Fate/Fantasia Bookmark   作:玄田黒兵衛

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やってしまったオリジナルFate話!
読んでくれるかな……


物語の序幕はさりげなく

 

 それは余りにも突然の出来事だった。

 何かを説明すること暇もないほどに、いきなりの出来事。雷でも打たれたのかと思うほどのいきなりのこと。

 

「ここはどこだ」

 

 鎧に身に纏い、いつでも戦闘ができるようになっている一人の騎士がそんなことを呟いていた。

 

「なんで急にこんな場所の()ばれたんだぁぁぁぁぁ!!」

 

 叫ぶ騎士一人。しかし状況は変わらない。

 重厚な鎧と兜に身を包んだ白銀の騎士。しかし20歳にも満たぬ少女の素顔はとても美しい。ただこの女騎士、やや粗雑で男性的な口調で話し、性格は自信過剰で好戦的。自身を女扱いや女呼びするものには容赦のない眼光を飛ばす不良騎士。

 

「おち、おちついてください! モードレッド卿」

「あぁ!?」

 

 荒々しい声で振り向くモードレッドと呼ばれた騎士は、目に入った人物を見てすぐに目を柔らかくした。

 

「なんだ、マシュもいたのかよ」

 

 マシュと呼ばれた少女は、モードレッドと同じく鎧を着装した騎士装束に纏っており、彼女自身よりも巨大な盾を持ったその少女はそれを軽々く持ちながらやってきたのだ。

 

「おい、なんでだ。なんで俺たちはここにる? しかも記憶もちゃんとあるぜ? 俺はカルデアに居た。カルデアい召喚され、戦闘も数をこなしていた。これは憶えている」

「はい……私も憶えています。私は先輩と一緒に居たというのに、いきなりこの……草原のような場所に居ました。いつのまにか……」

「チッ。また新たな魔神とかの仕業とかか? 転移(レイシフト)させられたのか?」

 

 擬似霊子転移(レイシフト)。疑似霊子変換投射。人間を擬似霊子化(魂のデータ化)させて異なる時間軸、異なる位相に送り込み、これを証明する空間航法。時間跳躍(タイムトラベル)と並行世界移動のミックス。マスターを霊子分解し、数値として時空帯に出力する。これにより、【聖杯探索】や、【特異点修正】が叶ったのだ。

 しかし、今回のこれは少し違うものだとモードレッドは周囲を確認しながら思っていると、マシュの言う通り緑あふれる草木生い茂った草原しか目に入らなかった。

 匂いも感触もある。あのカルデアの凍える雪山にいるものとは考えられなかった。

 

「まぁ……取りあえずどこか行った方がいいか。ここがどこなのかわかんねぇのは意外と今置かれた状況ではまずいと思うからな」

「はい……モードレッド卿の言う通りレイシフトのようなものなのでしょうか。でも。今……一番心配なことがあります」

「……まさかマスターもこれに巻き込まれたかもしれねぇのか?」

「否定しきれません。どうして私たちがここにいるのかさえ不明なのですから、断言もできませんから……」

 

 チッ、と苛立ちを募らせるモードレッドだったが、マシュの不安そうな顔に気持ちを切り替える。

 

「安心しろマシュ。この俺様がいるんだ。なにか原因くらいあるんだろうからそれを見つけるなりすりゃあいいだけだ。それにアイツのことだからきっと一人もでもなんとか出来んだろ。巻き込まれてねぇかもしれねぇし」

「あ……はい! ありがとうございますモードレッド卿」

「チッ。モードレッドでいい。まったく」

「はい!」

 

 気遣ってくれたモードレッドに、マシュはあの聖杯探索《死界魔霧都市 ロンドン》での頼もしさを思い出していた。

 そうして二人がさっそくどこか人がいないか探しに行こうとすると、

 

「きゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!」

「「!!?」」

 

 近くの森から悲鳴が聞こえてきた。

 声からして若い女性の声だった。

 二人の反応は早く、声がした方向にへと人間では到底反応しきれない速度で飛んでいった。

 日の光が遮るこの場所では強盗をするのはとても容易だったのだろう。

 二人はすぐぶ盗賊に襲われているであろう女性に目が入った。

 

「危ない!!」

 

