世界ほどではないが、明らかに私たちと距離を取っている。

 お姉ちゃん曰く、全員「気持ち悪い」だの「死ねばいいのに」だの心で思っていたらしい。

 ショックだった。ここも全員腐ってる。誰も私たちを認めてなんかくれない。文字通り、ただの幻想なのかもしれない。

 幻想郷に来てからから一週間後、無意識にフラフラと放浪していた時だった。

 

「あれ? 見ない顔だね」

 

 可愛らしい声がした。その声の主は私の目の前にいた。

 金髪のサイドテール。その伸びた髪は腰ぐらいまであった。真っ赤な目と成長しきった八重歯に私は吸い込まれそうになった。

 どうせこいつも同じだ。私のことを嫌うんだ。この気味の悪い第三の目を。

 

「……あれ、何、これ?」

「これは目だよ。じゃあね」

 

 出来るだけ素っ気なく、あまり関わらないようにした。スタスタと早歩きで少女の横を通り過ぎる。

 

「ちょ、待って待って!」

 

 少女は引き止めてる。これ以上関わりたくない私にとって、この対応は苛立ち以外の何ものでもなかった。

 

「何?」

「今ね、私はすっごく暇なんだ。よかったら一緒に遊ばない?」

「……忙しいから」

「……ほんとに?」

 

 なんなんだこいつは。見ず知らずの私に対してこんな態度で向かってくると逆に気味が悪い。しかし、策は読めてる。どうせこの後、人目のつかない場所で私を殺すんだろう。たった一週間で私達古明地姉妹の名は通っている。それこそ、誰も知らない人はいないくらい。

 

「……いいから、放っておいて」

「やーだ、忙しいってのも嘘、だって君の進行方向。行き止まりだよ」

「………」

「はい、暇なんだね、じゃあ、甘味処にでも行こうか。君の名前は?」

「…………」

 

 無理矢理にでも私を捕まえたいのか、いいよ。そっちがそんなにやる気なら、私も本気出そう。襲われたら、即仕返ししてやる。

 そんなことばかり考えていた。私は仕方なく、彼女に付いていくことにした。

 

「古明地 こいし」

「古明地こいし……」

 

 ほら、驚けよ。私の名を知らないのなら、今ここで……。

 

「いい名前だね! 私はフランドール・スカーレット、フランでいいよー」

「……!?」

 

 私の名前を聞いてもビクともしないどころか、私の名を褒めてくれた。私にもし読心の能力が残っていたのなら、彼女の心を隅まで覗きたい。そういう衝動に駆られた。

 

「……よろしくね、こいしちゃん!」

「軽々しく呼ばないで」

「えー? でも、呼ばないと分からないでしょ? ほら、私の名前もっ」

 

 手を握られ、グイッと引き寄せられる。驚きと苛立ちが私を染めあげた。

 

「…………」

「そんな怖い顔で見ないでよっ、私の名前呼んでよ!」

「ふ、フラン……ドール……ちゃん……」

「フランでいいよ!」

「フラン……ちゃん」

 

 初めて、お姉ちゃん以外の名前を呼んだ。なんとも言えないこの新鮮な感覚に私は少し口元が緩んだ。

 

「よく出来ました! じゃあ行こうか」

「……」

 

 でもまだ油断は出来ない。こいつもきっと妖怪だ。何か裏で考えているに違いない。確信していた私は少しフランちゃんと距離を取る。

 

「ねー、なんか遠いよー」

 

 手を伸ばしてきたフランちゃん、私はイライラが増していた。

 

「気安く触らないでよ」

「でもこれだと友達に見えないじゃん!」

「……! ……とも……だち……」

 

 初めて言われた。それによって気が緩んだ私の手をすかさずフランちゃんは握る。

 

「えへへ……こうやって友達と手を握るの、初めてなんだ!」

 

 フランちゃんは嬉しそうにそうやって話す。その時の顔は今でも忘れられない。

 甘味処についた私達は甘いものを食べる。どれもこれも新しい味だった。

 

「あはは! 目がキラキラしてるよこいしちゃん!」

「……うるさい……」

 

