これにてレミこい編完結でございます。
そうしますと、この「フランがシスコン過ぎて困っています」も完全に完結となります。
一応今の希望としては
レミこいのアフターストーリーを投稿後、別の世界線の物語を一話に詰めて書こうと思っています。
その世界線の内容はまだ黙っときます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
「全部……終わったのね?」
優しいほほ笑みを向けるレミリアちゃんに私達は同じように笑顔を返す。
「うん……終わった」
「そう……まずはえっと……フラン」
「な、なに?」
急に名前を呼ばれたフランは何かを警戒しているのか、少しどもっていたが、レミリアちゃんがフランに向けて頭を下げたことでそれらは払拭された。
「ごめんなさい。私はあなたの心を踏みにじるようなことをしてしまったわ」
「お姉様……」
「……私は、確かにこいしが好きよ。これは紛れもなく本心。でもね」
「……」
「私は、きっとフランのことも好きだった。昔から、あなたのことも意識してた。それに気づけなかったこと、フランの想いに応えてあげられないこと。それを謝罪させて欲しいの」
「……あははっ、今更そんなこと言われたら、強奪しちゃいたくなるよ。ね、いい? こいし」
「そんなことしたらスカーレット姉妹のこと地の果てまで追いかけるから」
「寒気が走ったのは夜で冷えるからだよね? ね?」
フランもここから立ち直っていけそうだ。でも、やっぱりフランとの関係はこれからも築いていきたい。
「……こいし」
「ん? なぁに?」
「え、えっと……」
レミリアちゃんは恥ずかしそうに左手で右肘を掴む。そして、意を決したように私の瞳を真っ直ぐと見た。
「私の事、レミィって呼んで」
「っ……」
頬を赤く染めながらレミリアちゃんは私を見る。その恥ずかしそうな顔すらも今はとてつもなく愛おしい。
そんな時、フランが前に言っていたレミリアちゃんに関しての話を思い出した。
────────
「ね、フランちゃん」
「んぅー?」
確かその時はパフェを食べていた時だ。
「なんでパチュリーだけはレミリアちゃんのことレミィって呼ぶの?」
「んー、お姉様ってレミィって呼ばれるの実はあんまり好きじゃないみたいなの」
「え、そうなの?」
「まぁ多分紅魔館の主だからか舐められたくないからとか面子がどうとかあるんだろうけどね」
フランは幸せそうに甘そうなパフェを頬張りながら話す。
「だから、本当に信頼のできる人だけに「レミィ」って呼ぶことが出来るんだって、紅魔館の中で唯一対等な存在がパチュリーだしね」
「えっとつまり、そう呼んでる人はレミリアちゃんに本気で信頼されてるってこと?」
「まぁそういうこと。お互い長い付き合いらしいしねー」
────────
という話を思い出す。それはつまり、私はレミリアちゃんに信頼して貰えるようになったということだ。
それが嬉しくてたまらなかった私は思わず笑みが零れた。
「うん、わかった。レミィ」
「う……やっぱり恥ずかしいわ……」
「え、えへへ……」
「はいはいイチャイチャしないでくれるかなぁ?」
両手をパンと叩き、少し不機嫌そうに私達を睨むフラン。そんな状況に3人とも同時に笑う。こんな幸せがやってくるなんて、一昔前の私には想像すら出来なかった。
「えっと、とりあえず2人とも、こっちに来て」
レミィがちょいちょいと手招きをする。クエスチョンマークを浮かべた私達は言われるがままに近づいた。するとレミィはそのまま私達二人を優しく抱きしめ、頭を撫でてくれた。
「お疲れ様。あなた達……2人とも大好きよ」
優しくそう伝えるレミリアちゃんはやっぱりお姉ちゃんなんだなと思えた。どうしても、甘えたくなってしまうこれは、きっとそういうことだ。
