バラバラになる戦場のなか、アルトリアは漆黒の騎士と、エミヤは血の伯爵婦人と、七花達は十字架の聖女と戦っていた。戦場の一辺では……
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「Arrrrrrrrrrrtherrrrrrrrrr!!!!」
「第四次聖杯戦争以来ですね、ランスロット卿……。」
戦場の一角、蒼き騎士王と黒き湖の騎士が剣を交える。ランスロットの相貌は既に晒され、手には黒い
「狂っていてもこの技量……流石はランスロット卿。ですが!!」
アルトリアは
「行きますよ、ランスロット!!!」
魔力放出で飛ばしたランスロットに即座に追い付き真横に一閃。大きく魔力の乗った一撃だったがアロンダイトにより阻まれる。衝撃を十分に吸収し耐えたランスロットがお返しとばかりに斬撃を放つ。斬撃を全て回避し、距離をとる。
「Aaaaaaaa……」
「…………」
言葉を交わさずに対峙する二人。だがそこに乱入者が入る。
「一番強い奴の所にきたつもりだが……なるほど、技量では騎士王をも上回る湖の騎士か。」
「………ランサー、手を出したら私はあなたを斬ります。」
「おお恐い恐い。安心しろ、お前の部下の不始末を俺がやったりしねーよ。存分に死合いな。」
「……感謝します。ここで決着をつけましょう、ランスロット卿。」
「AaaaaaaaaaaaaaTherrrrrrrrrrrr!!!!!」
聖剣が光る。本来極光を放ち相手を屠る対軍宝具としての魔力を放出せず、刀身に凝縮させる。
魔力が蠢く。アロンダイトから黒い霧状の魔力が放出されステータスが上昇する。その力、速度、もはや人には捉えられず。
斬りかかるは同時。袈裟斬りが交差し、衝撃が辺りの瓦礫を吹き飛ばす。一瞬の膠着、それは続かずに勝負は決まった。
「………アーサー王、私は………」
「よい、何も言うな。私達は既に終わっている関係だ。安らかに逝くがいい、ランスロット卿。」
アロンダイトを折り、ランスロットの身体には斜めに光の跡が残っていた。聖剣の光に身体は耐えきれず、ランスロットは消滅していった。
「………いい死合いだったぜ。」
「………マスターの元へ向かいましょう。」
言葉を交わすことなく、二人はマスターの元へ急ぐ。
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「アハハハハ!!男の血なんてどうでもいいのよ。早くあの聖女の血を飲ませない!!」
「フッ!!」
戦場の一角、紅い弓兵と女吸血鬼が戦闘を行っていた。その戦闘スタイルは両方とも異端に尽きた。アーチャーでありながら双剣を用い白兵戦で戦うエミヤ、アサシンでありながら拷問器具や謎光弾(拷問したいな~という思いを込めてエネルギー塊として放つ『拷問弾』というらしい)を使って攻撃するカーミラ。互いに異端な戦いとなったが勝敗は最初から決していた。
「痛ッ!何で…何で私の攻撃は当たらないのよ!?」
「血を吸う、アイアンメイデン……なるほど、貴様はエリザベート・バートリー……いや、こう言おうか。女吸血鬼カーミラ。」
錬鉄の守護者として死後も戦い続けた男と、人々の思い描く怪物像を押し付けられた女とでは戦闘経験が違いすぎた。その上、
「何よその剣!!普通の剣じゃないでしょ!!」
エミヤが扱う双剣『干将・莫耶』。その特性は『魔性』に対しての特効であり、吸血鬼であるカーミラにはその傷の一つ一つが呪いのように痛んでいた。
「お察しの通り、この剣は宝具だ。まあ偽物だが、限りなく本物に近い。その特性も投影されている。だから……こんなことも可能というわけだ!!」
エミヤが両手の剣をカーミラを狙い放物線状に投げる。その剣はブーメランのようにカーミラを狙う。
「そんな見え見えの攻撃、当たるわけないでしょ!!」
しかし、アイアンメイデンにより弾かれ、あらぬ方向に飛んでいく。
ーーー
その隙にエミヤはもう一対の干将・莫耶を投影し、先程と同じようにカーミラを狙い投げる。
ーーー
「だから、そんなもん当たらないのよ!!」
またも弾かれ、あらぬ方向に飛んでいく。
(何を狙っているの……?嫌な予感がするわ……。)
ーーー
(今あいつはチマチマ剣を投げてるだけ、私から攻めていくわ!)
