月2ペースって意外ときつい…
あの後(木崎を加耶がノシた後)、新庄兄妹は久々に朝ごはんを食べていた。
ふと、新庄はご飯を食べている加耶を見た。
さっきの出来事があったからか、少し膨れてはいるが、その表情はどこか安らかのものになっていた。
「 加耶 」
少し息を呑み、妹の名を呼ぶ。
「何?兄さん?」
ああ、こんな風に俺の言葉に対して、言葉を返してくれたのは、ものすごく久しぶりだ。先程のこともあったため、また普段通り、無視されてしまうかと不安だったがちゃんと答えてくれた。
内心ホッとしながら、「 今ならッ 」と思い、前から言おうと思っていた言葉を加耶に伝えようとした。
瞬間
ピリリリッ ピリリリッ
無情にも新庄の携帯が鳴った。
その音を聞いた瞬間、新庄は少し顔をしかめ顔を伏せた。
「加耶…少し待っててくれ。」
その言葉を聞いた加耶の表情は一気に曇ってしまった。
「…わかった」
そう返され、俺は部屋を出た。
俺は神社の境内に出て、電話の切れるのを待った。だが、皮肉にも着信音は、けたましく鳴り響くばかりである。
ブチッ
普段ならこのように、かかって来た電話を切ることはない。だが、今回ばかりは絶対に出るわけにはいかない。
(よし、電話は着信拒否をしておいた。もうかかってくることはないだろう。)
そう思い、部屋に戻ろうとすると、今度は家の据え置き電話が鳴った。
チッ
内心舌打ちしながら、電話に出る。
「はい、もしもし。新庄ですが…「新庄さんッ。た、大変です!!昨日のバケモノの死体が発見されたんですよッ。後、例の狼人間の目撃情報も多数あって…」
昨日の事件の犯人か、
ただ、死亡しているならそれらは鑑識の仕事で、我々刑事課の直接の管轄ではない。捜査の方は明日でもできる。
「と、とにかく今すぐに来ていただいて、捜査の方に協力してもらえないでしょうか?」
「間田か、どうした?私は今日は非番のはずだが?」
普段、俺は自分の回ってきた仕事は断らない。
だか、今日は名護田さんのお陰で、加耶との時間を大切にできる日だ。
今まで、仕事で加耶に迷惑をかけて来た分、せめて今日一日だけは一緒に居てやりたい。
「私情で申し訳ないんだが、昨日妹が事件に巻き込まれてなすまないが、ほかの奴を当たってくれないか?」
後輩に対して当たるわけにもいかないため、なるべく柔らかく拒否の念を伝える。
だが、事はそううまくはいかなかった。
「そうしていただきたいのは山々なんですが…非番の方々も総動員で、山狩りに当たってます。」
「本当に無理なのか?」
「はい…実は今回の捜査、関係のない事務方まで駆出してる始末です。
後、とてもいいづらいんですが……コレは全て署長命令で動いています。」
「あの…がめつい狸じじいの命令か
ハァ、わかった。仕方ない、なるべく早くそちらに向かう。」
「す、すみません、助かります。」
「ああ、もう切るぞ」
署長命令とあらば、どうしようもない。俺たち部下は上司の命令は絶対、厳守しなけばならない。
「そんなに手柄が大事か、あの老害め」
ポツリ悪態をつきながら、新庄は部屋へと戻った。
電話を受けてから数分後
「おい!新庄。どう言うつもりだよッ!!