私はレミィやフランに出会えて、第二の人生を歩むことが出来ている。こんなに幸せになれたことを私は墓場まで零さずに持っていきたい。
「……ありがとう。レミィ」
それはきっとフランも同じだ。こんな姉がいたら、恋してしまうのも変ではないのかもしれない。
私の知らない間に、この二人はどれだけの深い絆で結ばれていたんだろう。
「さて、帰りましょう? こいし、今日はどうするの?」
「……えっとね……」
もう日が暮れて、橙色の空ももうすぐ黒くなり始める頃だ。
そうなってしまえば、私が顔を赤く染めるのを誤魔化す手段はない。
「……たい」
「え?」
フランが目の前にいるけれど、今更そこを気にしたってしょうがない。私は一刻も早くレミィに近づきたかった。
「泊まり……たい、紅魔館に」
「……え、あ、う、……」
赤面しているのはどうやら私だけではなかった。目の前にいる大好きな恋人もりんごのように赤く染めていた。
「あらあらーっ、私は先に帰ってるよん。お二人でのぉぉみつなお時間を過ごしてくださいなっ」
「あ、ちょ、フランっ!?」
フランはそう言い残すと紅魔館の方へ飛び立っていってしまった。そこからは気まずい雰囲気が流れる。
すぐに脱却したかった私は恥ずかしながらも口を開く。
「レミィは……」
「っ」
「私と泊まるの……嫌?」
別に可愛こぶったつもりもないし、誘惑したつもりもない。それなのに、なぜだかレミィはさらに顔を赤くしてまくし立てた。
「い、嫌じゃないわ! こいしと一緒にいたい! 私からお願いしたいくらいだわ!」
「お、おぉう……」
あまりの剣幕に少し後ずさる私。お互いに付き合いは長いものの、深いところまで知っている訳では無い。こんな機会に互いを知っていきたいなと思う。
「じ、じゃあ行きましょ?」
「うん……」
レミィは一歩前に出ると、優しく微笑みながら私に右手を差し出してきた。
「……ほら、手」
「……っ……」
そんな顔で見られたら、心臓の鼓動が早くなってしまう。恐る恐る手を伸ばし、指を絡ませた。
「……レミィってさ」
「うん?」
「……かっこいいよね」
「かっ!? ……こいいかぁ……」
なんだか少し落胆したような雰囲気を見せるが、顔は少しだけ赤い。満更でもないのだろう。
「うん、お姉さんって感じ。でも、なんだかたまに女の子な部分もあるよね」
「そ、そんなことは無いわよ?」
「そんなことがない人は「一生離れないで……」なんてことは言わないのぉ」
「ま、待ってそれ私の真似!? 私そんな顔で言ってたの!?」
「うん、すんごい乙女な顔で。こんな顔、紅魔館で見せたらフランがトリップしちゃうよ」
「あ、あぁあ……」
片手で顔を隠し、茹で上がるくらい顔が真っ赤になってしまっている。レミィはいじりがいがあってこの先も楽しめそうだ。
「ただいま」
「お帰りなさいませ。お嬢様、こいし様」
紅魔館に戻ると、咲夜が出迎えてくれた。
「えっと、咲夜。私たち、付き合うことにしたわ」
「……はい。先程、妹様からお話を伺いました」
「……咲夜には、迷惑かけたわね」
咲夜の言葉がなければ、ここまで上手くいくとは思えなかった。自暴自棄になりかけても、隣で咲夜が支えてくれた。そのおかげで、気持ちを洗いざらい吐き出すことも出来た。
「いえ、もったいないお言葉です……お嬢様」
「何かしら」
咲夜は姿勢を正したまま、まるで娘を見るような優しく包容力のある瞳で私を見つめた。
「どうかこの先も……幸せを掴みにいってください」
「……言われなくても分かってるわ。咲夜」
咲夜は従者といえどやはり何かと対等なところも多い。お互い、何かと頼るところもあるし、甘えるところもある。それでこうした信頼関係が築けたのだと我ながら誇りに思う。
「……では、私はご夕食の準備に戻ります。何時頃にお食べになられますか?」
