フランがシスコン過ぎて困っています   作:かくてる

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うわぁぁぁ!!許して!
また投稿ペースあげるからぁ!次か次の次はムフフ回にするつもりだからァ!


という訳でよろしくお願いします。



7話 温泉チケット

 屋外は今でも暑苦しい。

 私は銀髪のメイド、咲夜と共に紅茶を啜っていた。いつも通りの美しい味が私の口内を刺激した。

 

「……はぁ……」

 

 鈴虫の音が心地いい。白い上品な椅子にもたれかかり、星空を見上げる。

 

「……」

「お嬢様? どうなされました?」

「いえ、何でもないわ」

 

 あの時のフランとこいしのあの行為を記憶から必死に消そうとしている。それなのにどうしてもあの光景だけがフラッシュバックして、完全に脳にインプットされていた。

 

「……ね、咲夜」

「はい?」

「恋って難儀なものよね」

「……?」

 

 咲夜は私のその言葉に首を傾げるだけだった。

 

「ある人の好きな人がある人を好いている人って、何だか面白いわね」

 

 鼻で笑いながら紅茶を啜る。こうやって夜空の下で紅茶を飲み、あの時の出来事を無理やり消そうとしているのだが、ダメだ。気持ちが動揺してしまっている。

 

「……お嬢様、恋愛とは誰かに決められてするものではありません」

「そんなの……分かってるわよ……」

 

 分かってはいるのに、どうしてもそれを分かりたくないのが現状だ。

 紅茶を皿におき、咲夜を見据える。咲夜はどうやら、私の今置かれている現状を分かってしまったようだった。

 

「では、お嬢様がこいしさんを好きになるように、こいしさんもまた、好きな人ができます。それが誰だか、お聞きはしませんが」

 

 咲夜は今の話を聞いて、こいしが誰を好きなのか、分かっているのだろう。

 

「……そう、ね……」

 

 なら、こいしに私がアプローチをすればいい。フランよりも素敵だと思わせればいいのだ。

 

「……簡単な事ね」

 

 無理やり奪うのではなく、こいし自身が私を好きになってくれるのを待つのだ。それがどれだけ長くなろうと、私は構わない。こいしと近くにいたい。

 

「……ありがとう咲夜。少し楽になったわ」

「ええ、お力になれたなら良かったです」

 

 私が掴んでいるマグカップは少し震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3日後

 

「温泉んんんんんんん!!!」

 

 フランが勢いよく扉を開け、私の方に走ってきた。そしてそのまま全身を私にぶつけ、抱きついてきた。

 

「ちょ、何、フラン?」

「温泉行こ、温泉!」

「温泉?」

 

 温泉など、もう数百年も行っていない気がする。西洋で生まれた私たちにとってそういった東洋の風習と縁がないからだ。

 

「また、どうして?」

 

 私がそう尋ねると、ピラ紙が4枚。

 それには、「温泉旅行! 家族でGOGO!」と記されていた。

 

「こいしちゃんが福引で当てたの!」

「こ、こいしが?」

 

 ガタンッと私の椅子が揺れる。それを見たフランはにやにやしながら。

 

「あらぁー? こいしちゃんの名前が出ると反応が違うねぇー」

「う、うるさいわね……」

「まぁ、そんな訳で、私とお姉様、こいしちゃんとさとりで行こうって話」

「そう、なのね」

 

 西洋に染まりきった紅魔館とは無縁な文化である「温泉」。無縁とは言っても、少なからず関心はある方だ。

 

「まぁ、いいわよ。温泉なんか久しぶりだし」

「ほんと!? やったぁぁ!」

 

 心の底から喜ぶフラン。大方、私とお風呂に入れるのが嬉しいのだろう。実際、私もこいしと一緒にいられるなら満更でもない。

 

 

 

 

「うむむ……」

 

 髪の毛を弄りながら自分の顔を鏡で覗く。今日はいつもの家族旅行ではない。

 あのこいしもいるのだ。だらしない格好で行けるわけがないだろう。

 

「どうしよ、こんな形でいいのかな……」

 

 少しお洒落して髪留めを付けてみたり、香水を付けたり、自分なりの努力をしてみる。

 咲夜には頼らない。自分の力だけでしてみたいからだ。

 

「お嬢様? もうこいしさんとさとりさんがおいでになられてますよ?」

「ひゃわぁぁ!?」

「……お嬢様?」

「咲夜っ!? もう、ノックしてよね!」

「しましたが……」

 

 私は口ごもりながらもキャリーケースに荷物を詰めて、扉の方へと歩き出す。

 