今日は加耶と一緒にいるんじゃなかったのか?」
新庄が部屋に戻り、仕事着であるスーツに着替えていると、木崎が怒鳴りこんできた。
そして、木崎の後ろには俯いた加耶の姿があった。
「おい!名護田のオヤジに今日は休暇をもらったはずなんだろ?何故行くんだ!!お前…妹より仕事の方が大事なのかよ!!」
木崎の言うことは最もだ。だがしかし…
「行くんじゃねぇ!! これ以上お前らの距離が離れたらもう二度と…
「わかってるッ!!」 ッならどうして!!」
否定しながら、木崎の後ろに居る加耶の方に進んで行く。
加耶は顔を上げようとはせず、拳を頑なに握りしめていた。
「加耶、すまない。今日はお前と一緒にいてやれなくなってしまった。だが、直ぐに切り上げくるだから、少し待っててくれないか? 本当に今日は早く帰ってくるよ。だから…」
そう言いながら、そっと加耶を抱きしめようと手を伸ばした。
だが
バシッと手を跳ね除けられ、加耶が顔を上げる。その顔は俺をジッと睨みつけていた。
「…嘘つき。そんな言葉はもう聞き飽きたよ。」
そして、加耶はぐるりと背を向け俺に向かいこう呟く。
「もう、要らない。」
そしてこちらを振り返り、目に大粒の涙が出てを浮かべ、俺に言い放つ。
「私のことを大切にしてくれない兄さんなんか要らないッ!!」
要らない
いらない
イラナイ
その言葉がこだまする。
俺はその場から動けなくなり、そして、思考が放棄された。
「しん…じょ 新じょ… 新庄!!」
ふと、そんな声が聞こえて来て、振り返ると、俺の方を揺すっている木崎がいた。
気づけば加耶はいない。
「木崎か 」
「お前…ッ 少し気失ってたのかよ…
ど、どうするんだよ。今なら加耶を追いかければ間に合う。早く行け!」
「だ…だが」
「ああああ、もうっ これだから堅物はッ 一緒に追いかけるぞ!!
あ!? 加耶のヤロ自転車使って逃げやがった。今すぐいかねぇと、ずぅぅぅとこのままだぞ!!本当にそれでいいのかよッ 新庄ォッ」
行かなくてはそう思った。
どこに?
答えは二通りしかない。
加耶を追いかけるか
それとも仕事か
俺は、選んだ。
「…すまない木崎。加耶のことを頼む。」
「お前ッッ!!」
そう言い俺は木崎に背を向ける。
俺には加耶を追いかける資格なんてもう…
…最低だ。最低な兄だな。
今までのやり取りの最中、ポケットの中でマナーモードにしてあった携帯が何回も震えていた。
それほど、緊急を要するものなのだろう。
「くッ …しょうがねぇ 仕事優先なのは公僕の運命って奴か。 行くならとっと行って片付けてこい!! 加耶のことは任せろッ」
「 すまんッ 」
木崎に加耶のことを任せ、俺は現場へと向かう。
そして、いたたまれない罪悪感共に、今日ほど、警察という仕事を恨んだことはなかった。
AM 10時未明
東京近郊 小宮町 山中
鑑識A
「 なぁ、おかしくないか? 」
事件現場で八起署の鑑識班の1人が呟く。
近くにいる同僚はそいつに聞いた。
鑑識B
「あ? どうしたよ。なんかあったのか?」
呟いた班員は、無造作に掻き集められたバケモノの死体を指差しこう答えた。
鑑識A
「いや、このバケモノの死体…飛散してたはずだよな… で、それを掻き集めてこの場所まで運んできた。」
鑑識B
「ああ、そうだな。一通り調べ終わったから、あらかたの部位を集めて処分するためにここに持ってきたんだよな。それがどうした?」
鑑識A
「…なぁ、死体は、焼死または爆死して組織がバラバラになってるはずだ…
なのに、今のコレ…」
鑑識B
「ん? なッ!?」
同僚がその死体を見ると、絶句してしまった。
2人の目の前には、おぞましい光景が広がっていた。
それは、バラバラの肉片がまるで生き物のように動き回り1つの塊になろうとしているところであった。
鑑識B
「!?!?!?!?!?」
鑑識A
「は、早く、本部に連絡しなくては….」
ありえない光景を目の前にして、2人の判断が遅れてしまった。
肉片の1つが困惑して動けない、鑑識Bの体に張り付いた。それを境に、今まで1つに集まろうとしていた肉片達が、雪崩のように鑑識Bを襲った。
「 わぁぁぁぁぁ!!!! くるなァッ た、助けてェェェェェェ」
助けを求め、鑑識Aの方を見る。
「ぐぅッ ァッぁああああ あたっ まがぁつ
われええええええええええええええ」
鑑識Aは頭を抑え地面を転げまわっていた。
鑑識Aの顔部には無数の肉片が群がり、に肉片達は、耳の穴や鼻の穴に侵入していく。
「「 ああああああああああああッッッッ ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ」」
2人の絶叫が森にこだまする。
しかし、それは不運な事に
捜査に来ていた警察官達の耳には届くことはなかった。
主人公ェ
邂逅とか言ってまだ、何も起きてない件について(焦り)
次回は9月中にあげたい(頑張ります)