神のみスピンアウト・魔法少女めがみ〜な   作:猿野ただすみ

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3話目投稿。桂馬がちょっとでしゃばってるかも。


悪魔3・プロセルピナとめがみ〜な

−−−おじいさまに会いたい。

−−−おじいさまと一緒にいたい。

−−−おじいさまのお手伝いがしたい。

−−−おじいさま。おじいさま。おじいさま。

−−−うららは、おじいさまのそばにいたい。だって、おじいさまはきっと…。

 

 

 

 

 

エルシィの残念さに気づいた天理。一方の桂馬も、エルシィについて何か気がついたようで。

「エルシィ。おまえ、何となく…」

「見つけましたわ、乱暴な子!!」

「「「!?」」」

 

桂馬の言葉を遮るように、突然かけられた声にそちらを見ると、うららがたくさんの着ぐるみを引き連れて立っていた。

 

「みんな、あの子を捕まえるのですわ!」

 

うららの号令のもと、着ぐるみたちが桂馬に群がる。

 

「おい、バカ、やめろ! まだセーブしてないんだぞ!!」

「桂馬くん!!」

「神さま!!」

 

着ぐるみたちはあっという間に桂馬を拘束した。

 

「では、撤退ですわー!」

 

楽しそうに笑ううららは、一体の着ぐるみに抱きかかえられながらその場を去っていった。

 

「……ど、どうしましょう〜!?」

「桂馬くん…」

 

途方にくれる二人。と、そのとき。

 

『エルシィさん、天理さんと話をさせてもらえませんか?』

 

女神の一人が声をかけてきた。

エルシィが慌てて取り出した「女神のオーブ」は、淡い光を放っている。

 

『初めまして、天理さん。私の名はディアナ。天界の住人です』

「天、界?」

『はい。所謂あなた方が言うところの、「神」と呼ばれる存在です。

……なのでエルシィさん。神を名乗る人間くらいで舞い上がらないでください』

「あわわっ! スミマセンでしたぁ!!」

 

どうやら先ほどのやりとりが、お気に召さなかったようだ。

 

『……まあ、いいでしょう。

さて、天理さん。あなたにお願いがあります。どうか、魔法少女になっていただけないでしょうか。そうすればあの少年を助けることも出来ます。

卑怯なやり方なのはわかっていますが、私にはあなたの力が必要なのです』

 

ディアナが懇願する。天理は少し考え込むようにしてから言った。

 

「桂馬くんを、助けられるの?」

「ええ。お約束します」

 

すると天理はしっかりと前を見て、彼女にしては力強い声で応えた。

 

「わかった。魔法少女になるよ!」

 

 

 

 

 

4年1組の教室の前。歩美たちは立ち往生していた。とは言っても先生に止められたからではない。教室のドアも窓も、見えない壁によって侵入を阻んでいるからだ。

教室の中には白い何かが充満していて、様子を伺い知ることは出来ない。

 

「にーさま、にーさま!」

 

えりが懸命に呼びかけるものの、中からの返答は一切ない。

 

カツッ、カツッ…

 

階段の方から、何か固いものを衝く音が聞こえてきた。

そして。姿を現したのは、不思議な男性だった。

背は高くすらりとした体型。細面で整った顔立ち。手には杖を持っている。しかし、年齢は不詳。年寄りにも見えれば青年にも見えるのだ。

 

「あれは白鳥家の…」

 

その場にいた教師の一人が呟いた。

その声に触発されたわけではないだろうが、男性は出来るだけのスピードでドアの前に駆け寄る。

 

「きゃあっ!」

 

そのときえりを突き飛ばすが、その事には目もくれない。

 

「うらら、大丈夫か、うらら!!」

 

男は見えない壁を叩きながら懸命に叫ぶ。

恐らくうららという子の家族なのだろう、という事はわかったけれど、ちひろはえりを突き飛ばして謝りもしないことに腹をたてた。そして男に、食ってかかろうとしたとき。

 

「ちょっとアナタ、それがいい大人のする態度!?」

 

藤村先生が吠えた。

 

