前回のおさらい、とがめに刺された。
「七花にい!?大丈夫!?今抜くからね!!」
「なにやってるのよキャスター!!あなた、自分のマスターを殺す気なの!?」
「そういうわけではない。六華も抜かなくていいぞ。七花、調子はどうだ?」
「調子ってキャスター、刀で刺されたら調子もどうも…」
そのとき、俺の胸に刺さっていた双刀・鎚が光り、傷口もなく消えた。
「とがめ…どういうことだ?さっきよりも格段に体が動くぞ!!」
「「って大丈夫なのー!?」」
「フッフッフ、これが私の宝具、【刀語・完成形変体刀】の十二本がうちの一本、【双刀・鎚】だ!そして、この宝具のもう一つの能力は、『刀の能力を付与できる』ということだ!四季﨑記紀が作った刀ならば十分に伝説に名高い名刀!その能力を七花に付与したのだ!メタ的に言うと【双刀・鎚】だったら筋力をニ段階あげる感じだな。C→Aみたいな感じで。」
メタ…?よく分からんが、さっきエンチャントをされたときよりも動きが力強くなっている。
「とがめ、凄いな!!今ならあの頃の俺よりも強いって確信があるぞ。だけど、俺が刀を持っても大丈夫なのか?ほら、俺が刀を持ってるとだるんだるんのでろんでろんになっちゃうだろ?」
「そこに関しては問題ない!形式上刀を刺したが、あれは刀の能力を付与するためであって、刀を持っているわけではないから七花には影響はないはずだ。もちろん、刀としても使えるぞ?」
「はー…凄いもんだな。とがめも今なら戦えるんじゃないか?」
「馬鹿者、私は奇策士なのだ。戦うのが本分ではないのだぞ!」
「えーっと…とりあえず、七花は無事で、パワーアップしたのね?七花、アーサー王とも戦えそう?」
「七花にい、本当に大丈夫?とがめさんも、そうならそうって言ってからやってよね!心配したんだから!!」
「そうですよ!先輩の言うとおりです!」
「すまんすまん。いや、なんていうか、私の出番少ないっていうか、なんか影薄いなー?って思ったから、つい。まあ、私の宝具のお陰で勝利の算段ができたんだ。早く行こうじゃないか。」
「…なんか納得いかないわね…。はぁ、まあいいわ、皆、行きましょう!この先が決戦よ!」
「「「「おう!!(はい!!)」」」」
「ーほう、面白いサーヴァントがいるな。」
黒い人影を目にした時、俺達は一歩も動けなくなってしまった。不用意に動けば、やられると分かったから。
「なるほど、純潔の騎士が…。盾の娘、名は。」
「…!わ、私の名前は、マシュ・キリエライト!!アーサー王、あなたを倒します!!」
「ふっ、中身も似てるか…。ならば来い。その実力、試させてもらう。私程度に手子摺っているようでは先には進めんぞ!!」
「来ます!!先輩達は私の後ろに!」
アーサー王の圧力が上がる。アーサー王の周りだけ空間が歪んでいるようだ。
「卑王鉄槌…極光は反転する。光を呑め!
黒い極光が迫ってくる。しかし、
「宝具、展開します!!」
極光を防ぐは光の盾。今はまだ名を知らない純潔の騎士の宝具。人理を守るカルデアの盾!!
(いい、マシュ。あなたの宝具はまだ真名が分かってない、不完全なの。いえ、あなたが悪いってわけじゃなくて…。あなたは『宝具を発動する』じゃなくて『六華達を守る』って心で宝具を発動したでしょう?だから、宝具の真名までは分からなかったのよ。だから、今のあなたの宝具に名前をつけてあげる。あった方がいいでしょ?あなたの宝具の名は…)
『
マシュが叫び、光はよりいっそう激しさを増す。終わらないかに思えた光の衝突は唐突に幕を下ろした。
「はぁ、はあ、はぁ…」
「…やはり、その盾は私では破れんか。止むを得まい、マスターを殺すとしよう。」
「その必要はないぜ!!」
「っ、何だと!?」
マシュが守りきり、宝具後の硬直した隙を狙い、俺は強化された体でアーサー王の懐に入る。その構えは虚刀流
四の構え【朝顔】。そこから繋がる技こそ、
「虚刀流最終奥義…!【七花八裂・改】!!!」
一の奥義【鏡花水月】
ニの奥義【花鳥風月】
三の奥義【百花繚乱】
四の奥義【柳緑花紅】
五の奥義【飛花落葉】
六の奥義【錦上添花】
七の奥義【落花狼藉】
虚刀流の奥義であるこの七つの技を全部同時に打ち出す奥義こそ、七花が考えた奥義【七花八裂】である。その組み合わせ、実に5040通り。その中でも最大の効果を発揮する組み合わせこそ、最終奥義【七花八裂・改】である。その威力、敵を八つ裂きにし、城を砕く!!
