神のみスピンアウト・魔法少女めがみ〜な   作:猿野ただすみ

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神のみ×魔法少女第三弾。
関西人ではないので、あの子の関西弁がおかしいのは、生暖かい目で見てください。


天装女神マジカルディアナ
女神1・ディアナ、舞嶋に立つ!


舞嶋市。その海岸寄りに位置する学校[舞嶋学園]、その高等部2ーAの教室。窓際にはひとりの少女が座っている。前髪で目が隠れがちの彼女の名は、鮎川天理という。

昼休み、食事を済ませてからずうっと気泡緩衝材、いわゆるプチプチを潰している彼女は、想像通りのコミュ障である。

そんな彼女にはひとつ、大きな秘密があった。

 

 (天理、プチプチを潰してばかりいないで、たまにはクラスメイトとお話でもしてみてはどうですか)

 

天理の心に直接響く声。しかし天理は微塵も驚きはしない。

これが天理の秘密。彼女の中にはもうひとり、別の存在がいるのだ。その名は ── 。

 

(そんなの、無理だよ。それに私には、ディアナがいるから)

 

心の中で答える天理。しかし天理の中の別の存在、ディアナの反応はイマイチである。

 

 (そう言っていただけるのは嬉しいですが、天理のそれは、ただの言い訳ですよね?)

(う…)

 

図星を突かれて二の句が継げない天理。

 

 (まあ、いつものことですが。しかしたまには勇気を出して…)

 

ディアナのお小言が続くかと思われた、その時。

 

「なんや、相変わらずぼっちしとるんか」

 

そう声をかける、ひとりの少女。

 

「あ、えと、榛原さん…」

「まったく、ひとり寂しくプチプチ潰して。ホンマ辛気くさいな」

 (!)

 

榛原というその少女の発言に、ディアナが反感する。そして。

 

「……でしたら、私と勝負しませんか?」

 

気がつけば天理の目つきが鋭くなり、頭上には天使のような輪っかが浮かんでいる。そう、天理とディアナが入れ替わっているのだ。最も榛原は、その変化に気づいていないみたいだが。

 

「うちと勝負やて?」

「はい。貴女が得意とする、将棋で」

「面白い! 受けて立つわ!」

 

こうして二人は、将棋で対決することとなったのだ。

 

 

 

 

 

「王手」

 

ディアナがパチリと駒を打つ。

 

「…………そんな。うちが…負けた?」

 

今まで負け知らずだった榛原、かなりのショックを受け、目に涙まで溜めている。

 

「~~~も、も一回勝負や!」

「え?」

 

これにはディアナも面食らった。と、ここで。

 

キーンコーンカーンコーン……

 

「予鈴が鳴りましたよ?」

「くぅっ…。ウチは諦めへんからな!」

 

そう言い捨てて、榛原は席へと戻っていった。

 

 

 

 

 

それからというもの。

 

「鮎川、勝負や!」

「あ、ええと、トイレに…」

 

「鮎川、勝負…」

「鮎川さんならもう帰ったよー」

 

「鮎…って、もうおらへん!?」

 

と。こうして、休憩時間や放課後の度に榛原から姿を眩ます生活が続く、天理である。

 

「……ふぅ。榛原さん、なかなか諦めてくれないなぁ」

 

昇降口を出た天理がぼそりと漏らす。

 

 (すみません、天理。少々懲らしめるための軽い気持ちだったのですが…)

「ううん。ディアナは私のために怒ってくれたんだもん。嬉しかったよ」

 

天理の優しい言葉に、ディアナはますます恐縮してしまう。と、その時。

 

 (! これは…!!)

「どうしたの、ディアナ?」

 (瘴気を感じます。しかも、天理の教室から)

「!」

 

ディアナの話を聞き、天理は教室へととって返す。駆けつけた天理が教室の扉を開けると、教室の中には澱んだ気配が充満し、まだ帰宅していなかった生徒達は気を失い倒れている。その中でひとり、立ちすくんでいたのは。

 

「榛原…さん?」

「……鮎川?」

 

うつろな目をした榛原だった。

 

(これ、榛原さんがやったの?)

 (……いえ。おそらくこの濃密な瘴気に当てられて気を失っただけでしょう。しかし、その出所は彼女のようですが)

(どういう、こと?)

