転生した憧れの世界はいろいろとおかしくなっていた(編集中現在3話までは完了) 作:ありふれた猫の中の猫又
今回はデート回と言うことで、デレを多めかけたかな〜と思います。それと、感想で主人公がクズって言われましたが、その通りです!その上で見ていただける方がいてくれたら嬉しいです。
では、どうぞ!
─次の日─
今日は土曜日。
要は、家での騒動が終わって、これからどうしていこうかと布団に寝転がりながら考えていた。
ついに、偽の恋人をすることになったけど恋人ってそもそもどうするかわからねぇし。一応、家の奴らもビーハイブの奴らも騙せたけど……クロードに原作と違う意味で目をつけられてそうだなんだよな(自分を倒した憎いやつ的な意味で)。まぁ、それはそうとして、これからどうなるんだっけか?ここ何十年とこっちで過ごしてきたから、今までの展開は読めたけどそろそろわからなくなってきた。
要がそんなことを考えていると…
ピンポーン
「ん?誰か来たのか?」
要が自分には関係ないと思っていると、
「坊っちゃーん!お客さんですぜー!!」
「俺に客?」
竜がテンション高めの声で俺を呼んでいる。客?誰か呼んでたっけ?
要は、自分の今と前世のニセコイの記憶をたどる。すると、
「あ!あれか!?」
要はあることを思い出し、急いで玄関に向かった。
「坊っちゃん、おはようごぜーやす。お客さんですぜ」
玄関には、ニヤニヤした竜が待っていた。そして玄関の外を見るとそこには、
「おはよう、要君……」
そこには、おしゃれした千棘とクロードが立っていた。千棘は顔を真っ赤にしている。実を言うとこの状況は、ニセコイ原作でもある展開だ。集英組での騒動の次の日、楽と千棘が無理矢理デートをさせられるというものだ。まぁ俺は嫌ではないが、とりあえず知らされていないことだからな。知らないふりをしておこう。
「おはよう桐崎さん。今日はどうしたの?」
「あ、あの……要君。今日なんだけど……デ……デートしない?」
千棘がもじもじしながらデートのお誘いを言ってきた。
まじか、千棘可愛いな!
「きょ、今日は予定もないし、いいよ…」
「ほ、ほんと!ありがと!」
そのキラキラした笑顔は反則です。よし、落ち着け俺。それはさておき、さっきからめっちゃ千棘の横にいるクロードが睨んでくるんだがなんだ?やっぱ昨日のことか?
「お嬢がどうしても集英組の坊っちゃんとデートをしたいというのでお連れしたまでだ!」
「いや、そんなこと急に言われても…」
クロードが要の視線に気づいたのか話しだした。
クロード絶対根に持ってるな。キサマは認めないとか言いそうな顔してるし。美人なのに勿体無いな。
「んじゃ、俺は着替えてくるな」
「うん!じゃあ、私は外で待ってるから」
「ん?いや、中に入って待っててくれていいぞ」
要の言葉に千棘は、
「あ、うん。じゃあお言葉に甘えて。クロード達は帰っていいわよ」
「ですがお嬢!」
「大丈夫だから!ほら!帰って帰って」
千棘はクロードが邪魔みたいだな。まぁ、何かと口を挟んでくるやつは俺も嫌だと思う。うん。
そんなこんなでデート(千棘)の始まり始まり。
─駅前─
千棘と要はとりあえずデートといえば映画と思い、駅前の映画館で映画を見ることにした。今は映画館の前でなにを見るか悩んでいるところだ。それにしても、
「いるな…」
「要君どうしたの?」
「ん?いや、なんでもないよ」
どうやら俺たちにビーハイブと集英組の奴らがついてきたようだった。まぁ、俺らの場合対して問題にはならないので好きにさせとこうかな。
「桐崎さんはさ、好きな映画とかある?」
「……」
「ん?どうしたの?」
「え?い、いや!なんでもないよ!れ、恋愛映画とか?」
「へ、へー。俺はてっきりアクション映画が好きかと思ってたよ」
要が、原作では千棘がアクション映画が大好きだったことを思い出した上での質問である。
「え!?アクション映画は好きだけど要君とは恋愛映画が見たいかなーって思って」
あ、やっぱ好きなのね笑。てか、そんなふうに思われていたのか。なんか恥ずかしいな。
「んー。じゃあこれなんかどうだ?」
「ん!あ、いいね!これ見てみたかったんだ!」
「よし、じゃあこれにしよう!」
─映画終了─
「はぁ、いい話だったな。久々に映画でうるっときた気がするな〜。千棘はどうだった?ん?」
「うっ…ぐっ…」
あら、千棘さん感動して泣いてらっしゃる。なんか、前から思ってたけど、この世界の千棘は俺の知っている原作の千棘とかなりの違うのかもしれない。これは、原作の知識に頼りすぎるのは危険かもしれないと思う。これから気をつけていかないといけないな…