 マシュは自身のクラス・盾兵(シールダー)能力(スキル)を発動する。スキル『奮い断つ決意の盾』で相手のターゲット集中状態を付与を付ける。

 盗賊のナイフがマシュに向けて投擲されるが、ものともせず盾で弾き返した。

 

「オラァ! クソ盗賊どもがァ! こちとあら一大事だってーのに邪魔すんじゃねぇぞボケ!」

 

 そして、騎士とは思えぬ行為。剣を相手にぶん投げたモードレッドに盗賊たとは翻弄され、集団で固まっていた盗賊団の男たちを吹き飛ばした。

 投げられた剣が地面の突き刺さっただけで、その余波が半数くらい盗賊団の連中を戦闘不能にさせた後、モードレッドは首魁らしき男を睨む。

 

「おいおい……いきなり何なんだよこれはよォ……どこから湧いて出てきやがった小娘ども」

 

 その盗賊団の首魁は、先程のモードレッドの余波を受けながらも、その悠然とした態度が変わらずそのままで、マシュは違和感を覚える。

 

(今のモードレッドさんの異常な攻撃に何も動揺をみせていない……? それほどの強さを持っているってことなのでしょうか?)

 

 マシュの分析が終わる頃には、既に相手の態度が気に食わなかったモードレッドが臨戦態勢になっており、剣を突き刺した場所にへと疾駆し、モードレッドの宝具にして宝剣『燦然と輝く王剣(クラレント)』を掴み、(きっさき)をその首魁の男に向ける。

 

「……手前ェ……()()じゃねぇな?」

 

 そして告げた言葉はマシュにとって驚くべきものだった。

 常人では恐れる怪力と捉えることができない速度で動きが出来るサーヴァントは、最早人間のカタチをした化け物だろう。人間の域を越えているのだから。

 そんなサーヴァントを見た一般の人が居たら慌てるものなのだが、相手も人外だというのなら話が変わる。

 

「……そりゃあ脆弱な人族(ヒューマン)なわけねぇだろ。今は《角》を出しちゃいねぇが、俺は最強の種族、鬼人(オーガ)族なんだからよォ!」

 

 そんな事を当たり前のように言ってきた盗賊の首魁の男はそんなことを言って、元からあった逞しい筋肉を膨脹させていき、髪の隙間からも鬼の象徴(シンボル)でもある《角》が男から生えてきた。

 

「モードレッドさん! なんだか先程のニュアンスから、齟齬を感じます! ここは一時離脱を!」

「アァ!? なんでだよ! ぶっ飛ばしゃあ良いだろうが!」

「襲われていた女性は助けました! 今は事を荒立てるには……」

「もう既に他の盗賊どもを吹っ飛ばした後だ、もうコイツは俺に一矢報いるまで逃がさねぇぞ!」

「その通り!!」

 

 完全な鬼なる姿に変貌した男は、荒々しい角を天を衝かんばかりに向きだし、血色の眼となった目はモードレッドを捉えたまま動かない。

 

「初っ端からデケェ獲物に手ぇ出しちまったぜ、マシュ! コイツぁ盛り上がるぜ!!」

「……もう! モードレッドさん!」

 

 マシュの声に耳を傾けていたモードレッドだったが、ここは簡単に動けないことも明白だった。

 

「俺の名はシュテン! 今はしがない盗賊団の頭領よ! しかし、鬼人としての誇り。こうも簡単に部下を吹き飛ばされてしまっては見栄も張れんのでな! ここは一つ……俺に倒されよ、()

 

 『あっ』とマシュが声が出てしまったことはしょうがないだろう。

 モードレッドに対しての禁句など、このシュテンを名乗った男は知らないのだから……。

 だから、急に黙った騎士に鬼の首魁は意気揚揚に手を出してしまったのもしょうがない。

 

「 お い 」

 

 その声は果てしなく低く、

 

「 お れ を 」

 

 自らの誓いを汚されたような感覚に襲われ、狂戦士(バーサーカー)のように理性が蒸発しそうなのを歯を食いしばって我慢しつつも、着実に爆発させる方向に差し向けながら、

 

「 お ん な と 」

 

 モードレッドは、白銀の剣『燦然と輝く王剣(クラレント)』を強く握って、

 

「 よ ん だ な !!!!」

 

 地が抉るような踏み込みで、重圧纏った怒りの剣閃が鬼を襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 騎士と鬼人が勝負に入ったころ。カルデアのマスターたる藤丸立香は困っていた。

