神のみスピンアウト・魔法少女めがみ〜な   作:猿野ただすみ

17 / 19
ひと月以内に書き上がったぜい!


悪魔15・歩美と桂馬と女神の秘密

「おいこら。これはどういうことだ」

 

桂馬が文句混じりに尋ねるここは、桂木家のリビングである。

今日は月曜日。昨日家に戻ったえりから、最後の魔法少女が揃ったことは聞いていた。聞いてはいたのだが。

 

「どういうことだ…って、魔法少女が揃ったので、放課後に女神の皆さんから事情を聞く事になったんですよ~」

 

答えたのはえり…ではなく、エルシィ。そう、ここには変身前の魔法少女達とエルシィ、そしてハクアが揃っていた。

 

「そんな事はわかってる。ボクが聞きたいのは、どうしてこの家のリビングに集まってるのかって事だ!」

 

そう怒っている桂馬はそれでも、ゲームを操作する手を止めない。相も変わらず器用である。

 

「いや、だって、女神が秘密にしてることを一番聞きたがってたの、ゲーマーでしょ?」

「う…?」

 

歩美、勉強は苦手だが、こういう所は意外としっかりしていた。

 

「それで私が、お母さまにお願いしたんです」

「……ちょっと待て、えり。その話、初めて聞くんだが。まさか、エルシィみたいに言い忘れてたんじゃ…」

 

いつぞやの、ハクアに叱られるエルシィを思い浮かべながら言う桂馬。

 

「違いますよ~。にーさまには、敢えてお知らせしなかったんです。だって教えると、絶対に反対しますから」

 

さすがは兄妹、これくらいの反応は熟知していたらしい。

 

「く…、確かに…」

 

どうも今回は、桂馬がやり込められる展開が多いようだ。

 

「……わかった。文句を言うのはよそう。このルートを無理矢理進めると、最悪バッドエンドになりかねない」

 

確かにこのまま文句を言い続けた場合、必要な情報を聞きそびれてバッドエンドルートに移行する可能性は充分にあったのだ。しかし、未来を見通すことが出来ない歩美からすれば。

 

「またゲームかよ!」

 

である。

 

「歩美さん、何だかツッコミがちひろさんみたいですよ?」

「はうっ!? 昨日に続いてまた言われた…!」

 

……この世界の歩美は、ちひろみたいなのが何故そんなに嫌なのだろうか。作者にも謎である。

 

「ほらそこ、落ち込んでないで話を進めましょう。終わったら途中まで送ってあげるとはいえ、あまり遅くなったらマズいんでしょう?」

 

ハクアに言われ、確かにそのとおりと気合いを入れ直す歩美だった。

 

「それじゃあ女神達から話を聞く前に…、美代さんの様子はどう? 昨日は結局、あの後すぐに帰ることになっちゃったから…」

「……美代姉さまは憑きものが落ちた、って言うんでしょうか。随分とさっぱりとした顔をしておられました」

 

歩美の質問に答える結。それを聞いて、当事者だった者達は安堵の表情を浮かべた。

 

「でも、大倉正義さんからまたでぃーぶい受けたら…」

「それですが、大倉のおじ様は美代姉さまに対して、非常に怯えるようになりまして」

古悪魔(ヴァイス)のせいとはわかってても、美代に剣を向けられていた恐怖はトラウマとして残ったみたいね」

 

エルシィの疑問にも答え、ハクアが補足を入れる。因みにこの辺りの会話に関しては、桂馬は聞き流している。

 

「取りあえず現状は良かった、でいいのかな?

それじゃあそろそろ女神達から…」

「ちょっと待て。その前に、ボクとハクアとそいつとの自己紹介、それに今までエルシィや女神達から聞いた情報の共有が先だろ」

「あ…」

 

桂馬の指摘に、小さく声を漏らす歩美だった。

 

 

 

 

 

紹介と情報の共有が終わり、改めて女神達の事情を尋ねることになった。

魔法少女達(変身前)は、それぞれの女神達と繋がるアイテム(端末)をテーブルの上に乗せる。

歩美は星の飾りがついたゴムバンド、天理は星型のコンパクト、月夜は人形(ルナ)ごと星飾りの付いたヘッドドレス、栞は星型のペンダント、かのんは結び目に星の飾りがついた大きなリボン、そして結は星型の根付(ねつけ)を。