「……レミィ、私お腹空いた」
「そうね……出来次第呼んでもらえるかしら?」
「かしこまりました。おおよそ30分後に出来上がる予定ですので、出来次第及び致します」
軽くお辞儀をして調理場へと消えていく咲夜。私たちは私の部屋へと誘われるように入っていった。
「っはぁー! 疲れたねぇ」
こいしがぼふっとベッドに飛び込み、ゴロゴロと寝転がる。私も書斎の椅子に腰掛け、汗ばんだ腕を布で拭き取る。
「あと30分は少し中途半端ね」
「……んー、ポーカーでもする?」
「あら、そんな大人なゲームこいしできるの?」
「むっ、前に地霊殿でやった時は3連続フルハウスだったもん!」
「強運がすぎるわよそれは」
「……そんなことより、やっぱり話してる方がいいかもね。ほら、こっち」
こいしはベッドに座り、隣をポンポンと叩く。その仕草はどうにも甘えたくなってしまうのはどうしてだろう。
私は言われたとおり、こいしの隣に座る。身長差はさほどないが、私の方がほんの数ミリ高いと願いたい。
そんなことを思っていると、こいしの頭が私の右肩にコツンとあたり、そのまま重みがやってくる。
「こいし……」
「えへへ……いつかこんなことやってみたかったなって憧れてたんだぁ」
にへらと顔を崩して笑うこいしがとてつもなく愛おしい。私は右手でこいしのサラサラな髪を撫でる。くすぐったそうに体を強ばらせていた。
「やっぱり、こいしの方が甘えん坊ね」
「……恋人に甘えたいと思うのは何も変な事じゃない……よね?」
「ええ、大歓迎よ」
「だ、大歓迎ね……なんだか裏がありそうで……」
そこから、静寂が訪れる。
多分、お互い意識してることは同じだと思う。
(……キスしたい……)
バチッと目が合う。しかし、今まで見ていられたこいしの顔も、そう思ってしまうとなぜだかより可愛く見えてしまってろくに見ることも出来ない。
「……ね、レミィ……」
「な、何かしら……」
「……目閉じて」
「……分かったわ」
ゆっくりと目を閉じる。この独特な雰囲気。こいしと2人だけ世界に取り残されたような感覚に陥る。
途端、唇に柔らかい感触。うっすらと目を開けると、そこには同じく目を閉じたこいしの顔が目の前にあった。
誰もいない空間で、2人だけの時間。優しいキスに幸せを感じる。
「んっ……」
しかし、その時間は長くは続かない。数十秒も経たないうちに唇が離れてしまった。
「あ……」
「ね、ねぇ……レミィ……」
名残惜しそうにしていると、こいしの方から呼び掛けられた。こいしの方を見ると、顔が真っ赤に染まって、荒い息を抑えようとしていた。
「も、もぅ……はぁ……はぁ…………我慢できない」
「え、えっ?」
「ずっと……我慢してた……だから、もう、いい?」
「……え、な、何が……んむっ!?」
先程の優しいキスとは違い、貪るように私の唇を啄んできた。
「んぅ……ちゅ、……ちゅぅ……」
さらに密着し、服越しでもこいしの体が熱くなっているのを感じた。
もうすぐで咲夜が呼びに来るかもしれないのに引き剥がそうとも思えない。
「私も、こうしたかった」からなんだろうと、そんなことを考えていた。
「はぁ……はぁ、好き、大好きだよ、レミィ……」
「私も……大好き……愛してるわ……」
私がそう言って微笑むと、何故かスイッチが入ったのか、こいしはもう一度キスをして、今度は小さな舌を私の口の中に潜り込ませてきた。
「じゅる……ちゅぅ……れろ……愛してりゅよ……レミィ……」
「んっ……ちょ、待って……こいしっ……」
こいしの勢いに負けて、私がこいしに押し倒される形になってしまった。しかし、こいしのキスは止まることを知らなかった。
「……レミィ……レミィっ……ちゅっ……じゅるる……」
「……しゃくやが……来る……ちゅぅぅ……んぅ……」