千棘はしばらくして泣き止んで、「すごくいい話だった!」と、笑顔で言った。
やばい…
「この笑顔、一億円。いや、足りないかも…」
「要君?どうしたの?」
「い、いや、なんでもない」
要は興奮した気持ちを抑えつつ、次の目的地に千棘と一緒に向かった。
─レストラン─
「桐崎さん、ここで昼食を食べようか」
「うん、いいけど…」
千棘が映画の前から少し様子がおかしい気がする。なにかを気にしているような感じがする。
「ん?他のとこがいい?」
「いや!ちがうの!ここでいいんだけど…」
「?」
「要君」
「うん」
「私の事、昔みたいに千棘って呼んでほしいな〜なんて…どうかな?」
「なんだ〜そんなことか」
そういえば、昔はそんなふうに呼んでたっけか。すっかり忘れてたわ。でも急に言われると恥ずかしくなるもんだな。
「だ、だめかな?」
要が考えていると千棘が悲しそうな顔で聞いてきた。
そんな顔で見られたら断れないよ。てか、断る理由なくね?
「桐崎さんが良ければそう呼ばせもらうよ」
俺がそう言うと、千棘の顔が悲しそうな顔から一変して、喜びに満ちた笑顔になった。
「あ、ありがとう!」
「お礼をいわれるほどじゃないだろ。まず、拒否する理由がないし。まぁ、改めてよろしくな。千棘」
「う、うん。よろしく。要君」
「千棘も俺の事も要で」
「あ!そ、そうだよね!じゃ、じゃあか…要」
おぉ!何という攻撃力!名前呼びがここまで強力だったとは、やばい。照れる。
「あ、あぁ!よ、よろしくな!そろそろご飯食べようか!」
「そうだね!」
お互いの名前を呼んだことで恥ずかしくなり、その後はお互いを気にしてチラチラ見ながら無言の食事が続く二人であった。
カフェで食事をした二人は、特にやることがなくなったのでデートの定番の公園に来ていた。いつもはカップルがそこらへんにチラほら見えるのだが、今日はそんなにいないようだった。
二人は、カフェでの事は落ち着いたようでベンチに座って談笑していた。お互いの組のことやこれからの学校生活のことなどだ。ときおり見せる千棘の笑顔が可愛い。このままホントにゴールインなんてこともありかもな…
「あ、あのね、要。私ちょっとお花を積んでくるね」
「ん?いきなりどうした?花なら逆方向だぞ?」
「もう。女の子がお花を積むって言ったらトイレのことだよ」
「あ!そういうことか!」
「デリカシーないよ!要!」
「ごめんごめん」
俺は苦笑しながら答える。千棘はわざとらしく頬を膨らませて怒った真似をしているようだ。
千棘は行ってくると言って近くのトイレに走って行った。
「ふぅ〜」
千棘、可愛いな〜。あんなの笑顔見せられたら誰でも心が揺らぐよな〜。原作ではあんなに暴力的で口の悪い子だったのに、これじゃあまるで別人だな。完璧になってる。だが、まだ決められないんだよな。これからもたくさんの女の子が出てくるはずだし、俺、原作だと押しキャラ鶫だし。千棘がこんな感じだからなんか変わってるかもしれないしな。
そんなことを要が考えていると、そこに二つの影が近づいてきていた。当然要は気付きその影の方向を見る。
「うあ!」
「ば、ばれた!」
要が見た先には、楽姉と小野寺がいた。気づかれていないと思っていたようで、急に要が振り向いたことにびっくりしているようだった。
「あ…楽姉と小野寺か。よう!」
「うん。で、要はこんなところで一人はなしてるの?」
楽姉が俺に聞いてきたので、
「うん?一人でじゃないよ。デートだよ。いま待ってんの」
「「え!?」」
俺がそう答えたとき、二人が驚いていた。
「ん?」
「要?いま、デートっていった?」
「え?うん。そ、そういったけど…え?」
なんで、二人の顔が笑顔なのに目が笑ってないんだけど。ついでに言えば、背後に鬼が見えるよ。
「要君?デートって誰と?ねぇ誰としてるの?」
「ひぃ!」
え?小野寺?この人小野寺?スゲェ怖いんだけど!目が笑ってないよ。それ人を殺す目じゃないよね。
「「早く答えて!!」」
「え…えーと…」
「要!お待たせ……え?」
楽姉と小野寺が戻ってきた千棘をものすごい形相で睨む。
「ひぃ!」
千棘も俺同様にこの二人の迫力に怯える。だが、千棘を見た楽姉と小野寺が急にさっきの怖さが一変して笑顔になった。
「なんだ〜。千棘ちゃんだったのか。なら早く行ってよ〜。びっくりしたじゃん」
「そうだよ要君。千棘ちゃんなら大丈夫だね」
ん?どういうことだ?なんでさっきまで怒ってたのに急に穏やかな雰囲気になってるんだ?