因みに[女神のオーブ]を使わない理由は、桂馬が「そっちの方が誰が発言したか、わかりやすいだろ」と言ったからだ。

 

「えっと、それじゃまずは…。確かゲーマーが、女神達は駆け魂が悪魔だって事を、どうして教えなかったのかって聞いてたんだっけ?」

「ほう。歩美にしてはよく憶えてたな」

「歩美って呼ぶな! それに私にしてはって、勉強が苦手なだけでそれほど言う!?」

 

確かに、歩美は勉強が苦手なだけで、記憶力に欠陥があるわけではない。未来の話になるが、ある人物が予想した英語のテストの問題を丸暗記して、100点を取ったこともあるくらいには記憶力はいい方なのだ。

 

「にーさま、訂正してください。歩美さんは記憶力が良い方ですよ。そりゃあ、異常な記憶力のにーさまや天理さんには遠く及びませんけど」

「ふぇっ!?」

 

いきなり自分の名前が挙がり、天理は驚く。

 

「……そうだな。勉強が苦手だからといって、記憶力が悪いと決めつけるのはよくないな。歩美、悪かった」

「え…、ゲーマーが普通に謝った?」

「ボクに非があれば、普通に謝るさ」

 

特に気にする様子もなく、さらりと返す桂馬。

 

「……えっと、ゲーマーのこと、少し見下してた。なんかごめん」

 

歩美も素直に謝った。

 

『……あの、そろそろよろしいでしょうか』

 

天理のコンパクトから、ディアナが声をかける。

 

「「あ」」

 

桂馬と歩美の声がハモり。

 

「悪い」

「ごめん!」

 

またもや謝る二人であった。

 

 

 

 

 

『では、改めまして。私達が駆け魂の正体を知っていた理由ですが、それは私達[ユピテルの姉妹]が、古悪魔達を旧地獄ごと封印したからです』

「え、ちょっと待ってよ! そんなの、魔学校でも習ってないわよ!?」

 

解説を始めたディアナに、ハクアが口を挟む。優等生であり、懸命に勉学に励んでいたハクアとしては、自分が聞き逃していた可能性など微塵も感じて無いのだ。

 

『詳しいことは私にはわかりませんが…、もしかしたら意図的に隠されているのかも知れません』

「な、そんな事…」

「あ、あの~」

 

ハクアが言い返そうとしたその時、えりが口を挟んできた。

 

「何よ、えり?」

「そ、その事なんですけど、ディアナさんが言われてること、多分正しいです」

 

そう言ってえりは、膝元に置いていたバッグからプリントを取り出し、みんなに手渡していく。

 

「……! えりさん、これ…」

 

プリントを見た栞が目を見開いている。

 

「栞さんは私よりも前に、これを読んでますよね。これは図書館で借りた、【舞島の神話・伝承】という本に載っていたお話のひとつです」

 

えりに言われて、みんながプリントに視線を移す。……が。

 

「す、すみません。私、漢字はまだ読めないんですけど…」

 

地獄の悪魔であるエルシィが言い。

 

『私達もまだ、人間の文字を読むことが出来ないのですが…』

 

ディアナも同調するように言った。

 

「仕方がない。ボクが読んでやるから、しっかり聞いてろ」

 

そう言って桂馬が、プリントの内容を読み上げる。

 

「【天女と破邪の槍】

 

それは江戸の中頃。此の地、此の島で、大きな戦禍があった。されどもそれは、人の起こした戦では無く、何処(いずこ)かから現れた万を超す悪鬼、邪鬼が起こしたものであった。

悪鬼どもはこう告げた。

 

『我らは地獄より来たる者。我らが望みは天上、人界を収める事なり』

 

と。

人々は此の世を護るため、武器を持ち、立ち向かった。しかし悪鬼どもの悪しき力は、人の身で立ち向かうには余りにも強大。人々は疲弊し、悪鬼どもに制圧されるのも、最早時間の問題かと思われた。