 少し恥ずかしくなった私は頬を赤くする。フランちゃんも同じようにパクパクとパフェを食べては頬を抑えて足をパタパタとさせる。

 しかし、私が一番気になっていたのは「周りの視線」だった。突き刺さるような鋭い視線が私の背中を襲う。

 

「? ……どうしたのこいしちゃん」

「な、なんでもない……」

 

 不思議そうに見つめてくるフランちゃん。私は気づかれないように視線を落とした。フランちゃんは不思議そうにしながらも背もたれにもたれる。

 すると「……あっ」と言ってなにかに気付いた。

 

「っ!?」

「…………」

 

 雰囲気が一気に変わる。先程までの穏やかな時間とは打って変わって殺伐とした雰囲気に切り替わった。それは何故か、私は顔を上げてフランちゃんを見る。

 するとそこには先程までのフランちゃんとはまるで別人のような顔をしていた。

 目が赤く光り、八重歯もさっきよりも大きくなって、顔を怒りに狂っていた。

 私を見ていた人達は恐れ、そそくさと店を出ていっていた。

 

「……あいつらが……こいしちゃんのことを……」

「ふ、フランちゃん、やめて!」

「………」

 

 ようやく落ち着いたフランちゃんはさっきの顔に戻った。

 

「全く、少女をあんな目で見るなんて許せないよ!」

「………」

 

 可愛らしい声に戻って安堵した私はため息をつく。私は残りのパフェを食べてガタッと席を立つ。

 

「ん? どこ行くの?」

「もういいや、今日はありがとう、フランちゃん」

 

 お金だけ机に置いて、スタスタと私は甘味処を後にする。こんな所に長時間居たら、私の身がもたない気がしてそそくさと出てきた。

 さっさと地霊殿に帰ろうと思っていた時だった。

 

「こいしちゃん! 待ってよ!」

「……まだ何かあるの?」

 

 もうフランちゃんとも関わりたくなかった。面倒くさい、全てを投げ出して家に籠っていたかった。

 しかし、フランちゃんはそれを食い止めるかのように私の手を握った。

 

「ひとつだけ、いい場所があるの、行こうよ」

「……嫌って言ったら?」

「無理にでも連れてく」

「………分かった」

「ほんと? やったぁ!」

 

 さっきの雰囲気を見て、フランちゃんは只者じゃない気がした。それこそ、普通の人間や、妖怪ではなさそうな感じがする。

 それに、さっきの雰囲気と言動からして、フランちゃんは私のことを忌み嫌っている訳では無いみたいだった。だからこそ、フランちゃんを巻き込みたくもなかった。

 

 

 

 

 しばらく歩くと人里をはずれ、山の中を歩いていた。私はフランちゃんに手を引かれて歩いていた。

 

「まだなの?」

「もーすぐ」

 

 苛立ちが増してきて、私はもう帰りたくなってきた。しかし、離そうとしてもフランちゃんはギュッと握ってくる。

 諦めて私はフランちゃんの後を歩くしかなかった。

 

「ほーら、着いた!」

「…………」

 

 森の中を抜ける。するとそこには広場があった。誰もいないこの空間、太陽の光が心地よく。そしてなによりも、幻想郷全てを一望出来た。

 

「……綺麗…」

「でしょ? 私のお気に入りなんだー」

「…そんなとこ、私に教えちゃっていいの?」

「いーのっ、こいしちゃんは初めての友達だしね!」

「え?」

 

 フランちゃんの言葉に私は驚きを隠せなかった。口を開けたまま、フランちゃんの次の言葉を待つ。

 

「私はね、吸血鬼っていう妖怪なの。それはもう大量に人を殺していて、死にたくなるくらい嫌われてたんだ」

 

 私と同じだ。妖怪で、人を殺して、死にたくなるくらい嫌われてて。

 

「私にはお姉ちゃんもいるんだ。いつも私に寄り添ってくれて、頼りになるお姉ちゃんが」

 

 私と同じだ。お姉ちゃんがいて、寄り添ってくれて頼りになる。

 

「それでも、私の心は満たされなかったんだ。お姉様がいくら献身的で愛を注いでくれても」

 

 私と同じだ。何をしても満たされない。だから目を潰したんだ。

 

 

 

「殺されかけたことなんて何度もあった。食べ物もなくて、雨にも打たれて。あっ、吸血鬼って雨や日光が苦手なんだ。今は魔法で防いでるの」

 