 (彼女の心の隙間に古悪魔、ヴァイスが取り憑いているのでしょう。隙間の原因は、私なのでしょうね)

 

最後の部分に自責の念を込めながら、ディアナは言う。

 

「鮎川、なんで対局してくれへんのや。うち、負けっぱなしなんて嫌や」

(……ううん、ディアナだけじゃないよ。私も榛原さんと対局してあげれば、こんな事にはならなかったんだ)

 

自らも反省をし、榛原へと視線を向ける。

 

「……榛原さん、ごめんなさい。私、榛原さんの気持ち、考えてなかった」

 

天理は頭を下げ、そして続ける。

 

「でも、今の榛原さんとは、戦いたくない」

「鮎川!」

「だって、今の榛原さん、心が荒んでるから。そんなのじゃ、本当の勝負なんて、出来ないよ」

「!!」

 

榛原はハッとした表情を浮かべた。

 

「榛原さんは、将棋が好きなんだよね? だったら、そんな気持のままで、将棋を指したら駄目だよ」

 

天理はゆっくりと榛原に近付いていく。

 

「私は、誰かに勝ちたいとか思ったことないから、榛原さんの気持はわからないよ。でもそれが、好きだから勝ちたいんだって事くらいは、何となくだけどわかるんだ」

 

榛原の目の前まで近付いた天理は、彼女の手を取り言った。

 

「だから…、勝つことだけが目的で戦ったら、駄目だよ」

「鮎川…。うち…」

 

天理に言われて、本来の将棋に対する想いを忘れ、天理に勝つことに固執(こしゅう)していた自分に気づく。

 

「うちは将棋が好きで、誰にも負けとうない! この想いは今でも変わらん! ……けど、せやな。確かにただ勝ちゃいいワケやない。その対局がオモロなきゃ、イミ無いわ」

 

そしてフッと笑い。

 

「すまんな、鮎川。うち、負けたことで意固地になっとった。……けど、その上でもっ回対局してくれへんか?」

「うん」

 

 

 

 

 

天理との対局は、ディアナの時ほどの圧倒的な差はなかったものの、それでも天理の圧勝であった。

 

「くうぅっ、また負けた!」

 

榛原はいきり立つが、すぐに大きくひとつ息を吐く。

 

「……なあ、また暇なときに対局してくれへんか?」

「うん。いいよ、榛原さん」

「……七香や」

「ふぇ?」

 

天理は一瞬、何を言われたのかわからなかった。

 

「うちの事は、下の名前で呼んでほしいんよ」

「……うん。わかったよ。七香…さん」

「ありがとな、()()

 

少し照れながら榛原…七香の下の名を呼ぶ天理に、七香は笑顔で天理の下の名前を呼んだ。……次の瞬間。

 

おおおおお…

 

七香の中から何かが飛び出した。

 

「ええっ、なんやアレ!?」

「え、榛…七香さんにも見えるの?」

 (おそらく取り憑かれていた七香さんに起きた、一時的なものでしょう。あの古悪魔に、普通の人間が視認できるほどの力は戻ってませんから)

 

天理の疑問に答えるディアナ。

 

「何ぼさっとしてんのや!」

 

言って七香は天理の手を引っ張り立たせる。

 

「逃げんで!」

 

七香はそのまま天理の手を引き教室の入り口に向かうが、古悪魔の反応も早く、そのすぐ後ろまで迫っている。すると七香は天理を入り口へと押し出して扉を閉める。

 

「七香さん!?」

『天理は(はよ)逃げ! うわっ、何や!? く、纏わり付いて…』

「七香さん!」

 (まずいですね。中の様子は覗えませんが、おそらく、古悪魔が再び取り憑こうとしているのだと思います。ただ、七香さんの心の隙間は既に埋まっているので、取り憑けずにいるのでしょう。10年前の天理のように。……とはいえ、このままにする訳のもいきません)

 

ディアナの説明に、天理は更に落ち着きがなくなる。その気持を読み取ったディアナは言う。

 

 (私が古悪魔を退治します。私と代わってください。誤認識魔法と魔力で編んだ衣装で、正体を誤魔化しますから)

「ディアナ…。うん、お願い」

 

天理の返事を聞いたディアナは天理と入れ替わり、そして…。

 

 

 

 

 

「くぅっ、いい、加減、離れんかっ!」

 