「ぐっ!!」
鎧通し、掌底、打撃、踵落とし、飛び膝蹴り、手刀が入り、アーサー王は完全に動けなくなる。最後に放つは神速の貫手【花鳥風月】!!
「ちぇりおおおおおおお!!!!!!!」
ドパン!!
アーサー王の胸部に貫手が入り、爆ぜる!!その七撃はアーサー王の体に傷をつけ、霊核を消滅させる!!
「…ふっ、見事だ。たかが人間のマスターが私を倒すとはな。だが、もう遅い。人類は滅びている。聖杯を巡る戦い【グランドオーダー】は始まっている。精々、あがくんだな…」
「人類が滅びている、だと…!?おい、待て!!」
アーサー王が意味深な言葉を発した直後、金の器を残し光となって消えていった。
「どういうことだ?まさか、本当に人類が…」
「やったー!!!やったよ七花にい!!私達勝ったんだよ!!やったよマシュ!!やったよ所長!!やったよとがめさん!!」
「はい先輩!!私も、先輩達を守れました!!七花さんも凄い動きでした!!七花さんがいないと勝てなかったかもしれません。ありがとうございます!」
「…もうなにも驚かないわ。マシュ、ご苦労様。あなたの宝具はアーサー王のエクスカリバーにも劣らないことが証明されたわ。おめでとう。そして七花!…アーサー王に勝利するという快挙、カルデアの所長として称賛します!最初は一般人だなんて言ってごめんなさい。ありがとう、あなたがこの場にいてくれて良かったわ。」
「さすが七花だな!!いや、まあ、あの極光見たときは死んだかと思ったけど、マシュの盾は凄いな!あの極光を防ぎきるとは!あ、もちろん七花も凄かったぞ?あと、最後にちぇりおって言ってくれたの、嬉しかったぞ!!」
…照れるな。
『――やっと繋がった!君たち、大丈夫かい!?セイバーは倒したのか!?』
「あれ、ロマン。どうしてたんだ?アーサー王なら今俺が倒したぜ。」
『そうなのか…って七花くんが!?えっ、君、人間だよね?いくらエンチャントをされたからって…』
「その辺は帰ったら説明するよ。このあとはどうすればいいんだ?」
『ああ、君が持っているその器、聖杯を回収すればその特異点は崩壊し始めるはずだ。今から君たちをレイシフトでカルデアに帰すよ。少し待っ…』
パチパチパチ
「!誰だ!」
少し上の高台からこちらを見下ろす影が一つ。邪悪な気にまみれた、人とは思えない圧力を感じる。
「まさかここまでくるとは、いささか予想外だったよ。マシュ、一般人のマスターに…君は誰だ?マスター候補ではない、本当にただの一般人か!フッ、フハハハハ!!これは笑い話だ!!魔術師でもない一般人が我が王に抗うと言うのか!!」
「なんなんだ、あいつは…?」
『そんな、まさか…生きていたのかい、レフ教授!何故そんなところにいるんだ!?』
「…レフ?レフなのね!良かった!さぁ、早くここから離脱しましょう!」
「ロマン…君は死ななかったのか。またサボっていたのか、君のような優秀な人材を殺しておきたかったのだが…。それにオルガか…はっ、グズもここまでくると滑稽だな。まだ気づかないのか?君はとっくに死んでいる。今ここにいる君は魂だけの存在だ。カルデアに戻れば肉体のない君は消える。何の意味もなく死ぬんだよ、君は。」
「…えっ?何を、言っているの?」
「君はあの爆発で死に、魂だけがレイシフトした。良かったなオルガ、念願のレイシフト適性が得られたぞ?」
「嘘…。嘘よ。私が、死んでいるなんて…」
「君は誰にも認められず、一人のまま死んでいくんだよ!これ程滑稽なことはあるまい!ハハハハハ!!!!」
「違う!!!」
「…ほう?」
「六華…?あなた…」