 今のフランちゃんからは想像すらもできない壮絶な過去を聞いて、自分の過去がちっぽけにすら思えてきた。

 

「でも、お姉様が吸血鬼としての「本当の楽しさ」を教えてくれて、今こうやって私は生きてるんだ」

「……本当の楽しさ……」

「まぁ、あんまりいい事じゃないけど、それでも私は後悔はしていないんだ」

 

 頬を掻きながら恥ずかしそうに言うフランちゃん。それでも語尾は強く、私に伝わった。

 

 

 

 

 

 フランちゃんの言葉が私の無になった心に突き刺さっていく。

 

「こいしちゃんが人生を投げ出したいと思ってるのは分かってる。つまらない人生だって感じてるんだよね?」

「っ!」

 

 完全に図星だ。私は言葉に詰まり、後ずさってしまう。

 

「こいしちゃんの見ている世界は狭すぎるんだよ」

「……どういう……こと」

「こいしちゃんが投げ出したいと思っている人生が狭すぎるから、死にたい、何もしたくないって思うの」

 

 理解が追いつかない。クエスチョンマークが何個も浮かび上がってくる。

 しかし、私がこの世界で生きようと、楽しい思いをしようと、そしてフランちゃんを好きになった決定打が紡がれる。

 

 

 

 

 

 

「この幻想郷(せかい)はこいしちゃんのことを守ってくれる。幻想郷だけじゃない、私だって、こいしちゃんを守りたい。こいしちゃんが苦しむ世界なら、私が破壊してあげる!」

 

 

 

 

 

 

「っ!!」

 

 自然と涙がこぼれる。

 止めようとしても、拭ってもボロボロと零れていく。嬉しい。人生で感じたことの無いこの喜びは何事にも変え難い。

 

「……だからね、こいしちゃん。もっと希望を持って」

「……うん……うん!」

「……って、会って数時間の奴に言われても説得力ないよね……あはは……」

「そんなことない、よ! フランちゃん……」

 

 私は笑う。彼女のおかげで自分が存在する意味を見いだせそうな気がするから。

 彼女だけが特別だ。彼女にだけ本当の私を知って欲しい。

 

「……ありがとう……フランちゃん……」

「おっ、初めて笑った……」

「……ちょ、恥ずかしいからそんな見ないで……」

「そんな顔も出来るんじゃん! もっと笑お? ね?」

「う、うう……」

「笑った方が可愛いよ!」

「……分かった」

 

 最初は優しく微笑むだけだった。でも、フランちゃんの前でだけ、明るく笑顔で話せるようになっていた。

 フランちゃんに負けないくらいの元気が出せるようになったのはそう長くはなかったみたいだ。

 

 フランちゃんのようになりたい、フランちゃんに見てもらいたい。

 最初は憧れだったのかもしれない。でも、それだけじゃ満足出来ない私もいた。

 フランちゃんに触れたい、フランちゃんを見ていたい。

 それはいつしか、恋へと変わっていっていた。

 

「こいし、あなた最近変わったわね……」

「ふふっ、そーお?」

「……明るくなった。お姉ちゃん嬉しいわ」

「えへへーっ」

 

 お姉ちゃんも自然に笑ってくれるようになった。「笑う」って凄い。単純なことだけど、気づくのは難しい。

 フランちゃんは「凄いこと」を教えてくれたんだ。

 

 人間からの視線もいつしか緩んでいき、最終的にはフレンドリーに話してくれる人さえ出てきた。

 これも、笑う力なんだ。そう確信していた。

 

 これが、私がフランちゃんと出会い、恋をした始まりだ。

 

 

 

 

 途中で起きた私は目の前にフランちゃんの寝顔があった。可愛い寝顔に私は微笑む。

 

「……好きだよ……フランちゃん……」

 

 フランちゃんはやっぱり特別だ。この感情は誰にも譲りたくもない。フランちゃんと永遠に添い遂げたい。

 

(って、これって結婚のセリフ……)

 

 耳まで赤くなった私は恥ずかしくなってまた目を閉じた。

 握られた手は暖かかった。それは、フランちゃんがギュッと握ってくれているからだ。

 

 

 

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