「藤村先生! 相手は白鳥建設の会長ですよ!!」

「そんなの関係ありません! 間違いは正すものでしょう?」

 

他の教師が止めに入るが、藤村先生は聞く耳を持たない。

 

「何を…」

 

男、……白鳥会長は何か言い返そうとするが。

 

「アナタが身内の心配をする気持ちはわかります。だけど、子供を突き飛ばして詫びの一つもいれないのは、大人がとるのに相応しい態度と言えるのですか?」

「む…」

「それにアナタが突き飛ばした子も、このクラスに双子のお兄さんがいて心配しているんですよ。アナタだけが特別ではないんです!」

 

藤村先生がピシャリと言ってのける。

 

「……そうか」

 

白鳥会長はえりへと向き直り。

 

「すまなかったね。気が動転していたとはいえ、君を蔑ろにしてしまった。あの先生が言うとおり、大人として恥ずべき態度をとってしまった様だ。

心から謝る。すまない」

「あわわ、そんな、謝らなくてもいいですよぅ」

 

むしろ謝られているえりの方が畏まってしまう。そんな様子を見たちひろは、

 

(藤村先生スゲーっ!)

 

思わず藤村リスペクト。そんな気持ちを分かち合おうとするものの。

 

「あれ、歩美はどこ行った?」

 

気がつけば、歩美の姿はそこにはなかった。

 

 

 

 

 

歩美はこっそりと女子トイレへとやって来た。目的はもちろん。

 

「ここなら、変身してもバレないよね?」

 

そう、魔法少女に変身するためだ。

 

『誰かが入ってこなければ、大丈夫なんじゃないかな』

「ちょっと、不安になるようなこと言わないでよ!」

『気にするくらいなら、さっさと変身した方がいい。時間がたつほど危険度は上がるからね』

「もう、仕方ないなぁ」

 

さすがにもう、ぐずるのはやめて変身することに決めた歩美。

とは言っても長ったらしい呪文があるわけではない。歩美は、髪をくくるゴム紐についた星の飾りに手をあて、一言唱える。

 

「天装!」

 

すると歩美は光に包まれ、私服は魔法少女の衣装に変わり、肌は小麦色に、髪の毛は銀髪に変化した。この間僅かに0.3秒。まるで宇宙刑事の変身である。

これで何か決めポーズでもすればまさしくそれだが、周りに人がいないとはいえ、さすがにそんな勇気のない、と言うより、そんな勇気は持ちたくない歩美=[メルクリウス]だった。

 

 

 

 

 

再び4年1組の前。教師たちが中にはいる手段を講じている。しかし当然ながら、いい手だては浮かばない。そこへ。

 

「私に任せて!」

 

一人の少女が現れる。

 

「「あっ! メルクリウス(さん)!!」」

 

ちひろとえりの声がハモる。

 

「この現象は、ヴァイスって言う存在が女の人に取り憑いて引き起こしてるの」

「それじゃあ昨日、私に取り憑いてたのも…?」

「そう。それの、特に強いやつ。私はそれを追い出すためにやって来たの」

 

言って[メルクリウス]は見えない壁に手をつける。すると手は、その壁を簡単にすり抜けた。

 

「危険だから、みんなはここに…」

 

そこまで言ったとき。

 

ひゅん!

 

黒い影が走ったかと思った瞬間、ちひろとえり、それと教師たちが気を失った。

 

「な…」

「これは!?」

 

残された[メルクリウス]と白鳥会長が驚く中、少女の声が聞こえる。

 

「ごめんなさい。姿を見られたくなかったから…」

 

声のする方を見ると、セーラー服……舞島学園中等部の古いデザインの制服を着た少女が立っていた。

 

「……お姉さんは、誰?」

「……今はまだ、言えない。とりあえず、『プロセルピナ』って呼んで」

「君はまさか…」

 

白鳥会長はなにかに気がついたようだが、プロセルピナは自分の口に人差し指をあて、これ以上喋らないよう促した。

 

「それでプロセルピナさんは何の用があるの?」

 

[メルクリウス]は警戒しながら尋ねる。

 

「結界の中に、このお爺さんも連れていってあげて」

(えっ? お爺さんって歳だったの!?)