「あら、可愛いですわよ、お嬢様」

「う、うるさい!」

 

 咲夜はにこやかに笑った。私はその横を足早に通り過ぎたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、お姉様おそーい!」

「どうもレミリアさん」

「やっほー! レミリアちゃん!」

 

 三人が一気に挨拶してきた。どうやら、以前のこいしとフランの件は二人共気にしていないみたいだ。恐らく、事故として扱われたのだろう。

 

「え、ええ、よろしく頼むわね」

「じゃ、行こっか!」

「そう言えば、どこに行くの?」

 

 一番大事なことを聞いてなかった。私は荷物を背負うと同時にフランに問う。

 

「あ、お姉様には言ってなかった。えと、妖怪の山を越えたあと、鳳凰山ってところがあるんだって、そこは年中紅葉とかカエデとかが一面にあって、穢れのない澄んだ土地なんだって!」

「へぇ……」

 

 明らかに説明書をそのまま読んだようなフランの説明に頷く。

 そう言えば、妖怪の山の奥の方なんて言ったことないからそんな名前すらも聞いたことなかったな。

 

「はい! 長話は嫌だから、しゅっぱーつ!」

「では、お嬢様、妹様、こいしさん、さとりさん。お気を付けて」

 

 咲夜が挨拶をした後、私たち四人は同時に足を地面から離し、軽く手を振った。

 今の時期はまだ暑い方だが、やはり飛んでいるといつの時期も少し冷えてしまう。まぁこれから温泉に入るのだから、少し冷えていても問題は無い。

 

「んぅぅぅー! 楽しみだなぁー……」

「あまりはしゃぎすぎないでよこいし」

「分かってるよお姉ちゃん!」

 

 やはり、古明地の姉妹は凄く対称的でいい姉妹である。それに比べ私達は…………

 

「ねぇ、お姉様ぁ? あっち行ったら何からする? 一緒にお風呂入る? 背中流してあげよっか? そしたら…………きゃっ!」

「きゃっ! じゃないわよ……」

 

 どうしてこの妹は……と額に手を当てて私はため息をつく。フランがこうなってしまったのもいつからなのかあまり記憶に新しくないし、今更どうしようと言うわけでもないのだが、このシスコンぶりはそろそろ卒業して欲しい。

 

(……こいしに好かれてるんだから……私なんかより……)

 

 ここで私は考えるのをやめる。それは自分が弱気になってしまっているから、こんなんじゃ、こいしを振り向かせることな不可能だから、自信を持たないと。

 

「……」

「レミリアちゃん?」

「…………」

「おおーい、レミリアちゃーん?」

「うぴゃぁ! な、なに、こいし……」

 

 ぼーっと考えていたら、いつの間にかこいしの顔が数十センチ先にあって、私は思わず仰け反ってしまった。

 

「? ……何か考えてたの?」

「あ〜、いえ、そうじゃないわよ」

「……ふーん、変なの」

 

 私がそう言うと、こいしは怪訝な表情を見せながら前へ出た。

 そのやり取りを見たフランがこちらを睨んでいたのは気付かないふりをしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたぁ〜!」

 

 私は地面に足をつけるなり、大きく背伸びをし、鳳凰と呼ばれる温泉街を見渡した。

 見渡す限り「和」に包まれている。真ん中に流れる川を境に二つの道がある。その道の端には和菓子屋さんやお土産屋さん。そして温泉や旅館などが一日じゃ回れないほど並んでいた。

 

「ね、みんな! どれから回る!?」

「あまりはしゃぎすぎないでよフラン、さとりとこいしもいるのよ」

「あはは! いいよいいよ! 思いっきり楽しも! あ、フランちゃん! あそこに甘味処がっ」

「えっ、どこどこ?!」

 

 妹二人は甘味処を見つけるなり全速力でそこへ走っていった。

 

「……元気ねぇ」

「そうですね。こいし、最近何だか空元気を振舞っていたので、戻ってよかったです」

 

 こいしが空元気を振舞っていた理由は私は分かってしまっている。だから、さとりとはあまりこういう話をしたくないので、そのままスルーする。

 

「そう、フランはこいしがチケットを当ててからずっと楽しみにしてたみたいだったし、よかったわ」

「そうですか……」

「そ、だからありがとうね、さとり」

「いえいえ、私は何も」

 

 私たち二人は顔を見合わせてクスッと笑う。

 そして、姉は妹を追いかけるように、温泉街の道を歩み始めた。




あ、そう言えば、今日例大祭のカタログの発売日ですね。

表紙が可愛らしくて私の好みでございます。

秋葉原は人が多かったですわぁ……
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