されどその苦境に、救いの手が差し伸べられる。天女がこの地に舞い降りたのだ。

天女は舞うが如く、悪鬼どもを討ち倒してゆく。やがて残されし、最後にして最凶の悪鬼を、天女は破邪の槍にて討ち滅ぼす。

かくして、天上と人の世は天女によって護られ、天女の闘う様から、此の地を「舞島」と称し、大きな岩へと姿を変えた槍を「一本岩」と呼ぶようになったという。

 

その内容を聞き、目を見開き驚くハクア。

 

 (これは以前、白鳥正太郎さんが言っていた舞島の伝承、その詳細な内容ですね)

 

ディアナは天理と正太郎、二階堂との会合で聞いた話を思い出した。

 

「ありがとうございます、にーさま。それで、この天女というのが女神さま達で、悪鬼がヴァイスではないかと思うんです」

「……今日ほどお前に感心したことはないぞ? よく調べたな、えり」

「に、にーさま!? い、いえ、私はただ、にーさまがよく言ってる、『まずは情報』を実践しただけで…!」

 

誉められなれてないえりは[兄からの賛辞]という最高の栄誉によって、顔を真っ赤にしてアタフタとしてしまう。

 

「……それで、えりが調べたこの情報、お前達とヴァイスの事で合ってるのか?」

 

まだブツブツと言っているえりに代わり、桂馬が尋ねる。

 

『はい。およそ300年前の、地獄での戦争。[アルマゲマキナ]と呼ばれたそれで、地獄は天界に応援を要請しました。それに名乗りを上げたのが、私達[ユピテルの姉妹]です。

私達はまず、人間界にまで進出した古悪魔達と戦い、地獄へと押し戻し、[グレダ東砦]と呼ばれる地にて、私達自身を人柱として旧地獄を封印したのです』

「……ねえ、人柱って何?」

 

聞き慣れない言葉を、桂馬に尋ねる歩美。

 

「人柱は神に捧げる生贄の一種だ。災害が起こる土地、あるいは起きて欲しくない場所に、生きたまま埋められたり沈められたりすることが多いな」

「え…」

 

思ってもみないことに、歩美は言葉を失った。

 

『過去の話だ。気にする必要はないよ』

「う、うん…」

 

メルクリウスに言われて頷きはするものの、歩美の心はモヤモヤとしたままだ。いや、ここに居るみんなが神妙な顔をしている。普段と変わらぬ受け答えをしていた、桂馬でさえ。

 

『……旧地獄を封印する結界をより強固にするために、結界の礎、……核と言った方がわかりやすいでしょうか。そうなることを選んだのです。

ですがメルが言ったとおり、気になさる必要はありません。これはあなた方から見れば遙か昔に、私達が自分の意思で決めたこと。今を生きるあなた方にとっては、歴史上の人物の生き死にと同じ様なものですから』

 

ディアナがそう諭した事で、歩美達も少しだけ気分が軽くなった。

 

「それでも、人が死ぬ展開は嫌いなんだよ…」

 

ただひとり、桂馬がぼそりと呟いたことに気づいたのは、隣に座っていたえりだけだったが。

 

「え、えーと、ディアナさん。それで、[最凶の悪鬼]とか[破邪の槍]っていうのは?」

 

取りあえず桂馬の気持ちを切り替えるため、えりは伝承に出てきた、まだ明かされていない語について尋ねた。……というかえりの頭脳では、咄嗟に出来る質問がそれくらいだっただけで、結果的に的確な質問になっただけである。

 

『……もう気づかれている方もいるとは思いますが、[最凶の悪鬼]は私達…と言うより、エルシィさんと魔法少女達が標的としている奪い魂、その生前の姿の事です。人間界に進出した古悪魔達の中でも強い力を持ち、最後まで抵抗した六人、その事で間違いないでしょう』

 

気づいていなかった方である、えり、歩美、エルシィがなるほどと頷いた。

 

『そして『破邪の槍』ですが、これは人間界と冥界との時空の(みち)を塞ぐための楔の事ですね。巨大な一枚岩に封印の術を纏わせ、空間ごと貫く形で突き立てたその姿が、古悪魔にとどめを刺す巨大な槍に見えたのだと思います』

 

今度はみんなが頷き、そしてエルシィがおや?という表情で尋ねる。

 