こいしの舌が私の口の中を蹂躙する。されるがままになってしまった私はもう抵抗する術も形勢逆転する術も持ってなかった。
「ぷはぁ……はぁ……」
お互いの舌同士で糸が伸びる。キスが終わっても、こいしの興奮は収まるどころか拍車がかかっていた。
「……レミィ……触っても……いい?」
どこをとは聞けなかった。こいしはもう、「最後まで」するつもりなのだ。嫌とも言えない。というか、「私もやめて欲しくなかった」のだろう。
「……いいわ……触って……」
すると、こいしの手が私の胸から腹……そして……
コンコン。
「っ!?」
2人で飛び上がる。ここまで心臓が飛び上がったのは初めてかもしれない。
扉の向こうから人の声がした。
「お嬢様、こいし様、晩御飯が出来上がりました」
「あ、え、ええっ! 分かったわ! 今向かう……」
そう言うと、咲夜はヒールの足音を立てて部屋から遠ざかっていく。
その音が聞こえなくなるまで私たちは息を止めてしまったいた。
「…………ぷはぁっ!」
お互い、止めていた息を一気に吐き出す。
「はぁぁ……危なかったぁ……」
「全く……こいしが変にスイッチ入れるからよ」
「その割には「いいわ……触って……」ってレミィも言ってたじゃん」
「待って、私そんな顔で言ってたの?」
「……エロ可愛かったよ」
「……は、恥ずかしい……」
こいしの感想に恥ずかしさが込み上げてくる。というか、こいしってこんなにエッチな子だったんだと実感した。
「……ま、まぁとにかく、食事に行きますか……」
一時は切れた興奮だが、すぐにそれはぶり返してくる。私はかなりの淫乱なのだろうか。
食卓に行くと既にフランがいた。
私たちが来るや否やニヤニヤと笑いながら机に両肘をついていた。
「あらあら、お二人さん、お楽しみでしたねぇ……」
明らかに私たちをおちょくるためだけに言ってきたのだろう。しかし、こいしの反応はまさかの地雷を踏んだ。
「え、なんでっ……もしかして声聞こえてた……?」
「えっ」
「えっ」
しばしの静寂。
まさかフランも本当にお楽しみしてたとは思わなかったのだろう。顔を赤くして硬直。こいしも硬直。
「こいし……」
「あ、あぁ……ごめんレミィ」
「え、あっ、ほ、ほっ、ほん、とにしてたの?」
フランの慌てようはまるで天変地異が起こったかのような反応だった。
もうわかっただろう。こいしは丸見えの地雷を両足で思い切り踏んでしまったのだ。
「あ、あぁフラン? そんなあなたが想像するようなことはしてないのよ?」
「あ? え、えっと……うん、恋人だもんね! 何もおかしくないよ! おかしくない……」
フランは何故こんなにも取り乱しているのだろう。フラン自身も私に色々やらかしてるのに……
「……まぁ、お腹も空いたし食べましょうか……」
今のこの空気はなんだかまずい気がする。こいしがまたいつ口を滑らせてしまうか分からないからだ。こう言っている私もどういう形で言ってしまうか分からない。
「……まぁ初日から上手く行ってるようで良かったよ」
「ま、まぁおかげさまで」
「でもやっぱり、お互いの元々仲が長いだけあって急に恋人になってもあんまり実感わかないんだよね」
こいしの言っていることに無言で首肯する。
実際、こいしとはもう数ヶ月程の仲ではない。フランほどでは無いが、こいしのことをよく知っているつもりだ。
友達としての期間が長いため、何か特別なことをする以外は特に関わりなどは変わらなさそうだ。
「まぁ、こいしと2人きりで遊ぶ口実ができたことが1番の収穫ね」
「……レミィって恥ずかしげもなくそういうこと言うよね……」
隣で顔を赤くしながらステーキを頬張るこいしがいた。
あ、ほっぺ膨らんでる可愛い。
「ともかく、気楽にやっていくわよ」
「そうだね。喧嘩とかはいっぱいしそうだけどねぇ」
