5月は予定が安定して来たので、少し投稿頻度が上がると思います。
その日の朝は寝坊してしまった。目覚ましをかけるのを忘れ、気づけばとんでもない時間になっていた。
また、家には誰もおらずキッチンには、ラップが掛けられた味噌汁だけが申し訳程度にあっただけだった。
ぬぅぅ、俺の母さんは、育児放棄をしたいのかいまいち、分からん。
おじいちゃんは…朝の散歩か、玄関に杖がねぇや、ほんと健康志向が高いことで。
レンチンしている暇はないので冷え切った味噌汁を一気飲みし、全速力で学校に向かった。
そう、この日だ。全部ぶっ壊れたのは。
教室に入るといつもと雰囲気が違った。
普段も騒がしい教室が何故か、より一層騒がしさを増していた。おさまる気配は一向になかった。
また、もうすぐ始業のチャイムが鳴るというのに席がまばらに空いている。
ここ最近学校に来ていない奴なんていなかったのにな。どうしたんだろうか。
それにヨコピーもいない。サボりか?
キーンコーンカーンコーン
おかしい、チャイム鳴ってんのに担任が来てないなんて、いつもなら5分前に来て着席しろだの怒鳴ってるはずなのに。
そう考えていた、直後。担任が息を上げドアを乱暴に開け教室に入って来た。
「お前らッ クラス全員ちゃんと揃ってるかッ」
担任は必死の形相で俺たちに向かって怒鳴る。その声で、今まで騒がしかった教室は一気にシーンと静まり返り、誰かがその問いに答えた。
「先生ェ、まだ全員揃ってませーん。えーと、後、緊急の全校集会って何ですかぁ?」
それを聞いた瞬間担任は、ヘナヘナとその場に座り込んでしまった。
「だ、誰か休んだ奴らから、連絡受けてないか、おいッ」
「特に…受けてないです。ねぇみんな。」
「と、とにかくお前らは体育館に行け、とりあえずそこでみんなに話しがある。」
担任はようやく立ち上がり、俺達を体育館に移動させた。体育館に集まった生徒達も何も知らされていないのかガヤガヤしていた。
「えー皆さん、静かに。今から緊急の全校集会を始めます。」
禿髪の校長が壇上に上がり、少し震えた声でこう言った。
「みなさんにはとても残念で悲しい出来事をお伝えせねばなりません。…昨日本校の生徒20人が何者かによって殺されました。」
え、殺された?
「今、確認を行っていますが、今この体育館にいない生徒が被害に遭ったと思われます。」
校長の震えていた声は少しずつ、涙声に変わっていき、現時点で死んだと判明している生徒達を読み上げた。
「現在分かっている、生徒達の名前を読み上げたいと…ぐっ 思い…ます。3年1組 今井さん………岩倉君……」
次々と読み上げられる名前に生徒達は少しずつ状況が分かり始めて来た。これは、嘘じゃない。本当に起きたんだ、殺されたんだと。
そして、
「横井君 …」
俺の親友の名が呼ばれた…
もうそこから俺には、校長の言っている言葉は入ってこなかった。
その後はとんでもなかった。
ショックで倒れる奴、必死になって名前の呼ばれた生徒に電話をかける奴。また、体育館を飛び出してそいつらの家に行こうとした奴もいた。しまいには、警察や救急車が来るまでの大混乱に陥った。
しばらくして、被害に遭った生徒の家への個人的な連絡は厳禁とされ、警察が周辺をパトロールしているので速やかに下校するように通達された。
ペダルを漕ぐ足が重い
あの後俺は、何度も担任に確認した。本当にヨコピーなんですか?たまたま、今日休んでいるだけなんじゃないのか?。間違いなんじゃないのかと、
でも担任は首を横に振るだけだった。
俺は少し、寄り道をしようとした。
本当はヨコピーの家に行って本当のことを確かめたかった。
だが、ヨコピーの家は行けない、いや、行くことができない。ヨコピーを含め家族全員が殺されたらしい。
この情報は担任が俺だけに教えてくれた。
お前の気持ちはよく分かる。だから現場に行ってこれ以上お前の傷口を広げるな と念を押されて。
まだ日も出ている4時頃、俺は公園に来ていた。
普段ならこの時間帯は、遊びに来ている子ども達やそれを見守る家族などがぼちぼちいるのだが、今日は学校話された事件のせいか人っ子1人いない。
あいつと俺は小、中からの腐れ縁で2人で色々な事をした。バカやったり、遊んだり、中でもこの公園に来て遊んだ記憶は鮮明に残ってる。
なんで、お前なんだよ。ヨコピー。
お前が殺された事は俺がどうとできた問題じゃない。でも、俺は、
あいつに対して何もできなかった。
さよならすら言えなかった。
その事実が罪悪感となり、俺を支配していた。
俺は近くのベンチに座り頭を抱えていた。
ふと、
ガサッと後ろの方で何か音が聞こえた。
ヤバイ、警察か?