「あの~、それでは女神の皆さんは、どうやって地獄へ来たんですか? もしかして、他の道も知ってたとか…」

『い…』

『いや、人間界側の路は知らんかったぞよ? ただ、どーしても外側から術をかけなければならんかったからの。致し方なく、じゃ』

『な、アポロ姉さま!?』

『いやー、すまんのう。じゃが、ただ黙って聞いていても暇だったもんで、つい…』

 

反省しているようには聞こえない感じに謝るアポロ。更に。

 

『それで私達は一度天界に戻って、天界側からの路を通って冥界に向かったんだ』

『マルスまで!』

 

悪のりしたマルスが続きを答えてしまう。

 

「……それで、さっき言っていた封印を施したって訳か」

『桂木さん…』

 

ディアナは泣いていいかも知れない。

 

「それで? お前達がヴァイスの正体を知ってた理由はわかったけど、奪い魂が舞島にしかいないって理由は何故なんだ?」

『それは…』

 

先を進める桂馬に、気持ちを切り替えてディアナは答える。

 

『その六人の古悪魔が、私達が張った結界の影響で、この地に縛られているためです。

かの悪魔達は、封印の結界を張る間も最後まで抵抗し続けました。結果、結界の[封印]という特性が色濃く出てしまい、逃亡を果たした後も、[グレダ東砦]と時空を挟んで同じ位置にあるこの地を抜け出せずにいるわけです。あくまで偶然の産物ですが』

「なるほどね。つまりこの[舞島]という地そのものが、奪い魂にとっての結界みたいなモノって訳ね」

 

今まで黙っていたハクアが、歩美達にもわかりやすい様に言った。

 

『そういう事ですね。前にも申し上げたとおり、誰かに憑いている状態では通り抜けてしまいますが。

そしてこの結界の影響は、奪い魂だけではありません。私達女神の力を行使する、魔法少女にもあります。

六人の古悪魔達が[封印]の影響を受けた傍らには、当然私達の誰かが必ずいました。その為に、その古悪魔に対抗する者としての役割が付与されてしまったのです。自身の術の影響を、自身が受けてしまったということですね。その為に私達と対を成す魔法少女候補が、この地に居る者達から選ばれることとなったわけです』

「因果応報、だな」

『そういう事ですね』

 

ぼそりと言った桂馬に、苦笑いを浮かべているのだろう。そんなニュアンスが含まれた声でディアナは返した。

 

『そして、私達がこれらの事を黙っていた理由ですが…。あなた方が「ドクロウ室長」と呼ぶ人物から、ある事を伺ったからです』

「ドクロウ室長!?」

「ドクロウ室長が、何か言ってたんですか?」

 

ハクアとエルシィが驚き聞き返す。

 

『はい。……私達は気がつくと、現在はエルシィさんが持っている[女神のオーブ]の中で目覚めたのですが。

ドクロウさんは私達の安全を確保するためだと説明して、こう言いました。今回の駆け魂の大脱走の裏には、[正統悪魔社(ヴィンテージ)]という組織が関わっている、と』

「[正統悪魔社(ヴィンテージ)]ですって!?」

 

予想外のことに、ハクアの声が跳ね上がった。

 

「また新しい単語が出てきたな。ヴィンテージって何だ?」

 

いつも通りの桂馬に、少し落ち着いたハクアは説明する。

 

「[正統悪魔社(ヴィンテージ)]は旧地獄の復活を望む、地獄の違法団体の名前よ。……確かに、何が目的かはわからないけど、あいつらならこんなこと仕出かしてもおかしくないわ」

「……目的か。今わかってる範囲でなら、三つの可能性があるな」

「え?」

 

あっさりと述べる桂馬に、拍子抜けしたように短く声を上げるハクア。

 

「ひとつは、奪い魂。少なくとも女神に対抗していた存在だ。その大きな力が目当てだろうな。

ふたつ目が…」

『私達、[ユピテルの姉妹]ですね? 魔力と理力の違いはありますが、大きな力という意味では、私達もまた標的となり得ます』

 

桂馬は頷き、そして少し曇った表情を作り。

 

「そして最後の可能性は…、女神を抹殺すること」

 

桂馬の発言に、みんながハッとした表情になる。

 

「旧地獄の復活が目的なら、ハッキリ言って女神という存在が邪魔なはずだからな」

 

確かにそのとおりである。そもそも、[ユピテルの姉妹]が旧地獄を封印したのだ。放っておく手は無いだろう。

 