「それはあるわ。私とこいし正直好みの違い大きすぎるもの」
「でも、自分と違うもの持ってる人に惹かれやすいってパチュリーの本に書いてあったよ」
「だから私はこいしが好きだったのねぇ……」
「ちょ、レミィっ、そんなはっきり……」
こんな他愛もない会話ができるほど、もう私たちはこいしという存在に馴染んでいた。
慌てふためくこいしも楽しそうに話すこいしも、全てが愛おしい。
「さて、レミィ。お風呂入ろっか」
「……は?」
食事を終え、フランが寝落ちしたところでお開きになったトランプ大会の後、フランを自室のベッドへ連行し部屋を出た時にこいしがそんなことを口走った。
ドアの取っ手を掴んだところで私は硬直してしまう。
「え、2人で入るの?」
「入らないの? せっかく続きをお風呂で出来ると思ったのに……」
「っ……」
顔を紅潮させてうるうるした瞳で誘ってくるこいし。その顔は非常に卑怯だと思ってしまう。
いけないことだと分かっているのに、私はいつの間にこんなに単純になってしまったのだろう。
「……行きましょ……」
「ほんとっ、やったぁ!」
素直に喜ぶこいしを見て、私もテンションが上がっているんだなと分かってしまう。
浴室に着く。いくらこいしの前とはいえ、衣服を脱ぐのには多少の抵抗があった。一度裸を見せている仲だけども、恋人になってから肌を見せたことは無い。
「……や、やっぱり緊張するねっ」
かくいうこいしも多少なりとも緊張していたみたいだ。しかし、テンパりながらもボタンを一つ一つ外していっていた。
「っ……」
衣服が真ん中から開いていく度にあらわになっていく白色の下着。大人の色気があるかと言われれば正直無い方だ。
だが、こいしという一個人としての魅力が詰まっている気がした。
「……こいし……綺麗ね……」
私は無意識のうちにこいしに引き寄せられていた。そして、気づくと至近距離にこいしがいた。
「……レミィ……近いよ……?」
「……あ、ご、ごめんなさい」
どうやら下着を凝視されていたのがむず痒かったのだろう。モジモジとしながらこちらをチラチラと見ていた。
「は、早く入りましょう」
そそくさと服を脱いで、お風呂の扉をガラッと開ける。先程までパチュリーが入っていたからなのか、まだ少し湿気があった。
「やっぱり……紅魔館のお風呂っておっきいね……」
「これはパチュリーの好みらしいわ。私は小さくてもいいんだけど……」
「おっきい方が羨ましいよ。開放感があるしね」
「それは分かるわ」
ヒタヒタとシャワーが並んでいる場所まで2人で歩く。その際に、チラチラとこいしの身体を見てしまうのは許して欲しい。
「ふぅ……今日は色々疲れたねぇ……」
シャワーの蛇口を捻って、暖かいお湯を浴びながらこいしが呟く。
「そうね。改めて、こいしには迷惑かけたわ」
「いやいや。こちらこそだよ。レミィの熱意に負けちゃった」
にへらと笑うこいし。お湯に濡れて緑銀髪の長い髪が首筋にへばりついていた。
「……っ」
なかなか色気がある。これは私の性癖が歪んでいるのだろうか。
そんな邪念を取り払うように、私は髪を濡らしてシャンプーで洗う。
「レミィってさ」
「ん?」
「髪、すごい綺麗だね」
「ええ、ありがとう。髪は女の命ですもの。でも、こいしもかなり綺麗よ?」
「えへへ……お空とお燐が毎日お手入れしてくれるんだ」
「そうなのね」
「お燐ったら凄いの。色んな髪型が作れてね、一昨日なんか三つ編みでおさげなんか作ってくれて」
自慢げに語るこいし。さぞ家族に大切にされている事が分かる。私も家族は命に変えても守りたいと思えるが、古明地家にも素晴らしい絆があるんだと認識できる。
「でねでね、お空はお団子を作ってくれるの。まだ私の髪があんまり長くないからおっきいのは作れないんだけど、一生懸命作ってくれてね」
「ふぅん……」