要が頭に?を浮かべていると楽姉が、
「要?どうしたの?」
「え、いや…急に変わったから…」
「あ〜あのね、要にはまだ言ってなかったことがあるの。実は、要と結婚するって約束した子達で約束したことがあるのよ」
「へ?」
「一つ目は、要を独占しすぎないこと。二つ目は、デートとかをするときは事前にみんなに連絡すること。そして最後が、要をずっと好きでいること」
「はい?」
「だから、今回の千棘ちゃんの行動はちょっと問題あるんだよねぇ〜?ね、千棘ちゃん?」
約束を言い終わった楽姉の顔は再び笑顔なのに目が笑っていない。
怖っ、てか、そんな約束してたの?全然知らなかったわ。俺の知らないところでこんなにもことが進んでいたのか。てか、俺の希望は?俺の希望は通らないのですか?
「千棘ちゃん?あとでみんなでお話があるからね。場所は〜、千棘ちゃんの家でいいかな」
「……」
「じゃあ、私みんなに連絡するね」
楽姉と小野寺が千棘になにかするようだ。さっきから千棘がガタガタ震えてるんだけど…大丈夫か?ここはデートの相手として助け舟を出してあげよう。
「あのさ…千棘も悪気なあったわけじゃないんだからさ…」
「「ん?」」
「ひぃ!」
俺が千棘を庇おうとしたら楽姉と小野寺が笑顔で振り向いた。ただ、目は一切笑ってなどいない。だが…
「はぁ」
「千棘ちゃん、要君がいて良かったね」
さっきまでの怖かった二人の笑顔が呆れ顔に変わった。
「仕方ないな〜今回は要に免じて許してあげる」
「そうだね」
「は、はぁ…」
「まじか」
「ただし!今度やったら千棘ちゃん?わかるよね?」
「ね、千棘ちゃん?」
千棘は楽姉と小野寺の言葉を聞き、体を身震いさせた。
楽姉と小野寺はそう言って、俺に今度は誰もが認めるような笑顔で「バイバイ」っと言ってこの場を去った。
「はぁ…、怖かった〜」
「ホントな、楽姉は見たことあるけど、小野寺が怒ったのは初めて見たな。あれは怖ぇな」
千棘と要は、二人が去ったあとしばらく公園のベンチでグッタリしていた。だが、ふと要が気になることがあったのを思い出す。
「なぁ千棘。さっき楽姉が言ってたみんなって十年前の子達の事?」
「うん。私、あれからずっとアメリカにいたから要と人生初デートできるのが嬉しくて、約束のことすっかり忘れてた」
そう軽々と甘いことばを言わないでくれ。恥ずかしくなるだろ。
「ま、まぁ、これから気をつけていこうか。あんな状態にはもうなりたくないからね」
「そうだね、じゃあ要。今日はこれで帰るね」
「わかった。あ、でも、時間も時間だし送ってくよ」
「大丈夫だよ?」
「いいのいいの。さぁいこう!」
要は現時刻が六時を指していた。俺は千棘を家まで送っていった。
どうでしたか?
今回は書いていて思ったことは、千棘って暴力振るわなければ完璧超人だってことですね笑
これからキャラがちょいちょい増えていくのでよかったらまた見てくださいね。
よろしくお願いします!