直感少年リチカルみりお 作:たなし
今生に生まれ変わってしまった俺だが不気味ではあるが何とか生活を送れている。
俺が目を覚ましたのは高層マンションの一室らしかった。
高所恐怖症の気がある俺からすると幾分か目眩を覚える高さをベランダから確認したから間違いない。
眼下に見える景色の高さには勿論、周囲の風景にも全く見覚えがなく改めて遠い場所に来てしまったのだと思ったものだ。
生まれ変わってしまったものは仕方ない。
現代っ子らしくドライというか他人への関心が薄いことは自覚していたもののもう会えないであろう友人や両親、家族にもその程度の寂しさしか抱けないのかと自分で驚く。
誕生日にはプレゼントをもらったり頻度は多くないが連休には旅行へ行ったりといい両親・友人だったのだが。
碌でもない、冷たい自分の本性に両親への申し訳無さを覚えながら家探し。
分かったことは、この部屋が購入されたものであること。
後は今の俺の戸籍情報。
現在地が海鳴という土地であり、何故か年代で言えば遡っていること。
貯金額位だった。
年代が遡ってるのはどうにもならないしほっとくとして。
俺の置かれている状況が気味悪過ぎて生活を送れている今でも偶に大丈夫か不安になる。
家探しをして情報が揃い考察をしてからまずしたのが両親への連絡だ。
そう、両親の携帯の番号へ家電から掛けたのだが。
繋がらない。
話中でもなく、着信拒否でもなく、使用されてない訳でもなく繋がらないのだ。
正しくは着信して電話に出た音が聞こえるのだが小さく人混みみたいな音しかせずに相手と思われる音が一切してこない。
ちなみに母親の方は車らしき音、父親の方は電車っぽい音がする。
更に意味不明なのがこの身体に付いているとしか思えない直感が不気味な両親への連絡を別に問題なく感じている所。
明らかに怪しくて俺は実感としても知識としてもどんなものかは知らないが、ヤのつく自由業とかスパイとかいった方面のやばい両親なのかと疑っていた。
だがそんなわきゃない。
だとしたら怪しさがガバガバすぎる、もっと代理人用意するとかうまいこと隠蔽でもするでしょ。
俺の直感もそうだと言ってる気がする。
さて。
ナチュラルに俺は直感を滅茶苦茶信用している。
普通に考えれば頭のおかしい奴だ。
それはそうだろう。
自分が小さくなって見知らぬ所にいる原因とか、如何にも不気味な両親すらこんな気がするってだけでじゃあいいやとしているのはおおよそ正気の沙汰ではない。
有り得ない直感への信頼には一応理由がある。
一つは凄まじいまでの自然な感覚。
例えばカジノのルーレットで赤か黒どちらかに掛けるとする。
どっちにするかなんてのは大体勘だと思う。
ようは赤な気がするから赤とか、或いは前に赤が出たから次は黒でとか。
これが今の俺に掛かると即決で赤、或いは黒と決められる。
気がするだとか曖昧でもなく、自分の勘を疑いもなく信じるとかでなくそうだからとしか言えないものだと思う。
何でと言われたらだっとそうだしとしか言えない。
テストで勉強せずに答えだけ知っている状態ってのが近いかもしれない。
勉強してないから途中式とかは分からないけど答えは分かるみたいな。
超能力じみた能力が備わった俺は、コインの裏表を50回連続で当てた時点で信じ今後の目標を立てた。
両親は戸籍情報的には存在しているが会うことはないっぽいので一人で生きていかなければならない、正直意味が分からないが別にいいだろう、どうしようもないとも言う。
貯金は異常な贅沢をしなければ高校卒業までは問題ないらしい。
一通りの家電に、子供服だけは揃っている。
つまり衣食住の食以外は揃っている訳だ。
だがこれもそう困ったことはない。
戦後まもなくでもなし払うものがあれば食えていける、金の力は偉大である、あと日本の豊食っぷりも素晴らしい。
ど田舎ではないので和洋中大抵は出前の圏内であるのでメモで面と向かわずやり取りも出来るし。
ネット通販でも買い物が出来る。
しいて言えば車もない、身体も小さいこの身体ではスーパーでは少しの買い物しかできないのが不便か。
あまり買うと持ち帰ることができなくなる、体力的な意味で。
そんなこんなで割と快適な二度目の人生を楽しんでいる俺である。