家族の話とはいえ、なんだか心がムズムズする。言葉にできないが、なんだか気持ちのいい話として捉えることが出来ていない気がする。
体も洗い終えて、2人で湯船に浸かる。暖かいお湯が全身に刺激を与え、今日の疲れをほぐしてくれる。
そう感じたのは一瞬だった。
「……」
「レミィ?」
私は湯船の中でこいしの右手を握った。いつもより滑らかな肌の感触があった。
「……」
「え、レミィ? きゃっ!」
気づけば、こいしを抱き寄せていた。すべすべの肌の感覚が直に感じて、さらに興奮が煽られる。
「……猫と鴉ばっかり……ずるい」
「……んっ!?」
私は先程のもやもやを取り払うようにこいしの口を強く塞いだ。息する暇さえ与えないように、強く押さえつける。
「んむっ……ちぅ……」
「……はぁむ……ぷはぁ……ちょ、れ、レミ……んむっ……」
一度離した唇もすぐに密着しなおす。回を重ねるにつれ、段々と強くなっていく。
お互いの歯が当たっているのか、中でカチカチと音がしている。頃合を見た私はそのまま舌を入れた。
「じゅる……こいし……すきぃ……」
「んぅ……れろ……」
「ぷはぁ……はぁ……」
「レミィ、落ち着いてっ……っ!?」
私はこいしの膝の上に対面で座る。お互いの肌の感覚が鮮明に、かつ広い面積で感じられる。
こいしはビクンと身体を震わせるが、私はそれを待つ暇もなく、もう一度キスをする。
「ちゅぅ……じゅる……」
「あっ……れ、レミィ……」
お互いの肌が擦れ合う。その不思議な感覚に私もこいしも変に興奮していた。
太もも同士、胸同士が当たって、その度に身体が跳ね上がっていた。
「はぁ……はぁ、こいし……」
「れ、レミィ……嫉妬深すぎるよ……」
唇を離し、額をゴツンと当てる。お互いの荒い吐息が当たる。そのせいで収まろうとしていた興奮も拍車がかかった。
「うるさいわね……こいしがほかの女の話するから……」
「んふふ……可愛い」
「ひゃうっ!?」
するとこいしは私のことを強く抱き締めた。さらに肌が密着して、変な声が喉の奥から込み上げてしまった。
「レミィ、変な声」
クスクスと小馬鹿にするように笑うこいしに私は赤面する。
「もう……」
「じゃあ……レミィ」
「……ぅん」
私のか細い声は確かにこいしに届いていたみたいだ。その応答を聞いた後、こいしはまるで別人のように私を弄んできた。
こうして愛する人と体を重ね合わせられる幸せ。本当にかけがえのないものだと、体験して初めて実感するものだ。
しかし、この幸せに、犠牲があったことを忘れてはならない。フランという大切な妹の恋心を踏みにじり、自分の幸せを最優先にしたのだから。
フランが気にせずとも、私はその、環境にいた事を感謝しなくてはいけない。この選択が、後悔のないものだとしても、一人の尊い恋心が犠牲になったことを、忘れてはいけない。
でも、それでも、私はこいしという愛する人と共に生きたい。フランという大切な妹と支え合いたい。
そう思うのは、悪いことではないと信じている。
快楽に縋ってしまった私が生み出した罪を色々な形で贖罪したいと、心の底から思う。
「……ねぇ、レミィ」
約二時間。私とこいしは湯船の中で様々な行為を繰り広げた。一方的に攻める。または受ける。二人の興奮が収まるまでお互いを貪り続けた。
「何かしら?」
こいしは私の肩に頭を乗せて、目を閉じていた。その愛らしい顔に底を尽きた体力がぶり返して来そうだった。
「……私、レミィとずっと一緒にいたい」
「……ええ」
「でも、一日前はフランが大好きだった」
「……ええ」
「私、本当に最低なことしてるって思った。だって、一日も経っていないのに別の人と恋人になってる」
段々と、こいしの声がか細くなってきている。いつも天真爛漫な彼女が自分に自信が持てなくなっていた。
「……レミィ」