補導されるかもしれない。そう思ったのもつかの間振り返るとそこには、俺の知っている人物がいた。
「佐渡…さん?」
振り返るとそこには親友からの惚気を聞かされる時毎回出て来ていた女がいた。
ヨコピーが愛していた彼女の佐渡響子。そいつが俺の後ろに立っていた。
俺は急に現れた親友の彼女にしばらく、思考が停止してしまったが、彼女が無表情でこちらを見つめているのに気づき声をかけた。
「さ、佐渡さん。どうしたの?今日は速やかに下校のはずだったけど、こんな所で寄り道食ってちゃダメだよ。」
自分のことを棚に上げてこんな事を言ってしまったが、彼女がここにいるという事は少なくともヨコピーに関係する事でいるのだろう。
だが彼女は俺が言葉をかけたすぐ後に、俺から体を背けその場を駆け足で去ろうとした。
「ちょっ、ちょっと待って!一人じゃ危ないよ!それにここに来たのって、ヨコピーのことなんでしょ?」
それでも、彼女は足を止めない。
「さ、佐渡さん!」
俺は引き止めようとした、単に彼女に漬け込みたいだからとか、よく思われようだとかそんな事を思ったわけじゃない。
気づいたのはほんの数秒前だった。
彼女はいつもの彼女じゃない。おかしいと思ったからだ。
確認しようとして手を伸ばした
瞬間
ガァァァァウッッ
獣のような咆哮と同時に黒い影が俺を弾き飛ばした。
バゴォッ
近くの木に俺の体が叩きつけられる。
「グハァッ」
肺の中の空気が吐き出され、息ができなかった。俺は一瞬何が起きたのかわからなかった。また、あまりの衝撃に意識が飛びそうだった。
それでも歯を食いしばり、必死になって目の前を見ると、そこには俺を突き飛ばした黒い影がこちらを見据えていた。だんだん朦朧としていた視界がはっきりして来るとそこにいたのは、
ゴリラのようながっしりとした体を持ち、
鋭く研ぎ澄まされた爪がギラギラ光らせた、
狼人間が俺のことを見つめていた。
俺は何とか必死に立ち上がろうとするが足に力が入らない。
クソッ、膝が笑ってやがる。
狼人間が動く。
そいつは俺のことを一瞥すると、佐渡さんがいた方向に一気に駆け出した。
た、助かったのか?
これ以上追い打ちを食らわなかったことへの安堵感が押し寄せる。だがその気持ちは、すぐに失せ、逆に次々と溢れてくる疑問が俺を支配した。
あれは、あの狼人間は何だ?
何で俺のことを見逃した?
一連の事件の関係者か?そう考え無い方が不自然だ。
後、いつの間に佐渡さんは居なくなったんだ?あの化け物にぶん殴られた後から見てねぇ。
それに、一番の疑問は彼女だ。なぜなら、彼女はここに居るのはおかしい…だって彼女は…
今日学校に来てないのだから
「何だよ、また除け者かよ…痛ッ クッソォふざけんなよ 」
何が起きてるかわからない、だがこのまま、のこのこ家に帰るわけにはいかない。
もうハブられるのは勘弁だ
俺はまだ痛む体を必死に動かし、自転車に乗る。そして、アイツらの走って言った方向へ漕ぎ出した。
俺はあの時、佐渡響子を怪しいと思った。
その訳は、
今日、彼女は学校に来ていなかった。
被害者として名前は呼ばれなかったものの、警察には行方不明者として扱われていた。
そして、昨日はヨコピーとあっている。
事件への関連性が非常に高い。
そして、あの狼人間。
今も何が何だかよくわからないが、少し考えれば容易に想像できる。
あの化け物が人を殺す姿を… 昨日起きた大量殺人絶対に関係があるはずだ。
そんな考えをよぎらせて自転車を漕ぐ。
先程木に激突したせいか、身体中が痛むが、
ここで追うのを諦めたら、何もかもわからずじまいで終わってしまう。
そんなのは嫌だ。
俺は、必死に奴らを追いかけた。
しばらくすると、道が狭くなり山道に入った。自転車で進むには厳しいと判断した俺は、道の横に自転車を置き、走って奴らを追いかけた。
だが、速度が遅くなったため、すぐに狼人間の姿を見失ってしまい。日も沈んできた。
それでも諦めずに俺は山道を歩く。
すると、道端に誰かが倒れている。
よく見ると…女? いや、アレは …
「さ、佐渡さん⁉︎ 大丈夫ッ?」