七香が纏わり付く古悪魔を、なんとか引き剥がそうともがいていた、その時。扉の向こう側から不思議な気配 ── 七香は知らぬ事だが理力 ── を感じ 、古悪魔が反応して退(しりぞ)いた。

 

『……そこを、退()いてもらえませんか?』

 

扉の向こう側から聞こえた声に、七香は思わず飛び退()いた。

ガラリと扉を開け現れたのは、当然ながらディアナと入れ代わった天理。しかしその衣装は、大きな襟の付いた袖の無い服で、胸元の襟の合わせ目には拳大の、大きなハートの飾りが付いている。下はミニのフレアスカートで、膝上丈の黒いスパッツを履いていた。

 

「あ、あんたは…?」

「それは後です。今はあれをなんとかしなければ」

 

そう言ってディアナは古悪魔を睨みつける。古悪魔は最初怯んだが、自棄を起こしたようにディアナへと突っ込んでいく。そんな古悪魔をディアナはぶん殴った!

もちろんただ殴ったわけではなく、拳に理力を纏わせてだが。

バステが入った古悪魔が行動不能に陥ったのを見て、ディアナが次の行動に出た。左手を前に突き出すと一双の弓が現れる。その弦を引くと、青白い理力の矢が番えられた。ディアナは古悪魔に狙いを定め。

 

「ホーリィアロー!」

 

放たれた光の矢は見事に命中し、古悪魔を粉砕した。

 

「……あれ、一体何やったの」

 

しばしぼうっとしていた七香がポツリと呟くと、ディアナはそれに答えた。

 

「あれはあなたの心の隙間に取り憑いた、ヴァイスと呼ばれる悪魔の魂です。しかし退治したので、もう大丈夫ですよ」

 

ディアナは優しく微笑みを浮かべる。そして踵を返し立ち去ろうとして。

 

「待ちい。あんた、一体何モンや?」

 

七香が尋ねると、立ち去ろうとしたディアナは振り返り、一瞬思案する表情を浮かべた後、こう名乗った。

 

「そうですね。取りあえず私の事は、マジカルディアナとでも呼んでください」

 

と。今まさに、ひとりの魔法少女が誕生した瞬間だった。

 

 

 

 

 

教室出て扉を閉めると、ディアナはすぐに天理と入れ替わり、衣装も舞嶋学園のものに戻っている。その直後に再び扉が開き、七香が飛び出してきた。

 

「うわっと、天理!? 今、うちの前に出てきた子、いーひんかった?」

「ふぇ!? あ、もう、どこかに行っちゃった」

「そっかぁ。さすが魔法少女や」

「魔法少女!?」

 

七香のセリフに、天理は目を丸くした。

 

「あのバケモンからうちを、不思議な力で救ってくれたんよ。まさに魔法少女やろ?」

「え、えーと…」

「いやー、魔法少女なんてホンマにいるとは思わんかったわ」

「……」

 

コミュ障の天理には、もう何も言い返せなかった。

 

(ディアナ。どうしてマジカルディアナなんて名乗ったの? それにあの衣装も)

 (それこそ七香さんが仰ったとおりですよ。この国の創作物には魔法少女というものが存在するので、少しばかり参考にさせていただきました)

 

意外と強かなディアナである。しかし。

 

(ディアナ。どうなっても知らないよ?)

 (天理? それはどういう…)

 

ディアナ、将棋の先読みは出来ても、こういったことの影響を読むことは出来ないようであった。

 

 

 

 

 

月曜日。登校すると学校では、二つの話題で盛り上がっていた。ひとつは、陸上部の2年生女子が大会のハードル走で、ぶっちぎりの1位で優勝したということ。

そしてもうひとつは。

 

「ねーねー、聞いた? 魔法少女が現れて、なんかすっごい化け物を退治したんだってさ! 名前は確か、マジカルディアナ!」

「ふぇ!? あ、阿久根さん…」

 

噂話を披露するクラスメイトに、ドギマギしながら天理は応えた。

 

「なんや、麻衣。もう噂、聞きつけたんか」

「聞きつけたも何も、舞嶋学園じゃ中等部にまで噂が広まってるよ」

「そっか。ま、色んな人に話した甲斐があったな」

「な、七香さん!?」

 

そう。噂は広まるべくして広まったのだった。

 

 (て、天理、どうしましょう!?)