エミヤへと向かって急接近するカーミラ。アイアンメイデンを振るい攻撃体勢に入る。が、
ーーー
三度投影された干将・莫耶の剣戟により吹き飛ばされる。
「キャアアアア!!!」
吹き飛ばされたのは、先程まで立っていた位置。エミヤは急接近し、投影した干将・莫耶に過度な魔力を送りオーバーエッジ化させる。
(逃げなきゃ!!)
正面からくるエミヤに対し回避を試みるカーミラ。しかし、
「え…!?」
先程弾き飛ばした干将・莫耶がまるで共鳴するかのようにカーミラの元へ迫っていた。干将・莫耶のもう一つの特性、互いを引き寄せあう夫婦剣としての力によりエミヤは全方向からの攻撃を可能とした。
ーーー
『
全方向からの斬撃により、カーミラの霊核を砕き消滅させた。
「終わったか…。早くマスターの元へ向かわねばな。」
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戦場の最後の一角、七花対十字架の聖女、マルタでは
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「どりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
殴り合いがおこなわれていた。来いよ人類最後のマスター!!十字架なんて捨ててやるからかかってこい!!みたいな感じだった。
『こ、これがあの聖女マルタだって!?祈りでタラスクを鎮めたっていう!?拳で沈めたの間違いだろ!?はっ、まさかこれが邪ンヌの狂化の力なのか!!なんて強力なんだ!!』
「頑張れ頑張れし・ち・か!負けるな負けるなし・ち・か!」
「うおおおお!!!虚刀流最終奥義【七花八裂・改】!!!」
「鉄・拳・聖・裁!!!」
「はぁ…はぁ…あんた……強いな………。」
「はぁ…はぁ…あんたも、生身のマスターのくせに、なかなかやるわね……。」
七花とマルタは、橋の下で殴り合い、友情を深めた不良達のように、大の字になって倒れていた。聖女とは一体。
「はあ……あのくそ女の呪いさえなければ、あんた達に手を貸してあげるんだけど……。早く私にとどめを刺しなさい。」
「マルタ……。」
「いいのよ……私は人類を滅ぼした奴らに加担したの。早く私を倒しなさい。」
夕陽が二人を照らしている(気がする)。青春の一幕にありそうなシーンだった。が、ここにいるのは人類最後のマスターの一人とそのサーヴァント。
「その~、呪いとかをどうにかするなら、多分私の宝具でどうにかなるぞ?」
「「マジで!!??」」
「本当かとがめ!?マルタを救う手段があるのか!?」
「軽く言ってるけど対魔力Aの私でもどうにもできないのよ!?方法はあるの!?」
「あることはある。まあその……あんまり長く使えないから早めに終わらせるぞ。」
そう言って取り出したのは……
『「【王刀・鋸】じゃねーか!!!」』
『それって所長のために使ってる刀だよね!?え、何で出してるの!?』
「とがめ!?それ取り出してよかったのか!?」
「う……うるさーい!!少しの間だし大丈夫だ!!………多分。【誠刀・銓】だけでも精神保護はバッチリだし……。とにかく、この刀でそこの女を斬れば、呪いやなんやらは解除される!!いくぞ!!」
「………刀っていうか、木刀よねそれ。私もよく持ってたわ……。」
「問答無用!!ちぇりおーー!!」
とがめが【王刀・鋸】を振り下ろす。珍しく転ぶこともなく、けっこうな勢いのままその刀はマルタの頭に直撃した。
「あいったーー!!!痛いじゃない!!そんなに強くする必要あったの!?」
