フランがシスコン過ぎて困っています   作:かくてる

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感動する失恋ソングでも流しながら見てください。

私は悲しい曲を聞きながら執筆していました。



この小説の初投稿から2年経ってた


3話 姉妹の愛

「ただいま、美鈴」

 

 午前10時を回る頃、私はこいしと共に紅魔館へ帰ってきた。

 

「い、妹様……お帰りなさいませ」

 

 私の顔を見るや否や、美鈴の顔が少しだけ歪む。言いたいことは何となく分かるが、的外れの可能性も否めないので、とりあえず状況を聞く。

 

「どうしたの?」

「いえ……お嬢様と一緒に帰ってこなかったので、何かあったのではと……それに」

「それに?」

「お嬢様は……泣いて帰ってきたので」

 

 どうやら、紅魔館内には大体の事情は知れ渡っているようだ。

 

「……そっか。ねぇ、美鈴」

「はい」

「私達……付き合うことになったの」

「そうですか。おめでとうございます。と、素直にお祝いしたいところなのですが……今はお嬢様の心配の方が大きいです」

 

 今の紅魔館メンバーで素直に私とこいしの恋仲発表を喜ぶものはいないだろう。何せ、その紅魔館の主がそれで跳ね除けられて、今悲しんでいるのだから。

 

「分かってるよ。それで、お姉様は今どこにいるの?」

「……恐らく自室かと、昨日からこもっています」

「ありがとう」

「……妹様」

「ん?」

 

 門を通り過ぎようとした時、美鈴は心配そうに私に声をかけた。

 

「お嬢様をよろしくお願いします」

「……ええ」

 

 それを聞いて安心したのか、美鈴はこれ以上口を開くことは無かった。それを確認したあと、私はこいしの手をもう一度強く握って紅魔館へと入った。

 

「ねぇ、こいし」

「うん?」

「最初は私とお姉様の二人で話す。だから、部屋の外で待っててくれない?」

「……分かった。何かあったら声を掛けて」

「うん。ありがとう」

 

 そして、迷うことなくお姉様の自室へと歩を進め、扉を開けた。

 

 

 

 

 

 そして、お姉様の部屋の扉を開ける。そこには、布団にくるまってベッドの上で座っているお姉様がいた。

 

「ただいま、お姉様」

「……ふ、フラン……」

 

 お姉様の顔は酷いものだった。目の下には隈を作り、その目からも光があまり見られない。

 

「……お話があるの」

「えと……」

「私たち、付き合うことになったんだ。こいしと」

「……」

 

 お姉様もそこら辺は理解しているはずだが、改めて聞いてしまうと、少し表情が歪んでいた。

 

「……そう、良かったわね。こいしにもおめでとうって伝えておいてくれる?」

「……お姉様はいいの?」

 

 一番気になるところだった。勝手に永遠亭から逃げ出した私を追いかけてきてくれたはずなのに、知らないうちにお姉様の想い人と結ばれている。私だったら辛くて耐えられない。

 

「……私の許可なんていらないわ。私も精一杯応援するわよ」

「そうじゃないよ」

「いいのよ。妹の幸せは私の幸せでもあるの。フランはずっと努力してた。なら、幸せになっても誰も咎めない。むしろ、私はそれが最善だと思ってる」

「違う!」

 

 少し強めに言った。お姉様はビクッと身体を震わせた。私はそれにすら気にせず続ける。

 

「最善だとか、そんなの聞いてない」

「……っ」

「こいしが好きなのに、想いも伝えないでただ一人になって……お姉様は、それでこれから耐えられるの?」

「……そんなわけないじゃない!」

 

 ベッドから降りて、布団を自分の体から引き剥がす。そして今にも泣きそうな顔で声を荒らげた。

 

「でも! 今あなた達は別れてくれるはずもないし、そんなの誰も嬉しくないの。これはいつまでもウジウジしていた私への罰なの。耐えるしかないのよ」

「お姉様……」

「でもね……フラン。あなたは一つ、私の心情の変化に気づいていないの」

「心情の……変化? 何それ……」

 

 お姉様の顔は少し赤く染まっていた。それがどんなことを意味しているのか、私には理解出来ず、その場で立ち尽くしてしまう。

 

「あなたが永遠亭を後にしたあと、私は咲夜と話したの。貴方に指摘されてから、私の気持ちには雲がかかっていた。その事を相談してもらった」

「……」

「それでね、咲夜に言われた……」

 

 お姉様はスカートをぎゅっと握り、唇を噛む。それだけでとても羞恥しているのが見て取れた。

 

 

 

 

 

「「私の想いはずっと前からフランに向いている」って……」

 

 

 

 

「……は?」

 

 耳を疑うような言葉だった。しかし、一言一句逃すことなく、お姉様の声は私の耳を通り抜けた。

 

「お姉様……それってどういう……」

「私も最初はそんなことないって笑ってやり過ごそうとした。でもね……フランの笑顔を思い出すと、胸が苦しくなってた」

 

 みるみるうちに顔が赤くなる。そして、とうとうお姉様の目には涙が浮かんでいた。頬を伝うことはなく、目じりに溜まっていた。

 

「……その時にね、「私はずっと前から、フランドールの事が好きだったんだ」って……わかったの」

「……嘘……」

 

 私の想いを一向に受け止めようとしなかったお姉様からの突然の告白。無論、私はその場で硬直してしまう。

 

「ま、待ってよお姉様……そんな急に……」

「ごめんなさい。こうでもしないと、私は貴方に想いを伝えることは出来なかった」

「で、でも……お姉様はこいしが好きなんじゃ……」

「ええ、きっと好きだったわ。本気で恋してた。じゃなきゃ、こいしが寝てる時にキスなんてしない」

 