「所長はヒステリックで、高慢ちきで、すぐ怒るけど、どんなに怖くても逃げない立派な私達の所長なんだ!!お前なんかが私達の所長を悪く言うな!!このモジャモジャ!!」
「六華…」
「モ、モジャモジャ…そこの小娘に何ができる!?いつも『レフ~レフ~』と私に頼ってばかりだった、私がいなければ何も出来ないグズな小娘に!!」
「…ごめんなさい、レフ。私はずっとあなたに頼っていました。ずっと優しく教えてくれたあなたに甘えていた。そんなことじゃ、あなたに嫌われて当たり前だわ。でも、今の私は、あなたがいなくても立ち上がれます!前に進めます!!今までありがとう、レフ・ライノール。私は、彼女達が認めたカルデアの所長、オルガマリー・アニムスフィアです!!私は私の誇りにかけて、認めてくれた彼女達のために、『これから』をやり遂げます!!」
「…そうかね。小娘の戯言など何を言っているのか分からないな。精々あと少ししか生きられない命、無駄にするんだな。」
そう言うと、レフの背後の空間が開き、レフは中に消えていった。
「六華、マシュ、ロマン。それに、七花とキャスター、とがめも、今までありがとう。あんなこと言ったけど、私、もうすぐ死んじゃうみたい。あなた達には、これからとても重い使命が任されるわ。私はここでリタイアだけど、あなた達は、死なないでね。」
「そんな、嘘でしょ…?所長、本当に死んじゃうの?」
「…ごめんなさい。」
『…所長、申し訳ありませんが。』
「ええ、ロマン、レイシフトを始めてください。このままでは特異点の崩壊に巻き込まれて私達全員が死ぬでしょうから。」
「…少し、いいか?」
「とがめ?」
「…出来るかどうかわからないが、私に考えがある。オルガマリーが生き残る奇策だ。」
「っ!本当なの!!とがめさん!!」
「本当か!とがめ!」
『本当かい、キャスター!』
「…キャスター、私の肉体はもう死んでいます。どうやっても…」
「ああ、だから魂だけを保護するんだ。これを持ってくれ。」
「これは…刀の柄と、木刀?」
「【誠刀・銓】と【王刀・鋸】いう。この二刀には持ち主の精神を安定させる効果がある。そして…」
「っ、とがめ、その刀は…」
「…うむ、【毒刀・鍍】という。この刀には人の魂、怨念、妄執をのせることができる。しかし、この刀には今、四季﨑記紀という男の魂が入っている。オルガマリー、その二刀を持ってこの刀に入ることでオルガマリーの魂は保護できるはずだ…理論上は。」
「その…大丈夫なのか?その刀ってそうとうヤバイもんだったよな。」
「わ、分からん!けど、オルガマリーを救うにはこれくらいしか方法が思い付かなかったのだ!!王刀と誠刀を持っていれば大丈夫だと思うが、オルガマリー、どうする?」
「…やるわ。どっちにしろ、このままじゃ消えてしまうだけだしね。その二刀を持てばいいのね?」
「ああ、じゃあ始めるぞ。」
とがめは王刀と誠刀を持ったオルガマリーに毒刀を刺した。すると、オルガマリーの体が光り、毒刀の中に刀身に吸い込まれていった。
「…これは、見るのは心臓に悪いな…。これで大丈夫なのか?」
「…多分な。あとはオルガマリーの心次第だ。四季﨑の魂に呑み込まれなければよいが…」
『所長の処置は終わったんだね?じゃあ今から皆をレイシフトするよ!意識を強く保って、意思消失をしないようにね!』
そう言うと俺達の体が光り、消え始めた。
俺はただ検査を受けに来ただけだったのに面倒なことになったものだ。
魔術に英霊、果てにはこんなところで妹ととがめに会う。
そして、人類絶滅に、グランドオーダー。
俺には分からないことばっかりだが…
六華やとがめと一緒なら、俺は全てを守ってみせよう。
なぁ、虚刀流七代目当主【藤丸七花】
ここから、俺達の人理修復の旅が始まった。