探していた人が頭から血を流し倒れていた。
ギィィィィィィ
俺は山道から近い、廃工場の重い鉄格子の扉を開けた。
公園から数キロ離れた所に、この廃工場はある。現在は立ち入り禁止の場所だ。
俺はここに佐渡響子を負ぶさってやってきた。
何故こんな事になってしまったのか、自分でもおかしいと思ってる。
彼女は気絶しており、俺は少し前、大人を呼ぼうとした。
そう、助けを呼ぼうとしたんだ。だが、唯一の連絡手段であるケータイをポケットから取り出したとき、頭の中が真っ白になった。
出てきたのは、真っ二つに折れたガラクタだった。多分、あの狼人間にぶっ飛ばされたときに壊れたんだろう。
町に降りようも、この山道から町に降りるには相当時間がかかる。もし、移動していた最中にあの狼人間に見つかってしまったら、次も見逃される保証はない。最悪の場合2人とも殺される。
更に運が悪いことに急には雨が降り始めてきた。そのため、とりあえず雨風がしのげる場所に来たかったのだ。
ザァァァァ と雨がトタンの屋根を鳴らす。
今日は散々な目にあうな。
朝登校したら、いきなり親友が殺されたって言われて、狼みたいな化け物にいきなり突き飛ばされて殺されかけそうになり、親友の彼女が倒れてて助けようとしたらこのザマだ。
「クッソォ 一体全体何なんだよ。」
そんな声が漏れてしまった。
するとその言葉に、反応したのか彼女の瞼がピクッと動いた。しばらくすると意識が覚醒し始めてきたのだろうか、目を開け起き上がった。
俺は彼女の心配をするよりも先に。彼女の両肩をつかみ、思いっきり問いただした。彼女には聞きたいことがたくさんある。
「佐渡さん、佐渡さんッ 貴方が知ってる事なら何でもいい教えてくれッ 」
彼女はこちらから視線を外さない。それは話を聞こうとしているような目ではなく。何かひどく無機質な目をしていた。しかし、疑問が多すぎて興奮していた俺はその事に気付くことはできなかった。
「ヨコピーと昨日どうしてたのか?あの化け物は何なのか?何で君はあの時すぐ逃げてここの山道にいたん…」
彼女に疑問をぶつけていく。それは俺の自己満足だったんだろう。俺の知らないとこで訳のわからない事が起きてる。その事実とそれを理解できない俺自身の怒りをぶつけていたのかもしれない。
だけど、事実は俺が考えていたことよりも複雑で残酷なものだったんだ。
疑問という名の怒りの言葉をぶつける俺、
だが、その言葉は彼女には届いてはいなかった。何の反応もない彼女に少し憤りを感じた彼女に詰め寄った。
「佐渡さん! 答えてくれェッ」
彼女は少しうつむき、そして、こう言った。
「アアウゥゥゥ イエ゛エ゛ェェェェ」
出された声は女の人の声ではなかった。
どちらかといえば、そう、あの狼人間の咆哮に似ていた。
瞬間、彼女の腕の部分が見えなくなった。
そして
ザシュッという音と共に、俺の肩が切り裂かれた。
雨の中、廃工場の敷地を走る。切り裂かれた肩を抑え、痛む身体に鞭打って必死に走る。
恐怖 恐怖 ッ 恐怖!!
逃げろ 逃げろッ 逃げろ!!
その感情だけが俺を突き動かしていた。
あの瞬間
彼女の両腕が鋭いヘラのように変わった。それと同時に、意味のわからない叫び声をあげて俺を切りつけた。
思考が止まった。
思考が回復した時にはもう走っていた。
彼女は奇声をあげながら俺を追いかけてくる。その速度は尋常ではなく、どんどん距離が縮まる。
俺は走る事に夢中で周りが見えていなかった。ちょうど、コンクリと土の境目に足を引っ掛け、派手にすっ転んでしまった。
起き上がり、また走ろうとする。が、
目の前には彼女がいた。
「カチカチカチカチカチカチカチカチカチ」
歯と歯をしきりに鳴らしてこちらを伺ってくる。その目に光はない。
考えられない、もう何もかも。
ただし、確実に予想できることはあった。
このままでは殺される。
死にたくない。
そんな思いも虚しく、彼女は手を振りかざす。
*内容を整理、編集いたしました。
お目汚しありがとうございました。
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