 

内心の動揺に気づきもせずに、プロセルピナは話を続ける。

 

「ヴァイスが取り憑いてる子はお爺さんのお孫さん、白鳥うらら。うららの心のスキマを埋めるためにも、お爺さんが一緒にいた方がいい」

(心のスキマを埋める…)

 

エルシィが、駆け魂と奪い魂の説明をしたときに出てきた言葉だ。

 

(この人が信用できるかはわかんない。……でも)

「わかった」

 

[メルクリウス]はうなずいて見せた。

 

「それじゃあお爺さん。……ええっと」

「白鳥正太郎です」

「じゃあ正太郎さん。私の手を握って」

 

そう言って差し出す右手を、白鳥会長、正太郎はしっかりと握る。

 

「……行くよ。せぇのっ!」

 

掛け声と共に、二人は教室の中へ消えていった。

あとに残ったプロセルピナが、ぽつりと呟く。

 

「あとはお願いね。()()()()()()()()

 

 

 

 

 

遊園地の中央にある、大きな噴水。その中心に建った大きな十字架に、桂馬はロープで縛られ磔にされていた。

うららはそんな桂馬を見上げ、ご満悦といった表情をしている。

 

「おい、うららだったか? おまえ、ボクをこんな目にあわせて楽しいのか?」

「ええ、楽しいですわ」

 

桂馬の問いにうららは答える。しかし、すぐに沈んだ表情に変わり。

 

「これでおじいさまがいてくれれば…」

 

うららが小さく呟く。

(……なるほど。うららがこんなことしてるのは、そのじいさんが理由か。ゲームだとこの場合…、いや、結論付けるには、まだデータが足りないか。

大体、現実がゲームどおりに行くわけないな。所詮は現実、ゲームに敵うはずがない)

 

桂木桂馬。後にゲーム世界に名を轟かせる「落とし神」としての片鱗はすでに顕れていた。

 

「神さまっ!!」

「桂馬くん!」

 

そこへエルシィと天理が現れた。ただし、天理はすでに魔法少女に変身している。

 

「あら、さっき乱暴な子と一緒にいたお姉さんと、もう一人は、どなたですの?」

 

衣装以外の見た目がほとんど変わっていない天理を、しかしうららは認識出来なかった。

 

「ふえっ!? あ、私は、えーと、魔法少女めがみ〜なのディアナ」

 

内気な天理=[ディアナ]は、なんとも締まりのない名乗りをあげた。

 

「ええと、け、桂馬くんを放してあげて」

「あら、なんだかうららが悪役みたいですわ。この子が先生の言いつけを守らないのが悪いんですのに」

「桂馬くんを放してくれないなら…!」

 

[ディアナ]は、理力の光で創られた弓に矢をつがえた状態で、うららに向けて構える。

ディアナから流れ込んだ知識では、この矢で射れば駆け魂を追い出すことが出来るらしい。

しかしうららは慌てずに。

 

「着ぐるみさんたち、うららを守るのですわっ!!」

 

着ぐるみたちがうららの前で壁を作る。駆け魂の影響で創られた着ぐるみならこの矢で倒せるかもしれないが、今の[ディアナ]が使える理力の量では数発が限界だ。

 

「あわわわ」

「どう、しよう…」

 

エルシィと[ディアナ]が攻めあぐねている。そんな二人に着ぐるみたちがジリジリとにじり寄り、エルシィと[ディアナ]は少しずつ後じさる。

 

「エルシィさん!」

「うらら!!」

 

そこへ、結界をすり抜けてきた[メルクリウス]たちがやって来た。

 

「あゆ、……メルクリウスさん!」

「おじい、さま…?」

 

エルシィは歓喜を、うららは驚きを称える。一方の[メルクリウス]も、

 

「あなたも魔法少女になったんだ…」

 

[ディアナ]を見て言った。

 

「おじいさま!!」

 

うららは正太郎のもとへ駆け寄ろうとする。が、あろうことか着ぐるみたちがその行く手を阻んでくる。

 