「……一応、聞くまでもないと思うけど。……やっぱりゲームの話?」

「答えるまでもないと思うが、そのとおりだ」

 

歩美の問いに、当然とばかりに答える桂馬。歩美はため息を吐き。

 

「結局ゲーム? ……って言いたいとこだけど」

「ん?」

「どうこう言っても、毎回桂木の言ってることが正しいんだよね」

 

えりが時々するような、少し諦めた様な表情で歩美がぼやく。

 

「……現実はゲームの劣化互換だが、互換性はある。なら、ゲームのパターンから推測しても問題はないだろ」

「いえ、にーさま。普通はありますよ!」

「桂木だから成立してるんだと思う」

 

妹と歩美に突っ込まれ、「そういうものか…?」とぼやき、首を捻る。

 

『ええと、話が少し逸れましたが、そういったわけで皆さんには黙っていたのです。私達自身が本来の力を取り戻していない以上、魔法少女の能力が全開になる前に私達のことが敵に知られる可能性を、極力減らしたかったもので』

『ディアナの補足をするなら、魔法少女として戦っている内はたとえ女神の名を冠していようとも、[正統悪魔社(ヴィンテージ)]も大きな動きはしないと践んでいたからな』

「それは何でだ?」

 

ディアナの話を継いだウルカヌスに桂馬が尋ねると。

 

『それは、ハクアと言う悪魔の方が理解しているのではないか?』

 

ウルカヌスはそう話を振った。ハクアは少し怒ったような、戸惑ったような、そんな複雑な表情で答える。

 

「……駆け魂隊の中に、[正統悪魔社(ヴィンテージ)]が紛れてるって言いたいのね?」

「ええっ!? 本当なの、ハクア!?」

 

ハクアの発言に驚きを隠せないエルシィ。

 

「……悔しいけど、それなら納得がいくのよ。どうして室長が極秘任務を、私とエルシィに任せたのか。それはおそらく、信用できるのが私達だけだったからよ。

きっと駆け魂隊だけでなく、他の魔学校の生徒も信用に足らなかったんでしょうね」

「そっか。私は長いこと室長のお世話になってるし、落ちこぼれの私にも、ハクアは優しくしてくれたもんね」

 

笑顔で言うエルシィに、恥ずかしそうに視線を外すハクア。

 

(まさにツンデレだな)

 

桂馬が内心でそんな事を思ってたりもするが。

 

「と、とにかく! もし駆け魂隊の中に[正統悪魔社(ヴィンテージ)]が紛れてるなら、油断がならないと同時にそれ自体が抑止力になるって事よ」

「普段は駆け魂隊として振る舞わなければならないから、確証が持てるまでは向こうも手出しが出来ない、って事だろ?」

「そういう事」

 

ハクアと桂馬の説明に、みんなが感心する。

 

「だから魔法少女関係の記憶は残されてるのに、エルシィに関しての記憶は消されてるのか。女神を封じてるオーブは、エルシィが持っているから」

「そうでしょうね。確証は無いけど」

 

まあ、ヒドい言い方をすれば、魔法少女が囮という事である。さすがに桂馬ですら、そこら辺は空気を読んで発言を控えているが。

 

『……何だか最後は、ハクアさんと桂木さんが殆ど答えてしまいましたね。

さて、私達が語ることはこれで全部です。……何か洩れがあるかも知れませんが、その時はまた改めて、ということでどうでしょうか?』

「ボクは別に構わない」

「私も構わないよ。みんなもそれでいい?」

 

歩美が尋ねると、みんなはこくりと頷いた。

 

 

 

 

 

「お持て成し出来なくてごめんなさいね」

「いえ、お気遣いなく」

 

玄関で見送る桂馬・えりの母、麻里にハクアが対応している中。

 

「……あの、高原さん」

「ん、天理?」

 

天理が歩美に声をかけた。

 

「どうしたの? 何か用?」

「あの、えっと…」

 

聞き返された天理は言いあぐね、そして。

 

「……ううん。やっぱりいい」

「?」

 

そう答えて話を切り上げる。歩美はハテナ顔だが。

 

(……高原さんは、気づいてないのかな。高原さんの、心の変化)

 