(……だから、どうなっても知らないって言ったのに)

 

こうなることを予想していた天理は、半ば諦めつつ小さく溜息を吐くのだった。




歩美「高原歩美と…」

ちひろ「小阪ちひろの…」

歩美・ちひろ「「あとがき代わりの座談会コーナー☆出張版!」」

ちひろ「……って、なんじゃこりゃああああ!」

歩美「今回はちひろに同意だわ。なんなのよ、これ」

ちひろ「ええと、作者からの資料によると、【めがみ~な】の前に考えてた魔法少女ものだってさ」

歩美「そういえば、前にも別の作品とか言ってたような、言ってなかったような」

ちひろ「取りあえず、物語の終わりの方に出ていた阿久根麻衣って名前は、過去の座談会で誰かが言ってたはず」

歩美「あ、その話か。でも何で急に?」

ちひろ「ちょい待ち。ええと、『何となく書きたくなったけど、別のシリーズ立ち上げるのはさすがにキツいので、読み切り形式でたまにこちらにUPする事にした』だって」

歩美「いや、それも充分にキツいと思うんだけど」

ちひろ「ま、気分の問題っしょ」

歩美「まあ、別にいいけどね。ところでこの話、【神のみ】とも【めがみ~な】とも違う所あるよね?」

ちひろ「うん。例えば[舞島]市じゃなくて[舞嶋]市とか、天理や七香が通ってるのが[美里東高校]じゃなくて[舞嶋学園]だとか。
因みに資料によると、[舞嶋]はちょっとしたオマージュで、【神のみ】のパイロット版【恋して!?神様】では[舞島]と書いて[まいしま]、【神のみ】では[まいじま]だったから、今回は読みは同じで漢字一文字違いの[舞嶋]にしたんだって」

歩美「てっきり何となく変えたとか、変換ミスしたのかと思ってた」

ちひろ「相変わらず作者にキツいなぁ」

歩美「でも、ちょっと待って。[舞嶋学園]が[舞島学園]に当たるなら、もしかして桂木やエリーも…」

ちひろ「……うん。桂木もいるって。ただ、桂木エルシィは()()いないみたいだけど」

歩美「なに? その微妙な言い回しは?」

ちひろ「七香から駆け魂が追い出されたあたりで、他の場所で何が起きてたかなんだけど」


映像再生



京「ええっ、捻挫!?」

歩美「何で…。大会は明日なのに…」

いづみ「なんか変じゃなかった? 今日のハードル」

京「そうよ!! あそこだけ台の間隔短かった!!」


場面転換



エルシィ「絶望的です~。大会で優勝してくれないと、私たち…」

桂馬「ケガ…、先輩…、ハードル…、応援…。
見えたぞ。エンディングが!!


再生終了



ちひろ「……てな事があったらしい。って、歩美?」

歩美「や、やめて。それ、私の黒歴史だから。
……でも、ということはこれって、原作で桂木が私の攻略を始めたのと同じくらいのタイミングなんだ」

ちひろ「みたいだねー。駆け魂センサーに引っかからなかったのは、エリーは地獄からやって来た日以外は、主にグラウンドの横に居ることが多かったからって事らしいよ。
因みに基本、私の攻略まではほぼ同じ展開らしいね」

歩美「……うん? どうしてちひろまで?」

ちひろ「なんか、この話がターニングポイントになるらしいよ。詳しくは知らんけど」

歩美「ふーん。ま、いいか」

ちひろ「そだね。で、資料によると、読み切り形式ゆえに重要な話以外は飛ばしていくから、いきなり魔法少女が増えてるかも、だってさ」

歩美「予防線張ったね。まあ、ただでさえ遅い更新速度だから、しょうがないのかも知んないけど」

ちひろ「本編そっちのけになるわけだからね。ま、完結できる保証も無いが」

歩美「この作者じゃね。……さて、次回はちゃんと【めがみ~な】の続きを書くと思います」

ちひろ「なんかまた、作者のオリキャラが出るみたいだし。しかも現在、別の作品でオリ主張ってるのが」

歩美「まあ、明らかに心のスキマがありそうなキャラだしね。というわけで」

歩美・ちひろ「「次回もまたみてくださいね!」」

???「フッフッフ…。我が活躍、刮目せよ!」

歩美・ちひろ「「オリキャラに乗っ取られたっ!?」」
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