「な、どうして邪魔をするんですの!?」

 

今まで従えていた着ぐるみたちの離反に動揺するうらら。それを見て桂馬がエルシィたちに声をかけた。

 

「うららはじいさんが原因でこのセカイを創ったらしい。そして着ぐるみたちは、うららとじいさんを会わせたくないみたいだ。この情報で何かわかるか!?」

「!?」

 

−−−うららの心のスキマを埋めるためにも、お爺さんが一緒にいた方がいい…。

 

先ほどのプロセルピナの言葉が心に浮かぶ。

 

(もしかしたら…)

「うららは正太郎さんに会いたくて、心のスキマが出来たのかも。そして着ぐるみたちは、心のスキマが埋まってほしくない。それなら…」

「お二人を会わせてあげればいいんですね!」

 

[メルクリウス]の言葉を引き継ぎ、エルシィが結論付けた。

 

「正太郎さん、私たちが着ぐるみたちを何とかします。その間にうららさんのもとへ!」

「ええ、わかりました」

「それでいいよね。ええと…」

 

[メルクリウス]が言葉に詰まらせると。

 

「ディアナ、だよ。私も、それでいいと思う」

「オーケー!

エルシィさんは正太郎さんのサポートをお願い!」

「おまかせください!」

「じゃあいくよっ! せーのっ!!」

 

掛け声と共に[メルクリウス]が走り出し、[ディアナ]が弓を射る。先頭の着ぐるみは消滅し、その後ろにいた着ぐるみは[メルクリウス]の蹴りによって、やはり消滅する。

エルシィは正太郎に寄り添い、羽衣を展開して身を守りながら進んでいく。

 

「おい、うらら。じいさんに会いたいなら、ボクの言うとおりに動くんだ」

「え?」

 

ただのゲーム好きで乱暴な子だと思っていた桂馬が、正太郎に会わせてくれると言う。それは、うららにはとても信じられないことだった。

 

「本当に、会わせてくれますの?」

「ああ。ボクはただ、このクソゲーを早く終わらせたいだけだ」

「……わかった、信じますわ」

 

うららは幼いながらも、下手に綺麗事を言わない桂馬の事を、信用できると思ったのだ。

 

「よし、じゃあいくぞ」

「いつでもいいですわ」

 

桂馬が指示をだし、うららはそのとおりに行動する。それだけでうららは、着ぐるみたちをすり抜けながら進んでいった。

そして。

 

「うらら!」

「おじいさま!」

 

うららと正太郎が抱き合う。

 

「エルシィ! さっきの壁を二人に!! 」

「あっ、はい!!」

 

桂馬の指示で羽衣を展開する。これで着ぐるみたちに邪魔される事はない。

 

「うらら、どうしてこんなことを…」

「だっておじいさま、ずっと難しい顔をして…。でもうららじゃ、おじいさまのお手伝いは出来ませんわ。うららは、すぐには大人になれないから…。

だから変わりに、少しでもおじいさまに楽しんで、笑顔になってもらおうと思って…」

「それが、この遊園地…」

 

こくり、とうららが小さくうなずく。

 

(私は今まで何をしていたんだろう。

私はどれだけ思い出していただろうか…。こんなにも私を愛してくれている人を…。

ああ、そういう事だったのか…)

「うらら、ありがとう。うららの気持ちは十分伝わりましたよ」

「おじいさま」

「うらら。今度は二人で、本当の遊園地に遊びに行きましょう。よく遊び、よく学び、素晴らしい大人になるのです。

私も、うららと一緒に勉強します。

そして、白鳥の家を支えていきましょう。私とうららの二人で!!」

「おじいさま!!」

 

満面の笑顔となったうららが再び、正太郎に抱きついた。

 

シュボッ!