天理は心の中で、そう呟くのだった。




京「寺田京と…」

いづみ「石切いづみの…」

京・いづみ「あとがき代わりの座談会コーナー☆出張版!」

いづみ「……って早っ!」

京「しかも、今までで一番文字数が多いし」

いづみ「この作者にしては、随分頑張ったんじゃない?」

京「さすがに今回の説明回は、やる気が出てる今の内に書き上げたかったみたいだね」

いづみ「ああ、そういう…。それじゃあそんな今回の話を、早速語っていこう!」

京「えーっと、最初は…、桂木、怒ってるね」

いづみ「まあ、勝手に自分ち、説明会会場にされたらねー」

京「『勝手』じゃないんだけど、桂木的にはね」

いづみ「で、美代さんの近況…一日しか経ってなくても近況って言うのか知らんけど、まあ、その報告だ」

京「美代さんが『憑きものが落ちたよう』なのは、駆け魂が追い出されたからだけじゃなくて、結の反論も理由みたいだね。心のスキマは完全に塞がったわけじゃないけど、かなり小さくなってるらしいよ。それこそ、これから次第では自然に塞がるくらいには」

いづみ「取りあえず美代さんは、親元を離れた方がいいんじゃない?」

京「妹さんがいるから難しいんじゃないかな。さて次は…、桂木が謝ってるね」

いづみ「オタメガも謝るんだなー」

京「一応原作でも、謝るときは謝ってるよ。あまり無いだけで」

いづみ「確かに、直接じゃないけどちひろにも謝ってるし」

京「あれはまた、別のニュアンスを含んでるけどね。本編進まんとわからないけど」

いづみ「で、ようやく女神の話が始まったわけだ」

京「内容は原作にも出てた[アルマゲマキナ]で、それに今作のオリジナルを加えたものね。エリーの提示した話も、過去編で白鳥正太郎さんが話してた話を広げて、アレンジしたものだよ」

いづみ「そういや、ここでようやく【舞島の神話・伝承】が役に立ったんだ」

京「因みに栞がめがみ~なになる回の没ルートでは、栞がこの話を読んで女神と結びつけて、エリーに相談する展開だったみたい。前にも言ったとおり、話の展開が面倒くさいことになるから、現在の流れに変えたらしいけど」

いづみ「結果、原作より賢くなった人物がひとり、みたいな?」

京「まあ、バタフライエフェクトって事で。とにかく、これで奪い魂の正体(?)と一本岩の説明が済んで、更に奪い魂が、舞島にしかいない理由も明かされたわけだけど」

いづみ「ここで判明しちゃうんだ、[正統悪魔社(ヴィンテージ)]」

京「この作品を書く前の、プロトタイプの頃から絡んでくる予定だったからね。その頃はマイヤじゃなくて、フィオーレが登場予定だったらしいけど」

いづみ「ええと、プロセルピナの設定が変わって、その煽りを食ったんだっけか」

京「そうそう。まあそんなんで、みんな早々に[正統悪魔社(ヴィンテージ)]を知ることになった訳ね。お陰でハクアさん、将来余計な報告して捕まることも無くなったけど」

いづみ「さて、これで説明会は終わったんだけど。……最後の天理のモノローグは何だ?」

京「歩美の心の変化でしょ? それを臭わせる部分は、歩美のセリフをちゃんと読んでればわかるかな。どういう変化が起きたかは、今後って事で」

いづみ「りょーかい。じゃ、これで終わりって事でいいかな?」

京「ちょっと待って。少し宣伝。
作者さん、頑張って【ちいさなひみつのドクロウちゃん】の続き書き上げて、このあと公開するって。新キャラで魔法少女ベルと、前回の座談会☆NEXTで予告してた仮名[鈴印・コレクト]登場だそうです」

いづみ「仮名にする必要あるか? 英語を日本語に、日本語を英語にしてるだけじゃん」

京「バレバレでも正体隠すのは、一種の様式美だから。某異世界転生アニメのスピンオフに出てた、[ジャージの作業員]とか[青髪の作業員]みたいなもんだって作者さんも言ってるし」

いづみ「そういうノリか。まあいいけど」

京「それじゃあ今度こそお終いだね」

京・いづみ「それでは皆さん、次回も見てください」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。