月狼記-ゲツロウキ-   作:ぱすえ

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ご無沙汰しております!!
仕事の方もある程度かたがついたので、月2の更新ペースに戻していきたいと思っております。

ちょっと今回の話は主人公は出番ないかなぁ?



邂逅の日

 

 

 

 

 

事件が起きた日の真夜中

 

町から少し離れたところに、小高い丘があった。その周りは木に囲まれてはおり、小さな森が形成されていた。

 

そして、そこにはショッピングモールで人々を襲った化け物の姿があった。

 

「アアウゥ イアアオウエェェェェェ」

 

森の中に不気味な声がこだまする。

 

その声に反応するかのように、ガサガサッと茂みが揺れ、赤い頭巾を被った少女が現れる。

 

「あら、 手酷くやられたものね。まぁ、結果は見えていたのだけどね。」

 

赤頭巾の少女の目の前には、傷だらけの化け物が横たわっていた。化け物は重症なようで、体の骨格はひしゃげ、右足以外の四肢が切断されていた。

 

「アウエエェ アアウゥ」

 

化け物はそう叫ぶと、芋虫のように体をくねらせる。何とか、その少女に近づこうとしているのであろう。

 

「ふふっ 助けてですか。ダメですよ〜。一度パンを口にしたらパンが戻ってこないのと同じで、あなたの体は元には戻りません。

そ・れ・に あなたはもう用済みです。」

 

少女は化け物を冷たくあしらい、ニッコリと微笑みかける。

 

手にワイングラスを持って

 

「狼さんの牙と爪で切り裂かれた傷は何故か治らないんですよね〜。 痛いですよね。苦しいですよね。

…じゃあ、綺麗なお花になっちゃいましょうか!」

 

そう言い放ち化け物にワインボトルの中身をぶちまける。そして、少女の両腕が鋭い刃に変わる。

 

「せーの!ばーん♪」

 

その掛け声とともに、両手を交差させ思い切り引き切る。シャァッ という金属音ともに火花が散り、それが化け物に引火する。

 

 

「アァァァァアァァァァアァァァァア」

 

炎は一気に燃え広がり化け物を包む。そして、瞬間 パァァンという乾いた音ともに爆ぜた。

 

少女はそれ見ながら自身の腕を元の可愛らしい手に戻していく。

 

「かわいそうなお婆さんたち〜。狼さんにまた食べられちゃった♪ キヒヒッ 」

 

そして、少女は闇の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝:未明

 

 

 

チチチチチッと目覚ましが鳴る。

うるさいなと思いながらも、私、新庄加耶は体を起こす。

 

 

「あ、家に着いたんだっけ?」

 

ちょっと寝ぼけ気味にぼやく。

 

うっすらと目を開けると、見覚えのある天井と障子窓が見えた。障子窓は少し空いており、そこから、神社の境内と鳥居が見える。

 

そう、ここは新庄家ではあるのだが、

またの名を小宮神社という。ここは、今、兄さんと私で経営している神社の名前だ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ここで、少し昔話をしよう。

 

前の話にも出た通り、兄さんと私はお父さんとお母さんがいない。その時、警察学校内定済みの兄さんが、「加耶の面倒は俺が見る。」と親戚に意見を押し通した。

 

何故こんな事をいったのか?それにはこんな背景があった。

 

親戚陣は、私達2人よりも、両親の遺産相続の事でかなり揉めていた。と言うよりも、9割方その方向の話しかしていなかった。

 

ー 加耶か忠のどちらかを養子に迎えれば、遺産相続権が手に入るッー

 

そう考えた親戚一同はまだ幼い私を標的にして取り合った。

 

その事をいち早く察していた兄さんは、私を守るため、親戚陣と泥沼の戦いの啖呵を切った。

 

 

しかし、親戚陣だって黙ってはいない。

事の終盤。話が私の面倒は兄さんが見るということでまとまりかけていた時、

 

兄さんの突かれてはならない、隠し通していた点を言及されちゃったのである。

 

それは、警察学校のシステムについてだった。

警察学校というものは入校すると基本、土日しか家に帰れず、また、入校から約1ヶ月間と試験期間は学校から出られない。いわば、缶詰状態になる。

 

この間、誰が私の面倒を見るのか?

ここを突かれたのだ。

 

痛いとこを見る突かれた兄さんだったがそれでも引き下がらない。

しまいには、暴力沙汰になりかけた。

 

結局、結論として出たのは、

兄さんが学校を卒業するまでの間は、親戚が軽営している小宮神社という神社で、私の面倒を見るというものだった。

 

それでも、兄さん腹食い下がらない。

 

仕方なしに、親戚はこう付け加えた。

警察学校を首席で卒業したら、神社ごと妹を任せる。もう我々は関与しないと約束した。

 

…今、この私達が親戚の干渉なく、2人で神社に住んでいる事を見れば、事の結末は分かるだろう。

 

そう、兄さんは警察学校をぶっちぎりのトップで卒業したのだ。

 

兄さんは私を守ってくれた。

兄さんが、学校を首席で卒業して、真っ先に私を迎えに来てくれたあの日。

 

すごく嬉しかった。元々、兄さんの事は好きだったけど、この件を経てもっともっと好きになった。

 

でも、

それから私達の関係がギクシャクし始めちゃったのは、また別の話。

 

閑話休題

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ふわぁああ」

 

私の口から大きなあくびが出る。気持ちの良い布団の上からは中々出られない。

 

私は布団の上でゴロゴロしながらふと思い出した。

あーそうか。私帰りの車の中で寝ちゃったんだ。兄さんに甘えて泣きじゃくった後、久しぶりに兄さんの車に乗って家まで帰ってきたんだ。

 

そこまで思い出した時、私は少し違和感を感じた。

 

あれ?私いつのまにパジャマに着替えたっけ?