「………すまない。ちょっと私怨が入ってしまった。だが、これで呪いは晴れたはずだ!!調子はどうだ?」
「え……あ、確かに、狂化も解除されてるし、本当に……?」
「ならいいではないか。…………オルガマリーには悪いことしたな……大丈夫かな……しまいしまいっと。」
【王刀・鋸】を消し、マルタの状態を確認する。
「……本当に、狂化とあの女との契約も解除されてます。本当にありがとうございます。」
「な、なんだ。さっきとは随分態度が違うな。」
「あれはあの女の狂化によるものです。本来の私は聖女として慎ましく、穏やかな性格をしているのです。」
『それ自分で言っちゃうんだ……。まあ、さっきまでの君が聖女マルタだとは思えないし、そういうことなのかもね。』
「……俺はさっきまでのマルタの方が良かったな。」
「………七花?」
「違う。とがめ、俺はお前一筋だ。だから目のハイライトを消さないでくれ。」
「フフフッ、これからは私もあなた方の旅に付いていきたいと思います。そしてあの女に制裁を与えて地獄まで送ってあげるわ……。」
『やっぱり狂化がまだ解けてないぞ!?邪ンヌの呪いはここまで強いのか!?』
「何か言ったかしら?」
『ナンデモナイデス』
「とりあえず、マルタが仲間になってくれるってんなら歓迎だ。戦力は一つでも多い方がいい。」
「戦力で思い出しましたが……あの女が従えていたファヴニール、あの竜に加え、まだ何人ものサーヴァントがあちらには控えています。こちらもサーヴァントを揃え、戦力を増やしていくべきでしょう。」
「一理あるな。しかし、サーヴァントはどうするのだ?あちらと同じく、召喚するしかないんじゃないか?」
「いえ、この特異点では聖杯……まあ偽物ですが、聖杯によって抑止力と成りうるはぐれサーヴァントが呼ばれています。私の知る限りでもファヴニールを倒した英雄、ジークフリートがリヨンの街にいます。」
『ジークフリート!?伝説に名高い竜殺しじゃないか!?そうか、ファヴニールのカウンター・サーヴァントとして呼ばれているのか……。彼がいればこれからの戦いがもっと楽になるぞ!!』
「なるほど、じゃあまずはそのジークフリートってやつを探せばいいのか。」
「そうですね。あなた方のお仲間も来たようですし、一段落してら出発しましょう。」
「七花にい~~!大丈夫~!?」
「七花さん!大丈夫ですか!?そこにいるのは……先程のサーヴァント!?離れて下さい、七花さん!!」
「あー…俺は大丈夫だから、六華、マシュ。彼女はマルタ。さっきまで敵だったが、とがめのお陰で仲間になった。」
「初めまして、私の名はマルタ。ただのマルタです。私もあの女には思うところがあり、あなた方のお力添えをしたいと思いまして、微弱ながらお仕えしたいと思います。マスター、手を。」
「……あ、マスターって俺のことか。はいはい。」
マルタと手を握り、光が放たれる。自分の中に何か他のものとのラインが入ったような感じだ。異物感はなく、暖かいものが流れてくる。
「これで私とマスターとのラインが刻まれました。仮のマスターですが、よろしくお願いします、七花。」
「おう、こちらこそよろしくな。」
「えっ、聖女マルタ殿ですか!?」
「えっ?」
そこにいたのは六華とマシュより少し遅れて到着した救国の聖女、ジャンヌ・ダルクだった。
「あの凶暴極まりないタラスクを祈りのみで鎮めたというあの!?うわ~~!!尊敬しています!!あの、私は、ジャンヌ・ダルクと言います!!あの、よろしければ握手を…。」
「え、ええ……いいわよ。」
「本当ですか!?きゃーーー!!!」
この時、全員の心が一つになっていた。すなわち、
『「「「「ミーハーだ…………」」」」』