 じゃあどうして。という質問はきっと言わない方がいい。そう思ったが、その心を読み取ったかのようにお姉様は答えを返した。

 

「二人に恋してるなんて、強欲で贅沢よね……私って」

「……」

「でも、きっとこいしよりも、私はフランの方が好き。大好き……愛してる」

 

 お姉様の口から溢れんばかりの私への想い。しかし、今更お姉様に好意を向けられない。

 

「やめてよ……お姉様……今更そんなこと言ってきてさ……」

「ごめんなさい」

 

 きっと最悪のタイミングでお姉様は自分の想いを自覚してしまった。

 そして、それに苛立ちを覚えてしまった私は大粒の涙を流して、叫ぶ。

 

 

 

「今になって、迷わせること言わないでよぉ!!」

「……」

「私だって、お姉様のこと大好き! でも……でもね……」

 

 きっと、今の私は一人じゃない。

 古明地こいしという最愛の人が隣にいてくれる。

 こいしとお姉様、2人を選ぶことなんて出来ない。2人とも同じくらい好きだ。

 そんな時、私の脳裏にはある言葉が電流のように駆け抜けた。

 

 

 

 

(フランちゃんは……たった一人の……かけがえのない存在なんだから)

 

 

 

 

「……お姉様」

「……」

「ごめんね。私は……こいしの方が好き。いつまでも、これからも……」

 

 これが、私の決意だから。

 これ以上、後悔もしない。こいしと幸せになる。こんな決断も二度としたくない。

 今、この時から、お姉様と結ばれることも無くなった。たった一人だけの姉への恋も消える。

 そう思うだけで私は涙が滝のように流れ出す。

 

「……そう。わかったわ」

「ごめん、ね……お姉様ぁ……」

「……フラン」

 

 下を向いて泣く私に近寄り、顔を上げさせる。

 その瞬間、お姉様は私の腰に腕をのばし、身を寄せる。お姉様のほんのり暖かい温度が感じ取れる。

 

「……よく言ってくれたわね。こんな辛いことやらせてしまって……私は姉失格よ」

「うぅ……あぁ……」

「でも、あなたはしっかりと決断出来た。それだけで、あなたは強い子よ……」

 

 昔からお姉様の足を引っ張って、迷惑をかけてきた私に、優しく言葉をかけるお姉様に私ら涙が止まらなかった。

 

「……これからも……よろしくね。フラン」

 

 お姉様への想いは、これで終わり。

 長く続いた私とお姉様の恋物語も、バッドエンド。

 でも、私は幸せになる。今も、この先も。

 こいしという最愛の恋人と共に。

 

「うん……ありがとう。お姉様………………いや、お姉ちゃん」

「……」

「これからは、お姉ちゃんって呼んでいいよね?」

「ええ、良いわよ。というか、そっちの方がいいわね……」

 

 これは、けじめだ。

 これからは「姉妹」という関係に戻る。そう、私たちは血の繋がった肉親。

 二度と恋心を抱くことのないように。という思いを込めての「お姉ちゃん」だ。

 

「それよりも……こいし」

「っ?」

「いるんでしょう? ずっと廊下に居させて悪かったわ」

「あ、あはは……流石の気配感知だね。レミリアちゃん」

 

 こいしは扉を開けて苦笑いしながら部屋に入ってきた。それと同時にお姉ちゃんは私から体を離して手を握った。

 

「これから、フランをよろしく頼むわね。姉としてお願いするわ」

「レミリアちゃん……」

「色々手のかかる子だし、迷惑もかけると思う。ちゃんと叱ってあげて。そして、幸せにしてあげて」

「……」

「誰よりも努力できるフランだからこそ、傍に誰かがいないと折れちゃうような弱い子なの。だから、これからはこいしがフランを支えて……お願い」

 

 こいしに頭を下げるお姉ちゃん。

 プライドの高いお姉ちゃんは人に頭を下げることなんて滅多にない。それだけで、お姉ちゃんがどれだけ本気で思っていてくれてるのが分かる。

 

「……分かった。フランをあなたの分まで幸せにするよ。レミリアちゃん」

「ええ、それが聞けただけで十分。安心したわ」

 

 頭を上げたお姉ちゃんはニコリと笑う。その顔にはもう心残りはないような気がした。

 

「……お姉ちゃん……」

「ほーら、今日はここで晩御飯を食べていきなさい。それまではフランの部屋で遊んでるといいわ」

「……うん。そうするよ」

「じゃあお姉ちゃん、後でね」

「ええ……」

 

 私はお姉ちゃんから離れて、こいしと手を繋ぐ。そして、扉を開けてお姉ちゃんの部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

「失礼します。お嬢様」

 

 コンコンと軽やかな音と共に扉が開いた。落ち着き払った声に私は反応する。

 

「入りなさい」

「はい」

 

 咲夜は手ぶらだった。いつもここに来る時は紅茶か軽食を持ってきているので余計に不思議に思った。しかし、それは咲夜の言葉でかき消される。

 

「……あれで良かったのですか?」

「フラン達のこと?」

「はい……せっかくお嬢様が本当の気持ちに気づけたのに……」

「……咲夜」

「はい」

 

 これ以上、この話題には触れないで欲しい。心底そう思った。

 それは、今一瞬でも気を緩めたら、力づくでもフランを奪ってしまいそうだから。

 

「私は、これでいいの。一途に思い続けてきてくれたフランは幸せになるべきなの。それに……」

「それに……?」

 

 結局、これだけだ。

 私がフランを諦めた理由。

 

 

 

 

「姉は、妹を幸せにするものでしょう?」

新しく書いて欲しいエンドはありますか?※一話完結

  • 3人とも報われないバッドエンド
  • 3人とも平和的なハッピーエンド
  • 3人に恋愛感情がないほのぼのエンド
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