 

すると、うららの心のスキマが埋まり、駆け魂が飛び出した。だが。

 

「あわわぁっ!? まだ、勾留ビンの準備がぁ…!」

 

二人の様子に見入っていたエルシィが突然の事にあたふたする。

 

「……結束の矢(バインド・アロー)、シュート!!」

 

しかし、[ディアナ]がそのミスをカバーし、駆け魂を拘束して動きを止めた。

 

「エルシィさん!」

「はい! ありがとうございます、ディアナさん!!」

 

エルシィは勾留ビンを構え、駆け魂に向ける。すると、拘束された駆け魂は、抗うこともできずに勾留ビンに吸い込まれていく。

 

バンッ!

 

「駆け魂、勾留!」

 

駆け魂が勾留されると共に、うららのセカイは消滅されていく。それはもう、役目を終えたかの様であった。

 

 

 

 

 

その日の下校時間。歩美が校門の所までやって来ると、そこには桂木桂馬と鮎川天理の姿があった。

 

(桂木ゲーマー。……なんで?)

 

疑問に思いながらも通り過ぎようとする。ちなみにエルシィは今はいない。

 

「高原歩美。オマエがメルクリウスだったんだな」

「えっ!?」

 

歩美は立ち止まり、思わず桂馬の顔を見、さらには天理に視線を移すが、彼女は慌てて首を横にふる。

 

「さっきまでえりから、1組の前であったことを聞いてた。オマエが途中でいなくなったことも含めてな」

「なっ!」

「歩美は学年でも有名人だからな。一応覚えてはいた」

 

アンタには負けるわよ、と心の中で毒づく歩美。

 

「で、状況と性格の類似から判断して、歩美がメルクリウスだという答えになった。というか、その選択肢しか考えられなかった」

 

歩美は桂馬に対して畏れを抱く。

 

「ちなみにディアナは消去法で、天理しか考えられない」

 

名前を挙げられた瞬間にビクリとする天理。

 

「とまあ、こんなとこだが、なにか反論はあるか?」

 

桂馬の推理に溜め息を吐き、歩美は口を開く。

 

「ないわよ。てゆーか、それでどうする気なの!?」

「べつに。ボクはゲーマーとして、解けた謎が正しかったのかが気になっただけだ。オマエたちの邪魔をする気はないし、正体をバラす気もない」

 

「そう。……ねえ、こっちからも一つ質問、いい?」

「ボクに答えられることなら」

「ありがと。それじゃあ聞くけど、変身したときの天理ってどう映ってんの? 私には天理がコスプレしてるようにしか見えなかったけど」

「ふえぇっ!?」

 

あまりにもの言いように天理はパニックになるが、二人はそれを完全に無視する。

 

「そうだな。確かに見た目はそのままだったけど、それを天理として認識できない、って感じだな。正体に気づいてからは、普通に認識できたが」

「そうなんだ…」

 

実を言うとメルクリウスから、変身中は「誤認識魔法」がかかっているから、簡単に正体はばれないと言われていた。ただ歩美には、それが実感として持てなかったのだ。

 

「聞きたいことはそれだけか? だったらボクは帰らせてもらうぞ」

 

それだけ言うと、じゃあ、と一言付け加えて去っていった。

 

『なかなか面白い少年だね』

『気味が悪いの間違いではないですか?』

 

メルクリウスの言葉に突っ込むディアナ。

ちなみにディアナの変身アイテムは星形のコンパクトだ。

 

「桂馬くんは、いい人だよ」

 

天理のまさかの発言に、一同は言葉を失った。あのメルクリウスまで。

 

(もしかして天理って、ゲーマーのこと…)

 

「?」

 

思わず見つめる歩美に、天理は小首を傾げる。

 

(ま、いいか。誰が誰を好きになったって、そんなのは本人の自由だもんね)

「なんでもないよ。それよりも…」

 

歩美が右手を差し出す。

 

「……え?」

「巻き込まれたもの同士、お互いがんばろう」

 

歩美がにっこりと笑う。しばらく呆然としていた天理は小さく頷き。

 

「うん」

 

歩美の手を握り返した。

 

「……まあ、巻き込まれる子は、もっと増えるんだけどね」

「え…」

 

疲れた声で言う歩美。天理の頬を、大粒の汗が一筋流れるのだった。




プロセルピナはあの人であって、あの人ではない、です。
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