 それは単純なことだ。

 

「ここはどこなんだろう」

 

 街の広場らしき場所に、一人ポツンと立っていて、その街の住民らしき人たちも不思議そうに藤丸を見ていた。

 

「なんか……ライトなノベルな異世界ものの空気を感じる……なんで突然の転移なの? これは夢? さっさきまでマシュとお茶を楽しんでいたのに!」

 

 混乱というより、若干慣れているからなのか。場所の安全を気にするよりも現状の、自分のトラブル体質に嫌気のようなものを感じていると、住民の人混みより、見知った人物が手を振ってやってきてくれた。

 

「おーい! やっほー! マスター! 会えた会えたー」

「武蔵ちゃん!」

「うんうん♡ 武蔵ちゃんだよー」

 

 明朗快活、凛としながら瑞々しい女性剣士が笑顔を振りまきながら藤丸と合流した。

 剣士(セイバー)クラスにて、日本で間違いなく大剣豪の名を世界に知らしめた二刀流の剣士、宮本武蔵こと(しん)(めん)武蔵守(むさしのかみ)藤原(ふじわらの)玄信(はるのぶ)は周囲の住民に対しても笑顔を振りまき、『だいじょぶ、だいじょぶ~! わたしの知り合いだから』と話して、人たちをいつもの空気にへと戻らせた。

 

「これってまたも変な夢じゃないわよ。先に言っておくと!」

 

 それを言われて開いた口が閉じてしまう。

 

「わたしもカルデアってところが分かるし、カルデアでうどん食べていたら急にここに召喚された時は凄く驚いたんだからねー。まぁ、随分とわたしの方が先にここにきたみたいなんだけどね」

「先に?」

「そう。一ヶ月ぐらい先にね、ここにきたの。だからわたしがここに馴染んでいたのもしょうがないわよねー! 剣士たるもの斬りつけるだけが取り柄じゃないんだから」

 

 ニコニコと微笑む武蔵ちゃんに藤丸は不安だった心が穏やかになっていく。なんて晴れやかな笑顔なのだろう。

 

「武蔵だけに非ず。不肖ここにも剣士が一人おりますぞ。マスター」

 

 ゲゲッ、と何やらバツの悪そうな顔になって藤丸の後ろに隠れる武蔵。

 声のした方向に目を向ければ、そこには紺色の雅な陣羽織に身を包み、長大な太刀を帯びた耽美な流浪人が歩いてきた。

 こちらも見知った大剣豪。花鳥風月を愛で、飄々とどこかつかみ所のない性格をしているが、やはり生粋の武人であり、正々堂々とした勝負を好む綺麗な青い長髪の男。

 宮本武蔵とくれば必ず名が上がり、日本でもかなりの知名度を誇る剣士。

 余人が振るえること叶わなかった長刀《物干し竿》を扱うこの美形の男の名は佐々木(ささき)()()(ろう)。宮本武蔵の最大の好敵手にして長刀の使い手。

 

「小次郎もいたんだね!」

「ふむ。無事に合流できたこと誠に僥倖」

 

 小次郎の手に串焼きらしき食べ物と酒瓶を持っており、本当に遊び人としか見えなかった。

 

「小次郎だけじゃないのよ。小太郎くんに段蔵ちゃんも合流してるの」

「おぉ……なんでか日本出身サーヴァントが固まってる」

 

 藤丸はそれに不思議に思っていると、近寄ってくる集団がいた。

 それを視認するやいなや、武蔵と小次郎は面倒な顔に変化したところを見逃さなかった。

 

「お待ちしておりました()()()殿!! 貴方がここ『始まりの街・ハル』に()ばれることは既に我ら『神託教団』が予知しておりました! ささっ! 貴方を歓迎致します!」

 

 正しく怪しい紫色や白を象徴とした恰好の教団服を纏った男は、まるで周囲の民衆にわざと知らしめるように大声を張り上げる。

 しかし、聞いたことがある声だ。

 

「あぁ! そう! 申し遅れました。我輩、ウィリアム・シェイクスピアと申します! 教団幹部にして宮廷道化師を勤めておりますので、どうか、どうか見知りおきを!!」

 

 それは、一瞬にしてマスターに頭痛を与える困った伊達男。混沌を呼ぶ道化(キャスター)だった。

 

 




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