 

よくよく、考えると何か胸のあたりと股関節部分がスースーする。

おかしいなと思いながら私はパジャマを脱ぐ。

 

ん?ブラしてないなぁ。まー暑い時は取っちゃってること多いし…

 

そしてズボンを脱ぎ…私はフリーズした。

 

 

 

 

 

ドタドタッ バッカァァァン

 

 

 

 

私は怒りに任せ居間のドアを蹴り飛ばす。

少々足の指が痛むがそんなことはこの際どーでも良い。

居間の奥には私に朝一番に屈辱を与えた犯人がいた。今日は機嫌がいいのか、朝食を作っている。私の顔を見るなり、アイツは笑顔になり、声をかけて来た。

 

 

「加耶。おはよ 「黙れェェェェッ このド腐れ変態ッ そこに直れッッ」」

 

私の怒鳴り声にアイツ…私の兄、新庄 忠は泣きそうな顔になる。

 

「ど、どうしたんだ? 加耶、今日はいつもに増して機嫌が悪いな。もしかして、昨日の事で何か嫌なことがあったのか?」

 

 

…クソ この兄はことの重大さに気づいていないようだ。

 

「全然違うッ アンタ…私を部屋に運んだでしょ!」

 

「あ、ああ、流石に車で寝されるわけにはいかないからな。」

 

「そんでもって、私を着替えさせた。ここまでは、100歩譲って許してあげる。

でも、私のパンツ…コレナニ?」

 

「…妹のタンスを漁るのは兄としてどうかと思ってな。有り合わせだ。緊急事態だったんだ。我慢してくれ。」

 

ピキッ

私はキレた。何がが緊急事態だ、何が兄としてどうかってか?

 

「タンス漁るより、自分のトランクスを妹に履かせる方が…ッ 兄としてどうかと思うわぁぁぁぁ」

 

常識が欠如している。まぁ、これが兄らしいと言えばそうなのだが、

 

しかし、今回の件は許しがたい。

 

怒りに任せ私は兄を思い切りぶん殴った。

 

「 加耶待て、話せば分か ゴフゥッ 」

 

私のグーは兄の腹にちょうど良くめり込み、兄が崩れ落ちる。

 

それと同時に、ピンポーンというチャイムが鳴り、ガラガラと玄関が開く。

 

 

「 おーっす! 新庄いるかー? 名護田のおっちゃんが心配してた…!?ッ か、加耶!?」

 

 

なんで、こうタイミングの悪い…

…はぁ、今日は厄日なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ぷっ… ぷっははははは。そーかそーか、新庄オメーのトランクスを、ぷはっっ そんでもって加耶のボディブローか、あー面白れぇ 兄妹コントもここまでくると、夫婦漫z…へぐっ!? 」

 

 

ゴンッ

「…ちょっと調子に乗りすぎ」

 

私の拳が、さっきまでゲラゲラ笑い転げた男の頭に落ちる。

 

「ぐぉぉっ!? あ、頭が割れるぅ 」

 

今この頭を抑え畳を転がりまわっている男。

名を木崎 武という。

 

私の兄の数少ない友人の一人で、昔はよくふらりと小宮神社を訪れていた。

ただし、この男。毎回毎回御飯時にやって来てはタダ飯食らって、どんちゃん騒ぎして帰って行く輩なのだ。

 

兄さんはまんざらでもなさそうだけど、私にとっては、悪質な集り屋に過ぎない。

 

しかし、この集り屋…もとい木崎さんは、こう見えても医者なのである。

昔は、外科医界の期待の新人として名が通っていたらしく、普段、人を褒めることなんて、ほぼ皆無の兄さんが、

「アイツは本当にすごい奴だ」と言っていたのは結構印象的だった。

 

ただ今は、詳しくは知らないけれど、精神科医に転身しているらしい。

 

「いってぇ 流石新庄の妹、殴る力も馬鹿にならねぇな。ま、そんなくらい元気がありゃ、俺の治療は必要なさそうだな。」

 

「久しぶりだな。木崎。こんな見苦しいところを見せてすまなかったな。

ところでお前、今日は飯を食いにきたわけじゃないのか?」

 

いつのまにか、回復していた兄さんが木崎さんに問いかける。

…うーむ、さすが警察官。体は頑丈なのね。

 

「まぁな、今日は加耶の診察の為に来たんだよ。ただ、治療代は三食昼寝付きってことでよろしくお願いしますわ。」

 

そういうと、木崎さんは我が家のようにテーブルに向かい ドカッ と椅子に座り込む。

 

 

「なぁなぁ、俺昨日からなんも食って無くてよ〜。早く飯にしようぜ!」

 

「フッ まったく、お前という奴はいつまで経っても変わらない奴だな。…まぁ、少し待っていろ。あともう少しで朝食が出来るところだったんだ。」

 

そういうと兄さんは、笑いながら台所に向かう。

 

 

…なんか、私のこの件。なし崩しにされてない? そんな事を思ったのもつかの間。

 

「ぷっ 加耶ぁ いつまで大好きな兄貴のパンツ履いてんだよぉ〜。やっぱラブラb…」

 

さっきの拳骨が懲りてないのか、木崎さんがからかってくる。

この人はまだ、まだ殴られ足りないようだ。

 

「いやぁーやっぱ弄りがいがあるなぁ

ハハハ …ッ!?ちょ、加耶! 加耶さんッ!!なんスカ?その笑顔ッ

やめて、こっち来ないで!!わ、悪かった俺が……ぐぎゃぁぁぁぁぁあッッ」

 

 

こうして、私は事件の翌日の朝を迎えた。

 

 

 




いやぁ話がどんどん膨らんじゃう〜



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