「……」
顔を上げて、私の目を見た。こいしの顔は泣きそうとは言わずとも、助けを求めているような顔だった。
「私のフランへの想いは……弱かったのかな……フランのこと、本当は好きじゃなかったのかな」
その悲しい気持ちはこいしにしか分からない。言ってしまえば、こいしは過ちを犯した。そんな彼女を見ていると私は思わず声を上げていた。
「そんなわけないじゃない。あなたは真剣にフランに恋をしていた」
それだけは自信を持って即答が出来る。だって、私がこいしとフランをそばで見てきたから。
「私はずっとこいしを見てた。こいしがフランに向ける目は本当に真剣だった。都合がいいとか、親友だからとか、そんな理由じゃない。貴方は、本気でフランに恋してた」
今はこうして私とこいしが愛を誓いあっているけれど、こいしがフランのことを好きだった過去を決して色褪せさせてはいけない。
こいしのこの思いはきっといつかどこかで助けになってくれると信じているから。
「確かにこいし、あなたは過ちを犯してしまったのかもしれない。好きな人をすぐに変えることを良いこととは言えない。でも……でもね……」
私がいちばん言いたいこと。
長い間、私たちスカーレット姉妹と古明地姉妹が作り上げてきた絆のこと。
「私達ならそんな過ちでも乗り越えていけるじゃない」
そう、恋人とかそういった肩書き以前に、私達スカーレットと古明地はお互い初めての友達だった。
気づけば家族のように関わっていた私達。今更そんなことで仲が絶てるほど私達の絆は細く作られていない。
どんな罪だろうと、私はもう一度彼女達と関わっていきたい。
私は友達が大好きだから。
「……あはは……熱弁しすぎだよレミィ」
「あ、ご、ごめんなさい……」
「ううん、ありがとう、レミィ。そうだよね、私達の縁はそんな事じゃちぎれないよね」
どうやらこいしは目尻に涙を浮かべていたようだ。左腕でそれを拭い、思い切り笑って白い歯を見せる。
「ありがとう。レミィ、あなたが私の恋人でよかった」
「……ええ、私もそう思う」
色々あったこの恋煩いも、こうして幕を閉じた。
私もこいしもフランも、全員が一途に恋を駆けていた。この気持ちは一生大切にしていくべきものなんだろうと、今こうして思える。
「……さて! 早々にお風呂から出ましょうか」
「フランが起きてるかもしれないわね」
「あ、次はスピードやろスピードっ!」
「スピードに関しては私最強よ?」
「じゃあレミィが負けたらグングニル使って一発芸ね」
「さすがに鬼畜じゃないかしら」
私はこいしの後を追うように湯船から出る。
その時、私は初めてこいしが恋人なんだと実感した。色々なところで教えてくれて、支えてくれたこいし。
彼女には本当に感謝している。歳は近いが、様々な面でこいしが大人に見えたこともある。
私がこいしに何かしてあげたことは無い。これから先、こいしのことを一生懸命サポートしよう。
これから先、喧嘩やすれ違いもきっと多い。別れたいとそう思うことも絶対にあるだろう。
でもきっと、私はこいしとしか共に歩めないんだろうなと情けないが思ってしまう。
そう思えるのは、やっぱり私はこいしのことが好きだからだろう。
この後、私とこいしがお風呂で何をやっていたかは、途中で起きたフランが一緒に入ろうと更衣室まで来ていたことでフランには半分以上知られていた。
私もこいしも顔を真っ赤にして、フランと楽しくスピードをした。
ちなみに、グングニルの一発芸で盛大に滑り、首を吊ろうとして必死で止められたのは別のお話。
end……
エッロ
じゃあアフターストーリーで会いましょう。
新しく書いて欲しいエンドはありますか?※一話完結
-
3人とも報われないバッドエンド
-
3人とも平和的なハッピーエンド
-
3人に恋愛感情がないほのぼのエンド